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畿央の学びと研究
2025.05.08
1回生集中講義「認知症ケア論」が開講しました!~看護医療学科
長寿世界一、超高齢社会の日本において「認知症」を正しく理解し、支え合い、共に過ごしやすい地域社会を構築することは私たち1人1人の課題です。看護医療学科では、低学年からこの課題に向き合い、市民として、医療職としてどうあるべきかを主体的に考え行動していく土台づくりを担うべく、アクティブラーニングやフィールドワークを取り入れた「認知症ケア論」を開講しています。 今年度の「認知症ケア論」履修者に、履修動機を聞いたところ、 認知症や高齢社会のことを学びたい 看護師として役立つ (身内の)おじいちゃん、おばあちゃんに役立つ アクティブラーニングやフィールドワークが楽しそう というお声をいただきました。大学1回生の時期から認知症や高齢者、社会に関心を持って頂けることは嬉しい限りです。 第3回目となった5月2日(金)の講義では、認知症キャラバン・メイトでもある教員が「認知症サポーター養成講座」を行いました。この講座は2004年に「認知症を知り地域をつくる10ヵ年」構想の一環として全国的な取り組みとしてスタートし、すでに20年が経過し、全国には1500万人を越える認知症サポーターが誕生しています。講座を受講すれば「認知症サポーター」となりますが、何か特別なことをするわけではなく、まず、認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人や家族を温かい目で見守る「応援者」となります。個人の考えにより可能な範囲で自分のできる活動に参加していただくのも歓迎で、例えば、町中で困っている人がいたら手助けする、近所の人を見守る、地域の認知症カフェに参加してお手伝いする、などが一例です。 本日の講座は、講義だけではなく、認知症希望大使の藤田和子さん、丹野智文さんの動画メッセージを視聴し、受講後「自分ならサポーターとしてどんな活動ができそうか」のワークショップを行い、KJ法*で意見をまとめました。 ※KJ法:付箋等の紙に情報を記し並べ変えたりグループ化したりすることで断片的な意見・アイデアを効率的かつ論理的に整理するための手法。 その結果… 対応として「偏見をもたない、できないと決めつけない」「1人の人として対応する」「さりげなく気遣う」「やりすぎないサポート」「笑顔で優しく声をかける」等、 ともにあることとして「一緒に活動する」「本人が好きなこと、得意なことを一緒にする」等、 見守るとして「全て手伝うのではなく、ゆっくり待つ」「近くで見守る」等、 話す・聞くとして「話を聞く」「不安なことを聞く」「コミュニケーションを沢山とる」等、 理解するとして「認知症のことをもっと詳しく知る」「相手のことをいっぱい知る」等、 その他「家族のことを考え、今後のことを家族と話しあう」等の意見がまとまりました。 90分程度の講座にもかかわらず、学生は認知症の理解を深め、認知症の人とその家族の思いを理解し、自分ならどんな対応ができるのかを考え、春に入学したばかりのとは思えないような、相手の立場を理解し、相手に寄り添う視点を備えた素晴らしい意見の数々が表出されたことに驚きを感じました。 「認知症」に限らず、人と接する時には偏見を持たず、その人に興味を持ち、その人の魅力やもてる力を引き出せるような関わりができる人であることは、今後生きていく中でとても大切な力です。この先の4 年間、どのように成長されるのか大変楽しみな履修生です。教員としても彼女たちとの出会いに感謝し、これから共に作り上げる授業がとても楽しみな「認知症ケア論」です。今後は認知症カフェの見学、認知症マフづくり交流会、認知症の人との交流や活動の場の見学、啓発イベントに向けた企画などが続きますが、引き続きより良い学びが提供できるよう教員も切磋琢磨し頑張ります。 看護医療学科 准教授 室谷 牧子 関連記事 国際看護Ⅰの授業で「海外インターンシップ」発表 ~ 看護医療学科 3回生15名が「いこまスポーツの日」にボランティアとして参加!~看護医療学科 第3回「認知症の人と家族の思いに耳を傾ける」 松本一生先生講演会「認知症の人と家族とともに」を開催しました。 ~ 畿央大学看護実践研究センター認知症ケア部門 難病当事者(患者会・家族会)団体活動者を講師に招いた授業を実施しました!~看護医療学科「公衆衛生看護学概論」
2025.05.01
活躍する大学院修了生vol.2~宮脇 裕さん(国立研究開発法人 産業技術総合研究所勤務/健康科学研究科博士後期課程修了)
働きながら学べる畿央大学大学院を経て、現場で活躍する修了生をご紹介!大学院への進学を考えている方、あるいは研究に興味をお持ちの方に向けて、これまでのキャリアや大学院での経験、研究の魅力などを振り返っていただきました! 宮脇 裕さん(健康科学研究科 博士後期課程 2021年3月修了) 現在のお仕事・研究を教えてください! 産業技術総合研究所人間社会拡張研究部門の研究員、東京都立大学人間健康科学研究科の客員准教授、また畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの客員研究員として、主に実験心理学や神経心理学を専門とした臨床研究に従事しています。 これまでのキャリアを教えてください! 実は私は、中学3年生の初夏に重い病気を患い、高校に行くことが叶いませんでした。4年間の闘病生活をあけて、高卒認定試験後に神戸学院大学へと進学しました(この大学生活でも別の病気のために手術を経験し1年留年…)。2014年に理学療法士免許を取得し、仁寿会石川病院にて理学療法士として2年弱勤務しました。 その後、病院を退職し、神戸学院大学大学院へと進学しました。この際、NTTコミュニケーション科学基礎研究所にて実習生として実験心理学に関する研究に従事してきました。博士後期課程では、畿央大学大学院に進学し、日本学術振興会特別研究員として研究に従事していました。その後は、慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室の特任研究員や産業技術総合研究所人間拡張研究センターの特別研究員を経て現在に至ります。 これまで取り組んできた研究、また今関心のある研究テーマ・キーワードは? 私の研究テーマは「運動主体感を軸とした認知運動インタラクション」です。現在は、心理物理実験や統計モデリングなどのアプローチにより、主に脳卒中後の患者さんを対象に、運動障害と運動主体感の関係性について研究を進めています。それらの心理学的知見を基に、行動変容に貢献する技術を開発したいと考えています。 【研究キーワード】運動主体感、脳卒中後運動障害、インタラクション 大学院に進学したきっかけや目的は? 正直なところ、元々は勉強があまり好きではなく、毎日クラブチームなどでバスケットボールばかりやっていました。しかし、やはり一度大きな病気をしてブランクがあると、なかなか状態がもとに戻りません。その中で、臨床で良い上司に巡り合い、そして患者さんと関わる中で、学ぶことの楽しさを少しずつ知っていきました。ずっと病気をする前の自分に戻りたかったのですが、そうではなくて、今やれることを楽しもうと思えるようになりました。体はもろくなったけど、頭は使える。ということで、そこからは何もかもやめて研究にだけのめり込んでいきました。いつか臨床に還元できる研究をと思っていますが、まだまだですので、自分が「面白い」と心から思える研究に、これからも楽しんで取り組んでいきたいと思います。 大学院での時間を一言でいうと? 私にとって大学院で過ごした時間は、第二の青春といった感じでした。しんどいことも楽しいことも濃縮されて詰まっています。畿央大学大学院は、自分がやりたいと思って全力で取り組んでさえいれば、それを全力で後押ししてくれる環境です。私の指導教員である森岡先生は、どんなわがままでも―熱意と勝算があれば―とにかく背中を押してくれました。感謝しかありません。本当にのびのびと研究に打ち込め、ひたすら努力ができた最高の時間だったと思います。 今の仕事や研究に、大学院での学びはどう活きていますか? 大学院では、指導教員や院生と関わり、また学会などで未知の世界に触れることで、自身の専門性を深めることだけでなく、ときには自分一人では想像できないような新たな研究展開をもたらしてくれます。これらを通して培った研究計画や学際的な専門性は、研究職として活動する上での基盤になっています。そして何より、大学院の活動の中で、色んな考えや価値観を持つ多くの方と出会うことができるわけですが、その中で共感できる志を持つ仲間を見つけ、その仲間とともに研究についてディスカッションする時間は何物にも代えがたい充実した時間になります。これらは、研究者として活動していく上で、一生の財産になると思います。 これから大学院進学を考えている方へのメッセージを! 大学院では大変なこともつらい思いをすることも多いと思いますが、研究が好きであれば、きっと、もっと楽しいことがそれらを上回ってくれます。この記事を読んでくださった皆様が、自分が進みたい道を選び取り、自分が決めたその道を楽しんで前進されることを願っております。 ▶ Reseachmap(宮脇さんのページへ)
2025.05.01
国際看護Ⅰの授業で「海外インターンシップ」発表 ~ 看護医療学科
看護医療学科4回生対象の「国際看護Ⅰ」の授業で、2025年3月に「海外インターンシップ」研修に参加した学生たちが、経験と学びについて発表会を行いました。 はじめに、研修参加した学生が研修先のプチサストラ大学、国立クメールソビエト病院、サンライズジャパンホスピタルと健診センター、在宅看護ステーション、そして文化や人々の暮らしぶりについて発表を行いました。 その後、数名ずつのグループに分かれ、昨年インターンシップに参加した学生と本年度参加学生がファシリテーターとして、グループに入り「印象的だったこと、疑問点、学び」についてディスカッションを行いました。ここでは、ファシリテーターとして、学生の関心を引き出し、カンボジアの現状と課題について、活発な意見交換がなされていました。 ファシリテーター同士の情報共有もできて、有意義な時間になりました。 最後に、各グループからの発表を行いました。4回生からの意見として 「文化や歴史を知り、その人を尊重したかかわりが大事だとわかった」 「ものやお金の援助だけでなく、現地の人と協働して健康を促進することや法律の整備を考えなければいけない」 など、がありました。実際に研修に行った学生がファシリテーターをしたことで、短時間でも考えが深められたように感じました。 このような機会を重ねることで、グローバルな視点で医療・保健・福祉の現状を理解し、健康問題に対して、看護師としての役割について考えられる学生になることを期待します。 看護医療学科 准教授 酒井 啓子 関連記事 看護医療学科 海外インターンシップ2024 vol.1~ 事前学習プログラムレポート 看護医療学科 海外インターンシップ2024 vol.2~ 無事カンボジアに到着しました! 看護医療学科 海外インターンシップ2024 vol.3~ カンボジアでの医療の現状を学びました! 看護医療学科 海外インターンシップ2024 vol.4~ 現地大学生や本学卒業生との交流 看護医療学科 海外インターンシップ2024 vol.5~ プノンペンでの最終日 看護医療学科 海外インターンシップ2024 vol.6~ トンレサップ湖での水上生活とナイトマーケット 看護医療学科 海外インターンシップ2024 vol.7~ 世界遺産・アンコールワットへ!
2025.04.28
変形性関節症に関する世界最大級の国際会議「OARSI 2025」参加レポート!~健康科学研究科瓜谷研究室
2025年4月23日(水)から26日(土)まで、韓国・仁川で開催されたOARSI 2025(Osteoarthritis Research Society International)に参加してきました! この学会は、変形性関節症(OA)に関する世界最大級の国際会議の一つであり、日頃から私が研究の参考にしている論文の著者や、よく引用させていただく著名な研究者たちが、直接最新の知見を発表される場です。実際にそうした研究者たちの講演を間近で聞くことができ、とても刺激的な時間となりました。 今回、私は 「Patients with knee osteoarthritis exhibit a reduced autonomic response to task performance compared to healthy older adults」 というテーマでポスター発表も行いました。 発表中には、さまざまな国の研究者から多角的な視点で質問やアドバイスをいただき、今後の研究をさらに深めるための多くのヒントを得ることができました。 特に印象に残ったのは、**「OA Management and Epidemiology in Asia」**というセッションです。アジア各国における変形性関節症の管理や疫学的課題について議論され、日本とは異なる医療システムや社会背景の中での取り組みを知ることができました。 自分の研究を国際的な文脈で位置付けて考えるきっかけにもなり、大変貴重な学びとなりました。 また、学会場では海外の研究者とも交流し、研究以外にも韓国ならではの美味しい食事や街並みに触れることができ、異文化を体感する楽しさも味わいました。 こうした機会を通じて、 「最先端の“本物”の研究に直接触れること」 「異国の文化を知り、自分自身の立ち位置を再認識すること」 の大切さを改めて実感しました。 この貴重な経験を糧に、今後も社会に有益な研究を推進できるよう努力していきます! 健康科学研究科 瓜谷研究室 山野 宏章 関連記事 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 11回日本地域理学療法学会学術集会で大学院生と修了生(客員研究員)が発表~健康科学研究科 日本小児理学療法学会学術大会で大会長賞を受賞!~健康科学研究科 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました!
2025.04.25
万博BENTOの売れ行き好調!19日、20日を終えてのレポート~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良~
2025年4月13日(日)に開幕した大阪関西万博。4月19日(土)、20日(日)に関西パビリオン多目的エリアにて販売する万博BENTOの開発に本学のヘルスチーム菜良※が参加しました。 ※ヘルスチーム菜良…管理栄養士養成課程を持つ奈良県内4年制大学(畿央大学、近畿大学、帝塚山大学、奈良女子大学)で構成されており、食育啓蒙活動に取り組んでいます。 万博BENTOは、ヘルスチーム菜良の学生が奈良県産食材を用いて開発したレシピを和食「井上」様のご協力のもと、完成させました。19日と20日の大阪関西万博では、一日限定100食、1,000円で販売しました。その2日間の様子をお伝えします。 19日の販売は10時45分に開始し、限定100食が12時30分時点で早くも売り切れ。予想以上の売れ行きにとても驚きました。売り切れ後も興味を持ってくださった方が足を運んでくださり、お弁当やヘルスチーム菜良のPRをすることができました! 20日は前日の売れ行きを受けて、時間帯を分けて販売数の制限を行いました。しかし、11時からの60食は40分で完売、13時からの30食と15時からの10食も10分で完売するなど、日曜日の賑わいも相まって、どの時間も飛ぶように売れました! 実際に購入してくださった方々、応援してくださったすべての皆様、本当にありがとうございました!26日の販売もよろしくお願いいたします。 販売に参加した学生の感想 購入してくださった方が「おいしかった!応援しているよ」と伝えに来てくださったり、販売開始前から待機して一番にお弁当を購入し、Facebookに感想を書いてくださる方がいたりと、応援してくださっている方々の温かさを感じることができ、貴重な経験になりました。 予想外の売れ行きに驚きました。興味をもって足を運んでくださった方全員にお売りすることができなかったのは残念でした。 お弁当だけでなく、ポスターや会話を通じてヘルスチーム菜良や奈良県に興味を持ってくださった方がいて嬉しかった。奈良に住んでいる方や、ニュースを見てくださった方もいて、反響を感じました。また日本の方だけでなく、外国の方にもお弁当を手に取ってもらえて嬉しかった。 今後の販売について 販売日時:4月26日(土) 販売場所:関西パビリオン多目的エリアにて100食限定で販売 ヘルスチーム菜良が一丸となって考案した「万博BENTO」の万博での販売は、残り1日となってしまいました。この二日間の売れ行きを見るに、26日もすぐに完売してしまう見込みですので、購入を希望される方は、お早めにお越しください! インスタグラムでは、ヘルスチーム菜良の活動をリアルタイムでチェックできます。 万博BENTOに関する投稿もたくさんしていますので、以下のリンクから、ぜひご覧ください! ヘルスチーム菜良協議会 ヘルスチーム菜良 畿央 nutrition egg 健康栄養学科 3回生 岡田 こころ 関連記事 “奈良県産食材”使用「万博BENTO」を大阪関西万博会場で販売します!~ヘルスチーム菜良 大阪関西万博 奈良県公式ホームページ 万博BENTO
2025.04.23
活躍する大学院修了生vol.1~片山 脩さん(国立長寿医療研究センター勤務/健康科学研究科博士後期課程修了)
働きながら学べる畿央大学大学院を経て、現場で活躍する修了生をご紹介!大学院への進学を考えている方、あるいは研究に興味をお持ちの方に向けて、これまでのキャリアや大学院での経験、研究の魅力などを振り返っていただきました! 片山 脩さん(健康科学研究科 博士後期課程 2019年3月修了) 現在のお仕事・研究を教えてください! 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 特任主任研究員として勤務しています。 ▼ 脳波研究の様子 これまでのキャリアを教えてください! 中部リハビリテーション専門学校卒業➡医療法人瑞心会 渡辺病院で勤務を続けながら畿央大学大学院修士課程ならびに同博士課程修了➡国立長寿医療研究センター・特任研究員➡日本学術振興会・特別研究員➡コロンビア大学・博士研究員➡現職 ▼留学先のコロンビア大学の仲間たち 今は地域在住高齢者を対象としたコホート研究で非薬物療法による老年症候群、認知症、介護の予防について研究をしています。 修士課程の入学式は、上の子の保育園の入園式翌日だったことを覚えています。博士後期課程の際には下の子も生まれ、仕事と研究と子育てで大変ではありましたが、妻のサポートのおかげで無事に学位を取得することができました。また、コロンビア大学へ単身で留学した年は、上の子の中学校入学と重なりましたが、子供たちも成長してくれて妻のサポートをしてくれていたようで大変助かりました。留学中に1週間ほど家族がニューヨークに遊びに来て一緒に過ごした時間は、子供達たちにとっても良い思い出になっているようです。 ▼コロンビア大学での仲間とともに これまで取り組んできた研究、また今関心のある研究テーマ・キーワードは? 地域で自立して生活されている高齢者方を対象に老年症候群のリスクのある人を早期に発見する目的で高齢者機能健診(脳とからだの健康チェック)を実施して、参加者を対象に自治体と協力して介入研究を実施しています。 また、畿央大学大学院で学んだ脳波研究のノウハウを活かして軽度認知障害(MCI)の早期発見に向けた神経生理学的マーカーの解明や加齢や病理学的な脳の変化から予測される認知機能よりも、高く認知機能を維持することを可能とする脳の特性(認知予備能)について、第一人者であるコロンビア大学のStern教授の研究室へ留学して解析方法などを学び、今は脳波を用いて認知予備能の神経基盤の解明をめざして取り組んでいます。 【研究キーワード】脳波、認知症、軽度認知障害、認知予備能 大学院に進学したきっかけや目的は? 就職して1年目の春から担当した頸髄損傷の患者さんの痛みを軽減することができず悩んでいました。当時、畿央大学ニューロリハビリテーションセミナーをインターネットでたまたま目にして参加しました。セミナーでは痛みのメカニズムや世界中の研究について紹介がありました。 セミナーで紹介のあった脊髄損傷の患者さんの痛みに対する介入研究を参考に担当患者さんに介入を行ったところ痛みの軽減が見られました。しかしながら、私は痛みが軽減した理由を自分の言葉で論理的に説明することができないもどかしさが残っていました。そこで、介入研究のヒントをくださった畿央大学大学院へ進学して痛みが軽減したメカニズムを自分自身で解明したいと思い進学を決めました。 働きながら通えるように当時ではまだ珍しかったオンライン授業やオンデマンド授業が整備されており、愛知県で働きながら修士課程、博士課程を修了することができました。 ▼ 在学中に参加した国際学会での様子 大学院での時間を一言でいうと? 一言でいうと宝物です。 研究分野は違っていても、わからないことを明らかにしたいという思いはみんな同じで、その目標に向かって様々なディスカッションを先輩、同期、後輩の皆さんといつもしていました。その時間は今でも忘れることのない私の宝物です。 畿央大学大学院は、社会人でも学びやすい環境を教員の方々、事務の方々が丁寧にサポートしてくださることがともて魅力的だと思います。 ▼ 大学院在籍時のゼミ発表の様子 今の仕事や研究に、大学院での学びはどう活きていますか? 「他者のため、社会のためになる研究をしてください」 私の恩師である森岡 周教授から博士の学位授与式の後にいただいた言葉です。この言葉を今も常に意識しています。自分の研究は誰のために行うのか、社会にとってどのような意義があるのかを自身に問いかけながら研究を続けています。 また、今の職場の仲間ともディスカッションする時間を大切にしています。畿央大学大学院の頃から自分の研究の事ばかりではなく周りの方の研究についても知ること、意見をきちんと伝えることの大切さを学んだからこそ、今も職場の後輩にはディスカッションの時間を大切にすることを伝えています。 ▼ 現職の仲間と共に これから大学院進学を考えている方へのメッセージを! 大学院には、あなたと同じように「明らかにしたい」という思いを持った仲間がたくさんいます。一人だったり、職場の仲間だけでは解決できないこともあると思います。一歩踏み出して、大学院へ進学してみてください。そこには今までの自分にはなかった考え方や学び方、解決方法を知っている先生や先輩がいます。 畿央大学大学院は社会人でも学びやすい環境が整っており、先生も事務の方々もとても丁寧にサポートしてくださいます。同じ目標を持った仲間と必死に学ぶ大学院での時間は、その後の人生の糧となり、もう一つ上のステージにあなたを連れて行ってくれると思います。 ▶Researchmap(片山さんのページへ)
2025.04.22
TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.97~新入生対象説明会&歓迎会を開催!
こんにちは!健康支援学生チーム※の理学療法学科3回生 中山 紗希です。 今回は2025年4月17日(木)の新入生へのTASK説明会および20日(日)の新入生歓迎会&機器体験についてご紹介いたします。 ※TASKは“Think, Action, Support for Health by Kio University”の略称です。学科の枠を超えて協力し合いながら地域住民の方々や畿央生の健康支援を目的として活動しています。 入学式の際にクラブ・サークル紹介に出展しましたが、TASKって具体的にどのようなものなのか具体的にわからなかった学生さんも多いのではないかと感じ、今回説明会を実施しました。多くの方が参加してくださり、みなさんがTASKの活動に興味を持ってくださっていることを感じられてとてもうれしかったです。 新入生歓迎会を開催! 20日の新入生歓迎会では、親睦を深めるためにミニバレーを行い、その後TASKの活動で主に使う機器の体験を行いました。ミニバレーでは1回生と上回生を混ぜたチームで、ゲームをしました。2・3回生は普段TASKで見ることのない一面も見ることができ、またチームスポーツをしたことで1回生とも親睦を深められたのではないかと感じました。 機器体験では、上回生からそれぞれに機器についての説明を受け、実際に体験し、測定結果、またその見方について理解を深めました。 互いの結果を比較して1回生の方々も楽しんでくださっていました。1回生の方も積極的に測定項目について質問をしてくださって熱意を感じられました。 これからTASKに参加される1回生のみなさん、たくさんイベントが待っているので楽しみにしていてください! ◆メールアドレス task@kio.ac.jp ◆ X(Twitter) @kio_task ◆ Instagram @kio_task 理学療法学科 3回生 中山 紗希 TASK(健康支援学生チーム)活動レポートはこちらで詳しくご覧いただけます。
2025.04.19
大阪・関西万博にて販売する万博弁当の開発に参加!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良~
2025年4月19日(土)、20日(日)、26日(土)に大阪・関西万博 関西パビリオンにて販売する万博BENTOの開発に本学のヘルスチーム菜良※が携わりました。 ※ヘルスチーム菜良…管理栄養士養成課程を持つ奈良県内4年制大学(畿央大学、近畿大学、帝塚山大学、奈良女子大学)で構成されており、食育啓蒙活動に取り組んでいます。 万博BENTOは、ヘルスチーム菜良の学生が奈良県産食材を用いて開発したレシピを和食「井上」様のご協力のもと、完成させることができました。畿央大学では、2種類のレシピを開発しました!この万博弁当は伝統的な食材をふんだんに使用しているため、奈良の食の魅力や日本文化を楽しむことができるものとなっています。販売価格は1,000円とリーズナブルです。 それぞれの大学の開発メニューをご紹介 畿央大学 : ほうじ茶薫る茶飯おにぎり・ふくさ焼き 近畿大学 : レンコンのカレー餃子・大和肉鶏と大和丸なすの生姜焼き 帝塚山大学 : 豚肉とかぶの柿の葉寿司(ZIP共同)・あんぽ柿の芋ぼた(ZIP共同)・奈良和え 奈良女子大学 : パリパリ酒粕のポテトサラダ 畿央大学が考案したメニューのレシピをご紹介 ほうじ茶薫る茶飯おにぎり メニュー開発においてこだわった点 通常の茶飯には大豆が入っていますが、豆ごはんが苦手な方が多い印象があるため、枝豆を代用し、様々な人においしく召し上がっていただくために食べやすさに注目しました。ほんのり香るほうじ茶の風味をお楽しみください。 ふくさ焼き メニュー開発においてこだわった点 お弁当の定番の卵焼きを豪華にしたいという思いからふくさ焼きをメニューに入れました。日本の方だけでなく、海外の方にも日本の料理を感じていただけるように、だしの風味や旨みが感じられるものにしました。 沢山の具材を入れることで、食べ応えのあるふくさ焼きに仕上げました。また、人参やエビ、三つ葉などの彩りの良い食材を使用することによって、目でも楽しむことができるように工夫しました。 万博BENTO 完成までの流れをご紹介 2024年4月 4大学合同の説明会&意見交流 2024年8月 和食井上にて試食会 ● たくさんあるメニューの中からどのメニューを採用するのか検討しました。自分たちで考えたメニューを実際に作っていただき、似たメニュー同士をかけ合わせたり、ご飯ものは何品入れるのか考えたりしました。思った以上に全体的に茶色い色のおかずばかりだったため、色合いについても検討が必要だと感じました。 2024年10月 奈良県庁前にてプレ販売 ● 30食を完売し、購入していただいた方から感想をいただき、フィードバックに繋げました。購入してくださったお客様から「美味しかったよ」とお声をいただき、とても嬉しかったです。また、「万博に出店する」ということに実感が湧きました。 2024年11月 「ZIP旅するエプロン」出演 ● 「ZIP! 旅するエプロン」で取り上げていただき、新たなメニューの考案へと繋がりました。「奈良らしさのあるデザートとご飯もの」に苦戦していた私たちにとって、ZIPさんが考案してくださったメニューは想像を超え、とても衝撃的だった印象です。「豚肉とかぶの柿の葉寿司」と「あんぽ柿の芋ぼた」の2品を考案していただきました。 2025年 3月初旬 和食井上にて試食会 ● いよいよ万博販売まで1か月。最終的にどのメニューをお弁当に入れるのかについて試食を行い検討しました。プレ販売を終えてから新たなメニューを開発し、元々あったメニューとも比較しながら慎重に意見を交わしました。 2025年3月中旬 じっくり時間をかけて考え抜いたお弁当がついに完成しました! 2025年3月22日(土) クラフトエキスポに出店 ● 奈良公園バスターミナル1Fにて開催されたクラフトエキスポで出店させていただき、販売個数50個すべてを完売しました!主婦層からお年寄り、外国の方まで幅広く購入していただけました。メディアにも取り上げていただき、万博出店前にPRすることができる良い機会となりました! 2025年4月 いよいよ大阪万博が始まりました!メンバー全員、販売を楽しみに意気込んでいます! 大阪・関西万博会場での販売について 販売日時:4月19日(土)、20日(日)、26日(土) 販売場所:関西パビリオン 多目的ホール 3日間、各日100食限定で販売します。 ヘルスチーム菜良が一丸となって考案した「万博BENTO」。万博会場へ足を運ばれた際にはぜひご賞味ください! 健康栄養学科 3回生 林 明凜、岡田 こころ 2回生 吉原 実留 関連記事 “奈良県産食材”使用「万博BENTO」を大阪関西万博会場で販売します!~ヘルスチーム菜良 大阪関西万博 奈良県公式ホームページ 万博BENTO
2025.04.18
2025年度 新入学生研修 学科別レポート vol.2 ~ 人間環境デザイン学科
人間環境デザイン学科では、64名の新入生をお迎えし、4月8日に新入学生研修を実施しました。当日は3回生6名、教員4名が同行しました。人間環境デザイン学科の新入学生研修では、以下の5つを目的に実施しています。 新入学生研修の目的 大学での新たな友達づくり 教員とのふれあい 大学生活へのモチベーションを高める 美しい環境の中ではぐくまれたまちや建築に触れることにより、まちと人々の生活とのつながりを考える 見学やレクリエーションを通して、自身のキャリアを考える 万博記念公園を訪れました! 行き先の大阪 万博記念公園は、1970年日本万国博覧会の跡地に整備された緑豊かな公園です。 国立民族学博物館へ! 最初に訪れたのは国立民族学博物館で、ここでは世界各地の社会や文化に関する様々な展示が行われています。人間環境デザイン学科で学ぶ予定のまちづくりや建築、インテリア、服飾に関連する興味深い展示を楽しむことができました。 「面白い!」「興味深い…」「なぜ?」と感じたことは、スケッチブックに記録しました。友人との視点の違いに触れ、多様な物の見方を学ぶ貴重な機会となりました。 昼食後には、今後の目標や思いを作文にまとめてもらいました。畿央大学に入学した理由や将来の夢、目標、大学生活で挑戦したいことなど、新入生の意気込みが伝わる内容でした。 また同行した3回生の先輩に、大学生生活や履修登録についてアドバイスをもらう場面も見受けられました。人間環境デザイン学科は、ゼミ活動での交流をはじめ、先輩後輩の関わりがとても深い学科です。今後も先輩からのアドバイスを学修の場に存分に活かしてください。 太陽の塔を見学! 午後には太陽の塔の内部を見学しました。「太陽の顔が特徴的な外観は知っているが、中に入ったことはない」という学生が多く、内部に入ると真っ赤な空間に圧倒されました。 しかし、李先生の「よく見るとすべての色が使われているね」という言葉に納得する様子が見受けられました。造形物だけでなく、色使いやその背景にも目を向けることで、物の見方がさらに広がったのではないでしょうか。 見学ルートは階段を何段も登るため、「いったい何階建て…?」という声が聞こえてきましたが、吉永先生から、太陽の塔は2階建ての展示場であることについてのレクチャーを受け、驚いている姿が印象的でした。これから建物の構造や法律について勉強していく中で、この謎が解けていくことでしょう。 1時間の自由行動の後、研修を終了しました。入学式から1週間しか経っていませんが、グループ活動や友人同士で仲良く過ごしている様子が伺えました。また、スケッチブックを片手に研修を楽しむ学びの姿勢はとても頼もしかったです。 先輩や教員とのつながりを大切に、これから充実した大学生生活を過ごしてください。学科教員一同、みなさんの大学生活を精一杯サポートします。 人間環境デザイン学科 助教 小松 智菜美 関連記事 2025年度 新入学生研修 学科別レポート vol.1 ~ 看護医療学科
2025.04.18
2025年度看護医療学科「へき地医療体験実習」がスタートしました!
看護医療学科の4回生は、5月に奈良県内の4つの地域において、へき地における保健・医療・福祉を体験し、対象者を地域の生活者として全人的にとらえ看護のあり方を探求する「へき地医療体験実習」に参加します。このほど学内実習がスタートし、学生は地域診断や実習計画作成、実習準備に主体的に取り組んでいます。 4月8日は、公益社団法人地域医療振興協会 明日香村国民健康保険診療所医師 武田以知郎先生をお招きし、「地域医療はナースを素敵にする~明日香から愛をこめて~」のテーマで特別講義を受講しました。 武田先生のご紹介 武田先生は自治医科大学をご卒業後、長く、へき地医療に貢献され、2024年に第12回赤ひげ大賞(日本医師会)を受賞された他、数々の受賞歴をお持ちです。 日ごろから村民のかかりつけ医として地域に密着した幅広い診療を提供されるとともに、在宅医療の充実をめざし日々の診療活動を続ける傍ら、地域医療を担う次代の医師の育成のため、医学生や研修医の教育に注力を注いでおれらます。その活動は溝渕雅幸監督の「明日香に生きる」でドキュメンタリーとして映画化され多くの方々の感銘を受ける作品となりました。 特別講義 今回の特別講義では、へき地で展開されている「総合専門診療医」の活動紹介、へき地診療所の看護師の役割(ルーラルナーシング)を学ぶことができました。 武田先生は、「総合専門診療医」は、患者の年齢、訴えや症状による特定分野に着目するのではなく、地域に住むあらゆる年齢、性別の患者の健康問題とそれぞれの患者の家族や生活様式、地域全体をとらえ、解決に向けて治療を行う役割があり、明日香村では、何か困ったら「そうだ、診療所へ行こう」をコンセプトに、町のコンビニエンスストアのような役割を担う場所でありたい、と語られていました。 また、へき地における看護師の役割では、生命維持や疾病の治癒を目的とする「cure(キュア)」と患者に寄り添い、何らかの疾病や傷害を抱えてもQOLを維持・向上させ、身体的のみならず精神的・社会的にも健康を保ち支援することをめざす「care(ケア)」を取り上げ、へき地ナースは、人・家族・地域の生活を包括的に見る力が必要で、実際の事例の紹介から、住民の思い、生活背景などの個別性に合わせ、その人の尊厳を大切に関わる「ナースのプロフェッショナリズム」が発揮できる場であることを語られました。 へき地診療所の看護師は、病院の看護師とは比較できないほど多くの業務を担っていて、診療の補助、患者のケアだけではなく、時には医師の指示の元、調剤補助や服薬指導、物理療法、レントゲン撮影の準備や現像の補助、内視鏡の介助など、薬剤師、理学療法士、診療放射線技師、臨床検査技師等多職種の役割を日常的に担っておられるそうです。また、ケアマネジメント、介護予防、予防接種、健診、健康教育、村内事業の救護班など、行政との連携も日常的にこなして活動されているとのことでした。 このように、対象を全人的に捉えるアセスメント力と多岐にわたる業務をこなす看護師には高いスキルが求められます。 明日香村の診療所は、へき地医療の経験を有する看護師など複数の看護師を確保し、武田先生と思いを共有し、チームワークで業務に当たられています。武田先生は、これからのへき地医療には特定行為研修終了看護師等、高いスキルをもった看護師の活躍が期待されること、実際に日本国内のへき地の中には無医地区もあり、看護師が遠隔医療等ICTを活用した医療提供体制により、地域の健康を支えている、と語られました。 また、専門機関や社会資源へのアクセスが容易ではないへき地では、住民の健康を支えるためには、日常生活の中で健康に関することは気軽に相談できる場が必要で、「暮らしの保健室」や「コミュニティナース」(武田先生もコミュニティナースの研修を受講されたようです)が地域内に存在し、診療所や病院に行くほどではないけれど、ちょっと気になることを生活の中でタイムリーに相談できることの重要性も述べられました。 診療所で待つのではなく、生活の場においてアウトリーチする活動により住民の課題を早期に把握し、タイムリーに医療・介護へつなぐことで、住民の望む暮らしを守ることが地域医療の役割だと語られました。 武田先生の貴重なご講演から、へき地では、生まれてから死ぬまでの医療と看護を、その人の思いと生活に主軸を置き、人と人の関わりの中で丁寧にサポートしていることが学べました。看護師として患者や住民をどう捉えるか、看護の本質はおそらく都市部でも大きな医療機関であっても、在宅看護や介護の現場でも変わらないと考えます。 医療の進化によって専門分野が確立され、多くの専門職が誕生し、人々の健康と生命を守るため日々尽力されています。また、住民や患者の健康状態や病状により受療の場や生活の場も多種多様になりました。そのような時代の中、本日の講演を踏まえ、「へき地医療体験実習」に参加することで、学生が人々の生活と健康をどうとらえ、自身の看護観を培うのか、大変楽しみです。 武田先生には、ご多用の中、本当に貴重なご講演を頂き心から感謝申し上げます。 看護医療学科 准教授 室谷 牧子 関連記事 これまでの「へき地医療体験実習」の取り組みについて
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