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看護医療学科
2021.05.07
看取りを体験した遺族に対する看護の課題~看護医療学科「終末期ケア論」
令和3年4月30日(金)看護医療学科3回生の履修科目である「終末期ケア論」では、ご両親を看取った経験を持つ遺族として足立朋子先生をお迎えし、ご講義いただきました。 講義の前半は足立先生が、ボランティアで活動されている人形を使った「腹話術」を見せていただきました。 男の子の人形は「かんちゃん」です。「かんちゃん」が出題するクイズに学生たちも挑戦しました。 また講義の最後には、女の子の人形「いとちゃん」による素敵な歌声を聞かせてくれました。 このようなレクリエーションに加え、ご自身のお母さまを看取った経験から、看護師などの医療従事者に対する思いや寄り添うことの大切さについてご講義いただきました。 ご自身が教師であったという経験から、人と関わる際には、観察をしてアセスメントする重要性は理解していたものの、看護師や医療従事者の方々の観察力や何気ない声掛け、気配りは本当に有難かったと話されていました。また、お母さまが残されていたメモから、お母さまが生きる上で大切にされていたことについて教えていただきました。 新型コロナウイルス感染症の影響で、学生たちの学習にも大きな影響を及ぼしています。このような状況下でも足立先生のお母さまが残されたメモにあるように、「逆境に立ち向かい」「明るく前向きに」一日一日を大切に過ごしてほしいと思います。 看護医療学科 准教授 對中百合 講師 大友絵利香 【関連記事】 第15回 奈良県認知症ケア専門士会オンラインセミナー「〜コロナ時代におけるこれからの看取り〜」参加者レポート~看護医療学科 国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」での見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」 「エンゼルメイク」を学ぶ!~看護医療学科「終末期ケア論」
2021.04.15
認知症ケアサークル「畿央大学OrangeProject®」、2021年度第1回ミーティングを開催!
Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学)と奈良県(畿央大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体で、“認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体です。2020年には、ロゴやマークが商標登録されました。 畿央大学の卒業生たちは2019年から、在学中に熊本大学・熊本保健大学・崇城大学と共に、Orange Project®(認知症支援プロジェクト)に参画し、認知症になってもやさしい町づくりなどに、学生主体に取り組み始めました。そして「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に2019年9月にサークルとして発足しています。 今回は、今年初めての学生サークル「OrangeProject®」の活動報告をします。 2021年4月13日(火)の正午からオンラインミーティングを開催しました。介護家族経験者の正楽さん、若年性認知症当事者の平井さん、広陵町待機包括支援センターの松川保健師さんが参加してくださり、1、2、3年の学生メンバー12人と共に意見交換を行いました。なんと、この日は新1回生1名がさっそく入部してくれて、1人が見学に来てくれました! 本日の議題は、学生が企画している大学内での「認知症カフェ」の内容(コロナ対策なども含む)と、実施場所の検討でした。 5月に予定していた「認知症カフェ」は、本学の大学の食堂を会場とし、対象はご家族に設定した上で、カフェの内容を考えていました。しかし現状から考えると、食堂は飲食を共にする場であり、かつ昼休みの時間帯は学生の数も多く感染のリスクが増加することから、現実的ではないとの指摘もあり、しばらくは保留することになりました。 意見交換の中で、松川さんからは「広陵町立図書館での認知症啓発の取り組み」を教えてもらい、動画や絵本など、それぞれの対象の年齢に合わせたツールなども活用しているとのことでした。これら動画や絵本などのツールを活用し、「認知症カフェ」で話す内容について、ご家族に対し、どのように学生はサポートできるのか、ご家族同士の繋がりを深めるには、など具体的に考えていこうと思いました。また、今後は一昨年に本学でも講演してくださった若年性認知症当事者の丹野智文さん(仙台市在住)や広島県で高次脳機能障害の竹内裕さんからもオンラインで意見をいただけることになりました。 また、多世代プロジェクトの紙芝居作成の進捗報告や新入生の挨拶(紹介)も行いました。紙芝居は、台本を作成してイラストの色塗りの途中であり、4月中に完成をめざしています。紙芝居が完成したら、広陵町の図書館やキッズサポーター養成に向けて、活動できるように準備を進めていきます。 新型コロナウイルス感染症の感染が拡大している状況ですが、今回のミーティングを通して、他府県の方とオンラインでつながったり、今まではできなかったことができるようになったことも多くありました。いま自分たちのできる認知症ケアの啓発活動を考えることが必要だということを改めて学ぶことができました。 コロナ禍でもできる活動を探しながら活動していく予定です。 OrangeProject®に興味がある方はぜひご参加ください! 看護医療学科3回生 白川桃子 【関連記事】 2020年度Orange Project記念式典参加レポート! 「畿央大学Orange Project®」2020年活動レポート! 多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティションで「参加者賞」を受賞 ▶オレンジプロジェクトに関連するブログ記事 KIO Smile Blog
2021.04.09
2021年度 新入生学科別研修会レポート~看護医療学科
畿央大学では入学後の不安を払拭し、担任や同級生との絆を深めるため、「新入生宿泊研修」を学科ごとに入学式直後に行っています。今年度は2020年度に引き続き十分な感染対策を講じたうえでその代わりとなる「新入生学科別研修会」を学内で開催しました。今回は看護医療学科の様子をお届けします! 看護医療学科では2021年4月8日(木)に新入生研修会を開催しました。 これまでは、高野山で宿泊研修を行ってきましたが、コロナ禍の新しい様式として、学内で心のこもった新入生のおもてなしを兼ねた研修となりました。少し緊張の面持ちが残る新入生100名は、上回生に迎えられてそれぞれのクラスで着席しました。 研修会は2回生12名・3回生2名の有志が「支援学生」として参加し、各グループの進行は2回生が担ってくれました。 新型コロナウイルス感染症の影響で十分に学校生活を満喫できなかったであろう2回生は、自分たちの分まで新入生を楽しませるために教室内も華やかに飾ってくれていて、教員も心が温まりました。彼らの成長は、本当に頼もしい限りです。 いよいよ、新入生はこれから4年間をともにするクラスメートに自己紹介を済ませ、3つのグループに別れて対抗ゲームなどを楽しみました。入学から日が浅く新入生同士のコミュニケーションも十分でないことを心配しましたが、どのグループも鮮やかなチームワークで次々と課題をクリアしていきます。 このセッションで、少し硬かった新入生の表情はやわらぎました。緊張が取れたところで、新入生100名が一同に集まり、支援学生たちの語りを聴きました。実習中に患者さんとどのように関わったのかという支援学生の経験を、新入生は関心をもって聞き入っていました。また、ご遺体をテーマにした映像を鑑賞し、「いのちが無くなっても人間として大切にされることは重要」という気づきを得たようです。 語りを聴いた新入生は、支援学生からの質問にもしっかりと答えており、この研修では、新入生と上級生のつながりも強くなったことが感じられました。短い昼休みには、感染対策を意識した「黙食」の時間を過ごしました。 午後のセッションでは、午前中の学びを各グループでディスカッションしましたが、「いのちとこころ」をテーマに、それぞれが自分の考えを言葉にして伝えあう姿、メンバーが語る言葉に耳を傾ける姿が印象的でした。ディスカッションした内容は、スライドにまとめ上げ、各グループが熱のこもった発表を行いました。 100名の新入生は、この日の研修から「患者さんに寄り添うこと」「看護の対象を理解すること」について深く考えることができていたようです。 発表会後には、学部長の植田先生より「コミュニケーションを円滑にするためには、豊かな教養が必要です」とお言葉をいただき、新入生たちはこれからの学びに向けて、気持ちを新たにしました。 発表会の後は、3回生の支援学生より新入生研修一日を通しての取り組む様子をもとにそれぞれのチームに賞が与えられました。先輩たちの心温まる気遣いに、新入生は癒されている印象でした。 忙しい中、入念に準備をしてこの研修会を盛り上げてくれた支援学生の皆さんに、担任団一同は心から感謝しています。 新1回生として入学してきた100名には、人の痛みに心を傾け、耳を澄ますことができる看護師へと成長してくれることを担任団一同、願っています。 看護医療学科 講師 大友絵利香
2021.03.31
助産学専攻科9期生、修了&国家試験全員合格レポート!
祝!!助産師国家試験全員合格!! 令和3年3月26日(金)、助産師国家試験の合格発表があり、9期生10名全員が無事に合格いたしました。 これで助産学専攻科では開設以来、9年連続合格率100%を達成し、総勢72名の学生を助産師として輩出したことになります。 今後も助産学専攻科修了生の更なる活躍を期待しております! 2021(令和3)年3月16日(火)、助産学専攻科9期生修了式が執り行われました。修了式を迎えた専攻科学生10名の想いを掲載いたします。 ◆ 伊良原日南乃 この1年本当にしんどいこともたくさんありましたが、9期生の仲間に支えられて乗り越えることができました。 ◆ 岡本悠希 自己理解の意味がはじめは分かりませんでしたが、実習を通して自分をみつめなおすことが出来ました。自己の発展につなげていきたいです。 ◆ 河野美佳 実習で出会った妊産褥婦の方や赤ちゃん、そして様々な経験や学びは一生忘れることがないと思います。 ◆ 末岐茉由 この1年、苦しい思い、辛い思いもたくさんしましたが、そんな中でも頑張り続けることが出来たのは、この9期生10人だったからだと思います。 ◆ 杉野茉由 この1年は今まで味わったことのない感情や経験にたくさん出会いました。その学びが自分自身を大きく成長させてくれました。 ◆ 田中佑歩 この1年間さまざまなことを経験して、「お母さんや子ども・家族のために考えて行動できるようになりたい」としっかり目標を言えるようになりました。 ◆ 西本真央 人生の中で1番長く、苦労し、責任の重さを深く考えた濃い1年間でした。これからは、助産師として社会人として学んだことを活かせるよう頑張っていきたいです。 ◆ 堀辺瑞月 4月からはそれぞれの場所でみんなも助産師として頑張っていると思うと、自分も頑張れる気がします!! ◆ 増田朱莉 楽しいことも辛いこともみんなで共有しながら過ごしてこれたので、今では本当に大切な仲間になりました。 ◆ 渡辺千晴 先生方が時には厳しくそして温かく見守ってご指導して下さり、また学生10人が励まし合い、助け合いながら過ごしてきたから無事に終えることができたと思います。 〈最後の講義:みんなで集合写真!〉 コロナで戸惑いからスタートした1年でした。 社会全体が混乱する中、助産学生生活も制限があったり、急遽予定が変更になったりなど、難しい場面が多くありました。 しかし、そのような中でも9期生10名は周囲への感謝を忘れず、自分自身と向き合いながら自己のめざす助産師像に向かって、一歩一歩、歩んでくれました。きっと素敵な助産師に成長していくことでしょう。 修了おめでとうございます! 助産学専攻科 教員一同
2021.03.23
令和2年度卒業証書・学位記授与式レポート~看護医療学科
令和2年度の卒業証書・学位記授与式が令和3年3月16日(火)に新型コロナウイルス感染拡大予防のため、記念式典は冬木記念ホールで開催し、それを学科ごとの会場で中継して参加する形で挙行されました。今年度はCOVID-19感染症の影響で、卒業生や関係者以外は参加できないため、保護者不在での開催となりました。また卒業生は体温測定、アルコール消毒をし、マスクを着用しての参加となり、今までとは違う式になりましたが、当日は綺麗な袴やスーツに身を包み、元気な姿を見せてくれました。 学科別の卒業証書・学位記授与式の教室は、前日に担任が飾りつけ、手作り感満載のアットホームな雰囲気になったと思います。 学生企画による教員からのビデオメッセージやビンゴなど、約2時間という短い時間でしたが、思い出に残るひと時を過ごすことができました。なおこの式の様子はビデオ撮影しDVDを作成しましたので、後日保護者の方々にも視聴いただけると思います。 卒業生の皆さんの人生において、畿央大学で過ごした日々は短いかもしれませんが、これからの未来につながる貴重な時間であったと思います。大学で得た知識や経験を活かし、 対象者に必要なケアをしてほしいと思います。 今後の活躍と皆さんの健康を祈っております。 看護医療学科 担任代表 對中百合 【関連記事】 令和2年度卒業証書・学位記・修了証書授与式を行いました。 畿友会(学生自治会)だよりvol.64~卒業式レポート!
2021.03.18
第9回助産学専攻科事例研究発表会を開催しました。
2020年3月3日(水)に第9回助産学専攻科事例研究発表会が開催されました。助産学専攻科1年間の集大成である発表会当日の様子を学生からレポートをいただきました。 私たちは昨年8月から助産学実習に行き、病院や保健センター、助産所などで活躍する助産師の役割や技術、母子保健の在り方について学びました。病院実習では、コロナ禍の中全員が分娩介助をさせていただきました。また、それぞれが1人の方を分娩期から産褥期・新生児期、1ヶ月健診まで継続して受け持たせていただき、約2か月にわたって、指導者さん、先生から助言をいただきながらケアを展開しました。 事例研究発表会では、その継続事例の方と関わる中での学びを振り返りながらまとめた論文を基に、スライドを作成して発表しました。発表会には、コロナ禍により、臨床指導者、臨床教員の皆様をお招きすることは出来ませんでしたが、専攻科学生、教員の他、看護学科の3、4回生に参加していただきました。 今回の事例研究発表会は学生10人で行う最後の行事でありましたが、はじめは10人でまとまらず、発表会に向けた思いもそれぞれの方向を向いていました。リハーサルや準備もどのように進めるべきなのか、学生10人で発表会を成功させるために自分はリーダーとしてどう行動するべきなのか悩みました。発表会が終わった今、こうすればよかったかなと振り返ることはありますが、どうすれば自分の考えや思いを伝えることが出来るかをそれぞれが試行錯誤し、先生方から助言をいただいたり、学生同士意見交換をしたりしながら、精一杯努力し、作り上げることができ、発表会を行うことができたことは本当にうれしく思います。 それぞれの発表では、練習の成果を発揮して、自信をもって発表することが出来ました。また、互いの発表を聞き、学生間でも質問し合ったことで、それぞれの学びをさらに深めることが出来ました。 事例研究のほかに、一人ひとりが目指す助産師像について発表しました。入学してすぐの助産学生として走り出したときにも助産師像を考えていましたが、1年の学びを通してそれぞれが自己理解できるようになり、助産師像も具体的なものになりました。 それぞれの中身をご紹介させていただきます。 ▲写真上:伊良原日南乃 写真下:岡本悠希 ▲写真上:河野美佳 写真下:末岐茉由 ▲写真上:杉野茉由 写真下:田中佑歩 ▲写真上:西本真央 写真下:堀辺瑞月 ▲写真上:増田朱莉 写真下:渡辺千晴 発表会終了後には、先生方から学生一人ひとりに対して発表や実習での経験に対してコメントをいただき、大変有意義な発表会となりました。 実習は楽しいことばかりではなく、様々な壁にぶつかり、悩むことも多くありました。しかし、その中で自己を見つめ直しながら学びを深めたことや、妊産褥婦さん、指導者の皆様方と出会えたことが大きな力となりました。研究を通して、そのことを改めて実感することが出来たと感じます。4月からはそれぞれ違う場所へと進むことになります。この1年間、学生10人で励まし合い、支え合いながらともに頑張ったことを忘れずに、離れた場所にいても切磋琢磨し邁進したいと思います。 ※撮影直前にマスクを外し、声を出さないようにして撮影しています。 最後になりましたが、今回学生の受け持ちを快諾してくださった妊産褥婦さんとご家族の皆様、受け入れてくださった施設の皆様、温かい指導をくださった臨床指導者様、1年間一番近くで育ててくださった教員の皆様に心より御礼申し上げます。 助産学専攻科 伊良原日南乃 末岐茉由 田中佑歩 【関連記事】 災害時の行動をロールプレイで学ぶ「周産期災害演習」~助産学専攻科 新生児蘇生法(NCPR)Aコース講習会を受講しました!~助産学専攻科 マタニティヨガ・ベビーマッサージの特別演習~助産学専攻科 熟練助産師から学ぶ分娩介助の応用「側方介助と肩甲難産の分娩介助方法」~助産学専攻科 産婦人科医に学ぶ!会陰縫合の理論と技術~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅱ」 産婦人科医に学ぶ!超音波診断法の理論と実際~助産学専攻科 スペシャリストに学ぶフリースタイル分娩!~助産学専攻科 分娩介助・乳房マッサージの遠隔演習用教材を手作りしました!~助産学専攻科
2021.03.12
川上村健康力向上プロジェクトの終了報告で川上村を表敬訪問~看護医療学科
奈良県川上村で文部科学省の科学研究助成を受けて展開している「安心して暮らすことができる地域づくり」をめざした川上村健康力向上プロジェクトの終了報告のため、川上村長を表敬訪問し報告書を手渡しました。 本来は、2020年3月に村民の皆様に直接報告する報告会と住民の方の自主的活動を紹介するシンポジウム開催を計画していましたが、COVID-19禍を受け1年延期し、2021年3月に開催としていたものも今回の緊急事態宣言発令を受け中止とし、開催時に配布する予定であった報告書を全戸配布することで代替えとしました。 川上村健康力向上プロジェクトは、マンパワーや医療福祉等の社会資源が限られている山間部の過疎地で健康に過ごすために自分にできることは実践しながら(自助)、高齢者の方や障がいのある方など生活の維持に支援が必要な方に対して、地域でお互いに協力しながら積極的に手助けしていく互助の輪を広げていくことで、健康で安心して住み続けられるコミュニティーづくりへの関心が高まることを目的・目標として、生活支援を担う18~64歳の次世代の方を対象とした食生活・身体活動・認知症・見守りについて、教育プログラム開発による各種の教室を開催した介入やツール検証等を展開してきました。 本報告書では、スタート時のベースラインアンケート調査および2年後のアンケート調査結果と3年間の展開結果、村内で住民のつながり強化等の互助活動をされている5名の方の活動内容を掲載しています。 村長への表敬訪問前には、この5名の方々とも面談しました。COVID-19の影響で、住民の方が多数集まることが制限されているため、主だった活動が困難となっていますが、そのような状況下においても声かけ運動など可能な活動を模索されており、他の地域での取り組みなどの情報提供を求められ、その意識と意欲が確固たるものであることを強く感じ嬉しく思いました。これらの方々の活動を報告書にして全戸配布することにより住民の方への周知とつながり、また新しい取り組みやつながりができていくことを期待したいと思います。 ■ご参考に本プロジェクト展開内容と結果を紹介します。 1.減塩への意識向上に特化した食生活教室:分担研究者 羽衣国際大学 中井久美子教授 アンケート結果から塩分摂取推定量が奈良県・全国平均に比べ多いという結果から、減塩を意識しながらも、楽しく美味しく食べることへの提案として、吉野ストア様の協力を得て塩分1.3 gと0.9gの減塩ヘルシー弁当を開発し、カッテージチーズや野菜マフィン等を含めた試食体験で減塩を体感できる教室を2回開催しました。 2.身体活動向上意識に特化した健康測定の実施:分担研究者 畿央大学 松本大輔准教授 村民運動会で健康測定と結果に応じた保健指導を実施し、参加者50名の内64歳までの方の20%が、追跡調査で健康測定は行動に影響があったと回答されました。 3.認知症の理解と互助推進を意識した認知症教室:分担研究者 畿央大学 山崎尚美教授 認知症サポーター養成講座に該当する合計4回の認知症教室と1年後のフォローアップ教室を開催しました(第1・2回認知症教室は、すでに本学ブログで紹介済)。 ▲第3・4回認知症教室 ▲1年後フォローアップ教室 認知症サポーター養成講座受講者数は167名で、実に村民全体の10%以上を占め、フォローアップ教室は、67名が受講されました。奈良県の認知症サポーター養成講座受講割合は4%ですので非常に高い状況となり、村内全地区に受講者が存在することとなりました。 4.見守り電池を用いた生活反応データ把握検証: 分担研究 帝京大学ラーニングテクノロジー開発室 宮崎 誠助教 ㈱NTTドコモの協力を得てIoT見守りサービス「みまもりベース」による電池をTVリモコンや血圧測定器、電池式薬入れにセットし、その通電状況をモニターすることによる地域見守りの実証実験を実施しました。一定の時間での通電がモニターでき、離れて暮らす家族や行政での見守り確認が可能となることが確認できました。また機器の使用の検出がされなかった際に、誰が安否確認を誰が行うのかといった運用面での課題が明らかとなりました。 今後、この活動がどのように住民の方々に反映されていくのか、継続して見守っていきたいと思います。 研究代表者 看護医療学科 教授 松本泉美 ※本プロジェクトは、文部科学省科学研究助成事業の助成を受けて実施したものです。 研究課題「過疎地住民のコミュニティ・エンパワメント強化のための教育支援システムの開発」 基盤C 課題番号17K01811 【関連記事】 川上村健康力向上プロジェクト「認知症教室」を開催!~看護医療学科 川上村民生児童委員会の方を対象とした「認知症を正しく理解する講習会」を開催!~看護医療学科 平成30年度奈良県認知症ケア専門士会 第1回研修会を開催しました。 互助をテーマにした「川上村シンポジウム」を開催!~看護医療学科 看護医療学科教員が、川上村の地域包括ケアシステム構築に向けての研修会企画・講師を担当!
2021.02.25
新生児蘇生法(NCPR)Aコース講習会を受講しました!~助産学専攻科
助産学専攻科の学生10名は、令和3年2月17日(水)に「NCPR(新生児蘇生法)Aコース」を受講しました。 NCPRとは「すべての分娩で、予期せぬ仮死に対する初期対応を、分娩に立ち会うすべての医療者が迅速かつ確実に行える」ことをめざした新生児蘇生法のことです。規定の講習を受けて試験に合格すれば、新生児蘇生法修了認定の資格を取得することができます。この資格には大きく分けて3つのコースがあり、私たちは「専門」コース(Aコース)を受けました。このコースでは、基本的な新生児蘇生法に加えて、気管挿管や薬物投与を含めたより高度な新生児蘇生法を学び、専門性の高い知識や技術を身につけることができます。 今回、私たちは「さの赤ちゃんこどもクリニック」院長で小児科・新生児科医である佐野博之先生に講習をして頂きました。ベビー人形を用いた新生児蘇生法のデモンストレーションや事例を通したシナリオ演習を行い、アルゴリズムに沿って、どのように対応するのかシミュレーションしました。事前にNCPRに向けて手技や知識を学習していましたが、実際に物品を用いたり、限られた時間の中で蘇生法を行ったりすることがとても難しく感じました。 演習では、一人が主体的に蘇生を行うよりも、チームのサポートがあることでより迅速に的確なケアを行うことができると学びました。チームの一人ひとりが、自分の役割を把握し、積極的にケアに介入していくことが、生まれてきた命を守ることにつながるのだと思いました。 新生児蘇生法は前期の授業の中でも学んでいましたが、その時点では現場をイメージすることが難しく、今回実習を終えてから講習を受けたことで、臨床での緊迫感や臨場感を思い出して演習に取り組むことができました。また、1年を通して知識を身につけることができたので、より深く「新生児の救命」に目を向けて演習できました。今回の講習や演習を通じて学んだことを、臨床で活かしていきたいと思います。 助産学専攻科 増田朱莉 【関連記事】 マタニティヨガ・ベビーマッサージの特別演習~助産学専攻科 熟練助産師から学ぶ分娩介助の応用「側方介助と肩甲難産の分娩介助方法」~助産学専攻科 産婦人科医に学ぶ!会陰縫合の理論と技術~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅱ」 産婦人科医に学ぶ!超音波診断法の理論と実際~助産学専攻科 スペシャリストに学ぶフリースタイル分娩!~助産学専攻科 分娩介助・乳房マッサージの遠隔演習用教材を手作りしました!~助産学専攻科
2020.12.21
2020年度Orange Project記念式典参加レポート!~認知症ケアサークル「畿央大学Orange Project®」
やさしさを「チカラ」に変えるOrange Project®(オレプロ) 第3報 Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学)と奈良県(畿央大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体で、“認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体です。2020年には、ロゴやマークが商標登録されました。 畿央大学の卒業生たちは2019年から、在学中に熊本大学・熊本保健大学・崇城大学と共に、Orange Project®(認知症支援プロジェクト)に参画し、認知症になってもやさしい町づくりなどに、学生主体に取り組み始めました。そして「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に2019年9月にサークルとして発足しています。 2020年12月13日(日)に『2020年度Orange Project記念式典』が開催されました。参加大学は、オレプロ組織校の畿央大学・崇城大学・熊本大学・熊本保健科学大学です。私たち畿央大学のオレプロメンバー5人は、オンラインで参加しました。 式典は、感染防止対策を講じながら、熊本県(熊本大学講義室)とオンライン(Zoom)での参加のハイブリット型でした。第1部では、顧問の先生方からの挨拶、活動報告、新年度の役員の紹介が行われました。第2部では、今年度の活動を通しての感想や活動の敷居の高さ、大学間交流を深めるためのアイデアについて小グループで意見交換やその内容を発表しました。今回は、参加した活動内容を報告したいと思います。 ▲当日のプログラム 第1部では、顧問の挨拶や正会員や新役員の紹介や各大学の活動報告があり、代表顧問 である熊本大学の安武先生から、「熊本はつらつプラン」で作成したオレプロ紹介VTR、畿央大学からは山崎先生が、今は「新しい時代に適応するための充電期間」としてネットワークの構築や基礎知識・知見の情報収集の時期であることを話されました。崇城大学の顧問の内藤先生は、認知症の見守りに対する新規プロジェクトの概要を説明されました。また、熊本市と広陵町の課長様から、行政の視点でのオレプロに対する期待と式典開催に対するご祝辞を頂戴しました。1月に予定している「認知症キッズサポーター養成講座のサポート」や「認知症の紙芝居の活躍の場の提供」など、オレプロ学生の今後の広陵町内での期待についてもお言葉をいただきました。 さらに、学生による活動報告の中では、畿央大学からは看護医療学科2回生の白川桃子さんがオレプロ発足からの1年間の活動報告として「セミナーやサポーター養成講座に参加して活動が再開した時のための知見を得ること」や「認知症当事者やそのご家族様にインタビューをして授業では学べない認知症に対する理解の促進」「多世代まちづくりプロジェクトの受賞」「畿央大学内でのオンラインミーティングの実施」など、コロナ禍ではありますが、今できることをリモート上で実践しいていることを報告しました。 また、第2部では大学間交流を深めるためのアイデアについて小グループで意見交換やその内容を発表しました。 どの大学も新型コロナウイルスの影響により活動ができなかったという意見がありました。私たちも2月頃に、認知症に対する勉強会を含めたミーティングを企画し、大学内での認知症カフェ(大学カフェ)を4月から実施したいと話し合っていましたが、実現しないままになっていること、オンラインでの他大学交流の場に積極的に参加するための方法について意見交換をしました。大学カフェは、畿央大学と近辺に住んでいる方を対象としたもので、現在もまだ延期となっていますが、オンラインでも可能なカフェを考えてはどうかという意見もありました。 新型コロナウイルスによって直接関わりながらの活動はできない状態ですが、オンラインでの活動が発達し、今回のように奈良県と九州の大学とリアルタイムで交流することができるようになったことは、学生間の活動に刺激をもらうことができとてもよいことだと思います。 また、今後のオンラインでの交流の仕方についても意見交換がありました。オンラインによって他府県の学生メンバーとも交流ができるようになりましたが、全員が慣れないため反対にオンラインで参加することに抵抗があるという問題がありました。抵抗をなくすための方法として初めに自己紹介するときは大学・学年以外に趣味など話が広がることも言うと話しやすくなるのではないか、大人数ではなくトークルームの機能を使用して小グループにして交流すると発言しやすくなるのではないかという意見がありました。自分自身も、ミーティング時には、アイスブレイクするために自己紹介や趣味の話・大学生活での話を行うことが良いと思いました。 ▲記念式典の会場の様子(熊本大学) 高齢化が進むなか、地域の人・次世代の担い手である若い人が高齢者を支えることは非常に大切なことだと考えています。小さなコミュニティでの活動だけではなく、他の場所で行われている活動も取り入れながらOrangeProject®を発展させていくことは、高齢者や認知症の方が活き活きと生活できることを支えるのに必要だと思います。 今後のOrangeProject®の発展に貢献できるように積極的に活動に参加し、まずは研修を受けて正会員になりたいと思います。また、これからもオンラインを使用した交流が増えてくると考えられるため、ITリテラシーをしっかりと学びつつZoomやTeamsといったツールを有効に活用できる方法を考えていきたいと思います。 看護医療学科3回生 東條真納美 【今年度の関連記事】 第1報 「畿央大学Orange Project®」2020年活動レポート! 第2報 多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティションで「参加者賞」を受賞 ▶オレンジプロジェクトに関連するブログ記事 KIO Smile Blog
2020.12.18
第15回 奈良県認知症ケア専門士会オンラインセミナー「〜コロナ時代におけるこれからの看取り〜」参加者レポート~看護医療学科
2020年12月12日(土) 13:30から開催された奈良県認知症ケア専門士会オンラインセミナーに参加しました。セミナー当日は清水寺のお坊様 大西英玄様(現住職のお孫さん)の講演があり、コロナ禍で、家族が認知症や終末期であって面会も付き添うことが出来ない状況下での死生観について、宗教家の視点で熱く語っていただきました。 今回はその内容について学生の視点でレポートします。 まず、講演の第1部では、「生きる」とはどういうことなのか、「死ぬ」ということはどういうことなのかについての説明がありました。日頃、あまり日常的に考えることのないテーマでしたので、自分自身とても考えさせられました。主に死生観に関する話でしたが、その内容は幅広く、認知症ケアや終末期ケアに関する内容も例示して説明されていました。大西様の説明では「生きるとは苦しみと苦難とともにある」のだから、ただ楽しいことだけでなく辛く苦しいこともあるのだと説かれていました。本当に苦しいときはごまかしが効かないのだということ、苦悩や苦しみも含めて純粋に対峙しすべてを大切にすることが必要だと思いました。 また、生老病死※などの厳しい現実、困難の中、人のために懸命に何かに尽くす過程において、自分が何者か、自分の使命に気づくと話をされていました。この苦しみは本当の喜びを形に変えたものであり、この苦しみはあなたの努力の糧になり、いつか必ず役に立つものであるとも話されていました。 ※仏教用語。避けることのできないこの世での人間の4種の苦悩。生まれること、老いること、病気をすること、死ぬこと。四苦。 「次にする」ことや、「また今度」は、誰にも保障されていないということ、このことは「終末期ケア」の原点であり、特に高齢者の場合は「この人には次はないのかもしれないと思い、今すべきことを後回しにせずその時(今)する」ことだと思います。認知症の人は、今この時の記憶はありますが、数分後には忘れてしまうこともあります。終末期の患者さんは、明日は命が続いているかわからないこともあると思います。今を大切にする(生きる)、このことはどの世代の人もあてはまることだと思いました。 ▲オンラインセミナーの様子(講演者:大西英玄様) そして、「死ぬということはさまざまな苦しみを経て純粋に立ち戻る」ということ。そしてこの苦しみや苦悩は「死んでいくための予行演習なのだ」と話されていました。苦難の中、共に生きることが共に死ぬことにつながり、人との出会いは、縁によるもので、その縁の中で一人一人が懸命に生き続けることで、自らの果たすべき責任を果たしていくことだと話されていました。そのご縁、人との出会いのくり返しが死生の循環でもあり、この出会いは一生に一度の出会いでもあり、互いに誠意を尽くすことが重要だと述べられ、それは医療職、介護職の患者さんへの一回一回のケアへの考え方にもつながることだと思いました。 宗教家としてのスピリチュアルな視点で哲学的に講演していただいたので、私にとってはあまり日常的に考えることがない難しい内容でもありましたが、非常に心に染み入るお話しで心が洗われた気持ちになりました。多くの人は自分だけが苦しんでいる、不幸だと思いがちですが、人は死に向かって死ぬための予行演習としてその苦しみを体験しているのだと学びました。結局、「生きることは、死に向かって苦しみを体験している」「死ぬことは、生きているということを実感している」ことで生老病死ということなのだと思いました。 そして、世の中の嫌なことや苦手なことは、自分が(原因を)作っているため、今を生きるためには、①苦しくても嫌われても相手に伝え続ける(自分から変わる)、②悟りというのは、本当に大切なことを失ってから初めて気づくことを「失う前に気づくこと」だと教えていただきました。これらのことは、自分の死生観、看護観にも通じることであり、看護をするうえでも大切な看護の哲学的視点であるため、今後も自分の死生観を培っていく必要があると思います。また、今のコロナ禍の状況を苦しみととらえるのではなく、自分の責任を果たしていくための過程ととらえて生きていきたいと思いました。 ▲オンラインセミナー受講の様子(掲載に関して許諾を得ています) 第2部では、Zoomのトークルームでグループワークを行いました。今回参加した方々を4人ごとのグループに分け、コロナ禍での困っていることを発言し、話し合いました。奈良県内だけでなく、広島、大阪や東京から、認知症ケア専門士、急性期看護師、認知症患者のご家族、精神福祉士、グループホームのケアマネージャーなどの参加があり、さまざまな立場の悩みを共有し、理解し合う、現場の声を伺った貴重な体験でした。この場で共有していただいた課題解決(苦悩)も生きていることそのものであり、またそれぞれの立場で責任を果たそうとしているのだと思いました。このように患者さんを中心に様々な職種の人が思うように悩みを打ち明ける会議も、解決策を練る上で大切だと思いました。 今回のオンラインセミナーは座学の授業や演習ではなかなか学習することのできない内容ばかりでとても新鮮でした。コロナ禍だからこそ、今時間のあるうちに役に立つ知識や知見を情報収集していき、これらの学びを今後の学習にも活用していきたいと思います。 看護医療学科2回生 白川桃子 ●日本県認知症ケア専門士会公式HPはコチラから! ●日本県認知症ケア専門士会公式Facebookはコチラから! ●奈良県認知症ケア専門士会公式Facebookはコチラから! ▶認知症ケアサークル「畿央大学Orange Project®」に関連するブログ記事 KIO Smile Blog 【関連記事】 奈良県認知症ケア専門士会第14回研修会 講演会&VR認知症体験レポート~看護医療学科 2019年度 奈良県認知症ケア専門士会総会&第13回研修会を開催しました!~看護医療学科 畿央祭教員企画「第12回奈良県認知症ケア専門士会研修会」~看護医療学科
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