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畿央の学びと研究

2016.08.26

看護医療学科 海外インターンシップ in オーストラリア 現地リポートvol.3

看護医療学科では今年度から初めて海外インターンシップを行うことになりました。今年はオーストラリア ヴィクトリア州 メルボルンで実施されることになり、8月20日(土)から28日(日)の日程で、2回生5名、4回生3名の計8名が参加しています。ラ・トローブ大学、高齢者施設や認知症ケアに関する研修センター、緩和ケア病棟を訪問し、オーストラリアの文化や歴史、その中で築かれてきた保健・医療・福祉制度について学びます。全5編でお届けする予定です。   現地リポート3:8月24日(水)   今日は朝から電車に乗ってBanksia Palliative Care Service(緩和ケアセンター)に行きました。 電車は今回初めて使ったということもあり駅の中で迷ってしまいましたが、無事たどりつくことができました。     駅からはBanksia Palliative Care Serviceの方が施設まで案内してくれました。   施設に到着すると、冷えた体を温めるようにと、温かい飲み物とお菓子をいただきました。   少し休憩した後は、施設のLecture roomやカウンセリング室、staff roomを案内されました。受付が入口すぐにあることで、施設に初めて来られた方も声をかけやすいようになっています。 それぞれの部屋に先住民権が認められているアボリやトレス海峡諸島の旗がオーストラリアの旗と共に飾られており、多文化の受け入れ意思を象徴していると教わりました。     そしてオーストラリアの緩和ケアと看護師の役割についての講義を受けました。 オーストラリアでは緩和ケアの対象はがんと診断された患者のみではなく、その点は日本と同じだと感じました。しかし、オーストラリアでは緩和ケアを受ける際に疾患にかかわらず、みんな平等に支援をうけることができるという点は日本と違うと学びました。そしてオーストラリアでは在宅・施設で過ごす患者が多いことから、ボランティアや地域の住民の協力が得られるような体制が整えられていると分かりました。     オーストラリアにはNP(Nurse Practitioner)と呼ばれる看護師がおり、その看護師は専門的な分野において医師と相談したうえで薬の処方や投与方法の変更を独自の判断で行うことができます。緩和ケアのNPでは麻薬のモルヒネ投与量や回数の変更を行うことができ、情報収集や薬の知識が必要で個々看護師責任が問われると学び、今後私たちも知識や技術を深め、責任をもって行動していくことが大切だと感じました。     たくさんの緩和ケア・終末期ケアに関する資料を頂きました。オーストラリアは多国籍国家であるため、患者・家族へ説明するためのパンフレットがいろんな国の言葉で用意されていました。 講義が終わった後、Banksia Palliative Care Serviceの方がサンドイッチを用意してくださり、みんなで昼食をとりました。   続いて、午後にはAssisi the Italian specific Nursing homeへ車で移動しました。   ▼メインエントランス   Assisi the Italian specific Nursing homeは、特別養護老人ホームであり利用者の99パーセントはイタリア出身の方あり、スタッフの方も半分はイタリア出身の方でした。この施設の利用者は約150人で、low care unit、middle unit、high care unitに分かれています。施設長であるJammaさんが案内をしてくれました。 Low care unitではそれぞれに食堂やアクティビティスペースがあり、利用者が生活しやすい環境が整えられていました。   ▼入所者の方の食堂(ダイニングルーム)   入口を入ったすぐのところには共同スペースがあり、そこでは毎日お祈りをしたり音楽を聴いたりして、気分転換を図っていました。ダンスをしている利用者もいました。 Middle unit では外から鍵がかけられており、一人で外にでることはできないようにされていた。しかし、アクティビティをしたり、広い空間を利用することによって、より生活のしやすい環境をつくっていました。 ▼散歩スペース   High care unitに行くと利用者は共同スペースでプリンセスチェアー(車椅子ではなく、身体全体を支えることのできるフカフカな椅子)に座りながら、TVを楽しんでいました。転倒時早期対策のため床にセンサーが埋め込まれており、患者が転倒した際にはコールがなるように工夫していました。また、家族とのプライベートを守ることができる緩和ケアルームがあり、今後についての相談を行うことができます。 ▼施設についてのレクチャー。職員もイタリア系の方が半分を占める   施設全体を通してイタリアの風景や家具を置いて、昔の生活を思いだして気分転換をする機会が増えるよう工夫されていました。   ▼生まれ故郷イタリアの町をイメージしたアレンジの庭   ▼施設敷地内のチャペルの前で   4回生 河合優希・山下夏美 【関連記事】 看護医療学科 海外インターンシップ in オーストラリア 現地リポートvol.2 看護医療学科 海外インターンシップ in オーストラリア 現地リポートvol.1

2016.08.25

看護医療学科 海外インターンシップ in オーストラリア 現地リポートvol.2

看護医療学科では今年度から初めて海外インターンシップを行うことになりました。今年はオーストラリア ヴィクトリア州 メルボルンで実施されることになり、8月20日(土)から28日(日)の日程で、2回生5名、4回生3名の計8名が参加しています。ラ・トローブ大学、高齢者施設や認知症ケアに関する研修センター、緩和ケア病棟を訪問し、オーストラリアの文化や歴史、その中で築かれてきた保健・医療・福祉制度について学びます。全4編でお届けする予定です。   現地リポート2:8月23日(火) 今日は、朝からLa Trobe大学でした。私たちは2つのグループAとBに分かれて、La Trobe大学の学生たちの日本語の授業に参加しました。     【1限目】 グループAの学生は、1年生の授業に参加しました。授業内容は日本語のリスニング練習や文法です。私たちはLa Trobe大学の学生の間に座って、わからないところを手助けしました。 グループBの学生は2年生の授業に参加しました。授業内容は、教室に映し出されたスライドに様々な質問が日本語で記載されており、その質問をLa Trobe大学の学生が読み、私たちが回答するという会話の学習でした。     【2限目】 グループAは、1年生の授業に参加しました。この授業では、初めに単語の読み書きのテストを行っており、その採点の協力をしました。次に、カタカナの書き方の練習を行っており、書き順や発音を一緒に確認しました。 グループBは、3年生の授業に参加しました。この授業では、元柔道選手の谷亮子さんに関する記事を使って長文読解を行っていました。各テーブルに分かれ、長文の復唱を行い、漢字の読み方や難しい内容についての理解を私たちがサポートしました。   【昼休み】 日本語サークルの学生(約15名)と一緒にコミュニケーションをとりながらお昼ご飯を食べ、その後、大学のスポーツセンター、Bar、アクティビティ、正門、旧門、礼拝堂を案内してもらいました。様々な話をし、一緒に写真を撮るなどして交流を深めました。   【3限目】 グループAとBが合同で授業に参加しました。この授業では、4つのテーブルに分かれて、テーブルごとに意見交換を行いました。今回の授業では主に学生のアルバイトについて、オーストラリアと日本のアルバイトの違いなどについて話し合いました。オーストラリアのアルバイトの時給は約$11ということでした。アルバイトの内容が飲食店(マクドナルドなど)や洋服屋であるなど日本と同じ部分もあるなど互いに英語や日本語を使用しながら情報交換をしました。 テキストの日本語の長文を私たちが読んで、それに対する問を一緒に解くなど、日本語の学習をアシストする中で私たちも英語を用いる機会を得て語学学習ができました。     【4限目】 また二つのグループに分かれて授業に参加しました。グループAが参加したクラスでは、3限目にいなかった学生が来ており、授業としては3限目と似た内容でした。グループでの話し合いに積極的に参加しました。課題として日本の学生に質問をし、その内容をレポートにて提出するものがあったことから、日本の生活についての質問を受けました。 グループBの学生は、1年生の授業に参加しました。 小グループに分かれ与えられたテーマでロールプレイングが行われていました。正しい日本語を使えているか、など質問を受けLa Trobe大学の学生とペアを組んで英語と日本語を互いに組み合わせながら意見交換を行いました。     【まとめ】 オーストラリアは多民族国家です。La Trobe大学に在籍する学生の国籍や文化的背景も様々ですが、それぞれが互いの意見を尊重し話を聞く様子を見ることができました。こういう姿勢が国際的な知識共有や多様な考えを育むことにつながるのだと思いました。 また、La Trobe大学で関わった学生たちの勉学への意欲は高く、授業中にも活発に発言をします。学生たちとの交流はオーストラリアの文化や大学生活などの知識を深めただけではなく、そうした「学ぶ姿勢」についても考える機会となり充実した1日を過ごすことができました。     看護医療学科4回生 河合優希・山下夏美   【関連記事】 看護医療学科 海外インターンシップ in オーストラリア 現地リポートvol.1

2016.08.24

看護医療学科 海外インターンシップ in オーストラリア 現地リポートvol.1

看護医療学科では今年度から初めて海外インターンシップを行うことになりました。今年はオーストラリア ヴィクトリア州 メルボルンで実施されることになり、8月20日(土)から28日(日)の日程で、2回生5名、4回生3名の計8名が参加しています。 ラ・トローブ大学、高齢者施設や認知症ケアに関する研修センター、緩和ケア病棟を訪問し、オーストラリアの文化や歴史、その中で築かれてきた保健・医療・福祉制度について学びます。4月から事前学習も進めてきました。 チームワークもなかなかのものです。ブログ第1弾は、2回生コンビ、岡野葵さんと塩崎萌さんがまとめてくれました。全4編でお届けする予定です。 看護医療学科 教授 堀内 美由紀   看護医療学科の海外インターンシップがついに始まりました!!!8月20日(土)の夕方、私たちは関西空港に集合して親に見送られて旅立ちました。     香港を経由して無事にオーストラリアのメルボルンに到着しました。コアラが出迎えてくれました。     8月21日(日)に到着!天候は、不安定で晴れたり、突然雨が降ってきたりしました。 ホテルに荷物を置いた後、市内を観光しました。 まずトラムに乗るためのマイキーを購入。そしてスーパーマーケットに行き、朝食やお菓子、水などを買いました。     晩御飯は有名なハンバーガーショップで大きなハンバーガーとポテトを買い、ホテルに持ち帰って食べました。おなか一杯になりました!!     8月22日(月)、朝7時半のトラムに乗って、最初の研修先であるLa Trobe大学へ向かいました! La Trobe大学は敷地内にバスが通っているほど広いです。     トラムの駅で二人の学生が降り過ごして…一駅分走ってやってくるというハプニングがありました。笑     まず、オリエンテーションを受け、日本とオーストラリアの違いについて Julie Ellis先生と情報交換をしながら確認しました。そして、創傷ケアについてWilliam McGuiness先生から、看護教育制度と保健医療システムについてJulie Ellis先生から講義がありました。オーストラリアと日本では似ているところもあり、また違う部分もありました。 その後、実習室へ移動しました。下の写真の一番右が、オリエンテーションとオーストラリアの看護教育制度と保健医療システムについて講義してくださったJulie Ellis先生です。     実習室では、まず創傷ケアの演習を行いました。創傷ケアでは滅菌操作の技術が求められ、今まで習ってきたことを使うことができました。     次に助産コースの実習室にも入らせていただきました。分娩介助では畿央大学にはない、分娩シミュレーターの妊婦さんを使っていました。脈拍もうち、おなかが張る感じや胎児の回旋やウェット感、まばたきや話もでき、さらに瞳孔が開くなど細部までリアルな母体でした。ぜひ畿央大学にもほしいなーと助産師を目指している人たちで話していました。     本場の英語に苦戦しましたが、先生方のフォローもあり、すべてはないですが、ある程度理解することができました。 お昼ご飯は大学の食堂で食べました。大学内に店があって、中国料理やイタリアンやインドなどの店がありました。こちらもボリューミーでおなか一杯になりました。   そして16時頃にホテル付近まで帰ってきて、昨日とは違う大きなスーパーに寄って買い物をしました。ホテルに帰り、ショートカンファレンスで、今日学んだことの情報共有を行いました。8人の学生間でも聞き取れている部分や解釈に違いがありました。しかし、それぞれ意見を出し合うことで、講義を聞いているときにはわからなかったことが理解できたり、新しい疑問がわいたり、学びを深めることができました。   その後、晩御飯は先生たちも一緒にタイ料理を食べに行きました。今までの料理とは違ってさっぱりした、スパイシーな料理でした。そのあとはホテルに戻って、明日の準備のため鶴を折ったり、ブログを書いたり、みんなで話したりして過ごしました。     明日はLa Trobe大学の授業に参加します!!英語が難しくてなかなか理解しにくいですが、頑張ります!   看護医療学科2回生 岡野葵・塩崎萌

2016.08.24

第47回日本看護学会-急性期看護・看護教育-学術集会参加レポート~看護医療学科

看護医療学科3年次配当「急性期看護学実習」では、高度救命救急センターでの1週間の臨地実習を行っています。3回生の学生は、生命危機に瀕する事故や外傷、疾患のために救急車電搬送された患者さんに施される初療の見学や一命をとりとめたあとの集中治療室における看護の実際にふれ、多くの学びや医療人として命の尊さを考える機会を持っています。 そこで、昨年度の実習に参加した学生を対象に高度救命救急センターでの初療に対してどのようなイメージを持っているのか、またその実習が学生に与える影響がどのようなものかを演題に実習を担当した教員が、研究成果を発表しました。     まず、7月15・16日に沖縄県宜野湾市で開催された急性期看護の学術集会では、急性期看護学の林田麗准教授が、『看護大学生の高度救命救急センター初療に対するイメージと実習の影響』という演題で「生命の危機状況にある患者さんや家族を取り巻く医療現場に対して抱いたイメージが、〈難しい〉〈複雑な〉というものである一方、〈真面目な〉〈立派な〉〈尊い〉〈誇らしい〉という肯定的な捉え方もしていること」「この実習のあと看護師になろうという思いが強くなっている」という結果を報告しました。 会場では、「自分たちの学校でも救命救急センターの初療実習をしたいと考えている」という教員や「学生を受け入れる場合、臨床指導者に何が求められるか」など臨床側からの意見や質問をいただき、活発な議論を行うことができました。     会場のある宜野湾市は、真っ青な空と海がとてもきれいでした。しかし、爆音を響かせて飛行するオスプレイの往来を目にし、沖縄が抱える深い問題を考える機会となりました。   続いて、8月4・5日に滋賀県大津市で開催された看護教育の学術集会では、基礎看護学の林有学教授が、『高度救命救急センターでの実習指導のありかた』という演題で「学生は、救急看護の実習に対して、逃げ出すことなく頑張ろうという姿勢で臨んでいたこと」「初療見学の体験がある学生は、医療現場をよりリアルに感じる機会を得ていたこと」などを報告しました。こちらの会場でも、「現在、自分の学校では初療見学を行っていないが、是非今後取り入れることを検討したい」という前向きな意見交換ができました。     夏の琵琶湖は、休日を楽しむ外国人や子供たちで賑わっており、その様子をみることで心が癒されました。これから始まる急性期看護学実習への士気が高まった私たちでした。   健康科学部看護医療学科 大友絵利香

2016.08.23

「食育推進ボランティア表彰」の感謝の会を行いました!~健康栄養学科

8月20日(土)に(*)ヘルスチーム菜良が受賞した「食育推進ボランティア表彰」の感謝の会が帝塚山大学にて行われました!   (*)ヘルスチーム菜良…管理栄養士養成課程を持つ奈良県内4年制大学(畿央大学、近畿大学、帝塚山大学、奈良女子大学)で構成されており食育啓蒙活動に取り組んでいます。   今年、ヘルスチーム菜良は農林水産省の「食育推進ボランティア表彰」を受賞しました。 この表彰は若い世代を対象とした望ましい食習慣の普及啓発等の食育の推進を図ることを目的に2009年度から実施されており、食育の推進にかかわるボランティア団体が表彰の対象となります。 ヘルスチーム菜良は2009年10月の結成以来、管理栄養士養成課程で学ぶ知識を活かし、自治体や各種団体などと連携し食育活動を行っています。     感謝の会には、本学からはヘルスチーム菜良(健康栄養学科)2回生~4回生の7名と、教員1名が参加しました。 はじめに授賞式に参加した学生からの報告がありました。 食育の推進を行っているボランティア団体がある中でも、ヘルスチーム菜良は奈良県内の管理栄養士養成課程を持つ4つの大学が合同で食育の推進ボランティアを行っているという特徴があります。 それぞれの大学での活動報告・意見交換など、より良い活動ができるよう、日々お互いに高め合ってきたことが評価されました。 その後各大学の先生方から、コメントをいただき、乾杯・歓談をしました。     バイキング形式での食事を楽しみながら、他大学の学生や先生方とたくさんお話しすることができました。中にはヘルスチーム菜良のOB、OGの方も参加されており、当時の活動を聞くことができました。     たくさんの先輩方や先生方によってヘルスチーム菜良が活動できていることに感動しました。 この気持ちを忘れず、これからも食育の推進活動に取り組もうと思いました!     これからも4大学協働でのイベント参加や交流会、大学ごとの取り組みなどを行っていきます! この表彰をバネにさらに頑張っていきます!   健康栄養学科3回生 村岡美喜    

2016.08.17

真夏のオープンキャンパスレポート!

皆さん、こんにちは! OCスタッフのツマタニです。(  *´艸`) 8月13日(土)・14日(日)に、真夏のオープンキャンパスがありました。     今回も1回生のスタッフが加わり、新しい顔ぶれでのオープンキャンパス。 「2017年の赤本」がもらえたり、ガラガラ抽選会など、楽しい企画があり、 2日間合わせて1000名以上の高校生の来場がありました。ありがとうございました。     大学紹介や入試のガイダンスの他にも、体験授業、相談コーナー、クラブ・サークル紹介、畿央生とフリートークなど、盛り沢山のプログラムが用意されていました。     また14日(日)のオープンキャンパスでは、助産学専攻科の説明会も並行して行われ、今回、私は助産学専攻科のスタッフとしてお手伝いをさせていただきました。 今回の助産学専攻科の説明会には23名の参加者が来場くださいました。 助産学専攻科の実習室で行われ、先生による助産学専攻科の魅力や助産師についてのお話や、専攻科の学生さんと一緒に演習を行ったりしました。 私もスタッフとして参加して、初めて助産学専攻科のことについて知ることができ、とても助産師に興味がわきました。また、赤ちゃんが生まれる素晴らしさを改めて実感できました。     そして、今回で3回生のほとんどの先輩方が引退となりました… とても寂しく感じますが、先輩たちから引き継いだ思いを大切にして、今後もオープンキャンパスをスタッフ全員で盛り上げていきたいです。 先輩方、ありがとうございました!     次回オープンキャンパスは、9/11(日)13時からです!

2016.08.17

「バーンデザイン」関屋農家小屋環境アート~人間環境デザイン学科

近鉄電車に乗って、大阪方面から五位堂に向かう途中、大阪教育大前駅を過ぎトンネルを抜けると関屋駅あたりで緑が急に多くなり農村風景が広がります。 線路の南側には里山の光景が現れ、その中に素朴な農家小屋が目の前を通り過ぎます。 うっかりすると電車からは見過ごしてしまうほどの小さな小屋(バーン)が今回の主役です。     人間環境デザイン学科加藤プロジェクトゼミ【通称ゴキゲンしんきゼミ】では、今年度4つのプロジェクトを行いますが、その第1弾として「バーンデザイン」を8/9(火)、8/12(金)の2日間にわたって実施しました。    ▲加藤プロジェクトゼミメンバーと山田オーナー(右から2番目)   「バーンデザイン」プロジェクトを簡単にいいますと、農家小屋(バーン)をペンキ塗装して環境に訴える現代アートです。   今回は2つのバーンをデザインしました。1つは線路のすぐそばに建つ農家小屋(以下、電車班)と、もう1つはあぜ道の角地に位置する農家小屋(角班)です。 それぞれのオーナー様(山田誠宏様・小田知広様)は違いますので、まずは両オーナー様にプロジェクトの許可をとり、デザイン案を提案し、打ち合わせを重ねて実施にのぞみました。 デザインはいずれも「農業」をコンセプトにして、学生たちが考えました。   電車班は大きく「農」の字をグラフィカルに打ち出し、素朴な農作業風景を描きました。     【電車班 班長のコメント】 私は、以前に地元の商店街でシャッターアートを経験していましたが、周囲の環境があまりにも違うのでとても大変でした。小屋の後ろを振り返るとすぐに電車の線路があり、大変危険な場所でした。安全を第一に、班のみんなで何カ月もかけて考えたデザインを転写するのも一苦労な作業でした。しかし、完成したものを遠くから見てみると達成感が沸き上がり、のちに現場を覗きに来られた小田さんにも喜んで頂けました。真夏の炎天下での作業は本当に大変でしたが、私たちにとって良い経験となりました。 人間環境デザイン学科3回生 久吉茜     角班の場所は近くの香芝西中学校の通学路にもなっているため、英語で「農業」「収穫」「野菜」「農夫」の文字と野菜をデザインしました。中学生もきっと農業に興味をもってくれるのではないでしょうか。   【角班 班長のコメント】 関屋にある小屋をデザインするプロジェクト、こちらは道の角にあるということで角班と名付け活動してきました。左面には農業に関する英語、右面には小家主である山田さんが育てている野菜を描きました。英語の方はほぼ難なく進めたのですが野菜の方が当初茄子だったところがペンキで色を作ることに苦戦し、現場ならではの判断でトウモロコシに変更しました。結果は黒と黄色のコントラストが素晴らしく、茄子よりもいいものが出来上がりました。「失敗は成功の元」ということを身をもって経験することができました。 人間環境デザイン学科3回生 宮木萌依   関屋の農村風景が持続可能な状態を保ち、農家に活気を与え、そして見る人に農業の大切さを知ってもらえたら、このプロジェクトの価値があったのではないかと思います。         皆さん、ぜひ電車内からバーンデザインを見つけて下さい。 人間環境デザイン学科 准教授 加藤信喜

2016.08.17

保健師をめざす学生による健康情報発信!~看護医療学科「産業保健実習」

私たちは、5月31日(火)から6月3日(金)まで、看護医療学科4年次配当「産業保健実習」で近畿労働金庫様に行かせていただきました。実習では、実際に職場巡視や保健指導をさせていただき、産業保健における保健師の活動を通して多くの学びを得ることができました。   今回の実習で、私たちは「健康貯金箱」という健康便りを二つ作成しました。この健康便りは、保健師さんが従業員の方々に理解してほしい健康情報を発信しているもので、不定期ですが10年以上にわたって継続的に発行されています。「健康貯金箱」は、印刷されたものが食堂などたくさんの人が集まるところに掲示され、従業員の方の個人のパソコンでも見ることができます。     「健康貯金箱」の作成にあたり、一つ目のテーマは学生で考えるように言われたので、季節柄熱中症が多く発生する時期であったため、熱中症をテーマしました。仕事の特徴として、ビル内で過ごす人と外回りの人がいるため、どちらの人にも予防するために注意してほしい内容を考えました。関心をもって見てもらえるように、タイトルや文字・イラストの使い方を工夫することが必要だと指導を受けました。   二つ目は、テーマに「睡眠時無呼吸症候群」を指定されましたが、二つとも共通して、タイトルは色や文字が目立つようにし、また具体的に症状などを示すことで、見る方が自分自身に該当するかどうか分かるように工夫しました。   最初はデザインを重視して作成していましたが、従業員の方に忙しい中でも見てもらいたいところや強調したい部分はどこなのか、伝える目的を考え、理解を促す工夫をすることや、タイトルや見出し一つにしても、少しでも従業員の方の興味を引くことができるように考え、作成していくことが大事であると学びました。   実習終了後、私達が作成した「健康貯金箱」が食堂などに掲示され、従業員の方のパソコンにニュースとして発信されることを聞き、情報が残るという責任の重たさを感じています。改めて、提供する情報の信頼性を高めるために、しっかり調べ、根拠のあるものを発信することが重要だと学びました。 看護医療学科 4年生 谷野 西村   ≪指導保健師のコメント≫ 元々は1つのテーマについて作成していただく予定が、構成を練るのも、指導したことについての加筆・修正も非常にスピーディーで、短い実習期間にも関わらず結果的に2つも作成していただきました!ありがとうございました。   どちらのテーマも伝えたい内容は盛りだくさんの中、A4サイズに1枚という限られたスペースで、いかに端的に分かりやすく伝えるかということを考えるのは非常に難しかったと思います。   また、多忙な労働者に少しでも興味を持ってもらえるよう、内容はもちろんですが、見出しやレイアウト、イラスト等の構成は大事です。さらに、我々の職場は金融業ということもあり、データや数値を提示すると有効で、関心を持ってくれる人が多くなります。このように、見てもらう人たちの状況や特徴等を把握し、考えながら作ることがとても大切だと思うので、内容よりは作る際の姿勢や考え方等をお話させていただくことが多かった気がします。   今回はお二人の誠意や真心が詰まった、弊庫の職員のための「健康貯金箱」を作っていただき、私たちも大変嬉しく思っています。顔と顔を合わせて話す時はもちろんですが、紙面からもきっと作成者の思いやハートは伝わります!いつまでもその温かいハートを大事にしてくださいね。   ありがとうございました。お疲れ様でした。 大内保健師

2016.08.17

オープンキャンパスで「食育SATシステム」を用いた食育イベントを開催! ~ヘルスチーム菜良

こんにちは!健康栄養学科1回生の西川実希です。   8月13日(土)、14日(日)の2日間にわたり開催されたオープンキャンパスで、ヘルスチーム菜良および健康栄養学科の1回生~3回生から各日7名がスタッフとして参加し、「食育SATシステム」を用いて、日頃の食生活を見直そうという取り組みを行いました。   ※ヘルスチーム菜良…管理栄養士養成課程を持つ奈良県内4年制大学(畿央大学、近畿大学、奈良女子大学、帝塚山大学)で構成され、食育・啓蒙活動などに取り組んでいます。 ※食育SATシステム…フードモデル(食品サンプル)を用いて、1食分の食事の栄養バランスを計算し、5段階でわかりやすく評価されるシステム。     夏休みということもあり、2日間あわせて約270名もの多数の方に来ていただきました! 来ていただいた方には、昨日の夕食、または食べたい夕食をフードモデル(食品サンプル)から選んでもらい、SATシステムで栄養バランスの評価を行いました。     一見、栄養バランスが良さそうな献立でも、食物繊維やカルシウムが不足していたり、塩分が多すぎたりして、栄養バランスが整ったメニューを考えることの難しさを実感するいい機会になったと思います!   食育SATシステムの結果を見て、過剰摂取している栄養素、不足している栄養素については私たちがアドバイスさせていただきました。     高校生だけでなく、保護者の方にも体験していただき、「これから献立を考えるときの参考にする!」という言葉も多数頂戴しました。   今年度のオープンキャンパスでの「SATシステム」を使った取り組みは今回が最後ですが、来年度も行われます!是非足を運んでくださいね!(^^)/   引き続き、栄養に関わる様々な活動をしていきたいと思います!これからも頑張ります!   ヘルスチーム菜良 健康栄養学科 1回生 西川実希 【関連記事】 過去のヘルスチーム菜良の記事を読む

2016.08.15

大学院生の研究結果がNeuroreport誌に掲載されました!

安定している外部対象物(例:壁など)に軽く触れると、立位姿勢が安定化する「ライトタッチ効果」と呼ばれる現象があります。 畿央大学大学院健康科学研究科(理学療法学科4期生)の石垣智也らは、経頭蓋直流電気刺激(transcranial Direct Current Stimulation:tDCS)を用いて左後部頭頂皮質の神経活動を抑制すると、右示指の接触により得られていたライトタッチ効果が減弱することを明らかとしました。これは、接触による立位姿勢の安定化を脳活動の側面から説明する基礎的知見になるものと期待されます。 この研究成果は、Neuroreport誌(Cathodal transcranial direct current stimulation of the posterior parietal cortex reduces steady-state postural stability during the effect of light touch)に掲載されています。     研究概要 不安定な環境下(暗所,狭い床面,高所など)において、軽く壁や手すりに軽く触れるだけで立位姿勢が安定化することは日常生活でも経験されます。このように、力学的作用に依らない程度の力の接触によって、立位姿勢の安定化が得られることをライトタッチ効果といいます。ライトタッチ効果は、リハビリテーションの場面においても杖の使用や手すりへの軽い接触、または、理学療法士が軽い身体的接触により患者の動作介助を行う際などにも用いられます。このライトタッチ効果は、感覚入力から自動的に生じる受動的な要素と、接触点に対して意識的に定位する能動的な要素によって構成されると考えられており、本研究では後者の能動的なものに焦点を当てて行われています。 石垣らは先行研究で能動的なライトタッチ効果に関係する脳活動についての検討を行っており、左感覚運動皮質領域と左後部頭頂皮質領域の脳活動が右示指の接触により得られるライトタッチ効果と関係することを報告しています。このようにライトタッチ効果と関係する脳活動は示されていますが、あくまでも関係性を示すものでありライトタッチ効果を得るために必要な脳活動、つまり因果関係は明らかになっていませんでした。そこで研究グループは、経頭蓋直流電気刺激(transcranial Direct Current Stimulation:以下,tDCS)という脳活動を修飾することできるニューロモデュレーション技術を用いて、左感覚運動皮質と左後部頭頂皮質の脳活動を一時的に抑制させた際のライトタッチ効果について検討を行いました。その結果、左感覚運動皮質に対する抑制刺激ではライトタッチ効果に影響を及ぼさないものの、左後部頭頂皮質に対する抑制刺激ではライトタッチ効果の一部(側方への安定化効果)が減弱化することが示されました。   本研究のポイント tDCSによるニューロモデュレーション技術によって、ライトタッチ効果に直接的に関係する大脳皮質領域を明らかにした。   研究内容 右示指の接触により得られる能動的なライトタッチ効果は ①左感覚運動皮質領域 ②左後部頭頂皮質領域 の脳活動と関係することが先行研究で示されています。本研究ではtDCSを用いて、これら大脳皮質領域の神経活動を一時的に抑制する手続きを加えることで示される姿勢動揺への影響を検討しました。実験では、左感覚運動皮質を刺激する群と左後部頭頂皮質を刺激する群の二群を設定し、それぞれプラセボ刺激(脳活動に影響を及ぼさない刺激)と抑制刺激を加え、その前後の安静立位条件とライトタッチ条件における姿勢動揺を測定しました。その結果、プラセボ刺激と左感覚運動皮質に対する抑制刺激ではライトタッチ効果(安静立位条件に対するライトタッチ条件の姿勢動揺減少率)に対して影響を及ぼさないものの、左後部頭頂皮質に対する抑制刺激ではライトタッチ効果の一部(左右軸における効果)が減弱することが示されました(図1)。 図1:tDCSがライトタッチ効果に及ぼす影響 プラセボ刺激と左感覚運動皮質に対する抑制刺激ではライトタッチ効果に対して影響を及ぼさないものの、左後部頭頂皮質に対する抑制刺激では左右軸のライトタッチ効果が減弱することを示しています。 ※左右軸・前後軸というのは、重心が動揺した方向を示しています。 ※ライトタッチ効果(%)は負の値ほどその効果が大きいことを意味します。     この研究結果に対して研究グループは、接触に対する能動的注意に基づく姿勢定位のための高次感覚情報処理(感覚統合)が対側の後部頭頂皮質で行われており、tDCSによりこの神経活動を抑制させたためライトタッチ効果の一部が減弱したと考察しています。   本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、ライトタッチ効果の神経メカニズムを説明する基礎的知見のひとつになるものと期待されます。本研究により、能動的なライトタッチ効果の一部に後部頭頂皮質が関与していることが明らかとなりましたが、受動的なライトタッチ効果の神経メカニズムについては未だ明らかになっておらず、この点に対する更なる研究が望まれます。 また、これまでの研究では物に対するライトタッチ効果に関する研究が数多く行われてきましたが、実際の臨床場面(動作介助など)に近い手続きである「対人ライトタッチ効果(ヒト対ヒトで接触を行う)」と呼ばれる方法に関しても近年研究が行われています。今後は、接触によって二者の姿勢制御が相互作用する場面に関する研究も望まれています。   関連する先行研究 Ishigaki T, Ueta K, Imai R, Morioka S. EEG frequency analysis of cortical brain activities induced by effect of light touch. Exp Brain Res 2016 234(6) 1429-1440. 論文情報 Ishigaki T, Imai R, Morioka S. Cathodal transcranial direct current stimulation of the posterior parietal cortex reduces steady-state postural stability during the effect of light touch. Neuroreport. 2016 Aug 5. [Epub ahead of print]     【問い合わせ先】 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 石垣 智也(イシガキ トモヤ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: p0611006@gmail.com 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp