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畿央の学びと研究

2019.12.12

脳科学×教育の視点で「教育と支援のゴール」を考える〜現代教育学科「発達障害教育特論」

今年も教育学部の授業「発達障害教育特論」で、現代教育学科の大久保先生と理学療法学科の森岡先生との対談授業がありました。     第4回目となる今回は、「教育や支援のゴールとは」というテーマの元、森岡先生の脳科学的な視点と大久保先生の教育的な視点から意見交換がなされました。   その中でも私が気になったのは、「自由と幸福とは」という小テーマについてです。大久保先生の考えでは、幸福とは「自由の相互承認」であり、それは、すべての人が「自由」を感じられる状態のことを指します。また、「正の強化(ある行動に対して好ましい刺激を提示し、その行動を増やすこと)」は、コントロールするためのテクニックではなく、支援のゴールであるという考えを提案されました。これに対して、森岡先生は、脳科学的に言うと幸福には、神経伝達物質のドーパミン放出が適度にされている状態であること、そして、障害のある人は、どうしても他者に頼る場面が増えるため、自己決定の機会が制限されてしまう問題を提起されました。自由には、その人自身の意志が関わることから、選択肢を増やして対象者自身に意思決定をさせることが重要であること、そして、このような状況になれば自分は楽しいというのを認知させるとともに、それに基づき、自分で意思決定することで、得られるべき報酬を予測することができドーパミンが放出することを学びました。     今回の対談授業を受講して、考えたことが1つあります。 それは、臨床的な視点で捉えた自由と幸福という考えは、教育の場にも必要なのではないかということです。臨床的な視点において、ドーパミンを自分の脳の中で作り出すことによって幸福を感じることができるならば、教育の場においても、ドーパミンを児童生徒が自らの脳の中で作り出すことができるような工夫をすることが必要だと考えました。また、選択権を与え、自分で意思決定することが臨床的な視点での自由に繋がります。課題に取り組む時に「AかBのどちらがいい?」や「AかBのどっちだったら出来そう?」という選択肢を子どもに提示し、児童生徒が自分自身で意思決定できるようにすることが大切だと思いました。     このように、教育の場においても、臨床的な視点で捉えた自由と幸福は、教育方法・授業構成などに関わり、考え方の幅が広がると思います。今回の対談授業の内容を自分の中でさらに整理し、これからの学びや児童生徒への関わりに繋げていこうと決心しました。   畿央大学教育学部3回生 平岡大空 前田穂乃香 山田咲優   【関連記事】 「発達障害教育特論」で理学療法学科と現代教育学科の教員が特別対談!~現代教育学科(2016年) 脳科学×特別支援教育で教員特別対談!~現代教育学科「発達障害教育特論」(2017年) 理学療法学科×現代教育学科の教員特別対談!~現代教育学科「発達障害教育特論」(2018年)

2019.12.11

奈良県立医科大学口腔外科との顎関節症に関する共同研究が論文に~理学療法学科

奈良県立医科大学口腔外科との共同研究で実施している顎関節症患者の方にご協力いただいた研究論文が日本口腔顔面痛学会雑誌にアクセプトされました。論文のタイトルは「顎関節症用Tampa Scale for Kinesiophobia日本語版の開発」というものです。      “Kinesiophobia”とは日本語では”運動恐怖”と訳され、痛みを伴う身体各部位の受傷あるいは再受傷に対する脆弱感から生じる、身体運動や活動に対する恐怖感として定義されています。例えば顎関節症を例に考えると、顎を動かすことで顎関節症が余計に悪化するのではないかという恐怖から、顎の運動を極力避けようとするような回避的な心理状態を表します。     Tampa Scale for Kinesiophobia(TSK)は患者さんの運動恐怖の程度を評価するもので、患者さんに回答していただくタイプの質問紙です。腰痛や四肢の関節痛に対しては日本語版が使われていますが、顎関節症患者用に特化したものはこれまで英語版しかありませんでした。今回の研究では奈良県立医科大学口腔外科顎関節専門外来の川上哲司先生たちとの共同研究で顎関節症用TSKの日本語版を作成しました。 先述のように運動恐怖については腰痛や四肢の関節痛との関連は多くの研究が報告されていますが、顎関節症についてはそれらと比較するとまだまだ少ないのが現状です。一方で顎関節外来には慢性化し症状に対して非常にネガティブな考えをお持ちの顎関節症患者の方が多く来られます。 今回作成した顎関節症用TSK日本語版が慢性化した痛みが心理的に悪影響を及ぼしている顎関節症患者の方の評価の一助になればと考えています。   瓜谷 大輔, 川上 哲司, 岡澤 信之, 桐田 忠昭.顎関節症用Tampa Scale for Kinesiophobia日本語版の開発.日本口腔顔面痛学会雑誌10(1).2017.(書誌情報は2017となっていますが、発刊の遅れから今年度に出版されています。)   【関連記事】 奈良県立医科大学口腔外科との共同研究!~健康科学研究科・理学療法学科

2019.12.09

学校における事故防止と災害給付システムを学ぶ~現代教育学科「教職実践演習(養護教諭)」

4回生後期に開講している教職実践演習(養護教諭)は、教職に向けて最後の仕上げをし、教職生活をより円滑にスタートできるようにするための科目です。履修カルテ等を基に、大学4年間の学びを自己評価することで、不足している知識や技能等を明らかにし、必要に応じてそれらを補い、その定着を図ることを目的としています。   15回の授業のうち、前半は、養護教諭の職務や役割、教師としての使命感や愛情、責任、対人関係能力、児童生徒理解等について、講義やグループ討議を中心に行いました。後半は、学校薬剤師による学校環境衛生活動についての講義と実習、広陵町教育委員会と連携した就学時健康診断におけるフィールドワーク、模擬授業、場面指導、事例研究等を行いました。   2019年11月20日(水)には、独立行政法人日本スポーツ振興センターのご協力により、「学校における事故防止と災害共済給付システム」をテーマに、講義とオンライン請求のデモンストレーションを行いました。     学校安全部大阪給付課の岳室育子氏による災害共済制度の成り立ちや制度の概要についての講義の後、学校等からの問い合わせ事例をもとに、給付の対象や時効についてグループ検討をしました。また、同課 長川裕理氏による災害共済給付オンライン請求システムの説明を受けながら、各自のパソコンで請求書作成等のデモンストレーションを実施しました。     学校の管理下においては「不慮の災害」が多くを占めますが、学生は、多数の児童生徒を預かり、安全に教育を実施していくという学校の責任を果たすための災害共済給付制度について理解することができたと思います。以下に、学生の感想(抜粋)を紹介します。   【参加した学生の感想】 今日、災害給付制度についてのお話を聞いて、養護実習で学んだことと結び付けながらさらに詳しく知ることができました。養護教諭は、児童生徒や保護者とスポーツ振興センターとをつなぐ役割があると思っていましたが、具体的な申請方法などについては理解できていなかったため、実際に入力をしたり、事例をもとに考えたりすることで学びを深めることができました。 一方で、自分の課題も見つけることができました。公費負担制度等の災害給付制度以外の制度についての知識が乏しいと感じました。保護者や教職員に対して根拠をもって説明できるように、自治体の公的な制度についても勉強しようと思います。 現代教育学科4回生 植松友里   私は、今までに部活動中に捻挫をして日本スポーツ振興センターの災害共済給付を受けたことがありました。当時は、そのシステムについては何も知らず、先生に書類を渡したという感覚でした。しかし、今日実際に担当者の方にお話を聞き、パソコンでデータ入力をしてみて、こんなにも様々な方の助けがあって給付を受けることができたのだと思い、感謝の思いがわきました。今度は私がしっかりと日本スポーツ振興センターに関する知識を持ち、児童生徒に不利益が出ないよう、保護者にもわかりやすく説明し対応していきたいと思います。 現代教育学科4回生 橋野文香     本授業において、学生は、安全管理に関する学びを統合するなど教職実践演習の目的を達成することができたのではないかと思います。実施に当たり、多くの資料提供と、具体的、実践的な指導をいただきました独立行政法人日本スポーツ振興センターの岳室様、長川様に心より感謝申し上げます。   現代教育学科教授 髙田恵美子   【関連記事】 日本の養護教諭の役割は?~ソロモン諸島の小学校での健康支援を例に考える

2019.11.29

2回生対象「第13回基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科

2019年11月22日(金)、「第13回基礎看護技術自己学修会」を行い、2回生8名が参加しました。     学生は、清拭や寝衣交換等、自己学修したい技術を積極的に計画していました。しかしながら、準備段階のベッドメイキングで「手順をすっかり忘れてしまっている」という事実に直面し、急遽「ベッドメイキング」と「バイタルサイン測定」を中心に自己学修を行いました。   参加した学生からは以下のような感想がありました。   【参加した2回生の感想】 バイタルサイン測定もベッドメイキングも、基礎看護学実習で実施した以来で、あいまいになっているところがあって、実習にこのまま行っていたら…。2つの内容に時間をかけてしっかり復習したので目的の演習まで進めないほどでした。習得したはずの技術をもう一度確認できる機会があって、すごくよかったです。先生方、ありがとうございました。 勝田真都   半年前までは、当たり前の様に実施できていた技術も、期間が少し空くだけで「まず何からどうするんだったっけ?」と手も足も出ませんでした。先生方に一つ一つ指導して頂かないと出来ず、少し実施しないとこんなに忘れてしまうんだと焦りを感じました。習得した技術を確実に実施できるよう、来年の実習に向けもっと練習しようと思います。   濵岡咲良     今回、清拭の復習をしようと思い、基礎看護技術自己学修会に参加しましたが、清拭をする前段階のベッドメイキングもままなりませんでした。そのため予定を変更しベットメイキングの練習とバイタルサイン測定の練習をしました。このまま基礎看護技術を復習せずに実習に行くのは大変怖いことだと気づいたので参加して良かったです。次回も参加しようと思いました。   山中もも   基礎的な技術も忘れてしまっていたので、学修会に参加して自分がどこを忘れているのか確認することができました。また、たくさんの先生方の指導があったため、正確に学修することができました。 李美優   1年生の時に毎週頑張って身につけた知識や技術を忘れていたのが悔しく、情けなかったです。既に学んだことを来年の実習の際に発揮することができずに、基礎の部分から復習することは絶対に大変だなと感じました。基礎看護学で教えてくださった先生が付き添い教えてくださったので、意味のある自己学修の時間でした。残り1回となった自己学修会の時間もぜひ参加したいと感じたと同時に、一年経つと忘れてしまっていたことから、実習前にも復習の機会を持ちたいと思います。   渡邉綾音     2回生後期は、講義が中心の授業となるため、看護技術を実施する機会が少なくなります。1回生後期の基礎看護学実習の時点では実施できていた看護技術も、実施する機会がなければ徐々に忘れてしまうため、定期的に復習の機会を設けることが必要であると考えます。   3回生後期の各看護学実習で患者さんにより良い看護を提供するためには、まず、基礎看護技術を確実にできることが必要です。学生が主体的に自己学修に取り組むことができるように、今後もサポートしていきたいと思います。   看護医療学科 基礎看護学領域教員 林有学・須藤聖子・小林智子・中西恵理   【関連記事】 2・4回生対象「第12回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 3回生対象「第10回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 3回生対象「第9回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 3回生対象「第8回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科

2019.11.26

令和元年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート

今年度の理学療法学科の卒業研究発表会は2019年11月1日(金)、2日(土)の2日間で開催され、計36演題の発表が行われました。   本学の卒業研究では、学生の希望を元に3年次に各教員のゼミへ配置が決まり、そこから4年次の11月に行われる「卒業研究発表会」に向けて参考文献を探して文献抄読したり、教員と相談をしながら研究計画を立案したりと準備が進みます。研究テーマは脳科学やバイオメカニクス、呼吸器系、物理療法、動物実験による基礎研究、コミュニケーション、高齢者、ウィメンズヘルスと多岐にわたります。例年、量的なデータを元に解析を行う発表がほとんどですが、今年はアンケートを元に概念を抽出し、対象者の思いを解釈するような質的研究や統計に関する発表も見られました。     各分野の最先端で研究をしている教員も多いため、自然と学生に求めるレベルも高いものになっていると感じます。実際、発表の中にはそのまま学会に出しても遜色ないのでは?と感じるものもあり、私自身もいち研究者として興味深く聞いていました。   7分間の発表を通して、自分たちの伝えたいことをいかに分かりやすくまとめるか、ということの難しさを感じるとともに、これまで自分たちがやってきたことの集大成の発表ということで、大きな達成感も感じられたのではないでしょうか?また、発表前には長いと思っていた3分間の質疑応答も、活発な議論の中ではきっと短く感じたのではないかな、と思います。教員からの鋭い質問やコメントには少し戸惑う場面も見られましたが、どの学生も堂々と発表し、質疑応答に答えている姿が印象的でした。     今回の発表が満足のいくものだった学生も、不完全燃焼となってしまった学生もいるかもしれませんが、今回の経験を通して物事を客観的に捉える力、ある事象を深く追求していく力を身に付け、患者さんにより良い医療、理学療法を提供できるようになってもらえたらと思います。   卒業研究は終わりましたが、すぐに国家試験の対策が待ち受けています。 今年も合格100%をめざして頑張りましょう!!   理学療法学科 助教 梶原由布   【関連記事】 2019年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート

2019.11.26

令和元年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~学生レポート

2019年11月1日(金)、2日(土)に開催された理学療法学科卒業研究発表会。参加した4回生からレポートが届きました!   理学療法学科4回生、庄本ゼミの藤田大輝です。2019年11月1日(金)、2日(土)に開催された理学療法学科卒業研究発表会についてレポートを書かせていただきます。     【発表当日までの活動】 3回生前期に希望のゼミを選択しました。先生方に紹介をしていただき、なじみのある先生や興味のある分野なども含めて、それぞれが悩み、選択しました。3回生後期では必修科目である「理学療法研究法演習」として本格的なゼミ活動が始まりました。論文を読み、抄読会を行った上で研究のテーマをそれぞれ決定していきました。その後、プレ実験を通して研究計画書を練り、本実験に取り組んでいきました。   【発表当日】 今年度は16のゼミから全36演題の発表が行われました。1演題につき、7分の発表と3分の質疑応答がありました。質疑応答では4回生だけでなく3回生からも積極的な質問があり、先生方からも様々な視点からの意見をいただきました。     長期実習後の3か月という限られた時間の中で本実験から発表まで、みんなが最高の準備をし、本番でそれぞれが素晴らしい発表ができました。それぞれ分野の異なる発表で、非常に興味深いものばかりでした。何より発表を通して「患者さんにより良いものを提供したいという気持ちが詰まった発表会」となりました。     今回の発表会で得た知識やプレゼン能力を4月から始まるそれぞれの舞台で存分に発揮し、さらなる研究活動と自己研鑽に努めたいです。 これから卒業研究を始める後輩に送るアドバイスは、頼れる偉大な先生方が身近にいるので、不明点や疑問点は早めに聞くことが大事だと思います。 4回生は理学療法総合演習と国家試験が残っています。卒業、合格に向けて切磋琢磨して切り抜けたいと思います。   最後に、今回卒業研究におきまして先生方をはじめ、ご協力いただいた多くの方に厚く御礼申し上げます。     理学療法学科4回生 藤田大輝 【関連リンク】  令和元年度 理学療法学科卒業研究発表会を開催!~教員レポート ●昨年度の卒業研究発表会はコチラ!

2019.11.22

イオンモール大和郡山「金魚フェス」でピザ・小松菜を試食・販売!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良

令和元年11月9日(土)・10日(日)にイオンモール大和郡山で行われた「金魚フェス」に本学のヘルスチーム菜良※が参加しました。   ※ヘルスチーム菜良…管理栄養士養成課程を持つ奈良県内4年制大学(畿央大学、近畿大学、帝塚山大学、奈良女子大学)で構成されており、食育啓蒙活動に取り組んでいます   金魚フェスとは、「金魚で大和郡山市を元気に」をテーマにイオンモール大和郡山で毎年開催されているもので、ヘルスチーム菜良は今年初めて参加させていただきました。ヘルスチーム菜良は2日間で、「秋の恵ピッツァ」と「小松菜のわさびポン酢和え」の試食・販売を行いました。   ▲小松菜のわさびポン酢和えの試食の様子です。     カルシウムが豊富な小松菜をワサビの効いたポン酢と和えることで、独特の苦みをいかしたあっさりなご飯のお供として試食を行いました。試食用に小松菜を調理するところから自分たちで行いました。実際に自分たちで調理した料理を目の前で食べていただく機会は初めてだったので、緊張しましたが「おいしい!」とたくさんの方々に言っていただいて、とてもいい経験ができたなと思いました。試食していただいて、小松菜を買ってくださる方もたくさんいて、すごく嬉しかったです。   また金魚フェスでは、地産地消をテーマに秋が旬の大和郡山産のさつまいもとしいたけを使った具材たっぷりのピザを試食・販売を行いました。お子様から高齢者の方までたくさんの方々に試食していただきました。   ~ピザの販売の様子~   今回初めて参加させていただいた「金魚フェス」でしたが、ピザと小松菜の試食・販売を通して、地域の方々と関わることができ、貴重な経験をさせていただきました。 来ていただいた方ありがとうございました!   健康栄養学科1回生 福川唯   ●ヘルスチーム菜良の情報はこちらからご覧になれます。

2019.11.22

大和路新発見展で「和食井の上」とのコラボ弁当を販売!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良

令和元年10月25日(土)・26日(日)に、ならファミリーで開催された大和路新発見展でヘルスチーム菜良※がお弁当を販売しました。   ※ヘルスチーム菜良…管理栄養士課程を持つ奈良県内4年制大学(畿央大学、近畿大学、帝塚山大学、奈良女子大学)で構成されており、食育啓蒙活動に取り組んでいます。     ヘルスチーム菜良は、「和食井の上」と奈良県産の野菜をたっぷりと使った「大和の恵み弁当」を共同開発しました。管理栄養士の卵として、1日の野菜摂取目標量の半分を使用することをテーマに各大学が力を合わせ、種類豊富でボリューム感のあるお弁当を考案しました。     1日50食限定で、午前10時からの販売でしたが、2日間とも午後12時頃には完売するほどの大盛況でした。販売時には、「和食井の上」の販売の方とご一緒させてもらい、様々な助言をいただき、とても貴重な経験ができました。     また今回ならファミリーの食育のイベントも同時に行われており、ヘルスチーム菜良は子供への食育活動に野菜クイズを行い、参加者には手作りの野菜カードをプレゼントしました。参加してくれた子供たちから「へー、野菜について全然知らなかった」という声や「野菜は食べないといけないんだね」など野菜について関心を持っていただけました。     ~参加者の声~ 1年各大学の代表が話し合いや試作を行い、様々な困難や壁に当たることがありましたが、本当に多くの方のご縁や協力があり私たちの「四大学がヘルスチーム菜良として1つのことをやり遂げる」という目標を達成することができました。ヘルスチーム菜良の絆を深めることができとてもうれしかったです。今後もヘルスチーム菜良としてこれからこの経験を活かし、さらなる地域の食育や地産地消に協力して取り組んでいきたいと思います。 健康栄養学科2回生 秋山愛奈 1回生 西原彩香   ●ヘルスチーム菜良の情報はこちらからご覧になれます。

2019.11.22

日本の養護教諭の役割は?~ソロモン諸島の小学校での健康支援を例に考える

現代教育学科の髙田です。2018年度より科研費の支援を受け、ソロモン諸島国ウエスタン州ムンダにある児童数約300人の小学校で、健康診断(身長計測、体重測定、体温測定)の実施と健康教育に取り組んでいます。 ソロモン諸島国は南大西洋のオセアニアに属し、オーストラリアの北東に位置する約1,000を超える島々からなる島嶼国です。日本からムンダまでは、ブリスベン、ホニアラ経由で約20時間、乗り換えがうまくいかないとさらに1泊しなければなりません。マラリアやデング熱、結核の罹患率が高く、近年は食生活形態の変化による糖尿病や肥満の増加が問題となっています。     なぜソロモン諸島なのか?実は、本学教育学部の橋本節子教授は25年前にJICA青年海外協力隊員として、ソロモン諸島国の全寮制セカンダリースクールで活動した経験があります。当時の様子を聞き、開発途上国の支援に、感染症や生活習慣病等の健康課題の解決に大きな成果を挙げてきた日本独自の養護教諭の専門性を活かすことができるのではないかと考えました。   2018年度は、児童が自分の成長発達や健康状態を知る方法がわかることを目的に、身長計測と体重測定と体温測定を実施しました。現地の学校には身体測定の器具も体温計もないため、児童は身体測定の経験がほとんどありません。日本より、測定器具と測定の仕方についての教材、測定結果を記録する健康カード等を準備して現地に持参しました。また、測定だけでなく、現地では写真も珍しいことから児童一人一人の写真を撮り、健康カードに貼り、感想を書いてもらうなど少しでも自らの身体の成長が実感できるような工夫をしました。教員にも測定の方法を指導し、測定に積極的に関わってもらいました。測定後の児童の感想は、「happy」「excited」など肯定的なものが95.9%で、高学年では友だちと記録を比べあったり、クラスでランキングを作ったりするなど、身体測定を通した新たな活動がありました。   ▼2018年8月はじめて訪問した時の職員室の黒板。生徒の健康増進のために日本から畿央大学のチームが来るので、先生方に理解と協力を求めるメッセージが書かれています。   2019年度は、身体の成長発達や栄養状態の確認、病気の早期発見等のために身体測定や体温測定を行うという身体測定等の意義についての理解を図りました。また、児童全員に歯ブラシを提供し、3年生には紙芝居を使った歯の磨き方についての指導を行いました。他にも手洗い指導やマラリアの予防などのサンプル教材を提供したり、JICA隊員による日本のラジオ体操をアレンジしたソロモンエクササイズの紹介などを行ったりしました。2019年度の児童の感想や成長の変化については現在分析中です。2020年度はもう1校増やして、実施するよう進めています。   ▼歯磨き指導の試み 歯ブラシに少し戸惑っているのかな?   ソロモン諸島国のみなさんはとてもフレンドリーで、心温かです。また、第二次世界大戦の最後の激戦地になった場所ですが、日本人に対し好意を持ってくれています。活動の最後には、サプライズで、児童が一同、集会場に集まり、私たちにラバラバ(現地の身にまとう布)をプレゼントしてくれました。日本の価値を一方的に押し付けるのではなく、現地の文化を大切にし、現地の方と共に子どもたちの未来と健康を考え、現地に根付く支援をめざしていきたいと思っています。   ●なおこの取り組みは、中日新聞でも取り上げられています。 日本の養護教諭の役割は?途上国の支援を例に考える」   現代教育学科教授 髙田恵美子

2019.11.22

国立療養所長島愛生園でハンセン病回復者の現状を体感する~看護医療学科「健康学特論」

2019年11月15日(金)、ハンセン病家族補償法が可決されました。また同日、ハンセン病をめぐる差別の解消に向けた啓発を行うため、名誉回復の対象に「家族」を加える「改正ハンセン病問題基本法」も成立しました。(2019年11月22日公布・施行)   畿央大学健康科学部看護医療学科では、2015年度より保健師対象科目「健康学特論」において、受講者を岡山県瀬戸内市にある国立療養所長島愛生園(2015年度のみ長島愛生園及び邑久光明園の2園)に直接赴き、納骨堂に献花し、往時に使用されていた収容施設や監房等も見学、そして、現在も入所されている回復者(ハンセン病はすでに治っていますが、社会との断絶により療養所に残らざるを得なかった人々)の話に耳を傾けて参りました。   今年度後期は、2回生に向けた開講の2年度目でした。本年6月の熊本地裁判決以降、めまぐるしい変化が起きており、本科目の開講中にも先述のとおり家族補償法等が可決され、学生にとっても社会の「今」を学ぶ機会となりました。そのような中、11月19日(火)に受講生たち24名とともに、長島愛生園を訪問しました。   到着後、私たちは歴史館の見学を行いました。11月初旬に本学にてご講演いただいた田村朋久学芸員が直接、歴史館(もともとは事務本館だったもの)の館内で、解説をしてくださいました。   ▼歴史館   ▼田村朋久学芸員による解説の様子   学生たちは、展示物を非常に熱心に見入っていました。その後、園内の見学に移りました。     収容桟橋(写真左)、回春寮(収容されてすぐに入る施設)と続きました。写真右は回春寮内で当時使われた消毒風呂(クレゾール)です。    ▼左側写真:収容桟橋 右側写真:消毒風呂   左写真は病室で、監房跡(写真右)です。監房跡は、現在、外壁のみが残されています。   ▼左側写真:病室 右側写真:監房跡   その後、亡くなっても「社会復帰」が叶わなかった方々が眠る納骨堂と、1996年まで続いた優生保護法(優生保護法施行以前も行われていましたが)による強制堕胎の胎児を祀る水子地蔵の前でそれぞれ花を捧げ、手を合わせました。     午後は、入所者であり回復者である石田雅男さんのお話を伺いました。私もですが、学生たちも石田さんのお話には深い感銘を受けました。石田さんとはご講演の最後に記念写真を撮らせていただきました。     長島愛生園の訪問は大学院生時代、金泰九(キム・テグ)さんのお住まいにお伺いしたことから始まります。石田さんのお話を伺いながら、今は亡き金さんを思い出しました。 石田さんのお話を伺った後、病棟等を見学し、愛生園看護部のスタッフのみなさまが主導され、グループワークを行いました。学生たちは、はじめは少し硬かったものの、スタッフのみなさまのサポートの下、すぐに打ち解け、充実した時間を過ごすことができました。     ここで、学生たちの感想を一部だけ紹介したいと思います。   【学生の感想】  「実際に療養所に行く前に、授業でハンセン病について、療養所について学び、発表をしたので、歴史館や園内見学などでさらに知識が深まったと思います。また、新聞記事やビデオだけでは感じることのできない療養所の雰囲気をリアルに体験することができ、とてもよかったと思います。」   「(中略)行ってみてわかったことは、とても明るくて優しい人と場所であり、語り部もおっしゃっていましたが、ハンセン病を通して、人の優しさとぬくもりを知ることができた良い経験となりました。」    「もしこの科目を受講していなければ、ハンセン病に関する問題を知ることはなかったし、療養所を見学する機会もなかったと思います。模型を使った説明や展示物を見ることで、より当時から続く差別や迫害の恐ろしさを感じることができました。また、実際にそれを乗り越えた方の話を直接聞くということは、いつまでできることかわからないし、それを聞かせていただけたのは大変貴重であり、誇らしいことだと思いました。」   「事前学習でハンセン病のことを調べていて、ハンセン病のことを理解した気になっていた自分がいたが、実際に療養所に行って、歴史館見学をし、語り部さんのお話を聞いたとき、理解した気になっていた自分が恥ずかしくなった。実際に直接話を聞くことができ、本当に貴重な体験ができた。」     「百聞は一見に如かず」。毎回、長島愛生園を訪問して思うことです。 受講生たちは本科目の主たる内容である「医療問題と人権」の一端を深く学び、胸に刻むことができたと思います。「偏見を持たないこと、持たないためには自分が知り学ぶことが大切」と学生たちも話していました。今後も、ハンセン病のみならず、まだ社会に残る差別の解消に向けた取り組みにかかわり、人道・人権尊重を主体とした医療従事者養成に寄与していきたいと考えております。   最後に、長島愛生園 歴史館、自治会、看護部のみなさま、貴重なお時間をいただきありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。   看護医療学科 准教授 文鐘聲   【関連記事】 ハンセン病療養所長島愛生園を見学~看護医療学科 国立ハンセン病療養所を訪問~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病療養所を訪問~看護医療学科 日本における感染症対策ーハンセン病の歴史ーを学ぶ~看護医療学科