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健康科学専攻(修士課程)

2016.01.27

平成27年度神経リハビリテーション研究大会を開催!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

平成28年1月23日(土)、24日(日)に信貴山観光ホテルと畿央大学にて、神経リハビリテーション研究大会(大学院生合宿)が開催されました。ニューロリハビリテーション研究センターの教員と大学院博士課程・修士課程のメンバーが参加し、修士論文の最終審査会に向けた研究発表が中心に行われました。 今年で10年目となる毎年恒例の院生合宿ですが、本年度は大学院生総勢30人と例年にも増して多くの院生が集まり、多くの視点から活発な意見交換が繰り広げられました。     1日目は信貴山観光ホテルにて、修士課程2年の研究発表が中心に行われました。最終審査を2週間後に控えたこの時期でも、更なる研究の質や精度の向上にこだわる意気込みを感じ、改めて研究に対する素晴らしい姿勢を感じました。 また、夕方には3グループに分かれて、修士課程1年の研究計画に対するディスカッションが行われました。自分の研究だけでなく、メンバーの研究内容に対しても自分の研究と同じように考え、研究室全体として向上していくような意見やアドバイスを多く頂き、研究内容が洗練されただけでなく、参加者全員にとって大変貴重な時間を過ごすことができたように感じました。     1日目終了後もディスカッションは続き、降り積もる雪の露天風呂でも白熱した議論は続きました。 2日目は畿央大学に戻り、修士課程2年の研究発表に加えて、博士課程の研究経過発表も行われました。     この院生合宿も今年度で10年という節目を迎えました。継続する力が研究をより有意義なものとし、リハビリテーションの対象者、さらには社会に貢献することができるように、今後ともますます精進していきたいと考えております。 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった森岡教授をはじめとする研究センターの皆様に深く感謝を申し上げます。   畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程1年 首藤隆志 【関連サイト】 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター   【関連記事】 ●「平成26年度   畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成25年度   畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成24年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成23年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成21年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成20年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」

2016.01.25

大学院生の論文が国際雑誌Experimental Brain Research誌に掲載!~健康科学研究科

本学大学院健康科学研究科博士後期課程の石垣智也さんらの論文が、Experimental Brain Research誌に掲載されています。この研究は、「ライトタッチ効果」と呼ばれる安定している外部対象物(例:壁など)に軽く触れると、立位姿勢が安定化する現象についての研究で、このライトタッチ効果の脳内メカニズムを明らかにしました。   EEG frequency analysis of cortical brain activities induced by effect of light touch Ishigaki T, Ueta K, Imai R, Morioka S     <研究概要> 不安定な環境下(暗所、狭い床面、高所など)において、軽く壁や手すりに軽く触れるだけで立位姿勢が安定化することは、日常生活でも経験されます。このように、力学的作用に依らない程度の力の接触によって立位姿勢の安定化が得られることをライトタッチ効果といいます。ライトタッチ効果はリハビリテーションの場面においても杖の使用や手すりへの軽い接触、または理学療法士が軽い身体的接触により患者の動作介助を行う際などにも用いられます。今回、研究グループはライトタッチ効果に関係する要因を調整した様々な立位条件を設定し、各立位条件の姿勢動揺と脳活動を測定しました。そして、固定された台に接触を行う条件においてのみ、ライトタッチ効果が得られ、感覚情報処理に重要である左感覚運動皮質領域と左後部頭頂皮質領域に高い脳活動が認められることを明らかにしました。 この研究成果は、ライトタッチ効果の神経メカニズムを説明する基礎的知見のひとつになるものと期待されます。   詳しい内容を知りたい方は、ニューロリハビリテーション研究センターのプレスリリースをご覧ください。  

2015.12.25

大学院生が日本運動器疼痛学会 ポスター優秀賞を受賞!~健康科学研究科

第7回日本運動器疼痛学会のポスター優秀賞に選出!   平成27年12月12・13日と名古屋国際会議場で第8回日本運動器疼痛学会が行われました。本研究室から、ニューロリハビリテーション研究センター特任助教 信迫 悟志氏、特任助教 大住 倫弘氏、D3佐藤 剛介氏、M2片山 修氏と私(D1今井 亮太)が演題発表として参加し、森岡 周教授が座長を務めました。(その様子はコチラ)   その中、第7回日本運動器疼痛学会の表彰式も行われ、私の演題「腱振動刺激による運動錯覚と特性不安が痛み閾値へ与える影響」がポスター優秀賞を受賞しました。この学会は医師を中心に看護師、理学療法士、薬剤師、研究者などの様々な方が参加しています。こういった多職種の中から理学療法士として賞を頂けたことは大変光栄であり、そして嬉しく思います。     私の研究テーマは「腱振動刺激による運動錯覚を用いたニューロリハビリテーション」であり、主に痛みへの応用を中心として修士課程の頃から研究を続けています。また、痛みの中でも急性疼痛(術後痛など)を中心に臨床研究を実施しており、少しでも痛みの慢性化を防ぐことできればと考えています。 今回の受賞と他学会も含めると4度目の受賞となりました。研究しているテーマに興味を持って頂けていることが本当に嬉しいです。しかしながら、まだまだ研究課題は山積みであり、痛みを抱える患者様へ適切に提供していけるように、課題を解決して行きたいと思います。理学療法士として、少しでもリハビリテーションの発展と、世の中に貢献できるよう臨床・研究に精進していきたいと思います。   最後に、日頃よりご指導を頂いております森岡 周教授に感謝申し上げます。また、本学の神経リハビリテーション学研究室の皆様に深くお礼を申し上げます。   健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 博士後期課程 今井亮太   【関連記事】 第20回日本ペインリハビリテーション学会で後期博士課程学生が最優秀賞に選ばれました。~健康科学研究科 第7回運動器疼痛学会学術大会に参加しました!(大学院健康科学研究科) 本学大学院生が日本理学療法学術大会で優秀賞を受賞しました!

2015.12.25

大学院研究生の論文が国際雑誌Journal of Motor Behavior誌に掲載!~健康科学研究科

本学大学院健康科学研究科研究生の藤田浩之さんの論文が国際雑誌Journal of Motor Behavior誌に掲載されました。この研究は「作業記憶」という認知機能がバランス機能と関係していることを明らかにした研究であり、多面的な姿勢制御のリハビリテーションに貢献する成果であります。   研究生 藤田浩之さんのコメント 近年では、認知的負荷をかけながら(計算や語想起をしながら)バランス訓練をするリハビリテーションが広まってきています。しかしながら、その効果は個人によってバラついてしまうのが実際です。 本研究結果では、このようなバラつきを生じさせる要因は、「個人の有する認知能力」であることが示唆されました。このことから、認知的負荷をかけながらのバランス訓練をする際には、個人の認知能力を考慮しながら課題設定や難易度の設定をする必要があると考えております。今後も最良のバランス訓練の開発に従事できればと思います。     詳しい内容を知りたい方は、次のサイトより 【日本語による紹介】ニューロリハビリテーション研究センターのプレスリリース [画像をクリックしてください]       【英文論文情報】 [画像をクリックしてください]  

2015.12.21

『サルコペニアとフレイル』 書評

日本では急速に高齢化が進んでおり、現在では4人に1人が65歳以上となっております。 これは今後もさらに進むと予想されています。 その高齢者に関する最近のトピックスが本著のタイトルにもなっている『サルコペニアとフレイル』です。     サルコペニアは筋肉量と筋力低下による身体機能の低下、フレイルは要介護状態になる前の高齢者の虚弱を言います。 本著は、総論と各論の2部構成になっており、その各論においては、さらに動脈硬化や肝疾患、慢性腎臓病、認知症などとフレイル・サルコペニアとの関連性や、それら疾患から生じる嚥下障害やオーラルフレイルを詳しく知ることが出来ます。 さらにその各論の後半部分では、フレイル・サルコペニアに関する治療に関してまとめられており、栄養介入や運動介入、介護予防などリハビリテーションに関する臨床的な内容まで含まれているため、非常に参考になります。 前半部分に関しましては、フレイル・サルコペニアを理解するための1つのテキストとして非常に役立つものと思われます。 私は本学において老年系理学療法学を担当しているため、これから講義を実施するにあたり非常に有意義な情報をいただけたことを嬉しく思っています。 また後半部分での、より臨床的な内容は、現場で活躍している看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、介護福祉士など高齢者に関わる専門職の方々に役に立つ内容かと思います。   また本著には、本学健康栄養学科の金内雅夫教授が「フレイルと生活の質」について総論を執筆されており、特定の疾患ごとのフレイルとQOL等について医学博士の観点から最新の知見を紹介されています。   最後に、特に私個人にとって、非常に興味を抱かせてくれた内容として、本著は論文や基礎研究の内容を存分に活用されていること、かつ骨格筋に関する基礎研究や分子メカニズムに関して色々とまとめてくださっているところは、今後の研究にも役立てられると思いました。 本著は、一般の方から、今後専門職をめざす方々、現在臨床で活躍されている医療者、また、高齢者研究をされている研究者と幅広い方々に読んでいただける内容かと思われます。   理学療法学科教授 今北英高

2015.12.08

「第2回社会神経科学とニューロリハビリテーション研究会」が開催されました~ニューロリハビリテーション研究センター

2015(平成27)年12月6日(日)に、第2回社会神経科学とニューロリハビリテーション研究会が開催致されました。   今回は、村井俊哉先生(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学)教授)と平田聡先生(京都大学野生動物研究センター 教授)をお招きし、ご講演して頂きました。   村井先生からは『「社会性」という視点から心の病気について考える』というテーマで、社会的認知・利他的行動・共感・報酬などを取り上げてお話しして頂きました。精神科医である村井先生の視点だからこその講演は、リハビリテーションセラピストにとって重要なことを考えさせられる機会となりました。   平田先生には「チンパンジーの社会的知性」というテーマで、チンパンジーの社会性などを講演して頂きました。チンパンジーの行動を根気強く観察し、それをきっかけに社会性というものを解明している姿は尊敬しました。またチンパンジー飼育での苦労エピソードを随所にお話し頂き、その試行錯誤はまさに臨床現場で苦労しているセラピストと重なる部分があると感じました。   指定演題では、松尾篤先生(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター)から「自己評価と社会性」、西勇樹先生(畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程)から「疼痛閾値と内受容感覚の感受性および不安との関係性」を話題提供して頂きました。松尾先生の発表では、自分の過度な自己評価と社会的評価との関係や、内受容感覚と共感能力との関係について、西先生の発表では、内受容感覚と疼痛刺激時の自律神経活動との関係がディスカッションされました。平田先生にも参加して頂き、良いディスカッションも場になったかと思います。   ポスターセッションでは、15演題のポスターがあり、報酬学習・不安・抑うつ・疼痛などの社会神経科学とリハビリテーションをリンクさせるような内容が多く、時間の許す限りの活発なディスカッションだったように思います。     リハビリテーションの現場において、社会神経科学を熟知していくことは非常に重要であることは直感的に理解されてはいますが、まだまだ体系的なものではありません。そのため、まずは今回のような研究会のようなディスカッションをきっかけに継続していけたらと考えております。今後とも宜しくお願い致します。     末筆になりますが、今回ご講演・ご発表頂いた先生方に深く感謝申し上げます。 そして、参加して頂いた皆様に厚く感謝いたします。 ありがとうございました。今後とも宜しくお願い致します。   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 特任助教 大住倫弘   【畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターのページはこちら】

2015.12.08

「第1回身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会」が開催されました~ニューロリハビリテーション研究センター

2015(平成27)年12月5日(土)に、第1回身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会が開催されました。   記念すべき第1回には、招待講演として、野村泰伸先生(大阪大学大学院基礎工学研究科機能創成専攻 教授)と花川隆先生(国立精神・神経医療研究センター 先進脳画像研究部 部長)にご登壇いただきました。   野村先生からは、「ヒト静止立位と歩行運動の安定性と揺らぎの定量化と数理モデルシミュレーション」と題したご講演をいただきました。 直感的には、ヒトは綱引きをするように、直立姿勢から変位すると、直立姿勢に引き戻すための制御を常に持続的に行っていると考えがちですが、実際には重力に身を任せて、常に揺らいでおり、卓球をするかのような間欠的制御を行っていることを、例を示して頂きながら、詳細な解析に基づいて、解説して頂きました。 またパーキンソン病患者さんの立位姿勢制御についても、分かりやすく説明して頂き、参加者にとっては、日ごろ臨床で目にしている現象の中身について理解する素晴らしい機会になったと思います。   花川先生からは、「歩行の神経制御機構」と題したご講演をいただきました。 先生ご自身の研究バイオグラフィーにおけるデビュー作が「歩行の神経制御機構」とのことで、少々気恥ずかしいと仰られながらも、膨大な研究成果について解説頂きました。 リハビリテーションにおける大きな関心事の一つが、歩行ですが、大脳皮質-基底核ループ、基底核-脳幹系による制御機構、パーキンソン病における歩行制御機構の病態、代償的メカニズムについて、非常に分かりやすく解説して頂きました。   両先生とも、基礎の立場におられながらも、実際の患者さんを対象にした研究を行われておられ、リハビリテーションにとって非常に有益な情報を発信し続けてくださっています。 今後は、リハビリテーション側からも、臨床研究・症例研究を発信し、双方向性に繋がり、コラボレーションしていくことが望まれています。   今回、指定演題では、日頃臨床に従事しておられ、臨床で得た疑問や問題について、研究を通じて検証する作業を実践しておられるお二人の先生にご登壇いただきました。 奥埜博之先生(摂南総合病院リハビリテーション科)からは、PSP患者さんにおける狭い間口通過時に生じるすくみ足は、前頭葉の過活動に起因するのではないかという仮説を、脳波を使用したケーススタディで検証した内容を発表して頂きました。 石垣智也先生(畿央大学大学院健康科学研究科)からは、臨床で散見されるライトタッチ効果について、その神経メカニズムに関する脳波とtDCSを使用した研究成果を発表して頂きました。 どちらのご発表も臨床に関わりが深く、有意義なディスカッションであったと思います。   ポスターセッションには、17演題の発表がありました。 自覚的身体垂直位から立位姿勢制御、歩行制御といった身体運動制御に関連の深いものから、疼痛、半側空間無視、身体性まで非常に幅広い内容となりました。 発表して頂いた皆さん、ありがとうございました。     来年も7月に第2回の身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会を開催する予定です。 今回と同様に、第1線の先生方からのご講演に加え、臨床現場からの症例報告・臨床研究報告を行い、リハビリテーションにおいて最も関心のあるヒトの身体運動制御について、それがどのように成り立っており、どのようにして回復させることが可能かについて、おおいに議論できる場にしたいと考えております。 皆さま、どうぞ奮ってご参加頂きますよう宜しくお願い申し上げます。     末筆になりますが、今回ご講演・ご発表頂いた先生方に深く感謝申し上げます。 そして、参加して頂いた皆様に厚く感謝いたします。 ありがとうございました。今後とも宜しくお願い致します。   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 特任助教 大住倫弘   【畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターのページはこちら】

2015.11.16

奈良県立医科大学口腔外科との共同研究!~健康科学研究科・理学療法学科

奈良県立医科大学口腔外科と本学健康科学研究科および理学療法学科の瓜谷大輔助教が『顎関節症と姿勢の関係について』の共同研究を行っています。その内容について、瓜谷助教に解説をお願いしました。   【研究概要】 不良な姿勢は腰の痛みや頸の痛み、腕の痺れなど健康に様々な影響を及ぼしますことが知られていますが、顎関節症との関連も指摘されています。しかし姿勢の測定方法の精度の問題などからその結果については一致した見解が得られていませんでした。私は奈良県立医科大学口腔外科との共同研究で、女性の顎関節症患者さんには体に対して頭が前方に位置する頭部前方位姿勢(いわゆる猫背様の姿勢)が多いことを超音波3次元動作解析装置という精度の高い機器を用いて明らかにしました。顎関節症は様々な要因が複合して発症するといわれていますが、症状を軽減させるためには姿勢の改善も重要な要因の一つであることが示唆されました。 欧米では顎関節症の治療に理学療法士が関わることも珍しくありませんが、日本ではそのような場面はほとんどありません。顎関節症の治療には可逆的な治療(後戻りできる治療)を第一選択とすることが世界的な標準となっており、今回の研究結果は顎関節症に対して理学療法士の関わりが有用であることを示す結果であるともいえるでしょう。     この研究は、医師たちがつくるオンライン病気事典「MEDLEY」でも紹介されています。 顎関節症の人はどのような姿勢をとっているか? ~日本の研究チームが若年女性を分析   【瓜谷助教 関連記事】 WCPT Congress 2015で、本学理学療法学科教員が日本人初受賞! 理学療法学科教員が衣料品メーカーと商品開発の共同研究! 足趾の機能に関する研究論文が国際学術誌に掲載!~理学療法学科教員

2015.10.27

ニューロリハビリテーションセミナー機能編Bが開催されました~ニューロリハビリテーション研究センター

2015年10月24・25日にニューロリハビリテーションセミナー機能編Bが開催されました。   ニューロリハビリテーションを応用するための基礎となる様々な人間が持つ機能の神経機構について学ぶために、全国各地から300名以上の方々にお越し頂きました。 せっかくですので、今回のセミナー内容を簡潔にまとめてご紹介いたします。   【1日目】 「共感の神経機構」(ニューロリハビリテーション研究センター教授 松尾篤) あくびの伝搬や日常の「あるある」について話題提供され、ミラーニューロンシステム、痛みの共感の神経機構、共感と心の理論との関係をネットワークの視点から解説されました。   「ボディイメージの神経機構」(ニューロリハビリテーション研究センター特任助教 大住倫弘) 従来からの身体図式や身体表象のみならず、身体所有感や運動主体感といった身体性に関わる神経科学的知見を非常に平易に紹介させて頂きました。また、ボディイメージを客観的かつ定量的に測定する新たな評価手法も紹介させて頂きました。   「道具使用の神経機構」(ニューロリハビリテーション研究センター特任助教 信迫悟志) 操作に関する知識・機能に関する知識などの神経機構ついて、道具のさまざまな制約(機械的・時間的・空間的・労力的制約)を解決しながら道具を使用しているヒトの高次な神経機構についても解説してくれました。   「歩行の神経機構」(ニューロリハビリテーション研究センター助教 岡田洋平) 歩き始めから歩行停止するまでの神経機構、脊髄CPGが機能するために必要な要素などを解説してくれ、歩行に関する皮質下から大脳皮質までの機能が十分に網羅された内容になっていました。     ナイトセミナー 「注意と歩行」ニューロリハビリテーション研究センター客員教授 樋口貴広先生(首都大学東京人間科学研究所准教授) 1日目の夕方はナイトセミナーとして、本研究センター客員教授の樋口貴広先生(首都大学東京人間健康科学研究科准教授)に「注意と歩行」について講義して頂きました。大変ご多忙な先生ですが、受講していただいている皆さんと共感しながら、情報の選択と処理資源の観点から様々な日常生活における注意と歩行の関連する事象について、多彩な実験動画や面白動画などを交えて解説して頂きました。リハビリテーションにおける「指導的関わり」においても大変重要な視点であることを伝えて頂きました。スマートな樋口貴広先生がときに自虐的なネタも交えながら、楽しい講義を展開して頂き、受講者を飽きさせない講義でした。本当に有難うございました。     【2日目】 「ワーキングメモリの神経機構」(ニューロリハビリテーション研究センター准教授 冷水誠) ヒトの円滑な生活に不可欠なワーキングメモリの各要素とその神経機構について、日常生活の中での事象を通して解説して頂きました。   「運動イメージの神経機構」(ニューロリハビリテーション研究センター長・教授 森岡周) オフラインで運動をイメージする際に運動実行時と等価の脳活動が生じることがよく知られていますが、運動実行時より運動準備時に特に等価な活動が得られること、現在の自己の身体表象によって運動イメージが干渉されることが解説されました。    「痛みの神経機構」(ニューロリハビリテーション研究センター助教 前岡浩) 痛みの神経生理学的機序、疼痛抑制機構、3つの側面(感覚的側面,認知的側面,情動的側面)とその神経機構、痛みの共感、異常疼痛、慢性疼痛患者の脳の構造的、機能的変化と広範な範囲について、丁寧に解説して頂きました。   「社会性の神経機構」(ニューロリハビリテーション研究センター教授 松尾篤) そのヒトがそのヒトらしくいるためには、他者とのコミュニケーション(言語・非言語)を通して社会的に調和することの重要性について解説して頂きました。     今回の機能編Bも多くの情報を提供できたと思います。参加された方々の臨床現場が少しでも良いものとなるようにさらに工夫を凝らしていきますので、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターを今後とも宜しくお願い致します。   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 特任助教 大住倫弘

2015.10.01

畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの大住倫弘特任助教の研究成果が国際雑誌に掲載されました。

国際雑誌Neurosci Lett.[2015 Aug 10;605:7-11.]に掲載! 幻肢痛の治療開発に貢献することが期待されています。   タイトル「Structured movement representations of a phantom limb associated with phantom limb pain」 Osumi M, Sumitani M, Wake N, Sano Y, Ichinose A, Kumagaya SI, Kuniyoshi Y, Morioka S.     本研究は東京大学医学部属病院緩和ケア診療部の住谷昌彦准教授、東京大学先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎准教授、東京大学大学院情報理工学系研究科の國吉康夫教授らと共同で行われたものです。また、本研究は文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「構成論的発達科学」の支援を受けて実施されました。   研究内容は本学ニューロリハビリテーション研究センターのプレスリリースに「失った手足の痛みを感じる仕組み」としてアップされていますが、切断によって失ったはずの手足を自分の意志で動かしているような感覚(幻肢の運動)の計測をBinamual circle line coordination task(図)を用いて実施し、幻肢の運動ができない者では幻肢の痛みが強いことがこの研究で明らかになりました。本学と東京大学が共同にて開発した計測手法は、幻肢の運動を評価することのできる方法であり、幻肢痛の治療開発に貢献することが期待されています。 また本研究成果は「東京大学の研究のショーウィンドウ」として役割を担うサイトUTokyo Researchにも掲載されています。   【関連記事】 UTokyo Research [トップページ] [本研究紹介ページ]