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畿央の学びと研究
2018.06.07
川上村民生児童委員会の方を対象とした「認知症を正しく理解する講習会」を開催!~看護医療学科
平成30年6月6日(水)、奈良県川上村民生児童委員協議会の方々が、認知症について学習するために来校されました。民生委員とは、地域住民の身近な相談者として、助言や援助を行う役割をもち、人格識見が高く、児童福祉も含む社会福祉向上に熱意のある方が都道府県の推薦により、厚生労働大臣からその業務を委嘱された方々で児童委員を兼ねます。 今回は、川上村で文部科学省の科学研究助成を受けて展開している「安心して暮らすことができる地域づくり」を目指した川上村健康力向上プロジェクトの柱のひとつである認知症教育を実施する中で、民生委員の方々から自主的に認知症のことを学習したいとの申し出があり、6月定例会を畿央大学で開催することとして企画されたものです。雨模様の中、バスに乗って2時間弱の遠距離を16名全員の民生委員の方々と村役場担当職員の方2名の総勢18名が来校されました。 今回の講習会は、今年度7月と9月に計4回開催される川上村「認知症教室」講師である本学の老年看護学 山崎尚美教授による講義と民生委員の方の困りごとをお話ししていただくフリートークで構成されました。 地域における認知症カフェや臨床、介護保険施設における認知症ケア実践者でもある山崎教授から、普通の物忘れや認知症の物忘れの違いや認知症の原因となる病気の説明の後、認知症の方を混乱させてしまう対応と適切な対応を示したDVDを観て、認知症についての正しい理解を深めていただきました。 その後、日頃の活動の中で感じていらっしゃることを自由に話していただきました。 その中では、民生委員の方々が、認知症と思われる地域住民の方の相談に昼夜を問わず対応され、見守りつつも「このままで良いのか」と不安に思っていらっしゃることが多く語られました。 山崎教授から、その状況に応じた適切な対応をされていることの解説を受け、安堵されている様子を見て、民生委員の方々は、責任が重く心労が絶えない活動を日々されており、皆さんの負担を軽減する後方支援の必要性を感じました。 また地区で増えている独居高齢者の方をできるだけ一人で孤立しないように集いの場を自主的に開催されていることもわかり、行政の支援や私たち研究者も連携していく必要性を感じました。予定の時間を超えそうになるほど多くのお話をしていただいたことを今後の地域づくりや人材育成に活かしていくために、地域住民と行政の橋渡しをされるキーパーソンとして、民生委員の方々を始めとする地域の支援者の方々とのネットワークを構築していきたいと思います。 7月の地域住民の方を対象とした認知症教室は、7月8日(日) 川上村やまぶきホールで開催されます。 看護医療学科 教授 松本泉美 【関連記事】 平成30年度奈良県認知症ケア専門士会 第1回研修会を開催しました。 互助をテーマにした「川上村シンポジウム」を開催!~看護医療学科 看護医療学科教員が、川上村の地域包括ケアシステム構築に向けての研修会企画・講師を担当!
2018.06.07
オープンキャンパスで栄養バランスチェック!~ヘルスチーム菜良
平成30年6月3日(日)畿央大学オープンキャンパスが開催されました。そこでヘルスチーム菜良※1からは、食育サッとシステム※2 を用いた栄養バランスチェックの体験会を行いました。 (※1)ヘルスチーム菜良...管理栄養士養成課程を持つ奈良県内4年制大学(畿央大学、近畿大学、帝塚山大学、奈良女子大学)で構成されており、食育啓蒙活動に取り組んでいます。 (※2)食育サッとシステム...フードモデルを用いて1食分の食事バランスを栄養価で計算し、5段階で評価されるシステムです。 今回は3回生2名、2回生1名、1回生10名とたくさんの学生が参加しました。「普段食べているお昼ご飯」をテーマに、高校生だけでなく保護者の方にもフードモデルを選んでいただきました。 1回生はまだ分からないことだらけでしたが、先輩方に教えていただいたり勉強会で学んだことを生かしたりして、過不足のある栄養素についてアドバイスをしました。 <参加した学生からの感想> 「オープンキャンパスに参加した高校生から「これからバランスのとれた食事をしよう」といった感想があり、食に興味を持っていただけて良かった。」 3回生 山口友季穂 「たくさんの方が参加してくださって、楽しくコミュニケーションをとることができ、良い経験ができました。」 2回生 深沢すず 「長時間参加することはできませんでしたが、たくさんの方が来てくださり嬉しかったです。」 1回生 楠木登百 「栄養素で何が足りていて不足しているかの説明で、知識を実際に使って説明するのはとても難しかったです。もっと実際の生活で生かせるような情報を取り入れていきたいなと思いました。」 1回生 平野優花 知識不足だと思わされる場面もあり、改めて栄養指導をする難しさを実感しました。人に伝える立場として、栄養についてもっと勉強していきたいです。 健康栄養学科1回生 戸村七海 ●ヘルスチーム菜良の情報はこちらからご覧になれます。
2018.06.06
緩和ケア病棟を見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」
看護医療学科3年生の履修科目である「終末期ケア論」では、毎年磯城郡田原本町宮古にある国保中央病院に併設される「緩和ケアホーム飛鳥」をたずねて見学実習を行っています。 今年も見学希望者15名と担当教員が飛鳥をたずねて施設内の見学や、看護師長からホスピスケアの実際についてお話をうかがいました。今回は多くの学びがあった見学実習の様子をレポートします。 ▲「緩和ケアホーム飛鳥」の覚野看護師長から施設案内や丁寧な説明をいただきました 平成30年6月2日(土)見学当日は、朝からさわやかな空模様でした。国保中央病院の周囲には田畑が広がり緑も多く豊かな自然が感じられますが、見学した飛鳥の庭園からの景色は本当に美しく心癒されるものでした。学生たちは、「庭園や屋上の景色や眺めも素晴らしいですが、何よりも施設内の廊下やお部屋がとてもきれいでゆったりしているので、終末期の患者さんや家族は心穏やかになれると思います」と感想を述べていました。 ▲飛鳥の庭園はボランティアさんたちの協力のもといつもきれいです ▲飛鳥の屋上庭園からは夏空を彩る大和郡山の花火が見えるといいます 国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥は平成17年5月に奈良県で初めての緩和ケア病棟として開設されました。それまで奈良県は岩手県と並んで県内にホスピス・緩和ケア病棟が存在しない県であったため、多くの県民にとって待望の開設となりました。それから13年が経ち、緩和ケアホーム飛鳥は医師や看護師を中心としたチーム医療のもと、積極的な治療に対して反応しなくなった末期がんの患者さんへの身体的・精神的ケアやその家族のケアにおいて奈良県の中核を担っています。ここでは、次のような基本理念のもとにケアを提供しています。 ・あなたの人格のすべてを受け入れます ・あなたの思いや考えを大切にします ・あなたの生活を尊重します ・あなたの苦痛、その他の不快な症状を緩和します ・ご家族に対して心の安らぎが得られるよう支援いたします 基本理念の中で示されている、苦痛や不快な症状の緩和に必要な医療の中心が薬物療法です。緩和ケアを受ける患者の多くは痛み軽減の目的でオピオイド鎮痛薬といわれる「医療用麻薬」の処方を受けます。これらは、他の薬剤とは違って鍵のついた場所で厳重に保管する必要があることについて説明を受けた学生は、日ごろから痛みを我慢させない、安全で確実な痛みのコントロールを実現するために、現場の看護師が実践しているケアについて考えることができました。 ▲厳重に鍵のかかる金庫に保管された薬剤についての説明を受ける様子 また、患者さんの生活を尊重することやご家族が心の安らぎを得ることができるよう配慮された病室や家族とともに過ごすこともできるように造られた家族室を案内してくださった覚野看護師長から「まだ幼い子供さんを残して旅立たれた患者さんは、かなり体がつらくなったときに、この家族室で酸素吸入をしながらお子さんと過ごされました。お子さんたちは、お母さんが居なくなることはわからなかったかもしれないけれど、そのときにお母さんがしんどくてつらいことはわかっていたのでしょう。母として子供と過ごされた患者さんは体がつらくても満足されたようです」というエピソードを聞かせてもらった学生は、それぞれがその状況を思い浮かべて心をうたれたようでした。 ▲病室はすべて個室で大きな窓からみえる自然が心地よい空間です ▲家族室には患者さんが家族と過ごせるように酸素吸入の配管が供えられています 施設内を見学した後は、年に一度開催されている遺族会で上映される映像を見せていただきました。ホスピス・緩和ケアにおいて「遺族ケア」は大切なプログラムであり、患者さんが旅立たれたあとの喪失感や悲しみを理解し、家族がまた自分の新しい生活にむけて進んでいくことを支援するための取り組みとなっています。その映像を見ると私たち教員も毎回目頭があつくなります。 覚野看護師長からは「ご家族が旅立たれてすぐには、まだ気持ちの整理がつかなくて参加できない遺族も多くおられます。3年が経ってやっと来ることができた方ややっぱりつらくて今年は行けない、という方もおられます。しかし、参加されたご遺族は患者さんとの想い出の写真を懐かしみ、当時担当していた看護師と語り合うことで落ち着かれる方も多くおられます」とのお話がありました。一般の急性期病棟では、経験できない遺族との関わりを聞いた学生は「私は、患者や家族の悲しみの体験に自分自身が影響を受けやすいので、涙がこぼれてしまうかもしれません」と感情を口にしていました。それに対して覚野看護師長からは「その気持ちを変わらず持ち続けることは大切なことです。いつもいつも、患者さんや家族に共感して泣いてばかりいることは困るけれど、私たちも自分の気持ちに素直に涙することがあってもよいのです」との言葉をいただきました。 見学実習を終えた学生は終末期にある対象や家族と自身の向き合い方について新たな学びを得たようでした。 ▲質問も出て看護師長からのアドバイスもいただきました ▲飛鳥ホールで緩和ケア病棟での看護についての講義を受講 わが国の、緩和ケア病棟入院料届け出受理施設(認可されたホスピス・緩和ケア病棟)数は394施設、病床数は8068床となっています(2017年)。一方がんで死亡する人の総数は年間370,000人を超えていることから、私たち看護師は、一般病床や在宅でも終末期がん患者のケアを担っていかなければなりません。学生のみなさんが社会に出たとき、今回の見学実習での学びや自身の心に響いたことを忘れずに対象と向き合ってくれることを願っています。 最後になりましたが、お忙しい中、貴重な学びの機会を下さった覚野看護師長様はじめ看護部の皆様に感謝いたします。 看護医療学科 終末期ケア論担当 對中百合・大友絵利香 【関連記事】 「エンゼルメイク」の演習を実施!~看護医療学科「終末期ケア論」 がんから学ぶ「生」と「死」~看護医療学科「終末期ケア論」レポート 救急看護の基本、心肺蘇生法を学ぶ!~看護医療学科「急性期看護学援助論Ⅱ」
2018.06.06
広陵北小学校と連携してまちづくり調査!vol.1~人間環境デザイン学科清水ゼミ
人間環境デザイン学科4回生の山本幸四郎です。 私たち清水ゼミは平成30年6月1日(金)にまちづくりの研究の一環として、広陵町立広陵北小学校へ行ってきました。これから7月にかけて、小学校の総合学習の時間を利用して3年生のみんなと、まちの魅力や今と昔の違いをみつけるまちづくり活動を実施します。今回はその活動の初回でした。 まずは、50人の小学3年生の前で清水先生が30分ほど授業をされました。小学生はどの子も前のめりに話を聞き、積極的に質問する姿をたくさん見せてくれました。私たちが小学3年生の頃はこんなに積極的だったかな・・・? 先生の授業の後に、大学生の自己紹介をしました。今回は仲良くなることを目的としていたため、まずは名前とニックネームを紹介し、そのあと小学生が聞きたいことを質問するという流れで進行しました。このような場になると、子供とコミュニケーションをとるのが得意な学生もいれば苦手な学生もいるのがよく分かります。 しかし子供たちの素直さと可愛さにみんな笑顔いっぱいで、どんなに難しい要求にも全力で答えていました。 最後に、まちづくりの調査項目別に、班にわかれて、5分ほど小学生とコミュニケーションをとりました。どの班も笑い声が絶えず、無邪気な笑顔をたくさん見せてくれました。 今後は、それぞれの班に分かれて、地域のお年寄りに昔の話を聞いたり、話を聞いた場所をまち歩きしてみたりして具体的に子供達の感性に響くポイントをビジュアル化していきます。さらに、最終的に成果物は7月の地域のお祭りで発表予定です。 これからが楽しみです!(^^)! 人間環境デザイン学科4回生 山本幸四郎 【関連記事】 人間環境デザイン学科プロデュース「KIOビニールバッグ」が完成! 「NARAソックス・プロジェクト」成果を発表!~人間環境デザイン学科 村田ゼミ 近畿大学アカデミックシアターを見学!~人間環境デザイン学科加藤ゼミ 不要な建物を再利用する「空家コンバージョン」で卒業制作!~人間環境デザイン学科 真美ヶ丘第二小学校2年生が大学”探検”に来てくれました! エコール・マミにバレンタインディスプレイと改修提案!~人間環境デザイン学科加藤ゼミ
2018.06.01
人間環境デザイン学科プロデュース「KIOビニールバッグ」が完成!
新しい大学のグッズとして、KIOビニールバッグが完成しました!今週末のオープンキャンパスを皮切りに、イベント等で受験生に配布していきます! このバッグのデザインは、人間環境デザイン学科の加藤信喜准教授とゼミ生によるものです。 今回、デザイナーの2人に、コメントをいただき、バッグについて紹介します! KIOビニールバッグデザインにあたり、人間環境デザイン学科12期生の矢野紗由里さん(2018年3月卒業)に手伝ってもらいました。思い起こせば、当時、彼女は4回生に在籍中で、卒業研究が佳境にさしかかる中、頑張ってくれました。さしずめアートディレクターが私で、デザイナーが矢野さんという役割になります。簡単にいえば基本デザインを私がして、実施デザインを矢野さんがしたのですが、口悪くいえば、私が「口で」デザインをして、矢野さんが「手で」デザインをしたともいえるでしょう。「口で」デザインしだすと先が見えています。恥ずかしながら私はパソコンソフトの「イラストレーター」を使えません。今やこれを使えないとグラフィックが成り立たないのです。かつて私も大昔、グラフィックの仕事をしていたことがあります。写植なるものを発注し、印字された文字をレイアウト用紙にペーパーボンドで貼りつけるという超アナログ時代のことです。現在、デザインはパソコンから出力されることになってしまいました。 できあがったデザイン作品を見て、気付いたことがありました。矢野さんも結構アナログ人間であったということ。デザインの手段としてデジタルソフトを使いましたが、デザインの発想法や手法はお互いアナログだと感じました。作品の隅々に矢野さんのアナログ的な部分が見えて、ひとり面白がっています。 人間環境デザイン学科 准教授 加藤信喜 加藤先生からいただいた「ラフ図面」を手に取った時は簡単そうだなと思っていました。しかし作業に取り掛かると遠くから見た時にちゃんとKIOの文字が見えるように文字の大きさや感覚などの微調整にすごく時間がかかりました。制作当時は卒業制作に追われて大変な思いをしましたが、実際にバッグになったのをみて、感激しています! 人間環境デザイン学科12期生 矢野紗由里(2018年3月卒) 小さい青字のKIOの集合体で、白の大きなKIOが浮き上がるデザインになっています。 そして、この青字のKIOには秘密の文字が隠されています。 受験生のみなさん、ぜひイベントなどで現物を手に入れて、秘密の文字を見つけてくださいね!
2018.06.01
ベビーマッサージ・マタニティヨガを体験!~助産学専攻科
平成30年5月21日に京都看護大学特任教授で助産院を開業されている森田婦美子先生から、マタニティヨガとベビーマッサージをご指導頂きました。 【マタニティヨガ】 マタニティヨガは、妊婦さんでも無理なくできるゆっくりとした動きで行う有酸素運動の一つです。体に負担がかからないストレッチを中心に、筋肉をほぐし、呼吸法を行います。これは、運動不足の解消だけでなく、出産に向けて骨盤を整え強化することにもつながり、同時に、自律神経のバランスを調整し、リラックス効果やマイナートラブル緩和への作用があります。また、呼吸を意識してメディテーション(瞑想)を行うことは、自分の体への気づきとなり、さらにおなかの中の赤ちゃんと向き合う時間になることを教えていただき、赤ちゃんと対話することにもつながることを学びました。 【ベビーマッサージ】 ベビーマッサージとは、赤ちゃんに優しく触れてマッサージをすることです。肌と肌で触れ合いながら親子のスキンシップをとることで、赤ちゃんに安らぎをもたらし、その心地よい刺激が赤ちゃんの心や体の発達に良い影響を与えると考えられています。またお母さん自身も、赤ちゃんの反応や気持ちを感じ取ることで、我が子への愛情が深まるというメリットがあると言われています。 ベビーマッサージは単に赤ちゃんに触れるということではなく、頭から足、中心から末梢に向かって行うことで脳や体の成長発達を促したり、お母さんが赤ちゃんに話しかけながら行うことで母子間での愛着形成が行われたりするなどの様々な効果があることを学ぶことができました。またこれらの効果が十分に得られるようにお母さんたちへのサポートを行うことが助産師として必要であると感じました。 助産学専攻科 英美帆・西口理美 【関連記事】 児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科 健康科学部長に学ぶ「超音波診断法の理論と実際」~助産学専攻科 平成30年度近畿地区助産師学生交流会 参加レポート!~助産学専攻科 妊娠中期・後期向け「両親学級」の演習を行いました!~助産学専攻科
2018.05.30
広陵消防署による「救急救命講習」を受講!~現代教育学科
教育学部現代教育学科1回生の必修科目である「キャリア形成セミナー」と「ベーシックセミナー」。その中で毎年実施している救急救命講習の活動を報告します。 救急救命講習は上記の授業の受講者200名あまりを3つのグループに分け、各グループ1回、計3回おこなわれます。平成30年5月24日(木)に1つめのグループが講習を受けました。当日は、奈良県広域消防組合の広陵消防署から5名の消防署員と6名の消防隊員の方々が講師として本学にお越しくださいました。 講習は授業2コマ、計180分を通して実施されますが、大きくは前半の座学と後半の実践トレーニングに分かれています。まず前半は教室で講習ビデオを視聴し、応急手当と救命措置の基本について学びました。傷病者の命を救い、社会復帰に導くための一連のおこないを「救命の連鎖」といいます。「救命の連鎖」は4つの輪がつながれることで成り立っています。このうち最後にあたる4つめの輪、「二次救命処置と心拍再開後の集中治療」は救急救命士や医師など専門家がおこなうものです。しかし最初の3つの輪、すなわち「心肺停止の予防」「早期認識と通報」「一次救命措置」はその場に居合わせた人(住民)がおこなうことを期待されています。この最初の3つの輪をいかにして4つめの輪につなげることができるか。その結果によって傷病者の命が助かる可能性や社会復帰できる可能性が大きく変わってくるのです。学生たちはビデオを通じて、心肺蘇生やAEDの使用など応急手当と救命措置の大切さを理解しました。 続く後半では場所をアリーナ(体育館)に移し、救命措置の実践トレーニングをおこないました。実践トレーニングでは講師の方々のご指導の下、学生たちが心肺蘇生練習用のマネキンを使って実際に心臓マッサージや人工呼吸、AEDの操作などに挑戦しました。ここでは、当たり前のようでいて実際には講習を受けていなければ気づかないだろう大切なことを学びました。 たとえば、救命措置に移る前に「車は来ていないか」など必ず周囲の安全を確認しなければいけないこと、周囲の人に協力を依頼する際には、「そこの眼鏡をかけた女の人、119番をお願いします」「そこの黒いシャツの男の人、AEDを探して来てください」「しばらく探して見つからなかったら、またここに戻って来てください」といった具合に、誰に何をいつまでお願いするかについて的確に指示する必要があることなどです。いざという時焦らずに済むよう、身近な場所や通勤・通学経路のどこにAEDが置いてあるか日頃から確認しておくことも大切な備えといえるでしょう。 また、心臓マッサージが思っていたよりもずっとハードな作業であることにも驚きました。適切な心臓マッサージをおこなうためには、成人の場合で胸骨を約5cm(おおよそ単3電池1個分の長さ)も沈ませなければならないそうです。正しい姿勢で、正しい位置に両手を置き、かなり思い切って圧迫しなければ効果的なマッサージにはならないとのこと。しかもこれを1分間に約100回のペースで続けなければならないそうです。かなりの体力とスタミナが要求されますので、複数の人間で交代しながら途切れないようマッサージをおこなっていくとよいとのことでした。講師の方々からの懇切丁寧なご指導の下、学生たちは額に汗をかきながら一生懸命心臓マッサージの練習に取り組んでいました。 今年の救急救命講習では、200名を超える学生が救命措置の基礎を学ぶことになります。彼/彼女たちの今後の長い人生の中では、いつ、どこで「もしも」の事態に遭遇するか分かりません。その時に適切な行動ができるよう、一人一人の学生が今回の講習で身につけた知識・スキルを「一生の宝」として忘れず持ち続けていってほしいと思います。さらには、そうした知識・スキルを持った人材を1年で200名、5年で1,000名、10年で2,000名と継続して世の中に送り出していくことは、大学の社会に対する使命を果たすことにもつながるのではないかと思いました。 末筆ながら、ご多忙中にも関わらず奈良県広域消防組合広陵消防署からお越しいただいた講師の方々にあらためて御礼を申し上げます。 現代教育学科准教授 石川裕之 【関連記事】 広陵消防署による救急救命講習~教育学部「キャリア形成セミナー」
2018.05.30
「エンゼルメイク」の演習を実施!~看護医療学科「終末期ケア論」
看護医療学科3年次に選択科目として開講している「終末期ケア論」ですが、今年も83名履修登録がありました。この授業では、外部からがん末期を生きる患者さんを迎えての講義やホスピス見学など、多彩な内容を盛り込んで多死社会を迎えるなかで「死にゆく対象の理解」を深め、適切な援助技術を理解することをめざしています。 今回は、臨死期の看護技術の一つである、エンゼルメイク(逝去時に身体や頭髪をきれいに整え、故人の生前の表情や血色に近いメイクを施し、「旅立ちにむけた整え」を行うことについてレポートします。 平成30年5月25日(金)の授業では、闘病による苦しみから解放された方の表情を柔らかくするためのマッサージや汚れを除去し血色の良いお顔になっていただくためのエンゼルメイクを演習しました。 ▼しわを伸ばし、表情が柔らかくなるようにマッサージする様子 この授業は、8名の男子学生も履修してくれていますが、女子と違って普段メイクをしない分マッサージや化粧に不慣れなようでした。しかし、丁寧なマッサージの様子から亡くなられた方の最期に関わる看護師の役割について、深く考えてくれていることがうかがえました。 ▼ファンデーションで顔色を整え、眉を描く様子 使用しているモデル人形は、すべて同じ顔をしていますが、グループ毎に特徴のあるメイクを施し、眉が凛々しいものやナチュラルで血色のよいもの、穏やかで安らかな表情のものなど、みんな違った顔が出来上がってきました。 中には「私の顔とよく似ているでしょ」と人形のメイクも現在風に仕上がったグループもありました。 ▼ご遺体を想定した人形へのメイクは自身の化粧とは違い難しい・・・ グループで協力して、メイクを仕上げ旅立ちの準備を整えた学生たちは 「逝去されたあとの化粧というと、とても難しい」 「ご遺族がどのような表情を希望されるのかを伺ってメイクしたい」 「元気なころを思い出していただけるような血色を実現できた」 「耳たぶに少し赤味をいれることで数段見栄えが良くなった」 「ご遺族が希望されれば、一緒にメイクしていただきたい」 「最期のときに関わらせていただくので、敬意をもって丁寧なケアを心がけたい」 など、演習後にそれぞれの感想を述べていました。 わが国では、核家族化や8割を超える人が病院で死亡しているという社会背景があり、若者が近親者の死を看取る機会も少なくなっていますが、学生はこの授業を通して 「いつも祖父が亡くなったときのことを思い出して、そこでの経験と授業内容を重ねて考えています」 「家族として臨終のときに看護師にしてもらったことで嬉しかったことを自分もして差し上げたい」 「祖母を看取ったとき、授業で習った臨死期に出現する症状が出ていた」 「最期のときに、この看護師さんに関わってもらえてよかったと家族に思ってもらえるケアをしたい」 と自身が経験したこと、授業で得た学びを紡ぎながら死生観や看護観を構築してくれています。 「最期の数時間に起こったことは、残された者の記憶に留まりつづける」 といわれているように、お別れの時に穏やかな表情で送ることは、遺族ケアの第一段階であることを学生と共有できた貴重な演習となりました。 看護医療学科講師 大友絵利香 【関連記事】 がんから学ぶ「生」と「死」~看護医療学科「終末期ケア論」レポート 救急看護の基本、心肺蘇生法を学ぶ!~看護医療学科「急性期看護学援助論Ⅱ」
2018.05.29
3回生対象「第3回基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科
3回生を対象とした「基礎看護技術自己学修会」を開催! 看護医療学科では、1回生の前期から2回生の前期にかけての1年半で基礎看護学について学び、講義や演習を通して基礎看護技術の修得をめざします。しかし、修得した基礎看護技術を定着させるためには反復練習が必要で、意識して練習する機会を持たなければ、せっかく修得した技術もやがて忘れてしまいます。 そこで、学生が、自分の基礎看護技術の修得状況の現状を把握し、各論実習に向けて意欲的に自己学修に取り組むきっかけとなれば…と考え、「基礎看護技術自己学修会」を企画・開催しています。 平成30年5月25日(金)は、「臥床患者の寝衣交換」をテーマに自己学修会を行い、16名の学生が参加しました。 治療上の理由により、ベッド上での安静が必要な患者さんに対する寝衣交換は、臨床で実施する機会が多い援助のひとつです。患者さんにとって、新しい寝衣に着替えることは気持ち良さをもたらし、気分転換の機会ともなります。しかし、患者さんが「気持ち良い」と感じられるためには、看護者の確実な技術修得が重要となります。 今回の自己学修会では、3名の学生有志が企画に加わりました。教員との検討の結果、「臥床患者の寝衣交換」と「右半身麻痺のある患者の寝衣交換」をテーマとして自己学修会を行うことになりました。 学修会当日は、久々に実施した寝衣交換に、参加した学生の誰もが四苦八苦していましたが、教員のアドバイスを受けつつ何度も練習し、徐々にスムーズに実施できるようになりました。また、「右半身麻痺のある患者の寝衣交換」では、どのように援助すれば、患者さんが安全に安楽に更衣できるのか、汗をかきつつ時間の経つのも忘れて、熱心に練習していました。 寝衣交換をはじめとして、洗髪や足浴、清拭などの清潔に関わる援助は、身体を清潔にするだけでなく、患者さんの心を癒すことにもつながる大切な援助です。 今回の学修会をきっかけとして、一人でも多くの学生が、患者さんが「気持ち良い」と感じられる援助を提供できるよう、基礎看護技術の修得に励むことを願います。 看護医療学科 基礎看護学領域 林 有学・須藤 聖子・小林 智子・中西 恵理 【関連記事】 3回生対象「基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 新生児蘇生法(NCPR)一次コース講習会を開催!~看護医療学科 「母性看護学援助論Ⅰ」教員による授業レポート~看護医療学科 平成29年度「臨地実習指導者研修会」を開催!~看護医療学科
2018.05.29
2018年度「マミポコ・キッズ」前期第1・2回活動報告!
こんにちは、マミポコ・キッズです! 私たちは地域の子どもたちを大学に招待して、様々な遊びを行っています。今回は、2018年前期の第1・2回の活動の様子を振り返ってご紹介します! 第1回:4月29日(日) まず初めに「なふだづくり」をして、個性豊かでオリジナリティにあふれた名札を作りました。最後には「なみなみじゃんけん」というゲームをしました。グループのみんなで応援しながら楽しくゲームをすることができました。 初めての活動ということで子どもたちも大学生も緊張していました。でも、活動をしていくうちに緊張がほぐれ、たくさん笑顔を見ることができました。 ▼「ラインナップ」枠から出ずに並び替われたかな? ▼「ひみつの宅急便」お届け物はどこにあるかな? ▼「なみなみじゃんけん」グループの友達を応援しよう! 第2回:5月13日(日) マミポコ・キッズの雰囲気に少し慣れて、「〇✖じゅうたんクイズ」というゲームをしました。これはグループで協力して〇×クイズに答えていき、間違えてしまうとじゅうたんが小さくなっていくというゲームです。 グループの皆で納得がいくまで相談をして、〇か×を決めている姿を多く見ることができました。じゅうたんから落ちてしまわないように協力もでき、グループの仲がより深まるとても良いゲームになりました。 ▼「〇×じゅうたん」クイズに正解できたかな? ▼「にょっき」友達のことを知ろう! ▼「にがおえリレー」リーダーさんの似顔絵を描こう! マミポコ・キッズでは毎回当日スタッフの方のご協力のもと活動を行っています。これからも、たくさんの当日スタッフの方の参加をお待ちしております。今後とも、マミポコ・キッズをよろしくお願い致します。 現代教育学科3回生 樋口茉悠 元神有未 2回生 奥田奈緒 中木屋佑香 【関連記事・リンク】 マミポコ・キッズ マミポコ親子ひろば 2017年度「マミポコ・キッズ」後期第3・4回活動報告! 2017年度「マミポコ・キッズ」後期第1回活動報告!
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