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健康科学専攻(博士後期課程)
2019.09.03
「第10回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を開催!~田平研究室
田平研究室(大学院)健康科学研究科修士課程の太田です。2019年8月24日(土)~25日(日)に「第10回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を滋賀県大津市のKKRホテルびわこにて開催いたしました。両日とも天候に恵まれ、会場のクラブハウスやホテルからは琵琶湖が一望できる最高のロケーションで行われました。 本研究大会は毎年、田平教授をはじめ研究室の在学生と卒業生で行っており、臨床研究や基礎研究の発表、修士・博士論文の進捗状況などを発表しています。今年は田平教授、在学生3名、卒業生8名、計12名が参加し2日間で11演題が発表されました。 発表内容は呼吸循環器疾患を中心とした臨床研究や活動報告、最近のトピックスとして電子タバコについてなど多岐にわたる興味深いものでした。また、海外での学会発表を控えている卒業生の英語発表もあり、良い刺激を受けました。私を含む在学生は研究テーマに関する発表を行いました。田平教授、卒業生の先輩方からは多くの的確なご指摘をいただき、今後研究を進めていく上で非常に参考となるものでした。 懇親会は夜遅くまで、研究や日々の臨床での悩みから趣味や家庭の話まで、いろいろな話題で盛り上がり田平研究室の結束力と温かい雰囲気を感じました。 8月末の残暑厳しい時期の開催でしたが、琵琶湖から吹いてくる爽やかな風と参加者の皆さんの和気あいあいとした雰囲気で、暑さも忘れて楽しく、また非常に充実した2日間となりました。 健康科学研究科 修士課程 太田信也 【関連記事】 第9回呼吸・循環リハビリテーション研究大会レポート 「第8回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を開催!~田平研究室 「第7回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を開催!~田平研究室 田平研究室で第6回呼吸・循環呼吸リハビリテーション研究大会開催~健康科学研究科 第5回呼吸・循環呼吸リハビリテーション研究大会-大学院:田平研究室- 畿央大学 呼吸・循環呼吸リハビリテーション研究大会-大学院:田平研究室- 畿央大学呼吸・循環リハビリテーション研究大会 -大学院:田平研究室-
2019.08.08
畿央大学に滞在中のタイ人研究者にインタビュー!後編~ニューロリハビリテーション研究センター
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターでは7月3日(水)から約1か月、タイのチュラロンコ-ン大学から研究者を受け入れています。 前回はアンチャリーさん(以下アンさん)に来日した目的などを伺いましたが、実際に畿央大学に来てみてどうだったのか、インタビューさせていただきました。 Ph.D. Anchalee Foongchomcheay Assistant Professor, Physiotherapist Department of Physical Therapy Faculty of Allied Health Scicences Chulalongkorn University Q.1 今回の滞在では、期待していた成果は得られたのでしょうか? 今回の目的は、タイにはないニューロリハビリテーションにかかわる最新の設備や実験方法などを把握し、そういった最新の知見を「臨床」「教員」「学生」の3方面にうまく還元していくことです。 チュラロンコーン大学で私はニューロリハビリテーション関連科目のチームリーダーを務めていますが、ニューロリハの重要性についてはまだ認知されているとは言えません。一方で脳卒中になったり、それによって何らかの麻痺を生じる患者数もタイ国内で増加傾向にあります。脳科学をベースにしたリハビリテーションへの理解と実践は、Well-Being(身体的・精神的・社会的に良好な状態)の視点でも大変重要だと考えています。森岡センター長、大住准教授の協力もあり、この1か月でどんな研究ができるのか概要をつかむことができました。これらをタイの臨床・教育現場に持ち帰ること自体が大きな成果になると考えています。文化の違いによる研究倫理的な問題や、日本語版しかないアプリケーションをどうするのかといった具体的な課題も見えてきました。 ただ1か月はやはり短すぎるので、トルコから来ているブルジュさんのようにできれば3か月で実際に研究もしてみて…というのが理想的だと思います。 Q.2 畿央大学や奈良での生活はいかがでしたか? 日本全般に言えることですが、まずホスピタリティが素晴らしいですね。言葉がうまく通じなくても、人々が親切であたたかく、自分の家にいるように感じられるのが日本の好きなところです。森岡センター長が自宅で手巻き寿司パーティーを開いてくれたり、大学職員の方が有志でお茶会を開いてくれたり…とおもてなしの心に感謝しています。 ▼手巻き寿司体験 ▼お茶会の様子 それからとにかく平和で安全ですね。先日、奈良にある長谷寺(大学最寄駅から電車1本)に足をのばしました。色とりどりの花がきれいで、長い階段を登った景色も素晴らしかったです。岐路についた夕方には商店街もほとんど閉店してすれ違う通行人も一人くらいでしたが、身の危険を感じることはありませんでした。タイでは暗い夜道を歩くのは避けなければならないので、穏やかな時間を過ごすことができました。 ▼アンさんが撮影した長谷寺の花 それからよく言われることですが、日本の交通機関は完璧ですね!理学療法学科松本大輔准教授と一緒に和歌山の白浜はまゆう病院を訪問したのですが、奈良から和歌山まで日帰りで時間通りに帰ってこれました。電車の順延が日常茶飯事でスケジュールが組めないタイではありえないことです(笑) ▼白浜はまゆう病院にて。 白浜はまゆう病院は病院の清潔感や電子カルテ、MRI、ドライブシュミレーターなど機器が充実していることだけでなく、スタッフが非常に多く、リハビリ室が活気にあふれていることなどタイとの違いを知り、非常に参考になったそうです。将来的にはアンさんの学生さんにもぜひ見学してもらいたい…とおっしゃっていました。リハビリテーション室長の中本先生をはじめ、たくさんの先生方にご丁寧に案内いただき、誠にありがとうございました。(左:理学療法学科2期生 平先生) Q.3 滞在中に一番困ったことは? 不動産会社の方とのコミュニケーションですね。英語ができない方だったので、スマホを使って翻訳したり、どうしても通じないところは日本語が得意な友人に連絡してやりとりをしたり…と、カギをもらったりインターネットにつなぐだけで数時間かかってしまいました(苦笑)でも非常にフレンドリーな方で忍耐強く対応いただいたので、感謝しています。 キャンパス内に宿泊設備が備わっているのがベストですが、それが難しければキャンパス近くのお勧め宿泊リストを作成していただけるとより親切ですね。私はタイ以外での生活経験があるので大丈夫でしたが、初めて日本に来る方なら不便さを感じるかもしれません。アパートから大学まで徒歩約30分の距離も大変でしたが、「健康に良いはず!」と自分に言い聞かせて歩き続けました(笑) 体調が悪くなって病院で診てもらった時には、職員の方が同行して間に入って対応いただいたので、大変助かりました。 Q.4 日本食が好きと伺っていましたが、食生活はいかがでしたか? もともと寿司が大好きでしたが、今回はいろいろな種類のおにぎりや焼き鳥にもチャレンジしました。ランチは毎回学食で食べていましたが、唐揚げを使ったメニューなどを中心にすべておいしかったです。タイでは100円あれば豪勢な昼食が食べられるので、比べるとどうしても高く感じますが(笑) ▼学食で食べた唐マヨ丼 ▼日本のうどんやアイスは毎日でも食べられるくらい好きだそうです。 Q.5 今後の計画を教えてください。 タイに帰る前に来日予定の親戚と少し大阪周辺を観光する予定です。森岡センター長の協力も得ながら、今後も研究ベースでのコラボレーションや若手教員・大学院生が交流する可能性などを検討していきたいと思います。 Q.6 最後に畿央大学関係者や学生にメッセージをお願いします! 母国を出れば自然と「違い」に目が行きます。日本とタイでも文化や価値観、医療や社会福祉、保険制度など他分野にわたってたくさんの違いを発見することができます。ただ、いろんな違いを知っていく中で、国境や文化をこえて「共通していること」もあると気づくことができます。こういった相違点や共通点を知ることが問題解決の糸口になったり、私たちの生活に利益をもたらしたりしてくれるのだと考えています。 もしチュラロンコーン大学での教育や研究に興味がある方がいらっしゃれば、大学を通してご連絡ください。今回のご縁を大切にしていきたいと考えています。 アンさん、ありがとうございました!今回の滞在が、チュラロンコーン大学でのニューロリハビリテーション実践につながっていくことを期待しております。 【関連記事】 畿央大学に滞在中のタイ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター トルコ人研究者に日本や理学療法のあれこれを聞いてみた!~Burcu Dilekさんロングインタビュー
2019.08.07
畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!後編~ニューロリハビリテーション研究センター
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターでは5月末から8月までの約3か月間、トルコより研究者を受け入れています。Dr.Burcu(発音:ブルジュ)は今回畿央大学に来て2ヶ月が経過し、目標としていた研究も一段落しました。今後の研究のために帰国後も共同して研究を進めていくことができるよう、帰国に向けた準備をしています。 PhD.Burcu DİLEK Assistant Professor, Physiotherapist University: Istanbul Medipol University Department: Physical Therapy and Rehabilitation ▶来日時のインタビュー(前編)はこちら 今回のインタビューでは、研究のことだけではなく、畿央大学および奈良に滞在中に経験したことや訪れた場所、そしてこれからの目標などをうかがいました。 Q.1 7/23(火)には教職員有志によるお茶会を開催しました。いかがでしたか? 本物のお茶はとても飲みやすく、苦みは感じませんでした。和菓子もとても美味しかったです。とくに「あさがお」という和菓子は、口当たりがとても繊細で今まで食べたことのないものでした。茶室にはとても伝統を重んじる特別なものを感じました。静かで程よい緊張感が漂い、床の間の掛け軸や生け花、茶道具、着物、全て新鮮で、茶室での作法ひとつひとつがとても意味のあるものだと感じることができました。その中でも振舞われたお茶を飲みきることには、哲学的な深い意味を感じました。実際に後から、今回準備をしてもらっていたすべてに「歓迎」というテーマがあり、本当に特別な機会を用意してもらったことを知った時はとても感動しました。床の間に飾られた掛け軸には、“一期一会”と書かれており、その意味を知った時には、とてもシンプルな純粋さを感じました。お茶の味、お茶碗のデザイン、招かれたメンバーなど今日このひとときがまさに“一期一会”だと教わり、とても印象深く残っています。 Q.2 今回の滞在中に訪れた場所でどこか印象に残っているところはありますか。 前回日本に来た際も訪れましたが、やはり豊かな自然に囲まれた長谷寺ですね。他の神社などにも足を運びましたが、長谷寺に来ると「戻ってくるべき場所に戻ってきた」ような感覚になり、とても落ち着くことができます。階段を登っていくと本堂があり、その中にある十一面観世音菩薩の説明を読むと、11の顔を持って困っている人々を見逃さないという思いやりがある観音様だと説明されており、この観音様にもどこか神秘的な共感の気持ちを抱きます。 Q.3 今回は3か月という長めの滞在でしたが、違いはありましたか? 前回の滞在は2週間程度しか時間がなかったということと、全てのことが初めての経験だったので、自分にとって良いものも悪いものも選ぶ余裕がありませんでした。加えて、時差ボケが一週間くらいしてようやくおさまってきたと思ったらすぐに帰国…という感じだったので、軽く混乱したまま時間が過ぎてしまった、というのが正直な印象です。ただ、その短い時間の中でも観光をしたり、カラオケや居酒屋に行ったり、さまざまな日本食を楽しむといった経験ができたので、非常によい時間を過ごさせていただきました。 今回は期間が長いということと、前回の経験をもって落ち着いて自分にとって望ましい選択をすることができるので、非常に有意義な時間を過ごすことができています。一つ例えを出すと、今は自分にとって「どんなたこ焼きが好みか」ということが分かるようになり、王寺駅の近くにあるお気に入りのお店に今回も数回訪れ、店主とも仲良くなりタコの形をしたおもちゃをもらいました(笑) Q.4 今回の滞在はいかがでしたか?今後の展望などもあわせて教えてください! “Beyond my expectation” 期待していたよりもはるかにいい経験ができました。これは森岡教授や大住准教授、そして畿央大学の皆さんのおかげです。トルコに戻った後は、今回の経験を活かし、まずは所属しているMedipol Universityにはない装置の購入をしてもらえるように上司の教授に今回の研究内容を伝え、その価値を理解してもらう必要があります。実験の手順などを再現するためにはその装置が必須であり、これまで知らなかった分析手法やソフトウェアの使用によって、現在トルコではあまり実施されていない「痛みと脳のメカニズム」の関係を明らかにしていくことが出来ると思います。トルコでは自分の研究だけに集中するのは難しいのですが、今回の来訪で森岡教授とニューロリハビリテーション研究センターの協力により自分自身が進めていきたい研究に集中する時間と機会を持てたことは、今後の研究を展開するうえで本当に良い経験となりました。 ブルジュさん、インタビューありがとうございました。畿央大学での経験が、今後の教育や研究に生かされていくことをお待ちしています! 【関連記事】 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター トルコ人研究者に日本や理学療法のあれこれを聞いてみた!~Burcu Dilekさんロングインタビュー
2019.08.01
2019年度 運動器リハビリテーションセミナー「基礎実習編」を開催しました。
2019年7月28日(日)、運動器リハビリテーションセミナー「基礎実習編」が開催されました。 この講習は昨年度から、膝関節における超音波エコー解剖学実習とブタの膝関節を用いた機能解剖学実習の2本立となっております。 「膝関節の超音波エコー解剖学」 担当:理学療法学科 福本貴彦准教授 解剖学実習では、超音波エコーの基礎知識や基本的な使用方法に加え、超音波エコーを用いた膝関節の解剖学を学びました。講義は参加者にも実際に超音波エコーを使用していただくことでさらに理解が行いやすくなっていました。昨今では理学療法士が超音波エコーを臨床や研究、スポーツ現場等で用いられる機会が多くなっており即実践に生かしていただける内容となりました。 「膝関節の機能解剖学実習」 担当:理学療法学科 今北英高教授 機能解剖学実習では、ヒトの膝関節に酷似している新鮮なブタの膝関節を解剖しながら、関節運動学、靭帯や半月板の機能や特性を実際に触れながら体験していただきました。大半の理学療法士は教科書上で学んだ知識をもとに臨床をおこなっていますが、今回ご参加いただいた方には実際に組織に触れることでさらにイメージや理解が深まったとのご意見を多くいただきました。 さらに急遽ですが、関西医科大学麻酔科学講座診療教授の中本達夫先生にも来学いただき、解剖でのご指導に加え、ミニレクチャーを実施していただけました。変形性膝関節症に関する他分野でのアプローチは新鮮で、痛みに対する知識、視点、考え方、どれをとっても興味深い内容でした。 今後も運動器リハビリテーションに対する幅広い知識を畿央大学の教育研究者が情報提供したいと考えています。 今年度のプログラムでは2019年10月27日の「評価編」、2020年1月26日の「臨床応用編」が開催予定、また参加者も募集しておりますので、ぜひ皆様ご参加ください!! ●今後の運動器リハビリテーションセミナー詳細 畿央大学健康科学研究科 博士後期課程 久保峰鳴 【関連記事】 2019年度 畿央大学運動器リハビリテーションセミナー「基礎編」を開講しました。 平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床編」を開講しました。 平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床実践編 (膝関節)」を開講しました。 平成30年度 運動器リハビリテーションセミナー「エビデンス編」を開講しました。
2019.07.10
大学院生が国際学会ISPGR2019でポスター発表!~健康科学研究科
令和1年6月30日から7月4日にかけてスコットランドのエジンバラで開催されたInternational Society of Posture and Gait Research World Congress 2019に私(水田直道 博士後期課程)と蓮井(岡田ゼミ修士課程修了生)が参加・発表してきましたので、報告させていただきます。 本学会は姿勢や歩行に関連する非常に多くの一般演題ならびにシンポジウムがあり、どの演題・講演も議論が非常に活発でした。 シンポジウムでは「ウェアラブルセンサーの活用方法や現実世界での計測方法」や「歩行に関連する転倒のメカニズム」などが取り上げられており、多施設共同研究の成果や臨床現場での現象が多く示されておりました。また、小型で簡便かつ多機能な評価機器ならびにそれらを応用したアルゴリズムなどが多く発表されており、私も初めて目にするものもあったため、ついつい聞き入ってしまっておりました。ロボットによるリハビリテーション研究も散見されており、興味深い研究もありましたが、同時にこれから適応症例を抽出できるような仕組みの必要性も感じました。 本研究室からは、2日目に私が脳卒中後症例の歩行障害の特徴分類について、3日目に蓮井が脳卒中後症例に対する多種類の短下肢装具による歩行への影響についてポスター発表を行いました。私にとって2度目の国際学会でしたが、多くの方から質問に来ていただき、2時間以上の発表時間があっという間に感じました。頂戴した質問やアドバイスは非常に有益となる情報が多くあり、今後の進展へ向けモチベートされました。 シンポジウムや一般演題は、非常に穏やかな雰囲気でありながら議論は活発に行われ、否定的な質疑は非常に少なく、建設的で前向きな議論が多いように感じ、相互向上を目的とした姿勢には襟が正されました。また自身の研究領域とは異なる発表に対しても興味を持っている印象を受けました。 このような貴重な経験ができたのは森岡教授をはじめとする研究室の仲間の日頃のご指導と、畿央大学の手厚いバックアップがあったからであり、ここに深く感謝致します。 【発表演題】 水田 直道(博士後期課程) Post-stroke walking characteristics on association between motor paralysis and walking speed by cluster analysis 蓮井 成仁(岡田ゼミ修士課程修了生) Influence of ankle-foot orthosis with different type of joint on walking parameters in stroke patients
2019.07.03
畿央大学に滞在中のタイ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターでは7月3日(水)から約1か月、タイのチュラロンコ-ン大学から研究者を受け入れています。 Ph.D. Anchalee Foongchomcheay Assistant Professor, Physiotherapist Department of Physical Therapy Faculty of Allied Health Scicences Chulalongkorn University アンチャリーさん(以下アンさん)に、今回の滞在にいたった経緯や訪問目的をくわしく伺いました。 Q.1 アンさんと畿央大学は何がきっかけでつながったのでしょうか? APTSA(アジア理学療法学生連盟)で畿央大学の松本先生が学生を連れてチュラロンコーン大学に来られたのが最初のきっかけです。そのご縁で後日、松本先生には私たちの学生に誤嚥にナラん!体操のレクチャーをお願いしました。 その後、国際的な研究交流を推進していく中で、森岡周教授の論文を読んでニューロリハビリテーション研究センターのことを知り去年訪問したのですが、2時間ほどしか見学できませんでした。ニューロリハビリテーションをチュラロンコーン大学で推進する足掛かりにするために、今回は大学の補助を受けて1か月滞在させていただくことにになりました。 ▼理学療法学科松本大輔准教授とアンさん Q.2 勤務先の「チュラロンコーン大学」はどんなところですか? チュラロンコーン大学は100年以上の歴史がある国立大学で、国内で最も古く、最も大きな総合大学です。大学名は王の名前にちなんでいますが、その王はイギリスやポルトガルをはじめとする多くの国を歴訪して見識を広め、大学の設立や郵便システムの構築、電車などの交通インフラ整備など多方面で貢献されました。科学的なエビデンスや研究に基づいた知識を備えた人材を育成し、優秀な卒業生を輩出することで国を豊かにしていく、という考え方は今でも根付いています。 ※ちなみに同大学は世界大学ランキングで7年連続1位(タイ国内)に輝いており、「タイの東大」とも呼ばれています。 Q.3 アンさんはチュラロンコーン大学で日頃どのように働かれているのでしょうか? 私は理学療法士や作業療法士、放射線技師などを養成するAllied Health Sciences(本学でいう健康科学部)という学部の、理学療法学科に所属しています。大きく分けて私は「学生のため」「患者さんのため」「社会のため」に働いています。理学療法学科の学年定員は60名。教員一人が担当できる学生の上限が7名と決まっており、少人数教育を行っています。医学部には附属病院もあるのですが、それとは別に学科に小さなクリニックが併設されていて、週12時間はそこで勤務し、臨床で患者さんと向き合っています。その他、地域での活動や論文執筆なども社会活動として業務の一部としてカウントされます。国際化を進めることも大きな方針になっていて、今回の滞在は大学から補助を受けて実現しています。 Q.4 タイ国内の環境や理学療法士の役割はいかがですか? 日本ほどの「超」高齢社会ではありませんが、日本の10年遅れくらいのペースでタイは高齢者社会に突入していきます。少子化も進んでいて、日本と同じような社会環境にあると言えます。以前研修で日本には160,000人の理学療法士がいると聞きましたが、タイには6,000人ほどしかいません。単純に人口で割ると日本は国民280人に1人の理学療法士がいるのに対し、タイでは30,000人に1人という状況です。医療費削減ともあわせて病気の予防や健康増進といった分野でも理学療法士の力が必要になってきます。訪問リハに行っても浴室やトイレに手すりがない住宅も少なくなく、建築やユニバーサルデザインの知識を培ったり、多職種と連携しながらリハビリテーションやQOLの向上をめざしていく必要があります。理学療法士の専門知識はもちろん、お互いの仕事の内容や役割を知り、チーム医療を実践していく必要性を教えています。 Q.5 今回畿央大学に滞在する目的や体験したいことを教えてください。 リハビリを通して患者さんの症状が改善していくときに、「いったい脳で何が起こっているんだろう?」と疑問を持つようになり、ニューロリハビリテーションにも興味を持つようになりました。患者さんのQOLを改善していく上では、ニューロリハビリテーションの視点は重要な要素になると感じています。ニューロリハビリテーション研究センターにあるような研究設備は、残念ながらチュラロンコーン大学にはありません。1か月の滞在では研究を具体的に進めるには時間が足らないので、センターにどんな研究機材が揃っていて、どんな実験が可能で、何が計測できるのかをしっかり把握すること、それによって私たちの研究とどうリンクできるのかを考えることが今回の最大の目的です。 Q.6 今後の研究に関する展望を教えてください。 帰国後にはニューロリハビリテーション研究センターの施設や設備で出来ることをベースに、具体的な研究計画を練って提案することが今回の訪問の具体的な成果になっていきます。願わくば、研究協力のような形で畿央大学とコラボした研究ができないか、森岡センター長の力をお借りして模索していきたいと考えています。 ▼左からアンさん、森岡センター長、トルコから短期留学中のブルジュさん アンさんが目的を達成できるよう、畿央大学もしっかりサポートしていきたいと思います。 日本での生活が馴染んできた頃に、奈良での生活について改めてインタビューをお届けする予定です。 【関連記事】 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター トルコ人研究者に日本や理学療法のあれこれを聞いてみた!~Burcu Dilekさんロングインタビュー
2019.06.18
畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターでは5月末から8月までの約3か月間、トルコより研究者を受け入れています。 ▼左から森岡周センター長、Burcuさん、大住倫弘准教授 PhD.Burcu DİLEK Assistant Professor, Physiotherapist University: Istanbul Medipol University Department: Physical Therapy and Rehabilitation Dr.Burcu(発音:ブルジュ)は2018年2月にも2週間ほど本学に滞在し、研究面での交流を深め、今回の短期留学に至りました。所属されているMedipol Universityでは手の治療や慢性痛について研究されていますが、今回はニューロリハビリテーション研究センターとの共同研究として『痛みへの恐怖が運動に影響を及ぼす脳メカニズムを明らかにする』をテーマに研究に取り組まれます。 滞在中は研究センターの施設・設備を利用して研究に取り組んでおり、大学院生と研究のディスカッションも予定されています。また、理学療法学科の授業にもゲストスピーカーとして登壇していただき、海外における理学療法などについて講演いただく予定です。事務局も外国人研究者対応のモデルケースとして今後の大学運営に役立てられるよう、生活面のサポートなど積極的に関与しています。 教育、研究、大学運営と畿央大学にとっても好影響があり、大きな相乗効果を生んでいます。3か月という限られた時間ですが、Burcuさんの活躍に期待しています! (以下、ブルジュさんに今回の来訪についてインタビューを行いました。) 今回、畿央大学にどのような目的で訪れ、3か月どのような研究をされるのか教えてください。 Q.1 トルコでは普段どのような研究をされているんでしょうか? 研究のメインテーマは「痛みと運動イメージ」で、現在は新たな研究計画を考えようとしているところです。しかし、トルコでは多くの授業や学生指導を担当しており、なかなか研究に時間を割くことができていません。将来的には、検討中の研究を病気や、慢性疼痛を抱える人々に適用していきたいと考えています。 トルコの大学では、痛みに関する研究において理学療法士が筋電計などの機器を研究に活用する機会はあまりないので、新たな研究計画の検討を始めることが非常に難しい状況でした。そのため、先進的な取り組みを行っている研究者がどのように痛みに対してアプローチしているかを知る必要があると考え、ウェブサイトで記事や論文などを探していたところ、森岡教授や今井亮太さん(博士後期課程修了生)と出会うことができ、昨年、畿央大学を訪れることができました。 ▼昨年の訪問時に、来日するきっかけになった今井さんと Q.2 今回の来日では、どのような研究をされるんでしょうか? ニューロリハビリテーション研究センターの大住准教授とともに、痛みへの恐怖が運動に及ぼす影響をデータとして集めるために、EEG(脳波)を計測する手順を作成し、同時にECG(心電図)を計測する準備を行ないました。ちょうど今日、最初の研究対象者を迎え、人が痛みに対してどのような反応を示すかを調べました。ボタンを押すと痛みが強くなる条件下でボタンを押す前に脳がどのような反応を示すかを調べます。このような実験はトルコでは行われていませんし、森岡教授が行われているような研究はまず行われていません。 Q.3 今後の研究に関する展望を教えてください。 畿央大学で学んでいることは非常に貴重なことで、将来トルコでも同じような研究ができるではないかと考えています。そういう意味で、森岡教授やニューロリハビリテーション研究センターには非常に感謝していますし、畿央大学の全面的な協力にも感謝しています。私をすごく歓迎してくれていますし、おかげさまでとても快適に過ごすことができています。ここにきてまだ間もないですが、すでに実験などの手順について多くのことを学ぶことができ、分析手法も学ぶことができました。いつかはこの手順を病気の治療に活かしたいと思いますし、疼痛に対する理解も進んでいくと思います。 現状は、多くの痛みの状況がまだまだ解明されていません。しかし、私たちは痛みの状況を知るための新たな特別な手順を作り出すことができるかもしれないと考えています。そのような研究がトルコでも行えたら望ましいなと考えています。実際、トルコでも同じような装置はあるのですが、単体で使う手法しか持っていません。ニューロリハビリテーション研究センターが行なっている複数の機器を同時に動かし、一度に多くのデータを得る方法を学ぶことができたらよいなと考えています。トルコではそういった方法はまだ一般的ではありません。しかし、痛みが起こった時の筋肉の反応時間や心臓の動きなどを同時に知る必要があり、それらのデータを一度に得る必要があります。これからまだまだ時間はかかるかもしれませんが、ここでの経験をいかして、トルコでも同じような実験環境を作り上げたいと望んでいます。 次回は、ブルジュさんの日本での生活についてインタビューを実施する予定です! 【関連記事】 トルコ人研究者に日本や理学療法のあれこれを聞いてみた!~Burcu Dilekさんロングインタビュー
2019.05.23
2019年度 運動器リハビリテーションセミナー「基礎編」を開講しました。
今年で8年目となる「畿央大学運動器リハビリテーションセミナー」が、始まりました。 今年度も4回のセミナーを予定しており、『患者様の見立て方』にフォーカスを当てたコンテンツをご用意しました。 2019年5月19日(日)は「基礎編」として、『医療画像について』『骨と生活習慣病』『運動器の痛みとリハビリテーション』『Fascia(ファシア)』の講義を行ないました。 「医療画像について」 担当:理学療法学科 福本准教授 医療画像の原理や撮影方法など、特に超音波検査について時間を割き、今後の理学療法現場における超音波検査の 有用性と展望について講義をしました。 「骨と生活習慣病」 担当:理学療法学科 峯松教授 骨の基礎的な部分から生活習慣病に至る経緯と骨への影響、また、その評価、いわゆる「見立て」に関して講義をしました。 「運動器の痛みとリハビリテーション」 担当:理学療法学科・畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 前岡准教授 運動器の疼痛に関して、神経系からの疼痛の考え方を運動器リハビリへ応用するための評価方法について講義をしました。 「Fascia(ファシア)」 担当:理学療法学科 今北教授 『Fasciaってご存知ですか?』から講義が始まり、近年注目されているFasciaについてわかりやすく解説し、国際Fascia学会で受賞された自身の基礎実験データなどを提示し、臨床現場への応用についても講義をしました。 毎回のことですが、受講者の方々は大変熱心に聴講していただきました。 次回は基礎実習として豚検体を使用した膝の解剖実習とエコー実習(7月28日)を開催します。 その後、評価編(10月27日)、評価応用編(2020年1月26日)と続きます。 ●今後の運動器リハビリテーションセミナー詳細 評価から問題点を抽出し、問題点を打開するためのリハビリテーション(理学療法)プログラムを構築することは日々臨床で実施されていることと思います。その際、いわゆる『見立て』が重要であることは周知の事実かと思います。 リカレントともに最新情報を得ることで日々臨床に活用いただければと考えております。 各回、若干の空きがありますので、お早めにお申し込みください。スタッフ一同、お待ちしております。 理学療法学科 准教授 福本貴彦 【関連記事】 平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床編」を開講しました。 平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床実践編 (膝関節)」を開講しました。 平成30年度 運動器リハビリテーションセミナー「エビデンス編」を開講しました。
2019.03.18
平成30年度 卒業パーティーレポートvol.1~理学療法学科編
平成30年度卒業証書・学位記・修了証書授与式が3月15日(金)、冬木記念ホールにて挙行され、566名の卒業生が巣立ちました。今年度から卒業パーティーは学科・専攻科にわかれて開催することになりました。 第1弾は「理学療法学科」です! 理学療法学科13期生の西谷真由子です。3月15日(金)、ホテルモントレグラスミア大阪にて卒業パーティーが開催されました!理学療法学科は卒業パーティーを"謝恩会"とし、4年間お世話になった先生方へたくさんの感謝を込めて先生18名、大学院生を含む卒業生94名の合計102名が参加しました。 森岡先生による乾杯の掛け声とともに一気に盛りあがった会場は、友達と写真を撮る人、先生と思い出話を語り合う人、とにかく食べまくる人など…それぞれの楽しい時間を過ごしました。 各ゼミから個性溢れる先生方へのビデオメッセージでは、先生のあるあるネタやあいうえお作文などで感謝の気持ちを表しました。私たちらしく、少しの感動と多くのネタが盛り込まれたビデオメッセージに、先生方はもちろん、会場全体がたくさんの笑いに包まれました。 大学院生からは、それぞれの指導教員である庄本先生・森岡先生・岡田先生に記念品が贈呈されました。 臨床に出ても更なるステップアップを求めて、修士・博士後期課程を修了された先輩方を拝見し、私たち学部生にも大きな刺激となりました。学部生からはゼミ担任の先生方へ花束やアルバム、記念品が贈呈され、卒業研究でたくさんの苦労や楽しさを分かち合った担任の先生を前にし、涙ぐむ学部生もいました。 先生方お一人ずつからいただいたメッセージでは4年間の出来事1つ1つ鮮明に思い出し、苦しかった試験も、楽しかった学生生活も全て13期生のみんなと共に乗り越えてきたんだと改めて気付きました。また、先生方にはいつもそんな私たちのそばで私たちの成長を見守って下さっていたことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。 そんな笑いあり、涙ありの卒業パーティーは庄本先生の『閉会!!!』の言葉で、無事閉会しました。 私たちはそれぞれが抱いていた理学療法士になりたいという夢を、畿央大学で、素晴らしい先生方のもとで、素晴らしい仲間と共に、叶えられたことを誇りに思います。今後も大学生活で学んだことを決して忘れず、患者様のために日々勉強を重ねていきたいと思います。 お世話になった先生方、これから先もずっとずっと私たち13期生の成長を見守っていてください!!!! そして、さらに大きくなった姿でまたお会いできることを楽しみにしています!ありがとうございました。 理学療法学科13期生 西谷真由子 ●大学公式facebookページで卒業式のフォトレポート!(facebookアカウントをお持ちでない方もご覧になれます) ≪他学科の卒業パーティーレポート≫ 平成30年度 卒業パーティーレポートvol.5~健康栄養学科編 平成30年度 卒業パーティーレポートvol.4~看護医療学科編 平成30年度 卒業パーティーレポートvol.3~現代教育学科編 平成30年度 卒業パーティーレポートvol.2~人間環境デザイン学科編
2019.03.11
平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床編」を開講しました。
平成31年3月9日(土)、畿央大学運動器リハビリテーションセミナー<臨床編>を開催しました。今回は、昨年7月29日に開催予定だったものが台風のため延期となり、日程が大幅に変更されたにも関わらず、近畿圏内をはじめ、ご遠方からもたくさんの方にお越しいただきました。 今回のセミナーは、上肢・下肢・体幹のつくりを知り、その運動療法の基礎と関連する最新知見について学ぶことを目的としています。 講義は、「肩関節のリハビリテーションと最新の知見」「運動器の痛みとリハビリテーション」、「変形性膝関節症とその人工関節の最新知見とリハビリテーション」「足部の機能障害と理学療法」という4つに分けておこなわれました。これらは運動器の理学療法分野に従事するうえで、皆様が多く触れる機会のあるテーマであり、また講義内容は単なる文献のレビューではなく、講師陣の経験や実技も交えたものでとても充実したものでした。 次年度もまた、引き続き運動器リハビリテーションセミナーを開催予定です。 今後もさらにブラッシュアップした知見をお持ち帰りいただき、臨床経験や臨床研究に生かしていただければと思っております。 詳細は決定次第、畿央大学ホームページにアップされますのでご確認ください。 皆様の受講を心よりお待ち申し上げております。 理学療法学科 准教授 福本貴彦 【関連記事】 平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床実践編 (膝関節)」を開講しました。 平成30年度 運動器リハビリテーションセミナー「エビデンス編」を開講しました。
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