タグ
健康科学専攻(修士課程)
2024.06.30
第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科
畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程3年の古賀 優之です。2024年6月8日(土)、9日(日)に長崎で開催された第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会 において、私たちは「人工膝関節全置換術患者における疼痛/運動恐怖と膝の運動学的データの関連性」というテーマで発表し、一般口述演題奨励賞を受賞しました! 学会発表内容のご紹介 人工膝関節全置換術は、膝の痛みや歩行・階段昇降動作の困難さを改善するのに有効ですが、比較的大きな手術侵襲が伴うことから術後のリハビリテーションにおいて膝周囲に過度な力が入り、膝の曲げ伸ばし運動が不規則な動きになる症例を経験することがあります。そこで私たちは、骨指標にマーカーを貼り付け、ベッド上でシンプルな膝の屈伸運動を撮影した動画データをトラッキングして、その角度変化から運動学的データ(速さ、大きさ、躊躇、円滑さ)を算出しました。運動学的データと痛みや恐怖心の強さとの関連を分析したところ、術後1週の安静時痛が術後2週の円滑さ低下の要因となっていることや、術後1週の運動の小ささが術後2週の安静時痛の要因となっていることが示唆されました。 本研究は、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡 周教授による指導のもと、同大学院研究生の藤井 慎太郎氏、客員研究員/長崎大学生命医科学域(保健学系)西 祐樹氏と共同で進められた研究であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。 また、本学会では客員准教授の生野 公貴先生がポスター演題最優秀賞、修士課程を畿央大学大学院で修了されている田中 創氏が一般口述演題最優秀賞を受賞されている他、各種講演・セミナーの講師や座長、シンポジスト、一般口述・ポスター演題発表など、大学院生や修了生が幅広く活躍されており、ペインリハビリテーション領域における畿央大学の貢献をあらためて感じる機会となりました。 ▶生野 公貴 先生 ポスター演題最優秀賞のブログ記事はこちら 本学会で感じた熱量を次の研究に繋ぎ、ペインリハビリテーションのさらなる発展の一助となれるよう、引き続き研鑽に努めていきたいと思います。 健康科学研究科 博士後期課程3年 古賀 優之 関連記事 チームKIOによる快挙!第28回日本ペインリハビリテーション学会学術大会でポスター演題最優秀賞を受賞!~健康科学研究科 第66回日本老年医学会学術集会で修了生と教員が発表しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 OARSI2024(世界関節症会議学術大会)で教員が研究成果を発表しました~理学療法学科 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん
2024.06.20
第66回日本老年医学会学術集会で修了生と教員が発表しました!~健康科学研究科
2024年6月13日(木)~15日(土)にかけて第66回 日本老年医学会学術集会が愛知県名古屋市(ウィンクあいち)で開催されました。畿央大学 大学院健康科学研究科 地域リハビリテーション研究室からは一般演題として、高取 克彦教授と私 中北 智士(客員研究員/紀の川市役所・貴志川リハビリテーション病院)が口述発表を行いました。 学会発表内容のご紹介 高取 克彦教授:「運動を中心とした地域在住高齢者の『通いの場』における参加者の状態像から見た類型化の試み」 地域リハビリテーション活動支援事業で関わっている奈良県生駒市の運動主体の通いの場の新たな類型化を試みたもので、同じような体操を実施している運動拠点間でも、比較的年齢が若く元気なグループから参加者全員が高齢で心身機能の危険性が高いグループまで、状態像が異なることを明らかにしたものです。 これまでの通い場に対する支援は、体操指導や体力測定など画一的なプログラムであることが多く、本研究はリハビリテーション専門職種の強みを生かし、各運動拠点に応じた支援の必要性を示唆しました。 中北 智士:「COVID-19パンデミック前後における地域在住高齢者のフレイルステータスの変化:過疎・非過疎地域での比較」 和歌山県紀の川市におけるCOVID-19パンデミックの影響を、同一自治体内の過疎地域と非過疎地域で調査したもので、過疎地域でよりパンデミックの影響を受けていることが明らかとなりました。フレイル対策推進のためには、このような地域内格差を把握し、地域特性に応じた介入の重要性を示唆しました。 第66回日本老年医学会学術集会は「4つの愛(I :Integration, Innovation, Interdisciplinarity, Artificial Intelligence)で拓く老年医学の展望」というテーマで開催されました。日本の大きな課題の一つである認知症関連や自動車運転、ICT活用など時代を反映した発表が増えている印象でした。また、大規模データを活用した研究発表が多い一方で、地域課題の解決につながる研究や研究成果の社会実装の重要性を感じました。 老年医学会は多職種の方々が参加されているため、様々な視点から意見交換がなされています。これからも偏った知識とならないよう、新たな知見に触れ、地域社会に還元できるように取り組んでいきたいと思います。 畿央大学 大学院健康科学研究科 修士課程修了生 客員研究員 紀の川市役所/貴志川リハビリテーション病院 中北 智士 【参考記事】 チームKIOによる快挙!第28回日本ペインリハビリテーション学会学術大会でポスター演題最優秀賞を受賞!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 OARSI2024(世界関節症会議学術大会)で教員が研究成果を発表しました~理学療法学科 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん
2024.06.17
チームKIOによる快挙!第28回日本ペインリハビリテーション学会学術大会でポスター演題最優秀賞を受賞!~健康科学研究科
第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会 において、ポスター演題最優秀賞を受賞しました! 健康科学研究科 客員准教授の生野 公貴です。先日、長崎で開催された第28回日本ペインリハビリテーション学会 学術大会において、私たちの研究がポスター演題にて最優秀賞を受賞しました。 今回我々は「神経障害性疼痛に対するしびれ同調経皮的電気神経刺激による自覚的疼痛強度と脳波の変化:症例報告」というテーマで発表しました。 学会発表内容のご紹介 神経障害性疼痛は、異常感覚やしびれ感などを伴い、生活の質を大きく損なうことがあります。我々はしびれ同調経皮的電気神経刺激(TENS)という新たな介入方法を開発し、その有効性が注目されてきつつありましたが、その作用メカニズムはまだ不明でした。そこで今回の研究では、脊髄炎によるしびれ感や触覚アロディニア(痛覚過敏)を呈する症例に対し、しびれ同調TENSを用いてその効果を脳活動とともに検証しました。その結果、しびれ同調TENSにより自覚的疼痛強度が低下した時の脳波は、脳の前頭領域のアルファ波のパワー値が増大しており、感覚領域からの結合により生じている可能性が示唆されました。 この研究は、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの大住 倫弘准教授や、現在大学院生であり、私の勤務先の同僚でもある井川 祐樹氏、畿央大学大学院出身者で現在客員研究員かつ長崎大学生命医科学域の助教であられる西 祐樹氏との共同研究であり、まさにチームKIOによる研究です。 まだまだ予備的な段階ではありますが、この受賞に恥じないよう、また痛みに困っておられる患者様のお役に立てるよう今後も研究を続けたいと思います。 健康科学研究科 客員准教授 生野公貴 【関連記事】 理学療法学科 海外インターンシップ2024 vol.2~フランスの理学療法士と交流! 理学療法学科 海外インターンシップ2024~タイの理学療法士が来校! 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 その人らしさに寄り添う理学療法~理学療法学科 第11回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」 TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.91~新1回生対象説明会&機器体験会を開催! OARSI2024(世界関節症会議学術大会)で教員が研究成果を発表しました~理学療法学科 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 2024年度 新入学生研修 学科別レポートvol.2~理学療法学科
2024.05.17
【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。
本学大学院博士後期課程/摂南総合病院の 赤口 諒氏)らの研究グループによる成果がClinical neurophysiologyに掲載されています。 本研究では、慢性期脳卒中患者の把持力調節の特徴把握のために、物体重量に応じた力調節、動作安定性、予測制御の3つの観点から評価し、①過剰な力発揮、②把持動作時の安定性低下、③予測制御の停滞という3つの特徴を見出しました。これらの運動制御の停滞が運動麻痺よりもむしろ感覚障害に強く影響を受けることが明らかになりました。 また今回の評価方法の測定には、把持力計測装置を使用し、既存の研究で明らかにされた制御方略と計測・解析方法を臨床に応用できる新しいアプローチを開発しました。運動制御のどの側面に停滞が生じているのかを感覚障害との関連から見極めた上で適切な課題設定や動作指導を行うことができれば、残存機能を最大限に活用した動作獲得を目指す上での足掛かりとなる可能性があります。これは脳卒中リハビリテーションの分野における大きな進歩を示しており、今後の治療法の発展に寄与することが期待されます。 尚、本研究で使用した把持力計測装置は、国立障害者リハビリテーションセンター研究所・神経筋機能障害研究室の研究成果をもとに、株式会社テック技販が既に製品化しています。 関連記事 運動出力の調節には「感覚フィードバック」が重要~ニューロリハビリテーション研究センター
2024.04.23
OARSI2024(世界関節症会議学術大会)で教員が研究成果を発表しました~理学療法学科
理学療法学科の瓜谷です。4月18日(木)~21日(日)の4日間、オーストリアのウイーンで開催された世界関節症会議学術大会(Osteoarthritis Research Society International 2024:OARSI2024)に参加し、研究成果をポスター発表してきました。 この学会は関節症に関する世界最大の国際学会です。ウイーンでは2020年4月に開催される予定でしたが、コロナ禍で中止となり、4年越しでウイーンでの開催となりました。私自身も2020年の開催に参加予定でしたが叶わず、この学会には2018年以来の参加となりました。 ▼会場のMesse Wien Exhibition and Congress Center 今回のポスター発表では、歩行中の足への体重のかけ方によって膝蓋骨と大腿骨の間に加わる圧縮力が変化することについて報告しました。研究の内容に対して、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど世界各国の研究者に関心を持ってもらい、質問やアドバイスを多くいただきました。 会期中には2017~2018年に在外研究で滞在したメルボルン大学のKim Bennell教授はじめ研究所のメンバーと再会し、旧交を温めました。 コロナ禍でしばらく参加できませんでしたが、国際学会はいつも知的好奇心を刺激され、モチベーションを高めてくれます。新たなアイデアや発見も色々と見つかりましたので、それらを少しずつ形にしていきたいと思います。 理学療法学科 准教授 瓜谷 大輔 【関連記事】 「第16回アジア理学療法連盟学術大会」に教員と大学院生が参加!~健康科学研究科 第44回バイオメカニズム学術講演会(SOBIM2023 in 北九州)に教員・大学院生が参加しました!~健康科学研究科 瓜谷ゼミ「インソールセミナー」学部生レポート!~理学療法学科 瓜谷ゼミがインソールのセミナーに参加しました!~理学療法学科 「第11回日本運動器理学療法学会学術大会」院生レポート~健康科学研究科 「第11回日本運動器理学療法学会学術大会」在学生レポート~理学療法学科 学部生と大学院生が第11回日本運動器理学療法学会学術大会に参加しました~理学療法学科・健康科学研究科 卒業研究に向けて、瓜谷研究室が合同勉強会を実施!~理学療法学科 奈良学園大学 池田教授による質的研究勉強会を開催!~健康科学研究科 瓜谷研究室 大学院生が「第33回岐阜県理学療法学会学術集会」で奨励賞に選出!~健康科学研究科 メルボルン大学の研究チームとしてイギリスへ!~理学療法学科瓜谷准教授 平成29年度在外研究~メルボルンからの現地レポート
2024.04.18
【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん
学外実習先の症例を基に卒業研究として取り組み、国家試験受験前の在学中にその研究成果が国際誌「Cureus」誌に掲載された理学療法学科18期生、森岡周ゼミの岩佐しおりさん。無事に国家試験にも合格し、この春から学外実習と卒業研究でお世話になった摂南総合病院に就職することになりました。 今回は岩佐さんと、摂南総合病院 リハビリテーション科 赤口諒さん(健康科学研究科博士後期課程在籍/本学理学療法学科8期生)のお二人にインタビューさせていただきました。 卒業研究を取り組んだきっかけについて教えてください。 岩佐さん) 総合臨床実習のⅡ期で摂南総合病院へ実習に行くことになり、森岡先生から学生の間から卒業研究として症例研究をできないかとお声がけいただいたのが始まりです。 卒業研究の題材としてはこれがしたいと明確に決めていたものはないですが、いろんなものを見てみたいという気持ちがあったので内容については赤口さんと相談しながら決めました。 実習と並行し、卒業研究に取り組んだことの苦労は? 岩佐さん) Ⅰ期の実習先は急性期の病院でⅡ期の摂南総合病院は回復期の病院でした。私にとっては、回復期の病院で患者さんの様子をよりじっくり観察して、プランを考える過程の方が自分に合っているなと感じました。ただ、実習と研究の両方を考えることで、途中は乗り切れるか不安になることもありました。 赤口さん) 最初は実習生の一人として来て、学生ならではの悩みもあるように感じていました。同じ病院にいる同期の実習指導者(同じく本学理学療法8期生)と相談し、実習と症例研究は全くの別物と捉え、普段の実習指導は同期が担当し、私は岩佐さんが関わっている症例の経過を計測機器データも含めて追うことを岩佐さんと一緒にしました。 結果的には当院に就職いただきましたが、根拠を持って理学療法を実践することが大前提ですので、症例研究を学生の時から実行することは、理学療法士になる上でとても大切なことと考え、協力して進めていきました。 実習先で取り組んだ症例が卒業研究として形になりましたが、どうでしたか? 岩佐さん) 考察する段階では、自分の知識だけでは不足していることもありますし、最初はどうことばで表現するか悩みました。また、卒業研究発表会で話すときは時間内で、論文化する時は決められた文字数内でどのようにして表現すればうまく伝えることができるかという難しさも経験できました。卒業研究の発表会当日は、発表を聞いていただいた先生にたくさん質問いただきましたが、自分自身発表することが苦手でもあったので、うまく返答できなかったと思うところはありますが、とても良い経験ができました。 発表後論文に仕上げていく過程は国試の勉強と並行して取り組みましたが、森岡先生、赤口さんにもかなり助けていただきました。 赤口さん) 論文化するのは複数人で取り組むことが大半ですし、岩佐さんは考察することやデータをまとめること等、英語にするまでのところをしっかりと貢献してくれたと思います。最終的に論文としての体裁を整えるために英語にする過程や国際誌に載せるような仕上げるところは私たちが進めることだと思いますので。 新型コロナウイルスによる制約がある中での入学でしたが、4年間を振り返りいかがでしょうか? 岩佐さん) コロナ禍の入学だったので最初の一年はほぼ何もなかったように感じました。授業でもグループワークで議論することはあって、最初は意見を譲ってしまうことも多かったと思っています。 ゼミで研究を進めていくと、みんながより真剣にやっているからこそ本音をぶつけ合って、意見を出しあえるようになれました。ゼミで発表の練習をしあったり、お互いに質問して仕上げる過程を経験できたことはとても良かったです。 学外実習の実習先にそのまま就職しますが、どのような気持ちですか? 岩佐さん) 実習に行って皆さん勉強熱心で様々なことに取り組まれている雰囲気を見ているので、自分自身がついていけるのだろうかという不安が今は一番大きいですね。でもその場所で一緒に働くことができるのが楽しみでもあります。 一緒に研究に取り組んだ学生が就職することへの期待はありますか? 赤口さん) 様々なプレッシャーを感じ、それを処理することは人間性を養うために重要な要素です。 理学療法士として環境に揉まれながらも適応していくことで自信をつけていき、どこでも必要とされる人材になって欲しいと思います。人物像はそれぞれ違うと思うので、これからどういう風に成長していくかを楽しみにしながら一緒に働いていきたいと思います。 卒業生・修了生として、また理学療法士の先輩という立場から見た畿央生の印象はいかがですか? 赤口さん) 自分自身は畿央大学のことが大好きでいい思い出もいっぱいあります。また大学院に通っていたり、非常勤教員として今も関わっていることだけでなく、将来関わっていきたい先生方もたくさんおられます。これからも関係が続いていけばと思っております。 毎年様々な学校から実習生を受け入れていますが、畿央生は真面目で熱心な学生も多く安心して迎えられているなと思います。毎年来てくれる学生さんを見ているので、どんな人が来るのかは楽しみですね。 理学療法学科 森岡 周教授コメント この症例は実際に岩佐さんが臨床実習で経験し、その経過を指導者と縦断的にとらえたものです。この症例は「1リットルの涙」でも取り上げられた脊髄小脳変性症と診断された方でした。進行性の神経疾患により、運動や姿勢のコントロールに大きな困難があり、多くの患者さんがバランスを失い転倒する状況の中、岩佐さんは観察に加えて、重心動揺や筋活動を測定する計測器を用いて症状を詳細に調査しました。得られたデータに基づいて理学療法を段階的に適用し、その効果を実証する重要な成果を得ることができました。彼女の姿勢は、日々の観察記録を残し、それらをもとに最適な理学療法を選択し実行することを教えてくれます。結果として、国際誌に掲載されたことは、彼女にとって自信につながったのではないでしょうか。 関連記事 脊髄小脳失調症患者の立位姿勢制御能改善に着眼した効果的な理学療法:症例報告~ニューロリハビリテーション研究センター 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん
2024.04.13
【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん
学外実習先の症例を基に卒業研究として取り組み、国家試験受験前の在学中にその研究成果が国際誌「Cureus」誌に掲載された理学療法学科18期生、森岡周ゼミの淡路彩夏さん。この春からは、学外実習と卒業研究でお世話になった岸和田リハビリテーション病院に就職することになりました。 今回は淡路さんと、岸和田リハビリテーション病院 リハビリテーション部副部長 渕上健さん(本学大学院健康科学研究科客員准教授/健康科学研究科博士後期課程修了生)のお二人にインタビューさせていただきました。 卒業研究を取り組んだきっかけについて教えてください。 淡路さん) 元々運動主体感に興味をもっていて、森岡先生から実習先の病院で研究してみてもいいのではないかと言ってもらいました。また岸和田リハビリテーション病院は研究も積極的な施設でもあり、是非やってみたいなと思っていました。 渕上さん) 森岡先生から淡路さんの卒業研究に対して相談がありましたが、研究が負荷になることもあるので実習の進捗を見ながらの判断でした。私自身もこのような経験は初めてだったのですが、淡路さんの実習はとても順調に進んでいたので研究のことを話してみたら、「是非やってみたいです!」と言ってくれたので取り組むことになりました。 研究計画に関しては、私と緒方さん(本学修士課程)の共同研究でもあったので、院内の手続きもスムーズに進められました。後は取り組みたい内容に沿った患者さんがおられたのも良かったと思います。当院はセラピストが研究に取り組む土壌がありますし、淡路さんが初めての研究で不足する部分を補える環境であったと思います。 実習と並行し、卒業研究に取り組んだことの苦労は? 淡路さん) 実習中は1日6人くらいの患者さんを見させていただいたのですが、それとは別で見ていました。最初はレジュメを書くときにどの患者さんの内容だったのかと混乱することもあったので、それを整理していくことも経験になりました。 総合臨床実習のⅡ期は別の病院だったので、その時期は実習に集中できるよう配慮いただき、データは共有していただきました。実習を終えた8月後半くらいから本格的に研究をまとめていきました。 渕上さん) 実習はしっかりと進めていかないといけないし、そのプラスアルファで取り組むのは大変だったとは思うのですが、そんな様子も見せず淡々と取り組んでいたのではないかなと思います。 実習先で取り組んだ症例が卒業研究として形になりましたが、どうでしたか? 淡路さん) 最初、卒業研究の話をいただいたときは概要を理解することに必死で、実際に卒業研究発表会の壇上に立つ際に一人で発表できるのか、不安が本当に大きかったです。 森岡先生や渕上先生、緒方先生にも助言いただきながら卒業研究の発表に臨み、その後に質問を受けることもありましたが、私の中で一つ自信になった経験だと思います。 新型コロナウイルスによる制約がある中での入学でしたが、4年間を振り返りいかがでしょうか? 淡路さん) 最初はオンライン中心だったので同級生との接点もほとんどなく、みんなどんな感じで勉強しているのかもわからない状態でした。ただ日々の課題をこなしていくだけで自分の中での目標も立てづらく、2回生の前期くらいまで不安がありました。2回生後期から学内での授業もより本格的になり、そこからは友達と勉強の仕方などを話せるようになって、自分なりの勉強方法をつくっていけたと思います。 森岡ゼミでは好きな論文を選んでそれぞれが発表し質問しあう形式の授業だったので、論文の理解を一週間でどれくらい仕上げられるかという部分は鍛えられたと思います。 また森岡先生には発表した論文のことだけでなく、ご自身の研究の話などたくさん聞かせていただき、より深い勉強ができたと思います。 一緒に研究に取り組んだ学生が就職することへの期待はありますか? 渕上さん) 私の中では一つの卒業研究から論文にするその過程は大変だと思っているので、一緒にできたことは大きいです。その過程の中で淡路さんのことをより深く知ることができたので、就職前にできたことはプラスだと思っています。 臨床家は臨床と研究と教育の3つを行う中で、業務に追われて研究が疎かになってしまいがちになることがあります。淡路さんが入職前に研究にちょっと触れて、「これからも続けます」と言ってくれたのは心強いです。 理学療法士の先輩や院の修了生という立場から見た、畿央生の印象はいかがですか? 渕上さん) 畿央大学とは理学療法士3年目の時からのもう15年以上の関わりになるのですが、先生方が最新の論文を読み、その根拠に基づいて授業されているので、現場で新しいことがあっても学生さんはすぐに理解してくれる印象を持っています。当院も根拠に基づく医療を行うことを推して臨床をつくっていっているので、関わりやすいなと思います。 今後の目標について教えてください。 淡路さん) 基本的な検査の技術や知識を定着させていくのは勿論のこと、大学の先生方や実習で関わった指導者の皆さんのように何か自分の専門知識や得意分野を磨いていけたらと思います。 理学療法学科 森岡 周教授コメント 症例報告や症例研究をまとめることは、臨床家にとって思考を整理し、関連する先行研究を調査し、自らが関与したケースと比較する上で重要です。私が臨床実習をしていた30年以上前には、担当した症例についての報告が学術雑誌に受理されるレベルであることが求められました。時代が変わり、学生への過度な負担を避けることが望まれる現在、大学と臨床施設は協力して、学生の学習や研究に対して新たな融合を促進し、向き合うことが重要だと考えています。 淡路さんは岸和田リハビリテーション病院に入職しました。これは新しいキャリア形成の手法と考えられます。このような機会が提供されるのは、畿央大学が現場のセラピストを対象に社会人大学院をいち早く開設し、博士後期課程に至るまでの充実した教育体系を築き、多くの博士を輩出してきた結果だと自負しています。 関連記事 振動を用いた接触タイミング知覚生起が脳卒中後上肢機能に及ぼす影響:症例報告~ニューロリハビリテーション研究センター 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん
2024.03.25
山本 隆教授の最終講義が行われました。
本年度でご退職されます健康科学部健康栄養学科、大学院健康科学研究科の山本 隆教授の最終講義「半世紀以上に及ぶ研究生活を振り返って-味覚とおいしさの研究-」が上地 加容子教授の司会のもと、3月21日(木)に行われました。多くの学生・教職員らが出席され、熱心に聴講されていました。 いつも通りの楽しい語り口でご自身の研究者生活を振り返られ、これまでの研究業績などを紹介していただきました。講義の後には記念品、花束贈呈が行われました。 山本先生は主に味覚の研究分野において数多くの新たな発見をされ、常に時代の最先端を行く、世界でトップクラスの研究者でありました。偉大な業績をお持ちの研究者であるにも関わらず、先生に憧れ研究したい者がいれば知識や経験がなくとも受け入れてくださり、指導者として、また、ある時はまるで仲間のように一緒に研究に取り組んでくださいました。 磨かれ続けてきた知力、発想の柔軟さ、広く全体を見渡すことのできる視野の広さ、新しいことを享受することをいとわない知的好奇心の旺盛さなど、山本先生の素晴らしいところを挙げるとキリがなく、たくさんのことを先生から学ばせていただきました。そんな山本先生が畿央大学からいなくなられることが寂しくてなりません。 寂しい気持ちはありますが、山本先生から最後にメッセージとしていただいた「誰もやっていないことを楽しく、競争心を持ってコツコツやること」を忘れず新たなことに挑戦し続けたいと思います。先生と過ごさせていただいた時間は私たちにとって一生の宝物です。 長い間大変お世話になりました。心から、ありがとうございました。 健康栄養学科 助手 水田 晴野 【関連記事】 衛生対策商品メーカー、株式会社サンロードとの意見交換・交流会!~健康栄養学科 上地ゼミ 学生考案のメニューがならコープらくらくお料理パックに新登場!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良 楽しく見るだけで食課題解決!大学生食提案プロジェクト~健康栄養学科「公衆栄養学実習」 ヘルスチーム菜良 学食コラボメニュー“ボロネーゼ風トマトパスタ”12/7.15限定発売します!! 令和5年度 健康栄養学科卒業研究発表会を開催! 夏のオープンキャンパスで「一食の栄養量を調べよう!」企画に協力!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良 令和5年度近畿農政局食育ネットワーク交流会で親子向け食育活動!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良
2024.03.19
日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター
2024年3月7-8日、フランス・リヨンにおいて、日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st Meetingが開催されました。 CREST:国立研究開発法人科学技術振興機構による戦略的創造研究推進事業 ANR:The French National Research Agency (ANR) NARRABODY:Narrative embodiment: neurocognitive mechanisms and its application to VR intervention techniques (ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用) CRESTは国内の競争的科学研究費としてはトップに位置するもので、本学森岡周教授らの日仏合同研究チームが2.74億円(5年6ヵ月/3研究室合同)の研究費を取得しています。 【プレスリリース】森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 1日目(3月7日)スケジュール The Director’s welcome ■ Yves Rossetti : introduction ■ Sotaro Shimada : The Narrabody Project ■ Gilles Rode : Presentation of the hospital and professionals ■ Tachibana Shotaro : Cultural comparison of Japanese and French rehabilitation ■ Noémie Larbi & Y Rossetti: La psychomotricité : between neurosciences and phenomenology Visit : The Mouvement & Handicap facilities Visit : Facilities for rehabilitation (Sébastien Mateo) ■ Afternoon session (Morioka Shu, Chair) ■ Preliminary results: ■ Tachibana Shotaro : self-efficiency measures ■ Hugo Ardaillon & G Rode : self-portraits as narrative and sensorimotor reports ■ Laurence Havé & François Quesque: ownership and agency following a left parietal lesion ■ Pr Morioka & G Rode : the pathologies relevant for NARRABODY ■ Central, peripheral, pure motor, sensory deficits, … ■ Yvan Sonjon, Eric Chabanat & J-B Van der Henst : Chronic pain and efficiency ■ Matthias Buffet & Noémi Larbi : self-narratives and anosognosia Discussions ▼左:1日目のMTGの前に訪れたリヨン大学神経科病院。この奥にフランス国立衛生医学研究所(Institut national de la santé et de la recherche médicale:INSERM)がありました。 ▼右:1日目のMTGが行われたリヨン大学病院 2日目(3月8日)スケジュール Morning session (J-M Roy, Chair) ■ Morioka Shu: Introduction ■ J-M Roy, Tanaka Shogo, and Tachibana Shotaro: Semi-structured interview with patients Discussion ■ What are the ideal common patients’ populations in Japan and France? Inclusion criteria Outcome measures for motor function ■ Box and block test, Nine hole peg test, ARAT, kinematics… ■ 10 m walking speed Interview and assessment schedule (per week?) Physiological measure ? (ECG, resting-state EEG, pupil diameter…) Anticipating ethical requirements & data sharing… Miscellaneous Afternoon session (Shimada Sotaro, Chair) ■ Tachibana Shotaro : self-efficiency measures ■ YuanLiang Zhu & YR : Efficiency boost for reaching? ■ Shimada Sotaro : Narrative-EEG measurement on RHI and FBI ■ Sebastien Mateo & YR : Efficiency boost for walking? ■ Discussions ▼2日目のMTGが行われたリヨン大学・高等師範学校(École Normale Supérieure de Lyon:ENS-Lyon)。この中のデカルト館にてミーティングが実施されました。 第1回ミーティングについて 日本側からは嶋田 総太郎 教授(明治大学)、森岡 周 教授(畿央大学)、信迫 悟志(畿央大学)が現地参加し、2日目のミーティングでは、田中 彰吾 教授(東海大学)がWebで参加されました。フランス側からはYves Rossetti教授(リヨン神経科学研究センター)、Gilles Rode教授(リヨン大学)、Jean-Michel Roy教授(ENS-Lyon)をはじめ、François Osiurak教授(リヨン大学)、Shotaro Tachibana研究員(リヨン大学病院)、多くの共同研究者、大学院生らが参加されました。 ミーティングでは、本研究課題の核となるナラティブ・インタビュー項目の詳細、日仏の医療制度・文化の違い、ナラティブ-ミニマル相関コヒーレント分析、包含・除外基準、追加すべき測定項目、パイロットスタディ、ケーススタディなど、研究計画の詳細について、アフターディスカッションも含めて約28時間の活発なディスカッションが行われました。また本研究課題のPreliminary resultsの報告や関連したケーススタディの報告も行われました。その中には非常に稀有なケースについて、詳細に分析したとても興味深い報告もあり、同じ建物内に病院と研究機関が存在し、医師、セラピスト、研究者が一例について非常に詳しく観察評価し議論できる環境を整備しているフランスの臨床研究力の高さを目の当たりにすることができました。こうした環境を日本の臨床施設でも整える必要があると強く感じました。 こうした科学力の高さだけでなく、期間中の移動や食事を全てアテンドしてくださり、フランス側の研究者らの優しさ、思いやりの深さに強い感銘を受けました。 この第1回ミーティングは、NARRABODYを通じた認知神経科学-哲学(現象学)-ニューロリハビリテーションの今後の展開において、非常に重要な第一歩になったと感じています。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 准教授 信迫 悟志 【関連サイト】 JST CREST「マルチセンシング」領域2023年度 領域会議が京都・知恩院で開催されました~ニューロリハビリテーション研究センター 森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 2023年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)新規採択課題・総括総評 国立研究開発法人学術技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST) 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
2024.02.06
JST CREST「マルチセンシング」領域2023年度 領域会議が京都・知恩院で開催されました~ニューロリハビリテーション研究センター
1月17日から19日にかけて、JST CREST「マルチセンシング」領域2023年度 領域会議が京都・知恩院で開催されました。 本年度からすべてのグループが一同にかえし、それぞれの研究の進捗状況や成果が報告され、学際的な議論がされました。今回、本学関係としては、私、信迫悟志 准教授、大住倫弘 准教授、林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学・助教)が参加しました。私たちは、Narrative embodiment: neurocognitive mechanisms and its application to VR intervention techniques (ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用)のチームの一員として議論に加わりました。 終日、研究内容に関する議論が続く中、今回は本プログラム総括である入來篤史先生(理化学研究所 未来戦略室・上級研究員)の配慮により、私たちは御影堂、阿弥陀堂、集会堂を訪れる機会を得ました。そこで、私たちは自らの体を使ってセンシングを行い、念仏を唱え、約100名の研究者がシンクロさせつつ、木魚を叩くなどの行為を通じて、意識経験を直接体感しました。加えて、加藤執事の説教を聞きながら、木魚の構造、南無阿弥陀仏の意味、さらには知恩院と徳川家康や於大の方との関係について、いま現在の自己の体験とこれまでの自伝的自己に基づく知識を統合して学ぶことができました。 今回の経験を通じて、入來先生が常に強調される「本物に触れる」ことの重要性を改めて実感できたようにも思えます。私にとっての「本物」とは、患者さんの身体とその物語でしょう。私たちは、それらの現象の中に生きており、単に死んだデータだけから議論をすることで満足するならば、その研究の価値は半減してしまうと考えています。今回の私たちの研究テーマはまさにナラティブエンボディメントであり、患者さんの自己の意識経験を記述しながら、新しい科学の概念を形成していこうと考えています。はしごを登る研究も大事ですが、はしごをかける研究を目的に、本テーマの解明のため5年間遂行していきます。 私自身、週末は日本全国の病院で臨床を経験させていただいていますが、同年代あるいはそれより年下の脳卒中患者と接する機会が増えてきました。彼らのナラティブが私の意識に深く影響を与え、まるで自分のことのように感じることがあります。脳損傷は個人のアイデンティティの喪失をもたらすことは明白です。そのため、旧来の理学療法モデルでもある関節運動だけで問題を解決することはできません。一般化された情報だけを語るのではなく、より不安定な要素を受け入れて、それを含めた人間の理解をこのCREST研究を通じて深めたいと思います。成果を焦らず、新しい概念の形成に向けて。 ▲プロジェクトを進めるメンバーと 左・嶋田総太郎 氏(明治大学教授・認知科学)、中・田中彰吾 氏(東海大学教授・現象学) 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長・教授 森岡 周 【関連サイト】 森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 2023年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)新規採択課題・総括総評 国立研究開発法人学術技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST) 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
よく読まれている記事
カテゴリ
タグ
キーワード検索
アーカイブ