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理学療法学科

2021.07.21

東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編

2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として奈良県から参加する4名はすべて本学理学療法学科の教員・卒業生・修了生で、選手村や競技場の救護室に配置されてアスリート支援を行う予定です。そのうちの一人、唄さんに東京五輪への想いや意気込みを語っていただきました! 唄大輔さん 理学療法学科2008年卒業/健康科学研究科2015年修了 理学療法士(運動器専門理学療法士) 社会医療法人平成記念会 平成記念病院 リハビリテーション課 主任 畿央大学大学院健康科学研究科 客員研究員 オリンピック・パラリンピック:選手村総合診療所(東京:晴海) パラリンピック:選手村総合診療所(静岡:河口湖)     ▶なぜ東京五輪に? 理学療法士として自分の人生のレガシーのため!   ▶準備してきたこと まず英語力の向上です。理学療法士協会が主催の研修会でも英語研修はありましたが、その復習はもちろん、中学、高校での単語帳や教科書を用いて勉強していました。さらにリスニングをきたえるためにYoutubeのスポーツ理学療法に関する動画を何度も繰り返し視聴しました。   ▶東京五輪では具体的に何を? 東京の選手村(本村)のポリクリニックにてケアが必要なアスリートの治療を実施予定です。もちろん、英語で(笑)   ▼畿桜会(同窓会)会長として卒業式に出席した唄さん   ▼同窓会役員会での一枚(2020年2月撮影)   ▶意気込みや目標は? オリンピック・パラリンピックというアスリートにとっての人生をかけた大舞台に、メディカル部門として関われることは人生で何度もあることではないと思います。今までの臨床経験を活かして適切な理学療法サービスができるか正直不安ですが、精一杯楽しんできたいと思います。失敗を恐れず、トップレベルのアスリートとしっかり「会話」をしてきます!   ▶伝えたいことは? アスリートはもちろん、組織委員会をはじめとしたすべてのスタッフは、この東京2020大会に向けて人生をかけるほど大変な準備をしてきました。私たちも簡単にメディカルスタッフになったわけではありません。書類審査や英語面接などのテストも受けました。私たちのようなメディアで公表されない、東京2020大会に関わるすべての人の思いも知ってほしいし、伝えていきたいと考えています。 最後になりましたが、東京2020大会で活動するにあたって、多くの方に感謝を申し上げます。まずは、約1か月の休みをいただくにも関わらず、快く送り出してくれる職場に感謝申し上げます。また、奈良県理学療法士協会においては奈良県の代表と認めてくださり感謝申し上げます。そして、畿央大学の福本先生は学生時代からはもちろんですが、今大会にあたっても多大なるご配慮をいただき感謝申し上げます。畿央大学のムース先生もお忙しい中、お休みのところ、我々の英語力向上のためにご指導いただき、感謝申し上げます。そしてそして、自分の家族にも感謝しています。自分だけではなく、家族や周りの皆様の支えがあって参加、活動できることを再認識し、最後まで精一杯がんばってきます!     【関連記事】 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#3~楠元さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#1~加納さん編 東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。

2021.07.20

東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#1~加納さん編

2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として奈良県から参加する4名はすべて本学理学療法学科の教員・卒業生・修了生で、選手村や競技場の救護室に配置されてアスリート支援を行う予定です。そのうちの一人、加納さんに東京五輪への想いや意気込みを語っていただきました!   加納希和子さん 理学療法学科2012年卒業/大学院健康科学研究科2019年修了 理学療法士(スポーツ認定理学療法士、中級障がい者スポーツ指導員) 医療法人 勝井整形外科 畿央大学大学院健康科学研究科 客員研究員     ▶なぜ東京五輪に? 2013年に東京五輪の招致が決まった瞬間(有名な「TOKYO」のカードが掲げられたシーン)、「世界最大のスポーツの祭典であるオリンピック・パラリンピックで理学療法士として貢献したい!」と決意しました。そして畿央大学大学院の恩師である福本先生にできることがないか相談したところから、私の東京五輪への道がはじまりました。     ▶決心してから まもなく、奈良県理学療法士協会から東京五輪に派遣されるスタッフ募集の連絡がありました。最低条件である臨床経験5年以上はクリアしているものの、留学経験もなく英語を喋ることができなかった私は、すぐに英会話学校に通うことに。選考には日本語と英語の面接が課せられたのですが、早くから準備を進めてきたことが選考通過につながったと考えています。 また整形外科で理学療法士として勤務しながら卒業した高校バスケ部のメディカルサポートに入ったり、福本先生と一緒に高校野球や奈良マラソンのサポートをするなどスポーツリハにできるだけ関わってきました。     ▶東京五輪では具体的に何を? 私が配属になったのは「パラサイクリング」の競技会場です。選手村と違って競技会場は急性期(まさにケガや事故が起こった時)の対応が求められ、時には理学療法士として持つ知識・スキル以上のことが求められます。自転車競技での転倒事故は、後続や周囲の選手を巻き込む大きな事故が発展してしまう可能性もあり、一瞬も気を抜くことができません。万一の事故にもしっかり対応できるように準備をしていきたいと思います!   ▼TOKYO2020MEDスタッフの公式ユニフォーム全身フル装備した1枚     ▶本番に向けて コロナ禍に突入して対面形式での研修がオンラインになったり、その研修も延期になったり、東京五輪自体も延期になったり…とスケジュール調整も大変でしたが、開会式直前にしてようやく東京五輪に行けると実感がわいてきたところです。 英語については教育学部のムース先生に無理をお願いしていろいろと教えてもらったり、福本先生にもわからないことを指導していただいたり…と学部をこえた畿央大学のサポートに感謝しています。奈良県から参加する4名の派遣先はバラバラですが、何かあれば相談できる仲間がいることも心強く感じています。 もともと中高とバスケットボール部でマネージャーをしていたことがきっかけで理学療法士に興味を持った私にとって、トップアスリートのサポートができることは原点回帰であり、一つの集大成かもしれません。ドキドキワクワクしながら、理学療法士として貢献したいと思います!   ▼恩師の福本先生とともに   【関連リンク】 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#3~楠元さん編  東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。

2021.07.09

トルコからの留学生Burcu Dilekさんの研究成果が国際雑誌「Clinical EEG and Neuroscience」に掲載!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

2019年5月~8月に畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター(以下、ニューロリハ研究センター)へ短期留学していたBurcu Dilekさんとの共同研究が国際雑誌Clinical EEG and Neuroscienceに掲載されました。 この研究は、ヒトが痛みを怖がっている時の脳波活動を記録・解析したもので、痛みを怖がると運動プログラムが破綻することが明らかになりました。この研究は、留学中に計画・実施したものであり、その成果がこのように公表されることを嬉しく思います。 ちなみにBurcu Dilekさんは畿央大学へ留学する前にトルコで「運動をイメージするリハビリテーション」の研究をしており、痛みを有する患者さんに運動をイメージさせると痛みが低減することを明らかにしていました。 【参考】Dilek B, Ayhan C, Yagci G, Yakut Y. Effectiveness of the graded motor imagery to improve hand function in patients with distal radius fracture: A randomized controlled trial. J Hand Ther. 2018 Jan-Mar;31(1):2-9.e1.) 2019年の留学では、そんな彼女自身の研究経緯と、畿央大学のアイディア・研究設備が見事に相互作用して、良い研究成果が生まれたのだと思います。とはいえ、Burcu Dilekさん自身は脳活動の計測は初めてのことだったようで、非常に苦労しました。実際には、畿央大学で計測したデータをトルコで解析して、解析して、そして解析して....の繰り返しでしたが、持ち前の好奇心、行動力でそれらを乗り越えてくれました。留学から2年間が経ちますが、ここまで継続した努力に敬意を表したいです。彼女の今後の活躍を楽しみにしています。 【留学時の様子】 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!後編~ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター トルコ人研究者に日本や理学療法のあれこれを聞いてみた!~Burcu Dilekさんロングインタビュー  ちなみに、現在は、トルコのトラキア大学(Trakya University)のHealth Science Faculty Occupational Therapy Departmentに助教として勤務しているようです。そんな彼女のコメントと現在の写真が届いていますので、紹介させていただきます。  【Burcu Dilekさん コメント】 When I first visited the laboratory, which was established under Prof. Morioka's leadership, I was very excited and also motivated that I should work with the team. His team's research areas were very unique to me. All of them were talented and well-equipped scientists in their fields. Dr. Osumi helped to design the study in line with his experiences. Dr. Nobusako supported me in other technical and hardware aspects. Other employees of Kio University always had a smiling face and always found a solution when I had any problems. I quite adopted the study subject proposed to me and in the following periods, I want to continue working in this research area with Prof. Morioka's team. I am very happy that all our efforts have paid off. I want to thank all the staff of Kio University, especially Prof Morioka, Dr. Osumi and Dr. Nobusako. 森岡教授のリーダーシップのもと設立されたニューロリハ研究センターを初めて訪問した時、とても興奮して「このチームと一緒に働くべきだ」と意欲を掻き立てられました。研究分野は私にとって非常にユニークで、全員が各分野で才能にあふれ、かつ専門的な知識をそなえた研究者した。大住准教授はご自身の経験に沿って研究のデザインを手伝ってくださいました。信迫准教授はその他の技術的・ハード的な面で私をサポートしてくださいました。畿央大学の他の教職員もいつも笑顔で、問題に直面した時には必ず解決策を見つけてくれました。提案された研究テーマをかなり採用しましたし、今後も森岡教授のチームと研究を続けていきたいと思っています。私たちの努力が報われてとても嬉しく思っています。畿央大学のすべてのスタッフ、特に森岡教授、大住准教授、信迫准教授に感謝いたします。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 健康科学研究科 准教授 大住 倫弘 【論文情報】 Dilek B, Osumi M, Nobusako S, Erdoğan SB, Morioka S. Effect of Painful Electrical Stimuli on Readiness Potential in the Human Brain. Clin EEG Neurosci. 2021 Jul 2:15500594211030137.

2021.06.28

第63回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員が発表!~理学療法学科・健康科学研究科

2021年6月11日(金)~27日(日)にかけて第63回日本老年医学会学術集会がweb開催されました。昨年に引き続き、コロナウイルス感染症の影響により、シンポジウム、特別講演などは現地からのライブ配信、一般演題は事前に録画した発表資料を登録するという形で行われました。 畿央大学からは一般演題で、高取研究室の武田広道さん(博士後期課程3年)と私(松本)が発表を行いました。     <健康科学研究科 武田広道> 「要支援・要介護高齢者の身体活動量と身体機能・精神心理機能の関係」     本研究は、通所介護事業所を利用している要支援・要介護高齢者を対象に、身体活動量と身体機能、精神心理機能の関連について検討したものです。その結果、歩行速度とアパシー(意欲や、やる気の著しい低下)が身体活動量と関連していることが明らかになりました。良好な身体活動量を得るためには、身体機能、精神心理機能の両面に着目して関わる必要があると考えられます。     <理学療法学科 松本大輔> 「地域在住高齢者におけるWalkabilityと身体活動・社会参加との関連性:KAGUYAプロジェクト」     広陵町と共同で行われたKAGUYAプロジェクトの一環で行われた地域在住高齢者を対象とした調査結果から、社会参加・身体活動とWalkability(歩きやすさ)の関連を分析しました。その結果、Walkabilityの違いによる健康格差が存在し、特に、Walkabilityが低い地域(徒歩圏内に出かけるところが少ない)に住んでいる女性は社会参加や身体活動が少ないということが明らかになりました。Walkabilityが低い地域に特化した社会参加・身体活動への支援を含むまちづくりが必要であると考えられます。   本学会は「高齢化最先進国の医療の在り方―老年医学からの超高齢社会への提言―」というテーマで開催されました。例年の対面型では興味のある講演や演題が同じ時間帯で視聴できず、残念な思いをしていましたが、今回はオンデマンド配信があり、今までよりも多く視聴することができました。内容は昨年同様、フレイル、サルコペニアに関連するものが中心でしたが、今年はやはりコロナ禍での高齢者対策などの企画セッションも複数見られました。   このコロナ禍で、高齢者の方への体力測定を伴う対面式の調査がほとんどできておりませんが、他のグループでは電話やオンラインなどでフォローされているのが印象的でした。   老年医学会は理学療法の関連学会よりも歴史があり、多職種の方々が参加されています。学会に引き続き参加し、偏った知識、考えにならないように情報をアップデートしていきたいと思います。   理学療法学科 准教授 松本大輔   【関連記事】 第62回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員2名が発表!~健康科学研究科 第30回日本老年学会・第59回日本老年医学会の合同総会でプロジェクト研究の成果を発表!~健康科学研究所

2021.06.16

患者教育プログラムは変形性膝関節症患者さんの自己効力感の向上に有効か?~理学療法学科教員

研究成果が、筋骨格系の疾患や障害に関する国際学術誌に掲載されました! ~変形性膝関節症におけるセルフマネージメント教育プログラムの自己効力感に対する効果~   変形性膝関節症(膝OA)の患者さんに対する患者教育プログラムは患者さんの自己効力感を高めることが出来るのか?という疑問についてシステマティックレビューという手法を用いて調査した研究成果が、筋骨格系の疾患や障害に関する国際学術誌「BMC Musculoskeletal Disorders」に掲載されました。 論文のタイトルは「Effects of self-management education programmes on self-efficacy for osteoarthritis of the knee: a systematic review of randomised controlled trials」(変形性膝関節症におけるセルフマネージメント教育プログラムの自己効力感に対する効果:無作為化比較試験のシステマティックレビュー)です。     膝OAの患者さんに対する理学療法の効果はこれまでに多くの研究で報告されています。例えば運動は膝OA患者さんにとって最も重要で有効な介入手段の一つであることが明らかにされています。しかし同時に運動を継続して行うことが難しいことも多く報告されています。運動が続かない原因については様々な要因が考えられますが、我々はその一つとである“自己効力感”に注目しました。自己効力感とは、“自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるという、自分の可能性についての認知や自信”のことを言います。 我々の先行研究では自己効力感が高い膝OA患者さんほど日々の身体活動量が多い傾向があることを報告しています。     今回の研究は既に公表されている無作為化比較試験(RCT)など複数の臨床研究を、一定の基準と一定の方法に基づいて集めて、系統的にまとめる、システマティックレビューという方法を用いて行いました。今回は対面で行われる医療専門家による教室形式の患者教育プログラムを対象に研究を行いました。その結果、患者教育プログラムは膝OAの痛みやその他の症状に対する自己効力感を高める可能性が示唆されました。 一方で集められた研究の数が少なく、また研究のデザインがまちまちであったため、研究の疑問に対してはっきりと結論付けることができる結果は得られませんでした。     日本では膝OA患者さん向けの系統立った共通の患者教育プログラムはみられませんが、今後は日本人向けの患者教育プログラムの構築も必要であると考えています。   Uritani D, Koda H, Sugita S. Effects of self-management education programmes on self-efficacy for osteoarthritis of the knee: a systematic review of randomised controlled trials. BMC Musculoskeletal Disorders. 22. 515. 2021. (無料で閲覧、ダウンロードが可能です)   健康科学研究科准教授 健康科学部理学療法学科准教授 瓜谷 大輔 【関連記事】 「変形性膝関節症」に関する共同研究が論文として公表されました!~理学療法学科教員 変形性膝関節症に関する研究の途中経過が学会誌に掲載されました~理学療法学科教員 理学療法学科卒業生の卒業研究が国際学術雑誌に掲載!~理学療法学科 「足趾握力」に関する論文が国際誌に掲載!~理学療法学科教員

2021.05.19

第25回日本ペインリハビリテーション学会学術大会でダブル受賞!!~健康科学研究科

2021年5月15日(土)、16日(日)にWebにて開催されました第25回日本ペインリハビリテーション学会学術大会において、西祐樹さん(博士後期課程)が最優秀賞、林田一輝さん(客員研究員)が優秀賞を受賞しました。今回は、その二人からレポートをいただきました。     第25回日本ペインリハビリテーション学会学術大会において、発表してまいりました。 本学会では、「難治性疼痛の挑戦」というテーマで、痛みの難治化に対する予防と対策についての適応と限界を議論し、解決すべき課題を明らかにしていくという明確なビジョンのもと、特別講演や教育講演、シンポジウムが催されました。登壇された先生方の痛みに対する病態評価に基づいた薬物療法やニューロリハビリテーション、認知行動療法等への介入の視点に感銘を受けるとともに、ポジティブな面ばかりに囚われず、評価・介入の限界点などのネガティブな面を明確化することも、次の臨床につながるのだと再考致しました。 また、一般演題は110演題が登録され、積極的なディスカッションがweb上で繰り広げられました。   私は、「慢性腰痛者における歩行時の体幹運動制御の変調は環境に依存する―非線形解析を用いて―」という演題で発表を行い、最優秀賞を受賞いたしました。カオス解析を用いて日常生活環境における歩行を質的に分析した結果を報告いたしました。数多くの演題の中から最優秀賞に選んでいただけたことは、大変光栄に思います。今後もペインリハビリテーションの発展に貢献できるよう、日々精進致します。また、当研究室の林田一輝さん(客員研究員)も「他者に強制された行為に伴う痛みは行為主体感を減弱させる」という演題で優秀賞を受賞されており、大変うれしく思います。 加えて、初の座長を務めさせていただき、様々なことに気を配りながら、的確な発言が求められ、その大変さを身に染みて感じました。座長ならではの視点で発表を聴講することができ、貴重な経験をさせていただきました。     最後になりましたが、今回の発表にあたりご指導いただきました森岡周教授と、研究室の皆さま、研究データ収集を手伝ってくださった皆様に深く感謝申し上げます。   健康科学研究科博士後期課程 西佑樹     第25回日本ペインリハビリテーション学会学術大会において研究成果を発表してまいりました。私は本学術大会には初めての発表であり、新たに触れる情報が多く新鮮な気持ちで参加することができました。   本大会は平川大会長の下、「難治性疼痛への挑戦」というテーマで開催されました。どの特別公演やシンポジウムも現場へのメッセージ性が強く、臨床にいる私にとってまだまだ勉強不足であることを痛感させられました。 一般演題においては、科学的妥当性が欠けていると質疑応答ですぐさま指摘が入り、web開催でしたが緊張感が保たれている印象を受けました。   私は「他者に強制された行為に伴う痛みは行為主体感を減弱させる」という題で発表し、優秀賞を受賞させていただくことができました。内容を簡単に述べると、運動課題を自分で選択した時と比較して他者に強制された時は、運動に伴う痛みを他者のせいにしてしまうということを実験的に明らかにしました。オンラインのため、どれだけの質問者がいるか把握できず、一つの質問にどれだけの時間をかけて答えるべきかわからない、といったオンラインならではの難しさを感じました。賞をいただくことは初めての事であり非常に嬉しく思います。   発表の準備に際してたくさんの指摘を頂いた森岡周教授ならびに研究室のメンバーには本当に感謝しています。みんなで作り上げた感じがあり、何倍も嬉しく思っております。     また、同研究室の西祐樹(博士後期課程)さんは、「慢性腰痛者における歩行時の体幹運動制御の変調は環境に依存する―非線形解析を用いて 一」という演題で最優秀賞を受賞しました。西さんは私の演題の共同演者でもあり、二冠達成は素晴らしいことだと思います。   本学術大会に参加し、発表準備を含めて非常に貴重な経験をさせていただきました。本研究領域の発展のためにも益々努力していこうと思います。   ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 林田一輝

2021.04.21

2021年度 新入生学科別研修会レポート~理学療法学科

畿央大学では入学後の不安を払拭し、担任や同級生との絆を深めるため、「新入生宿泊研修」を学科ごとに入学式直後に行っています。今年度は2020年度に引き続き十分な感染対策を講じたうえでその代わりとなる「新入生学科別研修会」を学内で開催しました。今回は理学療法学科の研修会の様子を報告します!   2021年4月7日(水)、感染対策・予防の観点から短期集中の3時間で新入生73名に研修会を行いました。 まずは、クラスごとに分かれての自己紹介タイムを実施しました。みなさん少し緊張気味でしたが、すでにスマホやSNSは当たり前の世代なので、すでに色々なところでつながりができている様子でした。     さて、研修の一つ目のポイントです。 「卒業生の講話」と題して、理学療法学科卒業生の方から畿央大学の「建学の精神」を踏まえたお話をしていただきました。例年であれば、卒業生と上回生の合計10名ほどからお話をしていただくのですが、今年は人流を最小限にするために2名の卒業生にお願いしました。   ▼畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターで働いている大住先生(3期生)     学生時代のお話、臨床でのエピソード、研究や結婚や出産について、赤裸々に語っていただきました。畿央大学の「建学の精神」が、卒業後も心の中に宿り続けていることを感じた貴重なお話を聞かせてくれました。 新入生にとっては、卒業後の未来について想像するキッカケになったのではないかと思います。   ▼多くの卒業生も活躍する西大和リハビリテーション病院の後藤さん     そして、本研修会のメインイベント、畿央大学の「建学の精神」について新入生自身で考える企画です。理学療法学科の新入生研修会では、例年このテーマで実施しています。「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」という言葉を、入学してすぐの新鮮な心持ちの時に、真剣に考えて、議論していただく時間にしています。 今回は感染症対策として、教室を分散して密を回避し、フェイスシールドを装着してのグループワークとなりました。     受験勉強では、答えがある問題を正確に早く回答する練習をしますが、この企画では「建学の精神」とは何なのか?という答えのない問題を議論することになります。さらに、ほぼ初対面の7~8名でのグループワーク。今までやってきた受験勉強とは異なりますが、これこそが大学での学びの基本になるのだと思います。答えのない問題に根気強くどのように向き合うかは大切な姿勢です。 グループごとに個性があり、様々なことを思い描きながらポスターを作成していました。     グループワークの後、三密を回避した形でポスター発表を実施しました。     学生たちは、入学していきなり「建学の精神」を考えるという難問に、果敢にチャレンジして楽しく熱心に取り組んでくれました。この研修の時の気持ちを忘れずに、これからの大学生活を毎日大切に過ごしてもらえたら、と思います。   理学療法学科 教授 松尾篤 助教 西井康恵   【関連記事】 2021年度 新入生学科別研修会レポート~人間環境デザイン学科 2021年度 新入生学科別研修会レポート~看護医療学科

2021.03.12

川上村健康力向上プロジェクトの終了報告で川上村を表敬訪問~看護医療学科

奈良県川上村で文部科学省の科学研究助成を受けて展開している「安心して暮らすことができる地域づくり」をめざした川上村健康力向上プロジェクトの終了報告のため、川上村長を表敬訪問し報告書を手渡しました。 本来は、2020年3月に村民の皆様に直接報告する報告会と住民の方の自主的活動を紹介するシンポジウム開催を計画していましたが、COVID-19禍を受け1年延期し、2021年3月に開催としていたものも今回の緊急事態宣言発令を受け中止とし、開催時に配布する予定であった報告書を全戸配布することで代替えとしました。   川上村健康力向上プロジェクトは、マンパワーや医療福祉等の社会資源が限られている山間部の過疎地で健康に過ごすために自分にできることは実践しながら(自助)、高齢者の方や障がいのある方など生活の維持に支援が必要な方に対して、地域でお互いに協力しながら積極的に手助けしていく互助の輪を広げていくことで、健康で安心して住み続けられるコミュニティーづくりへの関心が高まることを目的・目標として、生活支援を担う18~64歳の次世代の方を対象とした食生活・身体活動・認知症・見守りについて、教育プログラム開発による各種の教室を開催した介入やツール検証等を展開してきました。 本報告書では、スタート時のベースラインアンケート調査および2年後のアンケート調査結果と3年間の展開結果、村内で住民のつながり強化等の互助活動をされている5名の方の活動内容を掲載しています。 村長への表敬訪問前には、この5名の方々とも面談しました。COVID-19の影響で、住民の方が多数集まることが制限されているため、主だった活動が困難となっていますが、そのような状況下においても声かけ運動など可能な活動を模索されており、他の地域での取り組みなどの情報提供を求められ、その意識と意欲が確固たるものであることを強く感じ嬉しく思いました。これらの方々の活動を報告書にして全戸配布することにより住民の方への周知とつながり、また新しい取り組みやつながりができていくことを期待したいと思います。     ■ご参考に本プロジェクト展開内容と結果を紹介します。   1.減塩への意識向上に特化した食生活教室:分担研究者 羽衣国際大学 中井久美子教授 アンケート結果から塩分摂取推定量が奈良県・全国平均に比べ多いという結果から、減塩を意識しながらも、楽しく美味しく食べることへの提案として、吉野ストア様の協力を得て塩分1.3 gと0.9gの減塩ヘルシー弁当を開発し、カッテージチーズや野菜マフィン等を含めた試食体験で減塩を体感できる教室を2回開催しました。       2.身体活動向上意識に特化した健康測定の実施:分担研究者 畿央大学 松本大輔准教授 村民運動会で健康測定と結果に応じた保健指導を実施し、参加者50名の内64歳までの方の20%が、追跡調査で健康測定は行動に影響があったと回答されました。     3.認知症の理解と互助推進を意識した認知症教室:分担研究者 畿央大学 山崎尚美教授 認知症サポーター養成講座に該当する合計4回の認知症教室と1年後のフォローアップ教室を開催しました(第1・2回認知症教室は、すでに本学ブログで紹介済)。   ▲第3・4回認知症教室   ▲1年後フォローアップ教室   認知症サポーター養成講座受講者数は167名で、実に村民全体の10%以上を占め、フォローアップ教室は、67名が受講されました。奈良県の認知症サポーター養成講座受講割合は4%ですので非常に高い状況となり、村内全地区に受講者が存在することとなりました。   4.見守り電池を用いた生活反応データ把握検証: 分担研究 帝京大学ラーニングテクノロジー開発室 宮崎 誠助教 ㈱NTTドコモの協力を得てIoT見守りサービス「みまもりベース」による電池をTVリモコンや血圧測定器、電池式薬入れにセットし、その通電状況をモニターすることによる地域見守りの実証実験を実施しました。一定の時間での通電がモニターでき、離れて暮らす家族や行政での見守り確認が可能となることが確認できました。また機器の使用の検出がされなかった際に、誰が安否確認を誰が行うのかといった運用面での課題が明らかとなりました。     今後、この活動がどのように住民の方々に反映されていくのか、継続して見守っていきたいと思います。                            研究代表者 看護医療学科 教授 松本泉美   ※本プロジェクトは、文部科学省科学研究助成事業の助成を受けて実施したものです。 研究課題「過疎地住民のコミュニティ・エンパワメント強化のための教育支援システムの開発」 基盤C 課題番号17K01811   【関連記事】 川上村健康力向上プロジェクト「認知症教室」を開催!~看護医療学科 川上村民生児童委員会の方を対象とした「認知症を正しく理解する講習会」を開催!~看護医療学科 平成30年度奈良県認知症ケア専門士会 第1回研修会を開催しました。 互助をテーマにした「川上村シンポジウム」を開催!~看護医療学科 看護医療学科教員が、川上村の地域包括ケアシステム構築に向けての研修会企画・講師を担当!

2021.03.08

神経リハビリテーション学研究室、京都大学との研究交流会を開催!~健康科学研究科

第3回 畿央大学大学院 神経リハビリテーション学研究室・ 京都大学大学院大畑研究室 合同研究会   2021年3月6日(土)、オンライン上にて、畿央大学大学院 神経リハビリテーション学研究室と京都大学大学院大畑研究室の研究交流会が開催されました。プログラムとしては、大畑光司先生による開会のあいさつ後、大畑研究室の大学院生より現在取り組まれている研究についてご紹介していただきました。その後、畿央大学大学院から乾さん、赤口さん、宮脇さんから研究の紹介を行い、双方の研究内容に関して意見交換を行いました。最後に、森岡教授による閉会のあいさつが行われました。   大畑研究室からは、神尾さんが「ステップ位置の調節における中枢内制御」、Jeffreyさんが「脳性麻痺の歩行時の筋電図解析」、鈴木さんが「歩行時の下肢の大域的運動」について話題提供していただきました。現在進行形で取り組まれている研究内容について実験手続きや解析方法など試行錯誤されており、私としても共感できる部分が多く、大変興味深く聴講することができました。森岡教授からも各発表に対して意見やアドバイスを発しておられ、活発なディスカッションとなりました。   畿央大学大学院からは、乾さんが「脳卒中患者の不整地歩行」、赤口さんが「慢性期脳卒中患者の把持力調節」、宮脇さんが「脳卒中患者の自他帰属戦略」について話題提供しました。各研究に対して、大畑研究室の大学院生と研究員、そして大畑先生より的確なご意見とご指摘をいただけました。最終的には終了予定時間を超過するほど互いに議論し、日頃のゼミとは異なる視点の意見を伺うことができ充実した合同研究会となりました。   ▲延べ18名:畿央大学大学院 11名、京都大学大学院 7名が参加 (画面上は17名)   大畑研究室との合同研究会は今回で3回目となり、私自身は初めての参加となりましたが、今回は運動・歩行制御に関する研究内容であり、方向性は同じでありつつもお互いの研究室の「色」を感じることができました。そのため、異なる研究室間の意見交換は研究室の得意とする分野の知識および技術を提供することができ、研究を進めていく上で非常に有益な場であると感じました。森岡教授の閉会の挨拶では、将来的には双方に共同して神経理学療法学の発展を担っていく必要性についても述べられており、私も貢献できるよう改めて襟を正されました。   第1回は畿央大学で、第2回は京都大学で開催された本合同研究会は、COVID-19の影響でオンライン開催となりました。感染状況のより早い収束を願い、次回は社会性の面からも直接的にお互い顔を合わせ意見交換ができることを願っております。 最後になりましたが、大変お忙しい中、快くご対応いただいた大畑先生ならびに、大畑研究室の皆様、本会の調節役を担ってくださった研究員の川崎さんと当研究室の水田さん、そして、このような機会を与えてくださった森岡教授には心より感謝申し上げます。   畿央大学大学院 健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 修士課程1年 田中智哉 【関連記事】 令和元年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成30年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成29年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成28年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成27年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成26年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成25年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成24年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成23年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成21年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会 平成20年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会

2021.01.12

臨床実習指導者会議をオンラインで開催!~理学療法学科

令和3年1月9日(土)に令和2年度の理学療法学科臨床実習指導者会議を開催しました。 今回は関東で緊急事態宣言が発令された状況下での会議だったので、オンライン(Zoomウェビナー)での開催となりました。このような形で開催するのは初めてであり、スムーズに開催できるか不安を抱えながら、本学職員にもサポートいただき準備を進めてまいりました。大きなビデオカメラに、パソコンが6台、外部モニターが3台、教職員の持ち込みPC8台と、万全の態勢で挑んだのですが、それでも会議終了までは緊張の連続でした。     会議には、100施設以上の病院や施設、医療センターの先生方にご参加いただき、Web会議システムを利用し、会議が進行されました。国家試験結果、就職状況、昨年度の実習状況報告、実習要項の説明、新型コロナ感染症の対策、提出議題に対する応答や全体を通しての質疑応答などが行われました。質疑応答はシステム上のQ&A機能を活用し、活発に意見交換も行われました。ただ、システムに慣れていない先生方やタイピングでの入力が難しい機器などもあったかと思われますので、今後の課題とさせていただきます。       平時に増して、コロナ禍での大変な臨床業務状況にも関わらず、臨床実習指導者会議にご参加いただいたこと、誠にありがとうございました。私たち教員は、日常において学内教育を行っていくにあたり、いかにすれば学生の身になる教育となるか、成長につなげられるかを試行錯誤しております。その学生たちの大学生活での成長の中で、臨床実習を受け、戻ってきたときの成長の大きさは言葉に表せないほどの変化があります。ですので、本学の臨床実習に関わっていただいている施設や実習指導者の方々、ケースを担当して指導していただく先生方、またそのような関わりがなくても、学生の表情を観て、ひと言声をかけていただいたり、励ましていただいたりしている関連部署の先生方、皆様に感謝の気持ちが増すばかりです。     現在は厳しい状況ですが、平時の診療参加型臨床実習が困難で、見学中心の実習となることがありましても、学外実習を行なったことによる教育効果は大きいと思われます。本学としては、感染等の悪影響を与えることのない実習実施を、あきらめずに模索し、対策していければと考えています。様々な業務に携わる中で、このように本学の臨床実習に協力いただいている実習施設および先生方に深く感謝申し上げます。また、私たちが出来る様々な情報提供や専門知識・技術の提供を行っていけるよう精進し、お互いが少しでもメリットのある関係を築けるよう精進してまいります。   この度は、本学臨床実習指導者会議にご参加いただき、誠にありがとうございました。   理学療法学科 教授 今北英高