2025.12.17
第4回日本老年療法学会学術集会で大学院生が最優秀ポスター賞受賞!~ 健康科学研究科
2025年12月6日(土)~7日(日)の2日間にかけて第4回日本老年療法学会学術集会が一橋講堂で開催されました。今年のテーマは「しんか ー深化・進化・真価ー」ということで、多様性が求められる社会で多様な価値観を尊重しながら老年療法学におけるさまざまな領域での「しんか」について考える機会がたくさんありました。地域リハビリテーション研究室(高取研究室)の私(山本)がポスター発表形式で発表をさせていただきました。

学会発表の概要
山本泰忠(博士後期課程)
演題名:「通いの場における地域在住高齢者の身体活動に対するグループ特性が与える影響」
本研究は、一自治体内の通いの場における地域在住高齢者の身体活動と通いの場各グループ特性との関連を検討したものです。各通いの場にOpinion Leader(OL)と呼ばれる同じグループ内の一定の割合からリーダーであると認識されている方たち(OL群)とそうでない方たち(非OL群)に分けて、各グループ特性と身体活動との関連を検討しました。OL群は非OL群と比較して、若年者で身体活動や身体機能、諸々社会性指標が高い傾向にありました。クラスタ分析の結果、3タイプに分けることができ、
- 「リーダー依存階層型」・・・リーダーが引っ張り、その他の参加者が階層的で縦関係をイメージ。リーダー性が高く、友人ネットワークやソーシャルキャピタルが希薄傾向
- 「友人高密度水平型」・・・特定のリーダーが少なく、友人関係が密で水平的で横関係をイメージ。リーダー性が低く、友人ネットワークやソーシャルキャピタルが密傾向。
- 「中庸型」・・・「リーダー依存階層型」と「友人高密度水平型」の間のイメージ。
の3タイプに分類しました。
身体活動の評価である日本語版Physical Activity Scale for the Elderly(日本語版PASE)に対するOL(p<.001)、グループ特性(p<.001)、交互作用(p<.001)の主効果は有意に正の関連を示しました。また、非OL群においては、「リーダー依存階層型」をReferenceとした際に「友人高密度水平型」(p=.003)が有意に正の関連を示しました。
これらは、因果関係に関しては不明であるものの、特に非OLにとって特定のリーダーが少なく、友人関係が密で水平的で横関係に近いグループ(「友人高密度水平型」)に属することが、「リーダー依存階層型」と比較すると身体活動を高く保てることと関連がある可能性が示唆されました。
これまでに通いの場個々のグループの影響に着目した研究は散見されず、本研究が初の試みになるかと考えております。今後は、こちらの内容を論文として形にしていければと考えております。

最優秀ポスター賞を受賞しました。
本研究では、高取教授をはじめ地域リハビリテーション研究室のみなさま、職場のみなさま、宝塚市高齢福祉課、宝塚市社会福祉協議会企画総務課のみなさま、測定にご協力してくださった地域住民さまにこの場をお借りして、心より御礼申し上げます。

※第4回日本老年療法学会公式SNSより引用
本学会では、職場の同僚たちとも一緒に発表に臨むことができました。同じ志を持った仲間が増えていくことは、何にも代えがたい体験です。引き続き、切磋琢磨し合いながら臨床・研究活動に励んでいければと思います。

健康科学研究科 博士後期課程
山本 泰忠
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