2019.06.18

畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター

畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターでは5月末から8月までの約3か月間、トルコより研究者を受け入れています。 ▼左から森岡周センター長、Burcuさん、大住倫弘准教授 PhD.Burcu DİLEK Assistant Professor, Physiotherapist University: Istanbul Medipol University Department: Physical Therapy and Rehabilitation Dr.Burcu(発音:ブルジュ)は2018年2月にも2週間ほど本学に滞在し、研究面での交流を深め、今回の短期留学に至りました。所属されているMedipol Universityでは手の治療や慢性痛について研究されていますが、今回はニューロリハビリテーション研究センターとの共同研究として『痛みへの恐怖が運動に影響を及ぼす脳メカニズムを明らかにする』をテーマに研究に取り組まれます。 滞在中は研究センターの施設・設備を利用して研究に取り組んでおり、大学院生と研究のディスカッションも予定されています。また、理学療法学科の授業にもゲストスピーカーとして登壇していただき、海外における理学療法などについて講演いただく予定です。事務局も外国人研究者対応のモデルケースとして今後の大学運営に役立てられるよう、生活面のサポートなど積極的に関与しています。 教育、研究、大学運営と畿央大学にとっても好影響があり、大きな相乗効果を生んでいます。3か月という限られた時間ですが、Burcuさんの活躍に期待しています! (以下、ブルジュさんに今回の来訪についてインタビューを行いました。) 今回、畿央大学にどのような目的で訪れ、3か月どのような研究をされるのか教えてください。 Q.1 トルコでは普段どのような研究をされているんでしょうか? 研究のメインテーマは「痛みと運動イメージ」で、現在は新たな研究計画を考えようとしているところです。しかし、トルコでは多くの授業や学生指導を担当しており、なかなか研究に時間を割くことができていません。将来的には、検討中の研究を病気や、慢性疼痛を抱える人々に適用していきたいと考えています。 トルコの大学では、痛みに関する研究において理学療法士が筋電計などの機器を研究に活用する機会はあまりないので、新たな研究計画の検討を始めることが非常に難しい状況でした。そのため、先進的な取り組みを行っている研究者がどのように痛みに対してアプローチしているかを知る必要があると考え、ウェブサイトで記事や論文などを探していたところ、森岡教授や今井亮太さん(博士後期課程修了生)と出会うことができ、昨年、畿央大学を訪れることができました。 ▼昨年の訪問時に、来日するきっかけになった今井さんと Q.2 今回の来日では、どのような研究をされるんでしょうか? ニューロリハビリテーション研究センターの大住准教授とともに、痛みへの恐怖が運動に及ぼす影響をデータとして集めるために、EEG(脳波)を計測する手順を作成し、同時にECG(心電図)を計測する準備を行ないました。ちょうど今日、最初の研究対象者を迎え、人が痛みに対してどのような反応を示すかを調べました。ボタンを押すと痛みが強くなる条件下でボタンを押す前に脳がどのような反応を示すかを調べます。このような実験はトルコでは行われていませんし、森岡教授が行われているような研究はまず行われていません。 Q.3 今後の研究に関する展望を教えてください。 畿央大学で学んでいることは非常に貴重なことで、将来トルコでも同じような研究ができるではないかと考えています。そういう意味で、森岡教授やニューロリハビリテーション研究センターには非常に感謝していますし、畿央大学の全面的な協力にも感謝しています。私をすごく歓迎してくれていますし、おかげさまでとても快適に過ごすことができています。ここにきてまだ間もないですが、すでに実験などの手順について多くのことを学ぶことができ、分析手法も学ぶことができました。いつかはこの手順を病気の治療に活かしたいと思いますし、疼痛に対する理解も進んでいくと思います。 現状は、多くの痛みの状況がまだまだ解明されていません。しかし、私たちは痛みの状況を知るための新たな特別な手順を作り出すことができるかもしれないと考えています。そのような研究がトルコでも行えたら望ましいなと考えています。実際、トルコでも同じような装置はあるのですが、単体で使う手法しか持っていません。ニューロリハビリテーション研究センターが行なっている複数の機器を同時に動かし、一度に多くのデータを得る方法を学ぶことができたらよいなと考えています。トルコではそういった方法はまだ一般的ではありません。しかし、痛みが起こった時の筋肉の反応時間や心臓の動きなどを同時に知る必要があり、それらのデータを一度に得る必要があります。これからまだまだ時間はかかるかもしれませんが、ここでの経験をいかして、トルコでも同じような実験環境を作り上げたいと望んでいます。 次回は、ブルジュさんの日本での生活についてインタビューを実施する予定です! 【関連記事】 トルコ人研究者に日本や理学療法のあれこれを聞いてみた!~Burcu Dilekさんロングインタビュー 

2019.06.14

畿央大学付属幼稚園の園児たちが大学に来てくれました!~マミポコ・親子ひろば

2019年6月7日(金)この日は、畿央大学付属幼稚園の3,4,5歳の子どもたちが、バスに乗って畿央大学に遊びに来てくれました!     マミポコ親子ひろばでは、子どもたちと小体育室でレクリエーションをして楽しみました!   〇手遊び「大きな栗の木の下で」「ピクニック」 〇新聞紙を使った素話 〇エビカニクス   1回生は初めて子どもたちの前で手遊びをしました。初めてで不安もあったと思いますが、自分たちでたくさん話しあって決めた甲斐あって、スピードを早めたり二人組でしたりなど様々な工夫で行うと、子どもたちからは「もう一回やりたい!」という声が挙がりました。   新聞を使ったお話では、新聞を折ったり破ったりして展開していくお話に、子どもたちは興味津々な様子でした。主人公が山を登るのを応援したり、みんなでご飯を食べたり、子どもたちにも一緒に右手を出してもらって「ちちんぷいぷいのぷい~」と何度も新聞に魔法をかけたりと、みんなで一緒に楽しみました。     最後の「エビカニクス」では、子どもたちはのびのびと踊ったり、音楽にのせて体を揺らしたり、それぞれ楽しみ「もう一回したい!」という声がたくさん聞こえてきました。     大雨の日にもかかわらず、長靴を履いて遊びに来てくれた子どもたちと遊ぶことが出来て、学生もとても楽しい時間を過ごしました。また遊びに来てくれる日を心待ちにしています!ありがとうございました。   マミポコ親子広場代表 現代教育学科3回生 清水亜美   【関連記事】 2019年度「マミポコ・親子ひろば」前期第1回活動報告!

2019.06.14

第17回畿央祭実行委員Blog vol.10~全部署で1回目の会議を開催!

こんにちは!第17回畿央祭副実行委員長の浅田真奈美です! 暑くなったり、涼しくなったり気候が様々ですが、体調管理は大丈夫ですか??   さてさてアリーナ、学内、模擬、舞台、広報、展示、全ての部署の第一回目の会議を開催しました。皆さん部署が決まり初めての顔合わせとなり、希望通りの人もいればそうでなかった人、友達と離れてしまった人など色々あると思います。 しかし、私はこのタイミングは大きなチャンスだと思います。新しい友達が増えたり、仲間との絆も深められたりできるチャンスです。他学科の人や他のクラスの人、先輩などたくさんの人と話をして視野を広げていってください!そして皆さんで一致団結をし、思い出に残る最高の畿央祭にしていきましょう!!   【アリーナ部署】   【学内企画部署】   【模擬部署】   【舞台部署】   【広報部署】   【展示部署】                         第17回畿央祭実行委員 副実行委員長 現代教育学科2回生 浅田真奈美   ●これまでの実行委員Blogはこちらから!

2019.06.13

奈良テレビ放送「はじめましてツキムラです。」が健康栄養学科教員・学生を取材!

奈良テレビ放送『はじめましてツキムラです。』の取材がありました。 『はじめましてツキムラです。』は、オーダーメイドスーツ専門店「ツキムラ」の社長が奈良県内のスポットを巡るバラエティテレビ番組で、毎週火曜日23:58~(30分番組)と毎週木曜日20:54~(5分スペシャル番組)の放送です。     今回は、月村社長・専務とアイドル茉井さんの3人が畿央大学へ・・・アカデミックに「食」を学びに来てくれました。   さっそく健康栄養学科の野原先生から、奈良県民の食に関する嗜好をレクチャーしてもらったあと、食育サッとシステムを使って、実際に3人が普段食べている食事を再現してもらい分析!それぞれの栄養バランスを見直し、しっかりと勉強(反省?)をしてもらいました。   また、ヘルスチーム菜良(なら)学生がレシピ考案し、イオン「郡山フェア」のピザバトルに出品した力作の「初夏を感じる大和野菜たっぷりモッチリーザ」をふるまい、奈良県産の食材を満喫してもらいました。   ※ヘルスチーム菜良…管理栄養士過程を持つ奈良県内4年制大学(畿央大学、近畿大学、帝塚山大学、奈良女子大学)で構成されており、食育啓発活動に取り組んでいます。     気になるサッとシステムの結果(栄養バランス)、畿央ピザの味は?、放送をお楽しみに!!   【放送予定日】 『はじめましてツキムラです。』 スペシャル 6月27日(木)20:54~20:59 奈良テレビ放送 『はじめましてツキムラです。』 7月2日(火)23:58~00:28 奈良テレビ放送 近鉄ケーブルネットワークでも放送 毎週月曜日8 :00~ / 土・日 9:30~ / 日 17:00~ KCN京都 毎週土曜日 15:00~     ※番組放送終了後はツキムラHPにて映像が公開されます!   【関連記事】 ヘルスチーム菜良の学生が考案した「大和丸なすピザ」をイオンモール大和郡山で6月8日(土)・9(日)に試食販売! お笑い芸人「コロコロチキチキペッパーズ」がアルティメット部を直撃取材!

2019.06.13

G20大阪サミット シンボルデザインコンペの思い出~人間環境デザイン学科加藤ゼミ

人間環境デザイン学科の加藤です。   構想や提案をしたけれども最終的には日の目をみずに終わったデザインのことを「インポッシブル・デザイン」と勝手に呼んでいます。人間環境デザイン学科の2・3回生が合同で学内外の課題解決に挑むプロジェクトゼミでは、毎年「インテリアプランコンテスト」にゼミ生一丸となって挑戦しています。第1次審査までは通過する学生もいますが、最終審査で入賞するまでには至っておりません。その他にも数々のコンペに挑んでいますが、ほとんど負けているのが実情です。建築家・安藤忠雄氏に「連戦連敗」という著書がありますが、氏ですら負け続けているわけです。   大阪でのG20サミット開催が連日メディアを賑わせていますが、このシンボルマークデザインも1年ほど前にコンペが開催され、最優秀作が選ばれて採用されました。実は、我々も果敢に挑戦していたのです。   採用されたロゴはこちら   当時の4回生山根寿奈さんと2人でG20サミット シンボルデザインに没頭していました。我々は、大阪で開かれるので太陽の塔の顔をイメージしてG20の文字が顔になるようにデザインしました。二人で「これはいける!」とほくそ笑んでいたのですが・・・     開催を目前にした今になって悔しさが蘇ってきました。あまりに残念なので、インポッシブル・デザインとしてご紹介させていただきました。   人間環境デザイン学科准教授 加藤信喜 【関連記事】 学生が店舗デザインを担当した「izhaori」が令和元年5月1日にOPEN!~人間環境デザイン学科加藤ゼミ 「ちゃんこ好の里」さんのサイン看板作成!~人間環境デザイン学科加藤ゼミ 大学に隣接する商業施設「エコール・マミ」へのデザイン提案!~人間環境デザイン学科加藤プロジェクトゼミ

2019.06.13

書評:教育学部大久保准教授執筆「行動問題を解決するハンドブック~小・中学校で役立つ応用行動分析学」

教育学部現代教育学科大久保賢一准教授が執筆した「行動問題を解決するハンドブック~小・中学校で役立つ応用行動分析学」について、同じく教育学部で特別支援教育を専門とする小野尚香教授より書評が届きました。     本書は、「何のためにその行動を変えるのか?」という問いからはじまる。「行動の問題」に対する"みたて"と"てだて"について、応用行動分析学の理論や技法に基づき、小学校教員歴3年の先生とのQ&Aを用いたレクチャー方式を取り入れて解説したハンドブックである。   子どもが健やかに暮らし、そして未来を主体的に生きていく力をはぐくむために、専門職は何ができるのであろうか。その一つは、子どもを人として大切にすること、そして子どものこころに寄り添うことであろう。本書は、「いま」を生きている子どもと向き合うからこそできる、「行動の問題」に注目した"みたて"と"てだて"があると示しているようである。   行動には理由がある。本書では、その子どもの行動を理解するために、「行動」とともに、行動前の「先行事象」と行動後の「結果事象」の3つに分けて整理して仮説を立て、「望ましい行動」に向けて、3つのそれぞれに呼応した「効果的な解決策」に結び付けていく。   第1章では、「望ましい行動を育てる3ステップ」についてである。1)「スモールステップの目標設定」として「シェイピング」ならびに「課題分析とチェイニング」、2)子どもが自分で行動できるようにするための「プロンプト」、3)「望ましい行動を起こしやすくする」ための「強化」、「強化子のアセスメント」、「トークンエコノミー」について、それぞれのステップをどのように理解し、どのように計画的に指導していくのかがイラストや表を示しながら説明されている。   第2章では、「問題となる行動を解決する3ステップ」についてのレクチャーへと展開する。1)「問題となる行動の機能をつかむ」ためのアセスメント、2)短期目標としての「代替行動」(目標設定)、そして、3)「機能的アセスメント」に基づいた「予防」「行動を教える」「行動後の対応」である。これらの方略は、子どもの行動を理解する3つのポイント「先行事象」、「行動」、「結果事象」に呼応している。そして、行動支援のための計画と実施後の評価ならびに修正のコツを説いている。第3章では、それまでの取り組みの成果を広げるための「般化」や「チームワークづくり」について、第4章では取り組みの事例が示されている。   教育的支援は、子どもが努力をするための道標となる。見守られ、ときには一緒に考え、頑張るためのヒントを与えられ、スモールステップで「できた」ことを認められ、ほめられるプロセスは、子どもの自己理解にもつながり、自尊感情をはぐくむプロセスとなるであろう。それはまた、教員や支援者にとって、応用行動分析学を活用することで子どもの行動に対する理解を深め、子どもに向き合い、子どもに効果的な支援を行うことができたという自信へとつながっていくであろう。   書くという作業が自分の研究アイデンティティを確認する作業であるとすれば、本書に織りなされている子ども観や教育観、そして子どもに向き合う姿勢は、著者がこれまで子どもたちに支援を行い、子どもに関わる専門職への指導を重ねてこられた経験値や経験則に基づくものであろう。冒頭の「何のためにその行動を変えるのか?」は、著者自身が問い続けてこられたテーマでもあろう。   本書の行(くだり)から映し出されているのは、発達に課題があっても行動上の問題があっても、「先生」の温かいまなざしとラポールを基底とした教育的支援によって、次のステップに自ら歩みだそうとする子どもの姿である。「先生」という存在は、子どもをエンパワメントする生きた教材かもしれない。本書でいう「幸せに生きる子どもの姿」を意識しながら、学校という社会で、子どもの「望ましい行動」の土台となる主体性や自律性をはぐくむためにも、「何を問題と捉え、何を目標に設定するのか」という問いを心に留めておくことは大切である。   応用行動分析学を活用した、子どもが健やかに暮らし生きていくことを力づけるメソードとして読んでいただきたい一冊である。   ●その他の本学教員執筆図書および書評はこちらから

2019.06.13

近鉄連携「香芝SAフードコード麺メニュー開発プロジェクト」プレゼンテーション会を開催!

健康栄養学科の学生8グループ34名が考案したメニューをプレゼン!   恒例となった香芝SAフードコートメニュー開発プロジェクト。昨年度は「鶏肉を使用した丼メニュー」をテーマとし、「大和三山の雪化粧」がグランプリを受賞、「すき焼き風奈良の郷土んぶり」が準グランプリとなり、それら2メニューが香芝SAのフードコートで販売されています。また、特別賞受賞の「鶏のザクザクあんかけ丼」は岸和田SAで販売され、現在も好評発売中です。 そして2019年6月10日(月)、健康栄養学科学生8グループ34名(指導教員:中谷 友美先生、岩田恵美子先生)が、プレゼンテーション会に挑みました。   今年は「麺メニュー」がテーマ。前回の学生募集説明会に引き続き、㈱近鉄リテーリングサービスエリア事業部の林エリアマネージャー、香芝SA小椋支配人にお越しいただきました。各グループは事前に香芝SAを見学しており、そこで得た情報も基にして考案したメニューを発表しました。   ▼プレゼン発表の様子   各グループは「ターゲット層」を定め、考案したメニューに「奈良らしさ」、さらに “管理栄養士の卵”ならではの「セールスポイント」を盛り込んでプレゼンを行い、お二人から貴重なコメントや評価を述べていただきました。すでに何回か試作を行った班や、原価率から計算した販売希望価格をプレゼンする班もあり、これらには非常に驚かれていました。またメニューの内容についてだけでなく、「アピールポイントがしっかりしているので、もっと自信を持ってプレゼンすれば相手に伝わるはずです」等、学生のプレゼンについてもご指導いただく場面もありました。     全発表が終了した後は、林マネージャーから総評をしていただきました。全体的にレベルが高かったことを挙げられ、また今後について質問会や試作、レシピ検討会があるので、「更なる試行錯誤を重ねていただき、メニューが進化することを大いに期待しています」とのお言葉を頂戴しました。   ▼林エリアマネージャーによる総評   また指導教員の中谷先生からは、今後のスケジュールや事務連絡に加え、これまでのコンテストを指導してきた教員の立場として、「先輩たちの受賞作品とよく似たメニュー案も見られました。これまでの受賞作品も研究し、受賞したメニュー、惜しくも受賞できなかった作品にはそれぞれの理由があるはずなので、よく研究して良い部分を自分たちのメニューに取り入れてください。」と、アドバイスをしていただきました。   学生たちは、実際に企画や販売をされる現場の方たちの貴重なコメントや、指導教員からのアドバイスに対して熱心にメモをとり、次の試作や質問会へ向けて考案したメニューの磨きをかけようと意欲的な様子でした。   今後のスケジュールは、7月22日にメニュー質問会、9月上旬にレシピ検討会、そして9月28日(土)にコンテストを実施し、来年1月~2月には西名阪道 香芝SA上下線にて発売開始予定です。ぜひご期待ください!   香芝SA新メニュー開発プロジェクトに関する記事はコチラ!

2019.06.05

国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」での見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」

看護医療学科3回生の履修科目である「終末期ケア論」では、毎年磯城郡田原本町宮古にある国保中央病院に併設される「緩和ケアホーム飛鳥」をたずねて見学実習を行っています。国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥は平成17年5月に奈良県で初めての緩和ケア病棟として開設されました。田園風景に囲まれ、豊かな自然と澄んだ空気が心地よいこの施設は、昨年公開された映画「かぞくわり」のロケ地にもなった場所です。 今年は見学希望者7名と担当教員が飛鳥をたずねて施設内の見学や、看護師長からホスピスケアの実際についてお話をうかがいました。今回は多くの学びがあった見学実習の様子をレポートします。   ▲見学に参加した7名の学生はホスピスケアに強い関心を持っています   緩和ケアホーム飛鳥を訪れた2019年6月1日(土)は真夏を思わせるような気候でしたが、飛鳥の庭には、目にもまぶしい緑の木々がそよ風に揺られる景色がひろがり爽やかさを感じました。この庭園の木や花はボランティアさんが、心を込めて手入れをされています。   ▲バリアフリーでベッドや車いすでも出入りができるガーデン   この日は、4月から緩和ケアホーム飛鳥の病棟師長に着任された牧野真弓師長が、ホスピスでのケアについて事例を用いて詳しく講義してくださいました。牧野師長は、緩和ケア認定看護師として多くの患者さんや家族そして遺族ケアに携わって来られています。   ▲牧野師長より講義をいただく様子   緩和ケアホーム飛鳥は、医師や看護師を中心としたチーム医療のもと、積極的な治療に対して反応しなくなった末期がんの患者さんへの身体的・精神的ケアや家族も含めたQOL向上を目指した全人的ケアを展開されています。それらは、次のような基本理念に基づいて実践されています。   ・あなたの人格のすべてを受け入れます ・あなたの思いや考えを大切にします ・あなたの生活を尊重します ・あなたの苦痛、その他の不快な症状を緩和します ・ご家族に対して心の安らぎが得られるよう支援いたします   学生は、基本理念を頭にいれて、牧野師長が紹介してくれた事例に聞き入っていました。   事例の中では、昭和20年8月6日に広島での被爆経験をもつ患者さんが、歩くことができなくなり徐々に弱っていく中で、「もう一度広島に行きたい」と言う希望をかなえられた経過が紹介されました。その希望を聞いたとき、飛鳥の医師や看護師はまず「家族の協力を得て広島に行くことが可能かどうか」について慎重に話し合ったそうです。ご家族の賛同が得られて、いよいよ出発というときに備えて、疼痛や呼吸困難などの終末期に出現する身体症状をコントロールするための方法を考え、万が一訪問中に体調不良になった場合に、訪問先で診療や入院ができるような態勢を整えられたそうです。移動に欠かせない車いすも院内から貸し出しができるように手配して、患者さんは無事に広島を訪問されたそうです。満足そうな笑顔で戻ってこられた患者さんは、「被爆者は亡くなったら、ネームプレートが慰霊碑に刻まれることになっている。自分の名がどこに刻まれるのかを見ておきたかった」と訪問の目的を語られたそうです。それからほどなく患者さんは逝去されましたが、遺族から、慰霊碑に刻まれたネームプレートの写真を見せてもらったときに、医師や看護師は、この訪問が患者さんや家族のQOL向上につながったことを感じられたそうです。   このほかにも多くの、末期がん患者さんと家族が繰り広げた物語を聞かせていただき、学生は大きく心を動かされたようです。   しかし、緩和ケア病棟に入院したからといって、事例の患者さんのように自分が希望したことができるわけではないのが現状です。それについて牧野師長よりテレビドラマで放映された一つの場面を用いて説明がありました。   ▲講義では、テレビドラマでの場面から考える機会も!   緩和ケア病棟に入院したからと言って、必ずしも何かしたいことを見つけて実現するのがすべてではなく、患者さんが「今を生きる」その時間が苦痛から解放されて、日常生活に必要な援助が過不足なく提供されることが大切なことです。そのために、緩和ケアホーム飛鳥では「残り少ない時間を大切に過ごされている皆さんが、よく生きることにできる限りの援助をしています」とむすばれました。   また、講義の最後には牧野師長が大好きな言葉「医師が治せる患者は少ない。しかし、看護できない患者はいない。息を引き取るまで、看護だけはできるのだ」という引用文を紹介していただきました。 この言葉を聞いた学生たちはあらためて、看護の奥深さを感じたようです。     講義のあとは、施設内を見学しました。 一般病棟では、見慣れないファミリーキッチンや瞑想室などホスピスに特徴的な空間を見せていただきました。瞑想室は、患者さんの傍にずっといることで気持ちに閉塞感を感じたり、多くの課題や考えが頭をもたげてストレスフルな状況にある家族が、ひと時何もない空間で緊張を解くための空間です。学生も瞑想室に体験入室させていただきました。   ▲瞑想室に体験入室し「無になれました」と話す学生   ▲ファミリーキッチンで、自分で作った小豆を家族に調理してもらっていた患者さんのエピソードを聞く   施設内を見学した後は、年に一度開催されている遺族会で上映される映像を見せていただきました。ホスピス・緩和ケアにおいて「遺族ケア」は大切なプログラムであり、患者さんが旅立たれたあとの喪失感や悲しみを理解し、家族がまた自分の新しい生活にむけて進んでいくことを支援するための取り組みとなっています。見学実習を終えた学生は終末期にある対象や家族と自身の向き合い方について新たな学びを得たようでした。   ▲遺族会の映像を見て、遺族から故人にあてたメッセージを見せていただく   ▲牧野師長さんと記念撮影「ありがとうございました」   わが国の、緩和ケア病棟入院料届け出受理施設(認可されたホスピス・緩和ケア病棟)数は415施設、病床数は8423床となっています(2018年)。一方がんで死亡する人の総数は年間370,000人を超えていることから、私たち看護師は、一般病床や在宅でも終末期がん患者のケアを担っていかなければなりません。学生のみなさんが社会に出たとき、今回の見学実習での学びや自身の心に響いたことを忘れずに対象と向き合ってくれることを願っています。   最後になりましたが、お忙しい中、貴重な学びの機会を下さった牧野看護師長様はじめ国保中央病院皆様に感謝いたします。   看護医療学科 終末期ケア論担当 對中百合・大友絵利香   【関連記事】 「エンゼルメイク」を学ぶ!~看護医療学科「終末期ケア論」 「グループホームの看護職のための終末期ケア研修会」を開催!~看護医療学科 ホスピス見学実習での学びを共有!~看護医療学科「終末期ケア論」

2019.06.04

2019年度「マミポコ・キッズ」第1・2回活動報告!~現代教育学科

こんにちは、マミポコ・キッズです!   私たちは畿央大学に地域の子どもたちを招待して、様々な遊びを行っています。今回は、2019年前期第1・2回の活動の様子を振り返ってご紹介します!   第1回:5月12日(日) はじめに、「ぽいぽいぱちぱち」というゲームで子どもたちの緊張をほぐしたあと、個性豊かですてきな名札を作りました。 次に、グループの友達の名前を覚えるため「ころころじこしょうかい」という歌に合わせてボールを転がしながら名前を言っていくゲームをして、グループの皆に自己紹介をしました。そして、お題に合う言葉を他の人とタイミングがかぶらないように言う「とびだせじぶん」というゲームで、グループの友達の特徴を知ることができました。 初めての活動ということで、子どもたちも大学生も始めは緊張していました。しかし、ゲームをしていくうちにたくさんの笑顔が見られるようになり、楽しい活動になりました。   ▲「ころころじこしょうかい」グループの友達の名前を覚えよう!   ▲「とびだせ自分」友達とかぶらずにとびだせたかな?   ▲「めくってめくって」グループで協力してたくさんめくろう!   第2回:5月26日(日) 第2回の活動は外遊びの予定でしたが、気温が高く外での活動は危険と判断し、室内での活動となりました。 「にがおえリレー」では、グループリーダーさんの顔を順番に協力して描きました。 それぞれのグループで、オリジナリティにあふれたすてきな似顔絵が完成しました。最後に、「なみなみじゃんけん」をして外で遊べなかったぶん、たくさん体を動かしてゲームを楽しみました。   ▲「ラインナップ」ラインからはみ出さないように並び替えよう!   ▲「ひみつのたっきゅうびん」お届け物はどこにあるかな?   ▲「にがおえリレー」リーダーさんのすてきなにがおえができたね!     マミポコ・キッズでは毎回当日スタッフの方のご協力のもと活動を行っています。これからも、たくさんの当日スタッフの方の参加をお待ちしております。今後とも、マミポコ・キッズをよろしくお願い致します。   次回の活動は、6月23日(日)で、地域の方をお招きして伝承遊びを教えていただく予定です。たくさんのご参加お待ちしております!!                                                             現代教育学科3回生 奥田奈緒・中木屋佑香  2回生   竹上はるか   【関連記事・リンク】 マミポコ・キッズ マミポコ親子ひろば 2018年度「マミポコ・キッズ」後期第3回活動報告! 2018年度「マミポコ・キッズ」後期第2回活動報告! 2018年度「マミポコ・キッズ」後期第1回活動報告!

2019.05.31

第1回国際交流企画 韓国・大邱市からの訪問団を迎えました~看護実践研究センター

看護実践研究センター(センター長 看護医療学科 教授 山崎尚美)は、看護実践学の発展・社会的地位の向上、地域住民の健康増進や卒業生を含めた医療職・福祉職の資質向上の具現化と、現在まで行ってきた認知症ケア・地域包括ケア・国際交流などの研究や事業を系統的にスマート化し、教職員にとって進めやすい環境の整備をめざし、2019年4月1日に設立されました。また、5月19日には、開設記念シンポジウムを開催しました。   2019年5月29日(水)には、いよいよセンターの活動が本格的に開始いたしました。記念すべき第1回の企画として執り行った国際交流企画について報告します。   ▲事前に奈良の歴史に触れた訪問団が大学に到着   今回の研修目的は、韓国大邱市近郊の4か所の療養病院(注;日本では回復期リハビリテーションや療養型病床の機能を持つ病院)で勤務する医療・介護職が日本における地域コミュニティの中での認知症ケアについて理解するというものです。訪問団一行は、本学での講義にくわえて奈良県内の回復期リハビリテーション病院や併設される高齢者福祉施設の見学を通して、奈良県における認知症ケアについて最新の知見や医療・介護システムを学び、自国でのシステム整備や実践の向上をめざします。   ▲開式に先立って植田健康科学部長より韓国語も交えた挨拶!     研修には、現地コーディネーター、通訳を含む34名が参加されました。講義に先だって、植田学部長から開式のご挨拶があり、訪問団の代表と名刺交換ならぬお土産交換が行われました。   ▲両国の認知症看護発展を願ってお土産交換   そして、山崎尚美センター長から「日本の認知症ケアシステム」に関する講義が始まりました。講義の中では、1970年代に認知症高齢者は、十分なケアを受けることができず身体拘束・薬剤投与など現在では考えられないような状況に置かれていたこと、ケアを模索し続けた1980年代を経て1990年に認知症対応型共同生活介護施設としてのグループホーム誕生を機にようやく認知症の人の人権を大切にしたケアの実践が具現化された経緯が詳しく説明されました。そして2000年の介護保険制度発足からの約20年間で、認知症に対する国民の理解の変化や認知症になってからも住み慣れた地域で暮らすことをめざした政策の紹介もされました。 とりわけ、新オレンジプランに含まれる基本的な考え方のなかの認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発およびその成果の推進に対して、畿央大学が取り組んでいるKAGUYAプロジェクトにおける軽度認知症診断アプリの開発や、認知症カフェについての内容は、参加者の関心が非常に高いものでした。   ▲認知症ケアの変遷と現状について熱く語る山崎センター長   認知症カフェについて研究を進めている島岡昌代老年看護学助手より、日本の認知症カフェの種類や認知症カフェが本人にとって・家族にとって・地域にとってどのようなメリットがあるのかが説明されました。そして、畿央大学が今年度から委託事業として取り組みを続けている「KIOオレンヂカフェ㏌御所」の紹介がされました。韓国の認知症カフェは、決まった場所はあるが、そこに自由に行きたい人が集まって来て、自然にみんながつどい語らうのが一般的で、日本のように誰かが主催または企画した場所に人が集まるスタイルとは異なっているようです。   ▲日本の認知症カフェについて島岡助手より説明   この研修では、地域コミュニティにおける認知症ケアについても取り上げられており、地域包括ケアシステムの中での認知症施策の実際について本学の地元である広陵町と奈良県東部にある宇陀市の例が紹介されました。   広陵町の高齢化率は日本全国平均とほぼ肩を並べていますが、今後高齢化と要介護が必要な人の割合が増加することが見込まれているという背景の中で、要介護状態や認知症になったときにどこで介護を受けたいかという調査結果に対し、参加したみなさんは大きく頷いていました。 そして、宇陀市でモデル事業として運用が開始されたICTを活用した医療・介護・福祉連携システムが大友より紹介され、「認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らす」ことをめざした取り組みの現状が伝えられました。   ▲地域包括ケアシステムの中での認知症ケアの実際を紹介   研修の最後に、認知症高齢者とその家族の在り方について映像を通して深め、この日の研修を終了しました。   ▲研修終了後参加者と記念撮影   看護実践研究センターでは、今後も看護実践や研究を介した国際交流に取り組んでいきたいと考えています。そのために、質の高い看護ケアのあり方や社会背景の変化に対応できるエビデンスに基づいた実践を探求してまいります。               看護実践研究センター長:山崎尚美             老年看護学:上仲久、島岡昌代、杉本多加子             急性期看護学:林田麗、大友絵利香   【関連記事】 韓国の認知症安心センター・認知症カフェ視察と講演レポート~看護医療学科教員 「第5回韓国老人福祉(認知症ケア)研修」を開催しました~看護医療学科 「第2回韓国老人福祉(認知症ケア)研修」開催~看護医療学科