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看護医療学科

2018.05.30

「エンゼルメイク」の演習を実施!~看護医療学科「終末期ケア論」

看護医療学科3年次に選択科目として開講している「終末期ケア論」ですが、今年も83名履修登録がありました。この授業では、外部からがん末期を生きる患者さんを迎えての講義やホスピス見学など、多彩な内容を盛り込んで多死社会を迎えるなかで「死にゆく対象の理解」を深め、適切な援助技術を理解することをめざしています。     今回は、臨死期の看護技術の一つである、エンゼルメイク(逝去時に身体や頭髪をきれいに整え、故人の生前の表情や血色に近いメイクを施し、「旅立ちにむけた整え」を行うことについてレポートします。   平成30年5月25日(金)の授業では、闘病による苦しみから解放された方の表情を柔らかくするためのマッサージや汚れを除去し血色の良いお顔になっていただくためのエンゼルメイクを演習しました。   ▼しわを伸ばし、表情が柔らかくなるようにマッサージする様子   この授業は、8名の男子学生も履修してくれていますが、女子と違って普段メイクをしない分マッサージや化粧に不慣れなようでした。しかし、丁寧なマッサージの様子から亡くなられた方の最期に関わる看護師の役割について、深く考えてくれていることがうかがえました。   ▼ファンデーションで顔色を整え、眉を描く様子   使用しているモデル人形は、すべて同じ顔をしていますが、グループ毎に特徴のあるメイクを施し、眉が凛々しいものやナチュラルで血色のよいもの、穏やかで安らかな表情のものなど、みんな違った顔が出来上がってきました。 中には「私の顔とよく似ているでしょ」と人形のメイクも現在風に仕上がったグループもありました。   ▼ご遺体を想定した人形へのメイクは自身の化粧とは違い難しい・・・   グループで協力して、メイクを仕上げ旅立ちの準備を整えた学生たちは 「逝去されたあとの化粧というと、とても難しい」 「ご遺族がどのような表情を希望されるのかを伺ってメイクしたい」 「元気なころを思い出していただけるような血色を実現できた」 「耳たぶに少し赤味をいれることで数段見栄えが良くなった」 「ご遺族が希望されれば、一緒にメイクしていただきたい」 「最期のときに関わらせていただくので、敬意をもって丁寧なケアを心がけたい」 など、演習後にそれぞれの感想を述べていました。   わが国では、核家族化や8割を超える人が病院で死亡しているという社会背景があり、若者が近親者の死を看取る機会も少なくなっていますが、学生はこの授業を通して 「いつも祖父が亡くなったときのことを思い出して、そこでの経験と授業内容を重ねて考えています」 「家族として臨終のときに看護師にしてもらったことで嬉しかったことを自分もして差し上げたい」 「祖母を看取ったとき、授業で習った臨死期に出現する症状が出ていた」 「最期のときに、この看護師さんに関わってもらえてよかったと家族に思ってもらえるケアをしたい」 と自身が経験したこと、授業で得た学びを紡ぎながら死生観や看護観を構築してくれています。    「最期の数時間に起こったことは、残された者の記憶に留まりつづける」 といわれているように、お別れの時に穏やかな表情で送ることは、遺族ケアの第一段階であることを学生と共有できた貴重な演習となりました。   看護医療学科講師 大友絵利香   【関連記事】 がんから学ぶ「生」と「死」~看護医療学科「終末期ケア論」レポート 救急看護の基本、心肺蘇生法を学ぶ!~看護医療学科「急性期看護学援助論Ⅱ」

2018.05.29

3回生対象「第3回基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科

3回生を対象とした「基礎看護技術自己学修会」を開催! 看護医療学科では、1回生の前期から2回生の前期にかけての1年半で基礎看護学について学び、講義や演習を通して基礎看護技術の修得をめざします。しかし、修得した基礎看護技術を定着させるためには反復練習が必要で、意識して練習する機会を持たなければ、せっかく修得した技術もやがて忘れてしまいます。 そこで、学生が、自分の基礎看護技術の修得状況の現状を把握し、各論実習に向けて意欲的に自己学修に取り組むきっかけとなれば…と考え、「基礎看護技術自己学修会」を企画・開催しています。     平成30年5月25日(金)は、「臥床患者の寝衣交換」をテーマに自己学修会を行い、16名の学生が参加しました。 治療上の理由により、ベッド上での安静が必要な患者さんに対する寝衣交換は、臨床で実施する機会が多い援助のひとつです。患者さんにとって、新しい寝衣に着替えることは気持ち良さをもたらし、気分転換の機会ともなります。しかし、患者さんが「気持ち良い」と感じられるためには、看護者の確実な技術修得が重要となります。     今回の自己学修会では、3名の学生有志が企画に加わりました。教員との検討の結果、「臥床患者の寝衣交換」と「右半身麻痺のある患者の寝衣交換」をテーマとして自己学修会を行うことになりました。 学修会当日は、久々に実施した寝衣交換に、参加した学生の誰もが四苦八苦していましたが、教員のアドバイスを受けつつ何度も練習し、徐々にスムーズに実施できるようになりました。また、「右半身麻痺のある患者の寝衣交換」では、どのように援助すれば、患者さんが安全に安楽に更衣できるのか、汗をかきつつ時間の経つのも忘れて、熱心に練習していました。     寝衣交換をはじめとして、洗髪や足浴、清拭などの清潔に関わる援助は、身体を清潔にするだけでなく、患者さんの心を癒すことにもつながる大切な援助です。 今回の学修会をきっかけとして、一人でも多くの学生が、患者さんが「気持ち良い」と感じられる援助を提供できるよう、基礎看護技術の修得に励むことを願います。   看護医療学科 基礎看護学領域 林 有学・須藤 聖子・小林 智子・中西 恵理   【関連記事】 3回生対象「基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 新生児蘇生法(NCPR)一次コース講習会を開催!~看護医療学科 「母性看護学援助論Ⅰ」教員による授業レポート~看護医療学科 平成29年度「臨地実習指導者研修会」を開催!~看護医療学科

2018.05.24

児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科

2018年5月18日(金)に「乳幼児の成長・発達」の授業で、奈良県桜井市にある児童養護施設「飛鳥学院」の見学に行かせていただきました。 飛鳥学院では、様々な理由により家庭で生活ができない子どもたちが健やかに成長し、自立を支援することに重点をおき、子どもたちが希望をもてるよう愛情のこもった関わりを実践されていました。     施設内は全て木造で暖かく優しい木の香りで包まれており、そのなかで子どもたちがいきいきと生活していました。飛鳥学院では学力を身につけることに力を入れていらっしゃるとのことでしたが、これは単に子どもたちの学力向上のためだけでなく、頑張りに対して表彰をすることで自己効力感を高めることも期待できるとおっしゃっていました。   児童養護施設で暮らしている児童やその母親が現在に至るまでには、助産師の関わりがあったはずです。その道はつながっているという広い視点を持ちながら、助産師をめざす者として、虐待を未然に防ぐためにはどのような関わりが必要か、虐待を経験した子どもに対してどのような関わりが必要かなど、常に考えておく必要があると思いました。 そして虐待を受けつらい思いを経験する子どもが一人でも減り、大切な命を育むことができるよう地域と連携を密にとり早期介入に努め、助産師として出来る役割をしっかりと果たしていきたいと思います。   飛鳥学院院長河村先生、副院長宮崎先生、児童指導員の中山先生、そして飛鳥学院の皆さま、貴重な時間をいただき、ありがとうございました。 今回の学びは助産師をめざす者として決して忘れず、今後の様々な母子との関わりの中で活かしていきたいと思います。                          助産学専攻科 津口萌恵、中本沙紀   【関連記事】 平成30年度近畿地区助産師学生交流会 参加レポート!~助産学専攻科 妊娠中期・後期向け「両親学級」の演習を行いました!~助産学専攻科

2018.05.24

健康科学部長に学ぶ「超音波診断法の理論と実際」~助産学専攻科

平成30年5月16日(水)の「助産診断技術学Ⅰ(妊娠期診断とケア)」の中で、産婦人科専門医である健康科学部長の植田政嗣先生に「超音波診断法の理論と実際」というテーマで授業を行っていただきました。実際の超音波診断装置を用いて模型胎児の計測を行いましたが、初めはエコーの向きや測定部位を見つけることがとても難しく感じました。自分たちが納得いくまで、何度も練習させていただくなかで、少しコツをつかむことができました。     超音波検査は、胎児の成長発達や健康状態を知るために必要な検査であり、助産師になってからも妊婦健診や分娩時に必要な技術の一つです。産科医の経験が豊富な植田先生に教えていただき、学生の頃からこのような技術を練習することができ、助産師がいかに高度な技術が必要であるかを知ることができ、改めて責任の重さを感じました。 これから分娩期の学習が始まりますが、この学びや経験を活かしていきたいと思います。そして、全員で助産師になれるように、知識と技術の学習を日々努力していきます! 助産学専攻科 建石一帆 田中来実   【関連記事】 平成30年度近畿地区助産師学生交流会 参加レポート!~助産学専攻科 妊娠中期・後期向け「両親学級」の演習を行いました!~助産学専攻科

2018.05.23

妊娠中期・後期向け「両親学級」の演習を行いました!~助産学専攻科

平成30年5月11日(金)に出産を控えた両親を対象に行う「両親学級」の演習を行いました。妊娠中期向けと妊娠後期向けの2つのグループに分かれ、中期向けは「マイナートラブルと栄養」について、後期向けは「呼吸法と分娩について」の教室を開講しました。     練習できる期間は短期間でしたが、発表に向けて放課後に残って学生同士で何度も練習を重ねました。集中して全員で協力することが出来たので、先生にも褒めて頂けるクオリティに仕上げられました。また、2グループが発表したあとカンファレンスを行い、どうすればより良い教室になったか、学生同士で熱い議論を交わしました。 なかでも、集団教育の強みの生かし方、妊婦さんへの伝わり方の意識などが私達の課題だと挙がりました。これから座学、演習、実習を重ねていく中で、8人全員でさらに学びを深め合っていきたいと思います。   助産学専攻科 津口萌恵     架空の病院を設定し、その病院で出産を希望する妊婦のニーズを考えながら、両親学級を企画・運営することを通して、コミュニケーションスキル、ファシリテーター、グループダイナミクスについて学ぶことを目的としてこの演習を実施しました。 学生は、短期間で協力し合い、たくさん話し合いをして、達成することができました。実施後は、真剣に実施評価を全員でディスカッションしてよりよい運営について振り返りました。対象のニーズに対して、目的から実施評価までの一貫したプロセスを運営することの難しさを知るとともに、企画運営の面白さを体験できました。学生のパワーを感じることができこれからが楽しみです。   助産学専攻科特任講師 上原麻利   【関連記事】 新生児蘇生法(NCPR)一次コース講習会を開催!~看護医療学科 新生児蘇生法(NCPR)Aコースを受講し、全授業が終了!~助産学専攻科 第6回助産学専攻科卒業研究発表会を開催!~学生レポート 大阪母性衛生学会学術集会・研修会 参加レポート!~助産学専攻科 ベテラン助産師による分娩介助の特別講演!~助産学専攻科 ベビーマッサージとマタニティヨガの特別講演!~助産学専攻科 日本母性看護学会学術集会 参加レポート!~助産学専攻科 児童養護施設を見学!~助産学専攻科「乳幼児の成長・発達」

2018.05.22

平成30年度離島・へき地医療体験実習(野迫川村)レポートvol.2~看護医療学科

離島・へき地医療体験実習は看護医療学科4回生の必須科目です。今年は、宇陀市大宇陀、川上村、五條市大塔、野迫川村、山添村の5地域で91人が平成30年5月15日(火)~5月17日(木)の3日間にわたり実習をさせて頂いています。いずれの地域でも充実した内容の実習で終了しました。現在まとめが学内で行われています。野迫川村の実習報告第2弾、第2日目、第3日目の様子をお伝えします。   2日目(5月16日) この日の目玉は、学内準備で最も時間をかけた「いきいき広場(健康チェック)」の開催でした。今回の主な活動地域である大股地区(全世帯数13、住民票上の住民数32名)生活改善センターをお借りしました。 朝7時、地区内に「畿央大学の看護学生による健康チェック“いきいき広場”が開催されます。」と放送が流れました。しかし、受け付け開始の9時になっても人の影がない・・・(汗) 「身体が動かない人以外は皆仕事をしているから家にはおらん」という事前情報のとおり、地区内は静かでした。さぁ、どうする?と話しているとポツポツと住民の方が会場に・・よかったぁ、受付をさせて頂きます!     血圧測定、「今日の体調はいかがですか?」と優しく声をかける看護師のたまご!なかなか様になっていました。奥は骨密度測定、こちらも手際よくできていました。     長坐位前屈、正しく測定できるように背中が壁に付いているか、膝は伸びているか、そして、その姿勢で苦痛はないか、尋ねました。     足趾握力「初めて見る測定器に住民の方も興味津々」     開眼片足立ち、万が一のために両横に学生が立って見守ります。     学内準備の間に、理学療法学科の松本大輔先生にご指導を頂いたイキイキ100歳体操!も住民の方々と一緒に行いました。昨年秋から大股地区と北股地区でモデル的に導入されており、週1回のペースで生活改善センターに集まって住民主体で実施しているとのことでした。     健康に関するアンケートでは、「整形的な健康問題が多い」とオリエンテーションで保健師さんから伺っていたとおり、「腰が痛くて」「足がなぁ」という声が聞かれました。健康チェックの結果を踏まえ、食事内容や運動習慣を住民の方々と一緒に振り返りました。     いきいき広場担当学生は、午前と午後で担当を入れ替わり、小中学校、保育園、診療所、高野豆腐伝承館、野川弁天、アマゴ養殖場、そうめん工場と住民の方々の生活や野迫川村を知るべく小グループで出かけていきました。   野迫川村の伝統的産業を2つ紹介します。ひとつはそうめんです。 長箸でそうめんを捌き乾燥させます。10分程度の作業でもかなり疲れました。壁に吹き付けた水で湿度を調整するなど職人技も拝見し、誰でも引き継げるわけではない伝統的産業をいかに守るか、高齢化の進む村の産業の後継者問題を考える機会となりました。     もうひとつは、アマゴの養殖です。 アマゴ養殖を支えているのも70歳を超える地元住民(大股地区で運営している)の皆さんです。水が命、台風や大雨では、土砂崩れで山水を引くパイプが詰まらないか、寝ずの番をするそうです。病気などにも弱い智魚は屋内で育てています。餌やりを体験しました。     2日目最後のイベントは、診療所の根津医師のご講義と、診療所看護師2人も交えた意見交換会でした。学生は2日間の学びも発表しコメントを頂きました。     3日目(最終日) まず、廃校となった北今西小学校の校舎に本部を置くNPO法人結の森倶楽部の代表にお聞きしました。野迫川村を村外に広く知ってもらうための活動として、野迫川村特産品を宅配にして発送していることや、人が集まるイベントを企画運営していることなど、お話を頂きました。原木しいたけ、まつたけ、沢わさび、そうめん、アマゴの他にも、野迫川キュウリや野迫川まな、など、伝統野菜があることを知りました。     村における女性の役割や、子育て育児、女性の健康、「食」についてお話を伺うため、婦人部の方々との伝統料理を作って食べるという企画をしました。 そうめんの「節」(竿に干すので上の部分はU字になります。そこを節と言います)でサラダを作っています。     ▼野迫川産 沢わさびのすりおろし,とても香りがいい     昨年出産された女性から妊婦・出産・子育てのお話を伺いました。 「平成23年の水害後ボランティアに来ていて野迫川村が好きになった」と話してくださいました。その後、ご主人(野迫川村の方)と知り合い結婚。大股地区にご主人のご実家の隣に住んでおられるそうです。子育ての大変さは、お姑さんのサポートもあり今のところあまり感じない、集落の方々に見守られている感じだそうです。     みんなで作ったものを頂きながら、80代の方の嫁いできたころの話、50代の女性の嫁いできたときの話を伺いました。男性が強いというわけではないけれど、村の伝統的な行事(例えば集会や餅つきなど)は、男性が中心という風習はしっかり残っていることもお聞きしました。     さらなる詳細は、実習発表会で! 5月23日(水曜日)13:00から冬木記念ホールで報告会をさせて頂きます。 他学科の先生方、職員の皆様、ぜひ、発表会にお越しください。   実習に協力いただきました野迫川村の皆様に感謝申し上げます。                             看護医療学科教授 堀内美由紀 【関連記事】 平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.2~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.1~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(野迫川村)レポートvol.1~看護医療学科 学生広報スタッフblog vol.225~看護医療学科「離島・へき地医療体験実習」レポート!

2018.05.17

平成30年度奈良県認知症ケア専門士会 第1回研修会を開催しました。

2018年5月12日(土)13:00~17:00、平成30年度奈良県認知症ケア専門士会 第1回研修会が開催されました。 認知症ケア専門士は、人口の高齢化とともに増えゆく認知症の人へのケアに対する技術の向上や保健・福祉に貢献することを目的として平成15年に日本認知症ケア学会総会で決定された資格です。3年以上の経験年数とともに試験に合格することが必要なのですが、さらに、認定後も生涯学習に対する義務が課されています。奈良県では2014年に関西で初めての認知症ケア専門士会が設立され、看護医療学科の山崎尚美教授が会長となりました。その後毎年研修会を開催しています。   【第1部:講演「これからの若年性認知症サポートの在り方」】   若年性認知症の方の支援については、現在さまざまな議論がなされていますが、本当に当事者の目線で自分ごととしてのサポートとは、いかなるものか、当事者の方を含めて模索中です。本日の前半は、平成29年度から畿央大学でも出張相談事業を開始した、SPSラボきずなやの若野達也さんに「これからの若年性認知症サポートのあり方」というテーマで話題提供をしていただきました。講演には参加者19名、理事6名、看護医療学科教員3名、看護医療学科学生5名、合計33名の参加がありました。   【ボランティアとして参加した看護医療学科学生の声】  5月12日(土)「これからの若年性認知症のサポートのあり方 SPS若年認知症サポートセンターきずなや活動について」というテーマで講師として若野達也さんに講演していただきました。 認知症といえば「高齢の方の疾患」といったイメージを持ってしまいがちですが、実は50歳代や60歳代といった若い方でもかかる疾患だということを改めて認識することができました。 きずなや活動では、認知症の方が地域の方々と一緒に社会参加できる拠点をつくることを目標に、農村・漁村在住の方などとのネットワークを活かした食のプロジェクトや学生と連携した放棄地の活用、町おこし活動などを行っています。認知症の方が病気になる前と同じように社会参加し、社会に貢献できる居場所づくり活動をめざしています。 今回の講演を聴いた中に、若年性認知症の方の「社会に貢献したい」「自分の生きている証を残したい」「家族のために働きたい」「僕たちは人間失格だ」などといった声がありました。認知症の方を社会から切り離し、孤立させ、偏見を深めるのではなく、地域とつながりをもち、その人の持てる力を発揮して社会に貢献できる場所があることで、その人らしい人生を送ることができると感じました。 看護医療学科4回生 井上美香 蔵本凜 島野綾子 野並あこ 前田理佳子     【第2部:ワールドカフェ】 第2部は、ワールド・カフェを開催しました。ワールド・カフェとは、会議室で日々繰り返される機能的な会議よりも、カフェで行なうようなオープンで自由な会話を通してこそ活き活きとした意見の交換や、新たな発想の誕生が期待できる、という考え方に基づいた話し合いの手法です。テーブルでのアイデアが、「他花受粉」のように、どんどん他のテーブルへと拡がり、新たな発想が生み出されます。     今回は4人ずつ、6つのグループに分かれ、お茶やコーヒーなどを飲み、お菓子を食べながら「現在、仕事上で困っていること」について自由に意見が交わされました。病院や入所施設、通所施設、ケアマネージャーであったりと様々な職場で様々な困っていることがグループのテーマとして出され、対応や援助の在り方について意見が出されました。20分ごとにメンバーが入れ替わり、最後には元のグループに帰ります。その時には新たな対応方法が出されていて、とても参考になりました。 2部のワールドカフェには参加者18名、理事6名、教員3名の合計27名の参加があり、3単位の単位が認定されました。   看護医療学科准教授 南部登志江 ●日本県認知症ケア専門士会公式HPはコチラから! ●日本県認知症ケア専門士会公式Facebookはコチラから! ●奈良県認知症ケア専門士会公式Facebookはコチラから!   【関連記事】 奈良県認知症ケア専門士会第10回研修会が開催されました。 認知症の方々とタスキをつなぐ「RUN伴」に参加・協力!~看護医療学科 第18回日本認知症ケア学会に参加・発表!~看護医療学科教員

2018.05.17

平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.2~看護医療学科

看護医療学科では、本学の特徴的な実習カリキュラムに位置付けられている「離島へき地医療体験実習」(平成30年5月15日(火)~5月17日(木))が奈良県内5ヶ所の地域にわかれて実施されています。 そのうちの一つである宇陀市大宇陀地区は、今年で4年目を迎えた実習地です。毎年地域の医療・介護・看護・地域の人々を支える専門職や多くのご家庭を訪問し、生活と健康や地域のコミュニティの特徴を学んでいます。2日目の様子をレポートします。   2日目(5月16日) 大宇陀での実習も2日目を迎えました。今日は、この時期の大宇陀にしては、早朝から気温が上昇し、出発前から汗ばむ陽気となりました。宿泊している場所は標高が380mを超えている高原であることから、空と緑の木々が一体となって大変美しい景色をつくり出しています。そのような自然の恵みを背に、今日は、実習のメイン行事である宇陀市介護予防事業に参加しました。   この地域での実習が始まった4年前から学生が来る時期には、大宇陀の方々はとてもこの企画を楽しみにしてくれています。   ▲学生と参加者の皆さん:80歳代や90歳代と思えない体力に驚きです   学生は、朝から入念に準備をし、参加者の皆さんが来られるのを待ち、バイタルサイン測定や、骨密度測定、生活習慣や運動の習慣についての聞き取りなど調査票を用いて丁寧に行いました。そして、驚いたのが体力測定です。ほとんどの方が80歳を超えておられ、中には90歳代の方もおられましたが、骨密度は、年齢平均を上回っており、握力も若い学生よりも優れていました。なかでも、長座体前屈では、45㎝以上の記録が続々と出され、91歳の女性も記録はなんと52㎝を超えていました。   ▲驚愕の記録が続出した長座体前屈測定の様子   握力が強いことに関して、参加者の一人は「80歳を過ぎるまで、ずっと百姓をしてきました。物を持ったり握ったりをする機会が日常のなかでありました」と話されていました。   ▲長年の農業で鍛えた「手力」を披露してくれました   また、移動手段が自動車ではなく、徒歩や少し離れた場所には、バス停まで歩いてバスに乗車、下車した後はまた歩くという習慣があること、山や坂が多い場所を歩く習慣があることが、骨密度の充実と関係しているのではないか、と学生は考えました。 測定を終えた人から、相談コーナーで測定結果の分析や健康に関することなど気になることについて学生から説明を受けていましたが、学生は専門家さながらの指導や分析結果を伝えることができていました。その様子に、昨年までの実習とは違って大きく成長した4年生の姿に教員も嬉しい気持ちになりました。   ▲相談コーナーで参加者からの健康相談に対応する様子   ▲後半は、頭と体を使ったアクティビティで楽しみました   学生たちは参加者の皆さんと初対面とは思えないコミュニケーションを築き、最後は茶話会で和気あいあいとした時間を過ごしました。話は弾み、日ごろは昼間一人で過ごされている方にも楽しい時を過ごしていただくことができました。   ▲茶話会では、時間を忘れておしゃべりに花が咲きました   実習中盤の大きなイベントが大成功に終わって、学生たちも満足な様子でした。この後は、宇陀市認知症サポーターキャラバンの皆さんから「オレンジリングプロジェクト」の講義を受け、宇陀市の認知症ケアの実際や行政サービスについての理解を深めることができました。   ▲オレンジリングを手に記念撮影   この実習は、宇陀市の皆さんの手厚い協力があってこそ、盛りだくさんのプログラムを学生が経験することができていると実感しています。また、学生もそれに応えようと準備を整えて、全員が与えられた役割をはたすために奮闘している姿勢が頼もしく感じられます。 さあ、明日は最終日・・家庭訪問や地域連携カンファレンスへの参加、大宇陀才ケ辻地区の「いきいき100歳体操」に参加など予定が満載ですが、元気に乗り切れそうです!   看護医療学科講師 大友絵利香   【関連記事】 平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.1~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(野迫川村)レポートvol.1~看護医療学科 学生広報スタッフblog vol.225~看護医療学科「離島・へき地医療体験実習」レポート!

2018.05.16

平成30年度離島・へき地医療体験実習(野迫川村)レポートvol.1~看護医療学科

離島へき地医療体験実習は看護医療学科4回生の必須科目です。今年は、宇陀市大宇陀、川上村、五條市大塔、野迫川村、山添村の5地域で91人が平成30年5月15日(火)~5月17日(木)の3日間にわたり実習をさせて頂いています。   初日(5月15日) 奈良県内でも28度を超える気温があちらこちらで記録された昨日、野迫川村チーム18名はJR五條駅に集合、宿泊施設であるホテル野迫川のお迎えのバスで一路、野迫川村へ向かいました。まずは役場です。立て看板に「畿央大学」が! いつも温かく学生たちを迎えてくださる役場職員の皆様に感謝します。     野迫川村についてのオリエンテーションは、角谷喜一郎村長の「ようこそ野迫川村へ」で始まりました。毎年、ご多忙の中、予定を調整して私たちの到着を待ってくださいます。野迫川村は、村人口408人、日本一人口が少ない村で、高齢化率45%です。現在、保育園児が5人、小学生が6人、中学生が7人と、子どもの数も減っていますが、教育には変わらず力を入れておられ、「学校がなくなれば村もなくなる」というお言葉がとても印象的でした。     実習受け入れの段取りをしてくださっている住民課の吉井課長様より野迫川村の紹介を受けました。     保健師さんからは、速報データを使って住民の皆さんの健康課題が説明されました。二人の保健師さんが乳幼児から高齢者まですべて住民の保健事業を担当されています。     野迫川村ご出身の鎌塚警部補が、学生のリクエストに応え、休みを返上してオリエンテーションへ来てくださいました。この春、野迫川村に配属になり、43年ぶりに村に戻って来られたそうです。「自然が良い、と人は訪ねて来るけれどその良さが村の者にはわからないんだよ。人より獣の方が多い村、奈良県のチベット」と学生の笑いを誘いましたが、「村の絆が防犯に重要な役割を果たしている」というお話から、故郷を誇りに思っていらっしゃることを感じました。     平成28年4月に開署された奈良県広域消防組合野迫川村分署を全員で訪ねました。今年は救急救命士さんも配置されたとのことで、へき地における緊急搬送についての説明はもちろん、日ごろの「予防」(救急要請をするタイミングの周知など)活動についてお話を伺いました。「AEDの使い方はわかるかな?」まさかのシーン・・ 急性期担当の加藤先生の目が少し吊り上がりました(笑)。昨年導入されたドクターヘリの活躍についての説明でヘリナースへのあこがれが強くなった学生もいたようです。     野迫川村の観光スポット鶴姫公園,四方遮るものがなく、幸せの鐘「天空の響き」は、全ての神様に聞こえるとか?願いを込めて鐘を鳴らしました。     緑!緑!緑!白い風車が映えます。可住地面積が2.1%の野迫川村のこの景色でイメージできるでしょうか。残念ながら鳴門大橋は確認できませんでしたが、360度パノラマビューの美しさは間違えなく五つ星です。天体観測でも有名な場所です。     しかし、熊野古道にバスを止めて・・・学生の視線の先は↓      2011年の大規模土砂災害(表層崩壊)の爪痕、山肌が広くむき出しになっており、その大きさに言葉を失いました。 発災直後からボランティアに通った北股地区はオレンジの部分(堰堤)のすぐ下。     写真は世界遺産熊野古道小辺路。一時,立ち入れなくなった箇所もありましたが、安全確認が進められ、現在では国内外から多くの方々が訪ねて来られます。この時期の野迫川村としてはとても暖かい日でしたが、森の中は冷やっとしました。歴史や自然を学びつつ、とても気持ちの良い森林浴でした。     さて、明日の準備です!イキイキ100歳体操の復習もしっかりと。     続報もお楽しみに。   看護医療学科教授 堀内美由紀   【関連記事】 学生広報スタッフblog vol.225~看護医療学科「離島・へき地医療体験実習」レポート! 平成29年度離島・へき地医療体験実習 宇陀市大宇陀地区実習レポートvol.3~看護医療学科 平成29年度離島・へき地医療体験実習~宇陀市大宇陀地区レポートvol.2 平成29年度離島・へき地医療体験実習~宇陀市大宇陀地区実習レポートvol.1

2018.05.16

平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.1~看護医療学科

今年も、例年通り5月中旬が訪れ、私たち看護医療学科では、本学の特徴的な実習カリキュラムに位置付けられている「離島へき地医療体験実習」(平成30年5月15日(火)~5月17日(木)の3日間)が初日を迎えました。 奈良県内5ヶ所の地域にわかれて、4回生は準備を進めて実習に臨んでいます。 そのうちの一つである宇陀市大宇陀地区は、今年で4年目を迎えた実習地です。毎年地域の医療・介護・看護・地域の人々を支える専門職や多くのご家庭を訪問し、生活と健康や地域のコミュニティの特徴を学んでいます。今日は、一日目の実習の様子をレポートします。   初日(5月15日)  学生は榛原駅に集合し、曽爾村と大宇陀にわかれて実習に向かいました。大宇陀では、学生が実習中にお世話いただく、大宇陀特別養護老人ホームラガール乃美幸彦施設長より、宇陀市の高齢化や人口減少の現状と介護医療連携の実際、在宅看取り推進のための取り組みについてお話を伺いました。ここでは年々人口が減少し高齢化がさらにすすんでいる宇陀市の現状を知ることができました。    いよいよ午後からは、それぞれのチームごとに家庭訪問や宇陀市が介護予防事業の一つとして力を入れている「いきいき100歳体操」の会場に向かっての活動を展開しました。   ▲古民家に暮らす90歳の女性宅で指導を受け、学生も作品を作りました   ▲90歳を過ぎても、一人で元気に生活する女性と楽しい時間を過ごす学生の様子   家庭訪問では、大宇陀本郷と大宇陀岩清水に在住の女性宅2軒にお邪魔しました。 膝の変形があるため、歩行に杖は必要ですが、自分のことは自分で行い、身の回りを美しく保っておられるお二人は、学生と折り紙や大正琴、書道などを通じて数時間コミュニケーションを図りました。これまでの人生で勉学や仕事に積極的に取り組んでおられた生き方が高齢になってからも、丁寧に日々を過ごす姿勢につながることをお二人から学びました。 「元気で今年も畿央の学生さんに来てもらえてうれしかった。周囲に面倒をかけながらでも、また来年学生さんに会えることを楽しみに長生きしたいです」と学生の姿が見えなくなるまで見送ってくださいました。また、来年もお会いすることを私たちも楽しみにしています。   ▲筆と硯を手に書道で寄せ書きをする学生:元教員の女性からご指導いただきました   また、宇陀市榛原下井足地区の「いきいき100歳体操」に参加したグループは、事前に誤嚥予防体操や「マツケンサンバ」に合わせた体操などのプログラムを準備して出かけました。 参加者は70歳代から90歳代までと幅広かったのですが、皆さん大変お元気で、90歳代の方の骨密度は、若年者でも驚くほどの値でした。学生は、転倒リスク診断や健康指導を行い、実習後に生活と健康の関連について考えるよい機会になったようです。    実習は夕方までハードスケジュールでしたが、宿の夕食では学びの共有やおみくじゲームでリラックスタイム。明日の実習に備えて、ゆっくりお湯につかりしっかり休息をとります。   ▲夕食後、おみくじゲーム。みんな「吉」を引き当てました    看護医療学科講師 大友絵利香   【関連記事】 学生広報スタッフblog vol.225~看護医療学科「離島・へき地医療体験実習」レポート! 平成29年度離島・へき地医療体験実習 宇陀市大宇陀地区実習レポートvol.3~看護医療学科 平成29年度離島・へき地医療体験実習~宇陀市大宇陀地区レポートvol.2 平成29年度離島・へき地医療体験実習~宇陀市大宇陀地区実習レポートvol.1