2025.08.15 

「認知症の人の家族支援を考える」山川みやえ先生の講演会を開催しました。~畿央大学看護実践研究センター認知症ケア部門研修会

畿央大学看護実践研究センター認知症ケア部門では昨年度に引き続き、認知症の人の意向を尊重することや認知症の人と家族等に対する支援が適切になされ、認知症の人が希望をもって過ごせる地域社会を構築すべく、「認知症の人・家族×大学・学生×地域のつながり」を大切に交流会・研修会を開催しています。

連日の厳しい暑さが続いている中ですが、総勢52名の方が今回の山川先生の講演会に参加されました。今回は、本人・家族の方以外にも多くの専門職の方が参加されました。

 

講師の山川先生は、大阪大学大学院 医学系研究科保健学専攻 准教授を務め、様々な活動や多くのご実績をお持ちです。認知症の方に関する社会に対して幅広い視野をもたれると同時に、本人やご家族の方一人ひとりの声を聴き、課題に対して真剣に向き合う姿を拝見し、非常に魅力的な方だと常々感じておりました。講演の中では、「認知症の理解は、人を理解するということです」という言葉が非常に印象的でした。

 

家族介護者の方々は、介護の疲れや不安から感情的になり、大切な家族に対して厳しい言葉を投げかけてしまったり、社会的な孤立、相談できる人や場所がない、心がつらいなどと語られていました。また、家族支援の現状や家族の気持ちなどの研究成果を非常に分かりやすく丁寧にご説明くださいました。これらの課題ひとつひとつに向き合い、家族支援の制度化に取り組まれていることを学ぶことができました。

 

 

講演のあとには、様々な年代や立場の方がグループワークを行いました。

 

 

トークセッションでは、奈良県若年性認知症サポートセンター(きずなや)でピアサポート活動をされている当事者平井正明さんに参加頂きました。参加者の方から「痴呆から認知症という言葉に代わっても、投げかけられる言葉の重さは変わらない、どうか、もっと優しい言葉をこれからは考えてほしい」との声も聞かれました。

 

いつも笑顔で穏やかな平井さんですが、この言葉を受け取り、「今日は大きな課題をいただきました」と次へのステップを進まれる力強さを感じました。私も改めて日常で使っている言葉の重さを感じる一場面となりました。

 

 

平井さんからは、「認知症の人とともにある家族の権利宣言」を説明して頂く場面もありました。本人だけでなく、家族への支援の大切さを学ぶことができました。

 

ご参加いただきました皆さま、ご協力頂きました皆様には心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

参加者の感想の一部を紹介します。

  • 本人と家族の支援は、両輪が必要で診療報酬や介護訪中に位置付けていく必要性を強く感じました。
  • 話がわかりやすく、みまもりあいアプリを知ることができました。
  • 家族への精神的サポートの大切さをあげられていた点は共感した。
  • 両方支援の難しさについて考えさせられた。
  • 家族への精神的アプローチの大切さを感じた。

看護医療学科

助教 伊藤 千春

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