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看護医療学科

2019.02.19

韓国の認知症安心センター・認知症カフェ視察と講演レポート~看護医療学科教員

大邱保健大学病院、イソン病院・仁川市西部認知症安心センター・認知症カフェ視察と 看護医療学科教員 大邱保健大学での招聘講演!   2019年2月11日(月)~13日(水)に韓国の東大邱、大邱、仁川市内の認知症安心センター・認知症カフェを訪問しました。   日本は65歳以上の高齢者が全人口に占める割合である高齢化率が1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超える超高齢社会となっています。韓国は2012年には12.0%から18年には14.3%へ上昇しています。7%から14%となる倍化年数は、日本24年、韓国18年ですが、14%から21%となる年数は、日本は12年ででしたが、韓国は高齢化への速度が速く8年と推定されています。そのため現在の韓国では、日本をはじめとする多くの国の施策を参考にしながら高齢者医療・福祉に対する様々な施策が創設、実施されています。   ▲イソン病院の玄関に到着   2月12日(火) に訪問したイソン療養病院(蔚山市)は回復期リハビリテーションを中心とした423床の病院で、回復期リハビリテーション病棟と療養病院には珍しくホスピス病棟や集中ケアユニットのある病院です。初めにソンドクヒョン病院長から韓国の医療の現状やイソン病院の概要についての説明を受けました。通訳は、病棟で勤務する国際交流チームの日本の准看護師の高橋さんでした。病院内はイ・ジョンファ経営院長や看護部長が案内してくださいました。病棟は床暖房(Ondolu)があり、広い窓、ヨーロッパ調の豪華な椅子などの設備が特徴的でした。また、高齢者にとって「食べる」ことを助けるために毎日、歯科診療を行っており食事への援助を重要視していること、4無(臭いのない、転倒予防、褥瘡予防、身体高速予防)・2脱(脱おむつや脱ベッド)という高齢者の尊厳のある生活を重視した理念を掲げていました。また、理念を具現化するために職員の福利・厚生へも力をいれていると説明されていました。 今後は高齢化や認知症支援に向けた支援(コミュニティーケア)を展開していくとのことでした。   ▲イソン病院(蔚山市)での院内説明   午後は大邱保健大学で、山崎教授が「日本の認知症施策について -奈良県北葛城郡広陵町の紹介-」というテーマで講演されました。日本における認知症の変遷や認知症ケアの現状と課題、地域コミュニティにおける認知症ケアのあり方、奈良県における認知症施策の事例紹介、特に畿央大学との共同・連携などについて講義されました。金大学総長や李教授、看護学部や福祉学部の教員、事務長が参加されており、日本の訪問看護システムや技能実習生の教育についての質問が多数ありました。さらに日韓での共同研究の提案をし、ミイン・金大学総長をはじめとする李教授らが共同研究に参画することを確認しました。   ▲大邱保健大学での講演     その後、大邱医療大学病院を見学しました。ミユング院長はじめ、整形の医師は昨年、山崎教授のコーディネートで日本の病院や施設の視察に来られていたので、再会されて話がはずんでいました。病院では、リハビリの病棟が理学療法や作業療法など病棟がいくつかに分かれていました。現在は入院や外来を対象にしているとのことでしたが、日本で訪問リハビリのことを聞き、今後は病院でも行っていきたいとのことでした。   ▲大邱保健大学病院での挨拶   3日目の2月13日(水)は、仁川市西区認知症安心センター及び認知症カフェの訪問をしました。 認知症安心センターは、相談、検査、家族支援、認知症啓発などを行っており、公立であるため利用料は無料で、食費のみの負担で毎日利用できるとのことでした。デイサービス施設の1階には認知症カフェがあり、65歳以上は無料で利用できるとのことで、何人かの利用がありました。運営は精神科の看護師が中心となり、25人前後のボランティアによってされています。韓国は、教育面でも国民生活でもボランティアをすることが推奨されており、就職や進学などのポイントとなるので、皆熱心なのだということでした。   ▲大邱保健大学病院および認知症カフェ   韓国は、高齢者を敬う儒教の思想がありますが、急激な高齢化で高齢者や認知症対策が急務に行われている現状が今回の訪問で理解できました。日本で暮らす韓国の人や日本を訪問する韓国の人は多くなると考えられるので、韓国の医療や福祉の実際、さらに文化や生活の実際を知ることは必要であると考えます。   看護医療学科准教授 南部登志江   【関連記事】 「第5回韓国老人福祉(認知症ケア)研修」を開催しました~看護医療学科 「第2回韓国老人福祉(認知症ケア)研修」開催~看護医療学科 「第1回大韓老人療養病院協会主催研修」が開催されました~看護医療学科

2019.02.12

平成30年度 第4回「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かち合いin御所」を開催!~看護医療学科

畿央大学と御所市高齢者対策課地域包括支援センター、住民が共同で運営している「金曜日カフェ〜つどい〜」で「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かち合いin御所」(認知症カフェ)が2019年2月8日(金)開催されました。「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かち合いin御所」は、御所市認知症啓発事業として、畿央大学健康科学部看護医療学科老年看護学教員と御所市高齢者対策課地域包括支援センター、住民が共同して行っているものです。   午前中は認知症についての話で、認知症サポーター養成講座です。午後は「認知症の人の介護について語る会」として認知症の人とその家族、介護をされている方、介護経験者による認知症についての思いを語り合う場を設けています。 この日の午前中のサポーター養成講義には、地域の方8名、地域のボランティアの方2名、畿央大学老年看護学教員5名、御所市地域包括支援センター職員2名、愛知県立看護大学の老年看護学教員4名の合計21名が参加して行われました。愛知県立大学の教員の方は、認知症カフェについての研修や講演会をしており、御所カフェを見学に来られました。   <午前の部> 午前の部では畿央大学の島岡講師による認知症に関する講義です。テーマは「山地部における認知症カフェ取り組みの紹介」で、奈良県のT地域で行っているカフェの紹介や課題を話されました。T地域での認知症カフェは、島岡科研による研究の一環で老年看護学教員の実家を提供してもらい開催されており、2018年度は4回開催されました。 T地域ではカフェを行うことで、①認知症に対して関心を持つ人が増えた②地域の人たちで声を掛けあう機会が増えた③地域のサービスを知るきっかけとなった、そして何より④笑顔が増えたなどの効果があったということでした。地域の方からは、今後も続けてほしいとの要望が多いそうです。しかし、資金や人材の確保、地域の人が主体的に取り組む方策などの今後の課題もあるということでした。     2部では、松原講師によるフラダンスを行いました。まずラジオ体操をして体の緊張をほぐした後、フラダンスを踊りました。衣装である広がったスカートやレイ、髪飾りなどをつけると皆さんがかわいく華やかになりました。お互い「似合うね」「かわいいね」と笑顔が溢れました。DVDのゆっくりした歌とリズムに合わせて踊ると、最初は緊張していた方も笑顔になって踊っていました。「楽しいね」「暑いくらいやね」などの言葉が聞かれ、脳活となったようです。     <午後の部> 午後の部は、「認知症の人の介護について語る会」として認知症の人とその家族、介護をされている人、地域の人、ケマネージャーや介護福祉士、地域包括支援員、畿央大学老年看護学教員など合計13人が集まって話をしました。 今日は若年性認知症のご主人と介護されている奥さんの参加があり、現在の症状や生活、困っていることなどそれぞれの思いについて話をされました。それについて専門職のケアマネや地域包括、介護経験者、教員などが一緒に解決の方法を話し合いました。奥さんは「そのような相談場所もあるんですね」「自分のかかわり方も影響していたことがわかりました」と言われ、お二人とも表情が柔らかくなって帰られました。認知症の方の背景や現在の状態も多様で、どのかかわり方が良いのかすぐには答えの出にくいこともあるため、専門職の多様なアドバイスは参考になると思います。また、じっくりと話を聞いてもらう事も安心につながります。     2018年度の「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かち合いin御所」は今回で終わりです。   2019年度 第1回目は4月12日(金)です。詳しい日程は大学のホームページに掲載予定です。ご都合のつく日がありましたら、皆様ご参加ください。                           看護医療学科准教授 南部登志江   【関連記事】 平成30年度第4回「Kio オレンヂ喫茶(カフェ)in 津越」を開催!~看護医療学科 平成30年度第3回「Kio オレンヂ喫茶(カフェ)in 津越」を開催!~看護医療学科 平成30年度第2回「Kio オレンヂ喫茶(カフェ)in 津越」を開催!~看護医療学科 平成30年度第2回「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かち合いin御所」を開催!~看護医療学科 平成30年度第1回「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かちあい in 御所」を開催!~看護医療学科

2019.02.07

大学オリジナルグッズの販売を始めました!

畿央大学では、昨年秋に在学生アンケートを行い、出てきた学生の意見を参考にして、『畿央大学オリジナルグッズ』を作成しました。このたび、商品が完成し、学生食堂地下の売店(ヤマザキYショップ)で販売することになりました。   第1弾として販売するのは、5アイテム!! 「ボールペン(赤・黒)@140」と「シャープペンシル(シルバー・バイオレット)@430」と「クリアファイル@80」です。 全てのアイテムに、「KIO UNIVERSITY」名入れがされています。     ボールペンは三菱鉛筆の「ジェットストリーム0.5mm」で、普段使いはもちろん、履歴書等の細かい書類の記入などにも使いやすい芯径です。 シャープペンシルは三菱鉛筆の「クルトガ0.5mm」で、芯が回って尖り続けるのが人気の商品です。 「クリアファイル」はA4サイズ、本学のシンボルでもある時計塔をデザインした畿央大学オリジナルアイテムで、オープンキャンパスでも配布する予定です。 一般の方でも購入できますので、大学オリジナルグッズをゲットしてみてくださいね。     また、グッズ第2弾として、4月以降に畿央大学ロゴ入りバインダー(クリップファイル)を販売開始する予定です。実習や演習等にも活用できる便利な商品です。お楽しみに!

2019.01.21

広陵町と連携して認知症サポーター養成講座を開催!~看護医療学科「老年看護学援助論Ⅰ」

2019年1月17日(木)、看護医療学科2回生の「老年看護学援助論Ⅰ」では、認知症サポーター養成講座とシミュレーション学習を行いました。   認知症サポーター養成講座では、広陵町介護福祉課の今西係長をお招きし、「広陵町介護福祉課地域包括支援センターの役割」についてお話しいただきました。全国的に高齢化が話題になっていますが、広陵町も2023年には後期高齢者(75歳以上)が前期高齢者(65~74歳)の数を上回ると推計されているそうです。また、高齢者人口の増加とともに、認知症有病者の割合も増加し、2012年に認知症有病者は約7人に1人(有病率約15%)だったのが、2025年には約5人に1人(有病率約20.6%)になると推計され、要介護認定者も要介護4、要介護5の重度認定者が増加する見込みだという広陵町の現状を説明して下さいました。この現状を踏まえ、誰もが健やかに暮らせる地域づくりのために広陵町が行っている地域包括ケアシステムの深化推進に向けての取り組みや、地域包括支援センターの役割を教えて頂きました。     シミュレーション学習では、模擬患者(Simulated Patient:SP)の濱口さんをお招きし、老年看護学の教員とで結成した劇団Kioで、「徘徊・拒否(帰宅)のある高齢者への対応」についてロールプレイを行いました。ロールプレイとは、現実に起こる場面を想定して、複数の人がそれぞれ役を演じ、疑似体験を通じて、ある事柄が実際に起こったときに適切に対応できるようにする学習方法の一つです。この日は、認知症の高齢者が買い物に出ようとして徘徊し、警察に保護されて迎えに来た嫁とのやり取りの場面を行いました。     嫁の対応の違いによって、認知症の高齢者がどのような反応をするのか違いを観てもらい、その時の認知症の人の思いや、なぜそのような行動をとったのか、認知症の人の支援の在り方などを考えてもらいました。認知症の高齢者役を演じてくださった濱口さんの熱演に引き込まれ、皆さん真剣な表情でロールプレイを観て、自分達の捉えた考えを発表してくれました。     この経験が認知症高齢者の理解につながり、今後臨地実習や実際の生活の中でも認知症高齢者と接する際の対応に良い効果が出る事でしょう。 ご協力いただいた広陵町介護福祉課の今西係長、SPの濱口さん、本当にありがとうございました。   看護医療学科助手 島岡昌代   【関連記事】 「第2回韓国老人福祉(認知症ケア)研修」開催~看護医療学科 教員による研究授業レポート~看護医療学科「地域看護学概論」 川上村健康力向上プロジェクト「認知症教室」を開催!~看護医療学科 エコール・マミの職員を対象に「認知症サポーター養成講座」を開催!~看護医療学科

2019.01.07

TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.65~11月度勉強会テーマは「糖尿病」!

こんにちは!健康支援学生チームTASK※看護医療学科2回生の余田小春です。 2018年11月29日(木)に「知れば活かせる!糖尿病について」をテーマに11月度勉強会を行いました。   ※TASKはThink,Action,Support for Health by Kio Universityの略称です。学科の枠を超えて協力し合いながら、地域住民の方々や畿央生の健康支援を目的として活動しています。     "糖尿病"とは発症要因から大きく1型、2型に分けられ、日本人では糖尿病患者さんの約95%が2型糖尿病といわれており、「ストレス」、「肥満」、「運動不足」、「暴飲暴食」などの生活習慣に関わる病です。 "糖尿病"と聞いて、聞いたことはあるけれど実際はどういうものであるか分からない、という方は多いと思います。 今回の勉強会を通して"糖尿病"について知り、教育や医療の現場、日常の生活に活かせるようになりました。   ▼勉強会を終えた後にみんなでTASKのT!   看護医療学科2回生 余田小春   ●TASK関連の情報はTASK(健康支援学生チーム)活動レポートで、詳しくご覧になれます。

2019.01.04

教育・教授活動に関する自主学習会を行いました~看護医療学科教員レポート

平成30年12月25日(火)行われた全学FD研修会に引き続き、14:40から16:00まで、K204ゼミ室において教育・教授活動に関する自主学習会を開催しました。 助言者として、鈴木克明先生(熊本大学教授システム学研究センター長・大学院教授システム学専攻長)をお招きしました。 参加者は、看護医療学科、健康栄養学科、人間環境デザイン学科、現代教育学科の教員など15名が参加し、日々の教授活動に対する質問や授業や演習設計など教育上の悩みなどフリートークの機会としました。鈴木先生からはまさに「目からうろこ」といった斬新的なアドバイスを頂き大変、有意義な時間を過ごしました。     鈴木先生が何度も強調されたことは「基礎から教えるのではなく、応用から学修して基礎にもどる」ことの意義でした。従来の看護医療学科のカリキュラムでは、1回生は「人体の構造と機能」など専門基礎科目と「基礎看護学」を中心にカリキュラムが組まれています。その後、2回生で専門基礎科目の「疾病の成り立ちと回復の促進」で病態や治療などについて学び、専門科目である「成人看護学・母子看護学・老年看護学・精神看護学・地域看護学」の対象論で概論的なことを学びます。更に2回生の後期から3回生の前期にかけて援助論でそれぞれの対象に対する援助の実際を学び、3回生の後期から臨地実習の中で今まで学んできたことを統合し、実践に役立つ知識と技術を身に付けます。しかし高校を卒業したばかりの1回生にとって、最初に学ぶ専門基礎科目は医学用語ばかりで難しく、またその知識が看護にどのように結びつくかイメージし難いため面白みに欠けます。 鈴木先生のご提案は、2回生・3回生で学ぶ各領域の看護学を1回生で学びます。その際、1人の模擬患者の事例を提示して、病態や治療など自分達で調べるようにしておきます。すると、学生は自ら学び、知識が深まるというものです。その後に専門基礎科目を学修すると、一度自分で調べた医学用語なので理解しやすく、知識の定着が容易にできるということです。 更に、講義についても、「教員がかみ砕いて説明している間では学生は自ら学習しない。毎回小テストを先に行い、自分で調べるようにすると理解が進み、学習したことも忘れないし国家試験対策にもつながる」、また演習科目については、「小テストの代わりにパフォーマンス課題を実施することも効果的である」との助言をいただきました。   演習や実習などにおいて、少し先に体験した学生(先輩が後輩に)にその内容を説明すると、説明を受けた側(後輩)、説明した側(先輩)ともに学びが深まる『ピアチューター』が効果的という報告もありました。このことは、本学の健康支援学生チームTASKが実践している方法であり、認知症カフェや学外ボランティア活動などのフィールドワークにおいても、活用できる教授方法だと考えました。   今回の自主学習会を通して、学生を惹き付ける魅力的な授業について深く考える機会となりました。また、学生の学びが深まるように、授業に対して様々な工夫を凝らし、日々悩み模索しながら学生に関わっている教員の皆様に感銘を受けました。 今回の学びを今後の糧として自己研鑽していきます。   看護医療学科助手 島岡昌代 ●畿央大学FD研修会についての記事はコチラ!

2018.12.26

2回生対象「第7回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科

看護医療学科では、1回生の前期から2回生の前期にかけての1年半で基礎看護学について学び、講義や演習を通して基礎看護技術の修得をめざします。 2回生後期は、3回生後期の各看護学実習に向けて、講義を中心に学びを積み重ねていきます。演習などで基礎看護技術を実施する機会が少なくなるため、意識して練習する機会を持たなければ、せっかく修得した技術もやがて忘れてしまいます。 そこで、学生が自分の基礎看護技術の修得状況の現状を把握し、各看護学実習に向けて意欲的に自己学修に取り組むきっかけとなれば…と考え、「基礎看護技術自己学修会」を企画・開催しました。   平成30年12月7日(金)は、「フィジカルアセスメント(バイタルサインの測定と呼吸音・腹部の観察)」をテーマに自己学修会を行い、27名の学生が参加しました。 1回生後期の履修科目である「フィジカルアセスメント」では、健康上の問題を有する患者さんの身体を観察し、得られた情報から患者さんがどのような状態であるのかを考え、必要な援助を導き出すための視点や方法を学修します。具体的には、脈拍測定や血圧測定、呼吸音の聴診や腹部の観察方法等、患者さんの全身状態を観察するために必要な知識と技術について、学修します。     今回の学修会では、バイタルサイン測定と腹部の観察に加えて、フィジカルアセスメントモデル「フィジコ」と、呼吸音聴診シミュレータ「ラング」を用いた呼吸音の聴診を実施しました。 「フィジコ」と「ラング」は医学教育用シミュレータで、それぞれ健康上の問題を有する患者さん特有の症状を再現することができます。参加した2回生は、教員のアドバイスを受けつつ真剣な様子で取り組んでいました。     【参加した2回生の感想】 昨年の授業時に学び、2回生になってからも何度か復習したはずなのに、すっかり曖昧になってしまった知識を今回の学修会で復習することができました。来年の実習のことを考えると復習しなければならないことでいっぱいだと実感しました。疾患と呼吸の特徴を結び付けて教えてくださったり、先生方の経験を踏まえてバイタルサインの観察のポイントを教えてくださったり、参加できてよかったと感じました。 先生方と仲間と会話を交えながら楽しい雰囲気で復習することができました。「わからへんなあ~」と悩みながらも去年の授業を思い出して懐かしくなりました。これからますます勉強に励み頑張っていこうと改めて考えることができました。    奥田帆乃夏・杉永妃那乃   久しぶりにバイタルサイン測定をしました。半年前までできていたことが、全然できなくなってしまっていたので、自己学修会に参加して良かったです。今までに習った技術を忘れてしまわないように練習が必要だなと感じました。 吉良奈穂    約半年ぶりにバイタルサイン測定を行ってみると、基準値を曖昧にしか覚えていなかったり、血圧計使用前の点検であったり、対象者に聴診器を当てる前に冷たくないように温めておくなど、忘れていることがたくさんありました。来年の臨地実習前に慌てなくてすむように日頃から練習しておくことが大切だと気がつきました。 桑野朋佳      健康上の問題を有する患者さんに適した援助を実施するためには、患者さんがどのような健康状態であるのかを把握し、必要な援助を導き出せる力が重要となります。 今後も、基礎看護技術を修得できるよう努力を積み重ね、3回生後期の各看護学実習で、一人ひとりの患者さんにより良い援助を実践できることを願っています。   看護医療学科 基礎看護学領域 林有学・須藤聖子・小林智子・中西恵理   【関連記事】 2回生対象「第5回・第6回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 3回生対象「母性看護学援助論Ⅱ」教員による授業レポート!~看護医療学科 3回生対象「第4回基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 3回生対象「第3回基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 3回生対象「基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科

2018.12.07

「第5回韓国老人福祉(認知症ケア)研修」を開催しました~看護医療学科

平成30年11月28日(水)~12月1日(土)、「第5回 韓国老人福祉(認知症ケア)研修」が畿央大学で開催されました。 この研修は、韓国の老人医療現場における医療のクオリティー向上のために海外の老人医療現場における研修プログラムを実施し、老人医療の先進的なシステムなどを取り入れたいという大韓老人療養病院協会からの依頼で、看護医療学科老年看護学領域の山崎尚美教授が企画した研修会です。韓国の老人療養病院で勤務する看護職や管理者などの医療関係者が、日本の高齢者の認知症ケアを学び、医療現場の見学を通して韓国の高齢者医療の発展につなげる目的で、韓国から9施設37名が畿央大学および施設での研修に来られました。   1日目:11月28日(水) 大阪に入国された一行は、大阪城や大阪市内を観光された後、畿央大学に訪れました。畿央大学では、はじめに冬木正彦学長から歓迎の挨拶がありました。以前の訪問の際に友好の証としてお土産で頂いたハフェタルというお面について触れ、「韓国と関係の深いこの地にある畿央大学に来られたことをとても歓迎します。これからも交流が続きますように」と述べられました。また、今回はチマチョゴリの飾りに使われているノリゲが入った素敵な額をお土産に頂きました。       次に、山崎尚美教授が「日本の認知症ケアにおける現状と課題」について講演をされました。講演の中では、畿央大学老年看護学教員で行っている4つの認知症カフェの取り組みについても紹介がありました。また、認知症の人への理解が深まるように、認知症の人への対応や治療法、認知症の人自らが語ることの意味などについてもわかりやすく説明され、皆さん熱心に聞き入っておられました。 その後、大韓老人療養病院協会のユンジェホ氏から「日本の地域包括ケアで見たコミュニティ・ケア」の講義があり、最後に参加者や病院の紹介をそれぞれの参加者が発表されていました。     2日目:11月29日(木) 午前中は、老人介護福祉施設 『和里(にこり)』を見学されました。和里は、10人程度の少人数が生活するユニットケアを行っており、関西をはじめとする施設職員の研修なども多く受け入れています。和里でのユニットケアの実際や看護・介護の実際を見学されました。     午後は、『平成まほろば病院』や、介護老人保健施設『鷺栖の里』を訪問され、看護・介護の実際を見学されました。また、「平成記念会の褥瘡(じょくそう:床ずれのこと)対策」として、平成記念病院の皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN:創傷(Wound)、ストーマ(Ostomy)、失禁(Continence)にかかわる専門の知識や技術を有する看護師)の西内みゆき看護師から実際の褥瘡対策実績を交えて褥瘡対策の取り組みについて講義を受けられました。     3日目(11月30日)は朝から奈良東病院やふれあいの里を見学され、その後は奈良観光を楽しまれました。そして4日目(12月1日)に京都観光をした後、帰国の途に就かれました。 急速に高齢化率が上がる韓国において、これらの研修会が韓国のより良い高齢者看護に繋がるのだと考えると、見本となる自分達も今一度高齢者看護について見つめ直し、学生にしっかりと日本の高齢者看護の良い点を教授し、悪しき習慣は払拭していかねばと襟を正しました。   看護医療学科 助手 島岡昌代   【関連記事】 「第2回韓国老人福祉(認知症ケア)研修」開催~看護医療学科 「第1回大韓老人療養病院協会主催研修」が開催されました~看護医療学科 マダム信子氏の講演会&意見交換会を開催!~第1回認知症の人と課題解決のステーションづくり in 畿央大学 認知症高齢者の緩和ケアをテーマに「第1回 認知症高齢者の終末期ケア研修会」を開催しました。

2018.11.29

国立ハンセン病療養所を訪問~看護医療学科「健康学特論」

看護医療学科2回生の34名は「健康学特論」(看護医療学科2年次後期 保健師課程科目:文鐘聲准教授)の授業において、在日外国人の健康問題やハンセン病の歴史、今なお残るハンセン病への差別や偏見について学習をしました。   ハンセン病は、ごく弱い感染力しか持たない感染症の一種で、現在は日本国内での新規患者はほとんどいません。戦後すぐに抗生剤が導入されたことにより劇的に治癒しましたが、治療が遅れた患者さんは感染症そのものは治っても、後遺症として知覚麻痺などの末梢神経障害を残してしまいました。また、人への感染の危険性はないにもかかわらず、1996年まで療養所への隔離を強制する法律が残っていて、人権上非常に問題がありました。   2018年11月21日(水)には、大阪からバスに乗り、約3時間。岡山県瀬戸内市にある国立療養所長島愛生園を訪問させていただきました。療養所のある長島へ向かうには、邑久長島大橋と呼ばれるわずか135mほどしかない橋を渡ります。ちょうど30年前にこの橋は開通されましたが、それ以前までは橋はなく、完全に隔離された島となっていたため、「人間回復の橋」とも言われています。     長島愛生園歴史館では、学芸員の田村朋久さんより、入所者の方が4年掛けて作られた、療養所の立体地図をもとに、園内の説明をしていただき、その後館内の見学を行いました。     療養所内で実際に使われていたお金や着物(療養所では当時、ハンセン病患者を社会と完全に隔離するため現金や衣類などは一切持ち込めず、療養所内のみで使えるお金や衣類を使用していました。)、療養者が書いた手紙、詩、俳句、当時の写真などが展示されており、療養所内での生活や療養者の心情などハンセン病についてより詳しく知ることができました。     実際に田村さんに解説をしていただきながら、園内を歩いて見学させていただきました。 収容所桟橋では、多くのハンセン病患者とその家族が別れを経験したところで、「ハンセン病を患った子どもが母親に『旅行に行こう』と言われ、喜んで向かったところがこの長島であった。桟橋を渡る頃にはもう母親は帰ってしまった。」という実際にあったお話を聞きました。     続いて、収容所を見学しました。ハンセン病患者は長島に上陸した後、消毒を行うためにクレゾールという消毒液が入った、小さな消毒風呂に入らなければいけませんでした。     急な坂道を上がり、納骨堂で黙祷しました。 ハンセン病患者であることから、社会からの大きな差別を受け、故郷に帰りたくても、家族のことを思い、帰ることができず療養所内で亡くなった方がたくさんいらっしゃるということに心が痛みました。     高台に上がり、小豆島や晴れていたら淡路島まで見ることができるところに「恵の鐘」というものがありました。石材と砂を運び上げる作業を、療養所入所者と職員で行い、1935年に竣工されたそうです。毎日、朝夕の6時に自動で鐘が鳴るようですが、今回特別に学生が鐘を撞かせていただきました。     その後、集会所で大阪ご出身の長島愛生園入所者の方にお話をお聞きしました。 療養所に入所するまでの生活や、療養所へ来た理由、ハンセン病が治癒してから現在までの暮らしなど詳しく話していただき、社会からの差別など胸が苦しくなるようなお話もたくさんありました。差別をした人、ハンセン病を隔離する法律を作ったことについて恨んでいるか、という学生の質問に対して、「誰も恨んでいない。この時代に生まれたことは運命。自分だけではなく、病気をもつ人など、苦しんでいる人は世の中にたくさんいるということを認識できた。過去のことをどう考えても仕方ない。運命だと思えるようになった。」という前向きなお言葉もあり、入所者の強い考えにも驚きました。     短い時間でしたが、長島愛生園を見学させていただき、学習をするまで全く知らなかったハンセン病の歴史や人権について、より深く学ぶことができました。 ハンセン病に限らず、社会の中では多くの差別や偏見があります。誤った認識をしている人がいることによって差別や偏見の目は広がっていくのではないかと考えています。今回学習したことを活かして、まず私たちが正しい知識を持ち、差別や偏見が今後無くなり、人が自由に平等に生活できるような取り組みをしていきたいと思います。                   看護医療学科2回生 谷村彩 安田悠未    【関連記事】 ハンセン病療養所を訪問~看護医療学科 日本における感染症対策ーハンセン病の歴史ーを学ぶ~看護医療学科 ハンセン病療養所長島愛生園を見学~看護医療学科 「ハンセン病療養所訪問学習を通しての学び」報告会を開催しました。~看護医療学科

2018.11.26

「グループホームの看護職のための終末期ケア研修会」を開催!~看護医療学科

平成30年11月23日(金)9:40~12:10、L102教室でグループホームの看護職のための終末期ケアに関する研修会が行われました。 主催は文部科学省基礎研究C 代表:山崎尚美教授の「グループホームの終末期ケアにおける看護連携を強化する教育支援システムの開発」によるものです。 祝日の早い時間でやや寒い日にもかかわらず、施設の施設長、介護福祉士、看護師など35名の参加がありました。はじめに主催者の山崎教授が、研修会の説明および研究協力の依頼などを行ったあと、4人の講師による講演が行われました。 最初は愛知県立大学看護学部副学長である百瀬由美子教授が、「認知症高齢者の終末期ケア」について講演されました。 内容は高齢者の死亡場所の多様化の現状と課題について、特に高齢者の尊厳ある終末期ケアに関して厚生労働省の「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」などを引用しながら、高齢者の思いはそれぞれ多様であることから、職員皆で話し合いケアを行うチームケアの重要性について話をされました。また看護職の役割として、苦痛の緩和や快適な生活環境の提供、精神的安寧が大切であること、高齢者が尊厳ある死を迎えるためにはアドバンスケアプランニング(ACP)の概念である、あらかじめ、どのように看取りを迎えたいのかを話しておくことの重要性も話をされました。     次に、愛知県立大学看護部の藤野あゆみ准教授が、「倫理と意思決定支援」について話をされました。 高齢者の尊厳を守るためには、現状における最善の生き方や死について選択し実践するため、自分で意思決定できない人の意思や思いを代弁する支援が必要であり、認知症の人の特性を踏まえた意思決定をすることが重要であると話されました。 そのためには、認知症の人が何をできるのか、どうしたらできるのかを把握し、認知能力に応じて理解できるような個々の高齢者の強みを活かしながら説明をすることが必要であり、そしてチームは早期から繰り返し本人の意思を聞き、見通しをもって継続的支援を行っていくこと、その都度記録を残しておくことなど話されました。 また、シェアードディシジョンメイキングという家族とスタッフがお互いに情報を共有しながら一緒に治療方針などを決定するなど、本人の人生をたどりながら家族およびスタッフの合意をめざすことの重要性を話されました。     3番目に、愛知県立大学看護部の天木伸子講師が、「一般病院における認知症を持つ人の終末期ケア」について話をされました。 施設での終末期ケアも増えていますが、病院で最期を迎える認知症高齢者は7~8割と多いようです。一般病院における認知症を持つ人への終末期ケアでの医療者の役割として、症状・苦痛に対して迅速な医療的対応ができるというメリットを生かして、過剰でもなく過小でもない適切な医療を提供することがあげられます。取り除ける呼吸困難や痛み、食欲不振などの苦痛を適切に緩和すること、可能な限り早く今までの暮らしに戻れるようにすることが必要であると話されました。身体的苦痛でつらい思いをしていないか、本人の状態や表情などから状態を把握し援助するとともに、安心や快をもたらすケアをすることが大切であり、質評価指標を使うなど、援助の振り返りをしていくことなどが重要であると話されました。     4番目は山崎尚美教授で、平成29年の厚生労働省医局長による新たな「情報通信機器(ICT)を利用した死亡等のガイドライン」から、今まで医師のみにより行われていた死亡確認が、看護師により「死亡の確認」「死亡診断書の代筆」ができるようになったこと、グループホームにおける「看取り加算」や、「看護師がいることによる加算」など、最近のグループホームにおける看取りについて説明されました。 このことから介護職と看護職の連携がさらに重要となっており、職種間の言葉でのやり取りからそれぞれの思いを出しあい、それぞれが自分たちは何ができるのかを考え、責任をもってそれぞれの仕事をすることが連携であると話されました。 また、看取り後のカンファレンスは本人が亡くなってから行うことが多いけれども、亡くなる以前から定期的に行うことが必要なのだと話されました。終末期ケアにおける介護職が看護職に期待する役割や看取り時の看護職の役割など、研究で得られた内容も話をされました。     参加者から、医師との連携のあり方、意思決定の具体例、グループホーム看護職と訪問看護師の役割分担の内容など、実際に看取りをしていて困難な事例をもとに、多数の方から積極的に質問がありました。 2017年には高齢化率が27.7%となり、超高齢社会である我が国において、高齢者の終末期ケアをどのように考え、どのようにかかわっていくのかを学び、施設や病院での看護職の役割を改めて考える機会となりました。  看護医療学科 准教授 南部登志江 【関連記事】 緩和ケア病棟を見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」 「エンゼルメイク」の演習を実施!~看護医療学科「終末期ケア論」 がんから学ぶ「生」と「死」~看護医療学科「終末期ケア論」レポート 認知症高齢者の緩和ケアをテーマに「第1回 認知症高齢者の終末期ケア研修会」を開催しました。