2024.05.10
2024年度 へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)3日目レポート~看護医療学科
看護医療学科では特色ある科目として、4年次に「へき地医療体験実習」を開講しています。4月当初から学内での実習を開始し、準備を整えて奈良県内4か所の地域で実習を行っています。看護医療学科大友准教授から3日目の様子が届きました。
5月7日(火)から9日(木)までの3日間は、吉野郡川上村・五條市大塔・山辺郡山添村・宇陀市大宇陀の4つの地域で臨地実習を行います。2日目報告に続き今日は、宇陀市大宇陀地区での実習3日目の様子についてリポートします。
実習地に入って2日間は、まちの保健室企画や移動診療車の見学、家庭訪問、カンファレンスなど、グループごとに多くの学びを得てきました。
大宇陀の方々から、温かいおもてなしを受け、学生たちは充実した時間を過ごしています。
この実習は「統合実習」に位置付けられています。これまでの「領域実習」を経験した4回生でしか経験できない多くのことを学ぶ3日間となります。
大宇陀での実習も最終日です。お世話になった宿泊場所で、今日もおいしい朝ごはんをいただきました。
▼民泊施設では、焼き立てパンや手作りジャム・マーマレードなどをいただきました
荷物をまとめて、ご挨拶を済ませた学生たちは今日の実習に向かいます。
訪問看護や看取りが近い高齢者へのケア、地域診療担当医の往診見学など、今日も盛りだくさんな内容です。
施設に到着した学生は、早速私から課題を与えられました。
腎臓がん終末期で、全身浮腫や呼吸困難感を呈している高齢女性の全身清拭、更衣、シーツ交換、浣腸などの看護ケアです。
女性は、生まれてからずっと生活し続けた宇陀の地で看取りを希望しています。
終末期特有の多くの症状を抱えた女性を目の前にした学生たちは、これまでの学習や演習、実習で得た知識を絞り出します。身体症状に配慮しながら、爽快感を得られるケアの方法を考えながら、丁寧に関わりました。
家族が看取りのときに、この女性と対面しても「ああ、きれいな顔してる。大事に看取ってもらったのやね」という記憶を残していただけるようケアに向き合いました。住み慣れた地域で看取ることの意義や、亡くなる瞬間までその人らしく生きるためのケアが実践できた時間でした。
あわただしく時間は過ぎて、次は地域医療に携わる医師・看護師の往診に同行しました。
▼往診医診察の様子
下咽頭がんで終末期を迎えた対象や、全身熱傷で下肢切断・人工肛門造設を余儀なくされた対象など自力で病院への受診が難しい事例は、宇陀市立病院総合診療科の医師が往診しています。学生たちは体温や血圧を測定し、医師に報告します。また、対象が抱えている問題について提起し、医師と治療方針について話し合いました。
往診実習を行った学生の一人は、偶然にもリハビリ病院での領域実習中に、受け持った患者と再会しました。再会に驚きを隠せませんでしたが、あまりの偶然に学生が涙する場面もありました。
往診見学後は、学生から地域診療の醍醐味や大宇陀の医療が抱える課題について医師に質問をしました。
▼地域医療のやりがい、大宇陀の医療が抱える課題について医師とカンファレンスする様子
地域診療医とカンファレンスする中で、学生はへき地医療に携わる喜びや課題に向き合う時間をいただきました。
▼宇陀市立病院総合診療科潮見医師・山口看護師と学生たちの様子
あっという間に時間は過ぎて、昼食となりました。本日の地元メシは・・・・・?
▼筍と山椒の佃煮。もちろんすべて大宇陀産の食材を調理しました
▼お待たせしました。デザートは差し入れの「きみごろも」です。
3日間、大宇陀ラガール栄養科の方々から美味しい昼食を提供していただき、今日も午後からの実習に臨みました。
午後からは、家庭訪問や訪問看護、地区踏査、小規模多機能施設での活動を行いました。
▼小規模多機能施設で骨密度測定や指導を行いました。
▼骨密度測定後、健康指導内容を振り返る対象の様子
▼小規模多機能施設で頭の体操を行う様子
小規模多機能施設は、地域密着型で宇陀市に住所を置く高齢者が訪問介護やデイサービス、ショートステイなどを利用しながら生活支援を受ける場所です。住み慣れた地域でその人らしさを支える介護の実際を学ぶことができました。
3日間の実習も終わりを迎えました。お世話になった施設の会場を片付けたあと、ご挨拶を済ませました。
▼学生たちは丁寧な言葉で学びを伝えました。
▼プログラム企画から多大なる協力をいただいた大宇陀ラガールの内田相談員からエールをいただきました。
3日間の実習は、学生の頑張りも素晴らしいものでしたが、住民の方々や大宇陀の医療介護従事者、宇陀市の医療従事者の皆さんから支えられて成り立ちました。
こちらからの依頼をすべて受け入れて協力いただいた皆さんのお力添えのもとに私たちは、この実習を終えることができました。
内田相談員から「よいかかわりをすれば、必ず笑顔や前向きな反応が得られます。それを心にとめて、実習での学びを生かしてください。看護師としての高みを見続けて研鑽してほしい」というエールをいただきました。
▼修了し、帰路に就く前に記念撮影をしました。
3日間大雨も降らず、健康を維持して実習ができたことをうれしく思います。
私は宇陀の住民ですので、あらためて大宇陀の人々の温かさや人を育てる力に触れこの地域の住民であることを誇りに思いました。
さあ、明日からは実習の総まとめです。実践報告会で学びのすべてを発揮できることを期待しています。
看護医療学科 准教授 大友 絵利香
【関連記事】
2024年度 へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)1日目レポート~看護医療学科|KIO Smile Blog
2024年度 へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)2日目レポート~看護医療学科|KIO Smile Blog
2023年度 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポート~看護医療学科|KIO Smile Blog
よく読まれている記事
カテゴリ
タグ
キーワード検索
アーカイブ