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健康科学専攻(博士後期課程)
2017.03.22
神経リハビリテーション学研究室の研究交流会が開催されました。
3月11日(土)、畿央大学にて神経リハビリテーション学研究室(大学院 森岡研究室)の研究交流会が開催されました。今回は、吉備国際大学の竹林崇先生,伊丹恒生脳神経外科病院の竹内健太先生(いずれも作業療法士)に御来学頂き、研究紹介を行って頂きました。また、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの大住助教、大学院生の藤井、高村、石垣からも研究紹介を行い、双方の研究に関して意見交換を行いました。また、本会では在学中の大学院生以外にも、修士課程や博士課程の多くの修了生が参加し、懐かしい顏ぶれが揃う機会にもなりました。 研究会の前半は、竹林先生と竹内先生からそれぞれの研究紹介がありました。 竹林先生の研究紹介では、CI療法(脳卒中後片麻痺上肢の集中訓練:Constraint induced movement therapy)とTransfer package(改善した上肢機能を生活場面の使用に汎化させる行動療法)との併用効果や、その改善に関する神経メカニズム、運動療法にロボットを用いることの有用性、そして、経頭蓋直流電気刺激と末梢電気刺激の併用がCI療法の効果に与える影響など、脳卒中患者を対象とした様々な臨床研究の成果を示して頂きました。脳卒中患者の上肢機能という事項に対して、様々な側面から評価・介入しつつも回復機序までも検証しておられる一連の取り組みに感銘を受けると共に、強い臨床志向的な研究動機に触れさせて頂きました。また、竹内先生からは、半側空間無視患者の臨床的評価に対する素朴な疑問を検証するために取り組んでおられる臨床研究を紹介して頂きました。普段の臨床で生じる疑問を取りこぼさず、それに対する仮説を立てて検証していく手続きの重要性を改めて学ばせて頂きました。 続いて後半は、畿央大学から半側空間無視の病態特性について藤井、高村が、慢性疼痛患者の運動特性について大住助教、姿勢制御の社会的特性に関して石垣が紹介させて頂きました。 それぞれの研究紹介に対して、竹林先生、竹内先生との意見交換だけでなく、修了生からの意見も活発に発せられ、予定時間を超過してしまうほどの充実した会となりました。また、普段から博士課程の先輩方の研究発表を聞く機会がある修士課程の私達にとっても、発表を聞く度に研究が発展している先輩方の姿を目の当たりにし、刺激を受けるとともに、自身の研究に取り組む姿勢についても学ばせて頂きました。 交流会の途中で撮影した集合写真ですが、実は他の共同研究で来学されていた東京大学医学部附属病院リハビリテーション科の四津先生が交流会へと足を運んでくださり、集合写真まで撮らせて頂きました。東京へ戻られるお忙しい時間にも関わらず、わざわざ足を運んで頂きました。ありがとうございました。 半日という短い時間で開催された会ではありましたが、建設的な意見交換が活発に行われ、未来志向的な場を共有することができたと思います。そして、このような機会をきっかけに、様々な領域の研究者との協力関係を形成し、真にリハビリテーションの対象者に還元される研究成果の発信に繋げていきたいと思います。 最後になりましたが、ご多忙のなか御来学して頂いた竹林先生ならびに竹内先生、企画及び運営を実施してくださった博士後期課程の方々、そして、このような機会を与えてくださった森岡教授に深く感謝を申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程1年 山道菜未
2017.02.13
大学院生の研究成果がInternational Journal of Developmental Disabilitiesに掲載!~健康科学研究科
発達障害児の運動機能に身体知覚の歪みが関係していることを明らかに 脳性麻痺に限らず発達障害児は、全身や手先の不器用さを伴うことが報告されています。この原因として、身体イメージや身体図式とよばれる自己身体の知覚、認識の問題が指摘されていますが、この関係を客観的に調査した研究はこれまでありませんでした。畿央大学大学院健康科学研究科修士課程修了生(日本バプテスト病院)の浅野大喜らは、運動障害をもつ発達障害児の運動機能と、身体イメージの指標とされている他者に触れられた場所を同定するtactile localization能力が関係していることを明らかにしました。この研究成果は、International Journal of Developmental Disabilities誌(Associations between tactile localization and motor function in children with motor deficits)に掲載されています。 【研究概要】 出生後早期の脳損傷により運動障害を呈する脳性麻痺児は、運動障害だけでなく身体運動の知覚にも問題があることが示されています。また、自閉症スペクトラム障害などの発達障害児にも運動の不器用さ、身体知覚の問題が指摘されています。これらの運動の困難さの原因として、自己の身体イメージや身体図式といった自己身体の知覚、認識の発達不全が関与していると考えられていますが、下肢については客観的に調査された研究はありませんでした。そこで、研究グループは、運動障害をもつ脳性麻痺や発達障害児を対象に、触れられた手指、足趾、下肢の場所を同定する触覚位置同定(tactile localization)能力と運動機能との関係について調査し、手指の認識と手の巧緻動作、さらに下肢全体のtactile localization能力と下肢の運動機能との間に相関関係があることを見出しました。 研究の詳細は畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームページでご覧になれます。
2017.02.07
平成28年度神経リハビリテーション研究大会が開催されました!
1月28日(土)~29日(日)、信貴山観光ホテルにて、神経リハビリテーション研究大会が開催されました。この研究大会は、毎年恒例の合宿形式となっており、今年で11年目を迎えました。 本年度は、ニューロリハビリテーション研究センターの教員と大学院博士後期課程・修士課程のメンバー総勢31名が参加しました。また初めての試みとして、大学院修了生の中野英樹さん(1期生)と河村章史さん(2期生)をお招きし、それぞれ現在進めている研究について紹介して頂きました。 初日は信貴山観光ホテルにて、森岡教授の開会の挨拶から始まり、修士課程2年の最終審査に向けた予演会と上記修了生の研究紹介が行われ、様々な視点から質問応答や意見交換が繰り広げられていました。 どの発表にも明確な研究目的や臨床意義がある中、特に修了生の研究紹介では、研究の質や精度を上げるために、厳密な研究方法を検討されており、研究手続きの一つ一つに根拠を持って取り組んでおられました。また自身の研究を紹介することに対して、楽しみながら話されている点も印象的な光景でした。 夕方には3グループに分かれて、修士課程1年の研究計画に対するディスカッションが行われました。各グループのメンバー全員から、意見やアドバイスを頂くことで研究計画が洗練されていくのを感じる中、議論が白熱し過ぎて時間が超過する場面もありました。 1日目終了後の懇親会でも、白熱したディスカッションは続き、日が変わるまで議論が続きました。 2日目の合宿終了後、畿央大学に戻ってからも、ディスカッションが引き続き行われ、最後に森岡教授による閉会の挨拶で無事に全日程を終えました。 森岡教授からは、これまでの大学院修了生が残してきた研究成果を振り返り、社会の役に立つ研究成果を世の中に出していくためにも、研究を絶えず継続していくことが必要であるとのお言葉を頂きました。 社会人として臨床で働く我々の対象者を通じ、最終的には社会に貢献できるような研究成果が出せるように、今後も研究室一同精進していきたいと考えております。 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった森岡教授をはじめとする研究センターの皆様、神経リハビリテーション研究大会の開催にご尽力頂きました関係者の方々に深く感謝を申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程1年 平田康介 【関連サイト】 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 【関連記事】 ●「平成27年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成26年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成25年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成24年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成23年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成21年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成20年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」
2017.02.07
大学院生の研究成果がJournal of Rehabilitation Medicine誌に掲載!~健康科学研究科
運動が脊髄損傷後の神経障害性疼痛を軽減させることを明らかに -安静時脳波解析による検証- 脊髄を損傷すると神経障害性疼痛が生じることがあります。脊髄損傷後の神経障害性疼痛は高い確率で出現し、心理的な苦痛や生活の質の低下を引き起こします。畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程の佐藤剛介らは、有酸素運動(車椅子駆動)により脊髄損傷後の神経障害性疼痛の緩和や負の気分状態が改善し、運動野周囲のα帯域の活性を変化させることを明らかにしました。この研究成果は、Journal of Rehabilitation Medicine誌(Effects of wheelchair propulsion on neuropathic pain and resting electroencephalography after spinal cord injury)に掲載されています。 【研究概要】 脊髄損傷後には運動麻痺・知覚麻痺・自律神経障害が生じ、神経障害性疼痛を始めとした様々な二次的障害を引き起こします。脊髄損傷後の神経障害性疼痛は様々な健康指標を低下させ、治療が難しいことが知られています。この脊髄損傷後の神経障害疼痛は、脊髄が損傷することにより脳と手足の神経を中継する視床と呼ばれる部位の機能異常を引き起こすことが原因の一つと考えられています。この視床の機能異常は脳波を測定した際にα波の変化で表され、具体的にはα波のピークを示す周波数であるPeak alpha frequency(PAF)が低下します。こうした脊髄損傷後の神経障害性疼痛に対して、有酸素運動を行うことで痛みを緩和させることが報告されており、有酸素運動による鎮痛効果は新たな視点として注目されています。さらに、健常者の実験では有酸素運動により負の気分状態が改善することやPAFが増加することが明らかにされています。しかし,これまで脊髄損傷の患者において運動による鎮痛効果と安静時脳波活動(PAFの変化)との関係は明らかにされていませんでした。 今回、研究グループでは脊髄損傷の患者さんが日常生活で使用する車椅子を駆動する運動を行うことでPAFを増加させ、神経障害性疼痛と負の気分状態への効果を検証しました。主観的運動強度で「ややきつい」~「きつい」程度の15分間の車椅子駆動の結果、足や背中の神経障害性疼痛の主観的疼痛強度の減少と負の気分状態が改善し、中心領域(運動野に相当する領域周囲)におけるPAFの増加が認められました。 この研究成果は、有酸素運動が脊髄損傷後の神経障害性疼痛や負の気分状態に対して有効であるとともに、脳波測定のような神経生理学的指標を用いて運動により視床の機能異常が一時的に軽減することを明らかにしたことになります。 研究内容の詳細については畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームページでご覧になれます。
2017.02.07
大学院生の研究成果がClinical Rehablitation誌に掲載!~健康科学研究科
畿央大学大学院健康科学研究科博士後期過程の今井亮太らは、橈骨遠位端骨折術後患者に腱振動刺激による運動錯覚を惹起する(引き起こす)ことで痛みの軽減のみならず、手関節の運動機能の改善が認められたことを示しました。また、この効果は術後2ヵ月経っても持続していました。その研究成果はClinical Rehabilitation誌(Effect of illusory kinesthesia on hand function in patients with distal radius fractures: a quasi-randomized controlled study)に1月12日に掲載されました. 【研究概要】 2015年に今井らは、橈骨遠位端骨折術後患者に腱振動刺激による運動錯覚を惹起させることで、痛みの感覚的側面だけではなく情動的側面(不安や恐怖)の改善が認められたことを報告しました。またこの時、2ヵ月後まで効果が持続したことも示さました。しかしながら、理学療法において痛みを改善軽減させることは重要ですが、1番の目的は手関節の運動機能(ADL)の獲得であるにも関わらず、調査ができていませんでした。そこで本研究では、2ヵ月後まで手関節の運動機能を評価して検討しました。その結果、運動錯覚を惹起しなかった群と比較して、運動錯覚を惹起した群では有意に手関節の運動機能の改善が認められました。 詳細はニューロリハビリテーション研究センターホームページでご覧になれます。
2016.12.21
畿桜会主催「第10回理学療法特別講演会」を開催しました。
平成28年12月18日(日)に畿央大学L103教室にて畿桜会(同窓会)主催の「理学療法特別講演会」が開催され、卒業生28名、在学生5名を含む約50名の方が参加されました。今回は畿央大学理学療法学科1期生の徳田光紀先生をお招きし、「大腿骨頚部骨折術後の理学療法の理論と実際」というテーマでご講演いただきました。 徳田先生は畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程の第1号の修了生でもあり、現在は畿央大学の客員研究員も務めておられます。前半は現在報告されている最新の情報をたっぷり示していただき、後半は徳田先生の臨床における取り組みをご紹介いただきました。 徳田先生が取り組んでいる「物理療法分野」の話がたくさん出てきましたが、私自身の知識不足もあり、ここまで多くのエビデンスがあることを知りませんでした。しかし、今回講演を聴いた事で、まだまだ自分が患者様にできることがたくさんあるな、と明日からの臨床や研究に対して、とてもモチベーションが上がりました。 講演後は食堂に会場を移して、懇親会を行いました。各職場のことや研究のこと、何気ない日常の話まで色んなことを先輩・後輩の隔たりなく話して盛り上がりました。 こうして「卒業生が帰ってくる場所がある」ということがありがたいと感じました。今後も同窓会役員として卒業生が気軽に集まれる場を作っていきたいと思いますので、是非みなさん集まりましょう! 理学療法学科4期生代表幹事 南大阪病院 山野 宏章
2016.12.09
大学院生の研究成果がJournal of Pain Reserch誌に掲載されました!~健康科学研究科
運動を行おうとする運動の意図と実際の感覚情報との間に不一致が生じると、手足に痛みやしびれといった感覚に加え、奇妙さや嫌悪感といった異常知覚が引き起こされます。畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程の片山脩らは、これらの異常知覚が起こるのは頭頂領域の活動が関係していることを明らかにしました。この研究成果は、Journal of Pain Research誌(Dysesthesia symptoms produced by sensorimotor incongruence in healthy volunteers: an electroencephalogram study)に12月9日に掲載されました。 脊髄損傷や腕神経損傷といった神経に損傷が生じた後に、一般的に治癒すると言われている期間を過ぎても痛みが残存することがあります。この痛みを慢性化させる要因の一つとして、神経に損傷を受けた手足を動かそうとする意図と、実際には動かないという感覚フィードバックとの間に生まれる「不一致」があげられています。過去の研究では、このような不一致を実験的に付加すると、健常者でも「痛みの増強」や「腕の重さ」の異常知覚、あるいは嫌悪感といった情動反応が引き起こされると報告されています。しかしこれまでの研究報告では、「不一致」が生じた時の異常知覚と関係している脳領域は明らかにされていませんでした。そこで研究グループは、異常知覚と関係している脳領域を脳波解析によって検討しました。その結果、「不一致」によって生じる「奇妙さ」と右後頭頭頂領域の脳活動に有意な相関関係があることが認められました。 研究内容の詳細については畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームページでご覧いただけます。
2016.11.22
大学院生が北米神経科学会でポスター発表をしました!~健康科学研究科
2016年11月12日(土)から11月16日(水)に,アメリカのサンディエゴで開催された北米神経科学会(Society for Neuroscience)に参加してきました.サンディエゴは気温が暖かく,湿度は日本と比べて低いので,とても穏やかでした. 本学会は神経科学を専門とする世界各国の研究者が集まる学会です.今回も世界80か国から3万人以上の参加だったようです.学会の雰囲気はとてもカジュアルで,至るところでディスカッションが行われていました.ラットなどの動物を専門とした研究が多いですが,脳卒中のテーマになるとリハビリテーションの分野も多く,世界の理学療法士や作業療法士も参加しており,研究,臨床両側面からのディスカッションが行われていました. 私たちは半側空間無視の演題を3つ並べて発表しました.画像提示時の視線分析による評価の考案という内容を私(大松聡子D3)が,タッチパネルを使用した選択反応課題にて注意障害と半側空間無視を分けて病態把握するという内容を河島則天客員教授が,そして実際に症例に対して行った視覚刺激とtDCSを併用した介入経過内容を高村優作(D1)が報告しました. 3演題並べることで,内容も伝わりやすく,病態把握からの介入アプローチまで示すことでより理解されやすかったのではないかと思いました. その他,研究室からは痛み関連では西祐樹(M2)が,片山修(D1),今井亮太(D2)が,そして失行患者の遠心性コピーに関する内容で森岡周教授が発表してきました. 国際学会では海外にいく,英語での発表やディスカッションなど普段経験できないことで,緊張することも多かったですが,多くのディスカッションを行うことで,今後に向けた建設的意見を頂けたこと,また発表の方法など自分自身を振り返る機会にもなり,充実した日々でした. 畿央大学の研究に対する御支援と,森岡教授をはじめとする多くの方々のご指導,ご協力のもとで,このような素晴らしいな経験ができたこと,心より感謝申し上げます.この経験を糧に,より良き研究成果を公のものにできるよう,さらに日々励んでいきたいと思います. 畿央大学大学院健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 博士後期課程3年 大松聡子 ※ 修士課程をM,博士課程をDと表記しています.
2016.11.02
第21回日本ペインリハビリテーション学会学術大会で大学院生が優秀賞に選出!
平成28年10月29日(土)・30日(日)に、名古屋国際会議場で第21回日本ペインリハビリテーション学会学術大会が開催されました. 本学会は「慢性痛対策におけるリハビリテーション戦略」というテーマで行われ,痛みに対する評価や治療戦略に関する研究報告のみならず,慢性痛によって日本経済に齎されている莫大な不利益や,慢性痛対策の現状,そしてリハビリテーションの観点からの施策の立案,実現への展開といったシンポジウムもありました.そのためには,医師や看護師といった医療従事者の理解,協力を得る必要があり,また,慢性痛のメカニズムの解明や介入研究を行い,発信していく意義を再認識致しました.他にも,理学療法士によるベンチャー企業の設立や産業理学療法に関する講演もしていただき,スポーツ現場や医療施設での理学療法士の役割しか知らなかった私にとっては,理学療法士の新たな可能性を感じずにはいられませんでした. 畿央大学大学院からも多くの方が口述あるいはポスター発表をされ,発表後も意見交換を行う等実のある学会になったのではないかと思います.また,担当教授である森岡周教授は「ニューロリハビリテーションによる中枢神経系の再構築」という内容でシンポジウムを行い,慢性痛患者の神経科学的な特性や症状,それらに対するニューロリハビリテーションを本学本大学院のこれまでの研究も踏まえながら,難解な分野ですが平易簡明な講演をされていました. 私(西 祐樹)も「痛み関連回避行動と人格特性の関連性-Voluntary movement paradigm-」という演題を発表し,この度、優秀賞を受賞いたしました.初めての口述発表でこのような賞をいただけたのは,偏に森岡周教授をはじめ,大住倫弘特任助教,信迫悟志特任助教,本学本大学院の神経リハビリテーション学研究室の皆様に研究指導をしていただいたお陰であり、深く感謝申し上げます.今後は本研究を国際雑誌に投稿し,この場で再度公表させていただければと思います. 畿央大学健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 西 祐樹
2016.10.04
ニューロリハビリテーションセミナー機能編Bを開催しました。
10月1日(土)・2日(日)にニューロリハビリテーションセミナー機能編Bが畿央大学にて開催されました。多くの方々に参加して頂き感謝致します。 1日目は「共感」「ワーキングメモリ」「道具操作」「歩行」がテーマとして挙げられました。 松尾篤先生による「共感の神経機構」では、共感の概念や構成要素を説明して頂き、ヒトが見つめ合うだけで体動が同期することなどの興味深い研究論文もご紹介して頂きました。 冷水誠先生による「ワーキングメモリの神経機構」では、ワーキングメモリの機能の1つである「衝動を抑える機能」を中心に非常に面白可笑しく解説して頂きました。 信迫悟志先生による「道具操作の神経機構」では、道具操作におけるオンライン制御・オフライン制御・系列化・技術的推論などの神経基盤をそれぞれ丁寧にご説明頂きました。 岡田洋平先生による「歩行の神経機構」では、自動的な歩行に関する神経機構、あるいは大脳皮質が歩行制御に関与しているエビデンスを網羅的に概説して頂きました。喋りかけられると立ち止まる高齢者は転倒しやすいという知見はとても興味深かったです。 1日目夕方のナイトセミナーには畿央大学ニューロリハ研究センター客員教授の樋口貴広先生(首都大学東京人間健康科学研究科 教授)にご登壇して頂き、「注意と歩行」というテーマでご講演頂きました!受講されている方々へのご配慮から動画などを多用して分かりやすくご解説して頂きました。ヒトの注意機能は様々なバイアスの影響を受けることについては臨床現場でも気を付けなければならない事項として大変勉強になりました。有難うございました! 2日目は「ボディイメージ」「運動イメージ」「痛み」「社会性」についての講義でした。 私(大住倫弘)からは「ボディイメージの神経機構」というテーマで、主に頭頂葉、島皮質の機能を中心に解説させて頂き、我々の身体のイメージがどのように形成されるのかを解説しました。 森岡先生による「運動イメージの神経機構」では、運動イメージに関わるニューラルネットワークの解説に始まり、運動イメージの評価法や様々な介入方法,そして多様な疾患における運動イメージの変容について紹介して頂きました。 前岡先生による「痛みの神経機構」では、痛みの多面的な側面、各側面に対応するニューラルネットワーク、評価法、ニューロリハビリテーション介入の成果とエビデンスについて紹介して頂きました。 松尾先生による「社会性の神経機構」では、デフォルトモード・ネットワークの社会性における役割、社会性の基盤である言語・非言語コミュニケーション、ジェスチャー、表情、視線、同調…、そして社会性の発達、文化、道徳観、利他行動など充実のラインナップになっていました。 2日間で多くの情報がご提供できたと思います。時間的制約の関係で講義スピードがやや速かったとは思いますが、配布資料だけでなく原著論文や教材にも手を伸ばして頂ければと思います。2日間どうも有難うございました。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 特任助教 大住倫弘
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