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健康科学専攻(博士後期課程)
2022.02.15
第61回近畿理学療法学術大会で大学院生が優秀賞と奨励賞を受賞!~健康科学研究科
2022年1月16日(日)にWeb開催された「第61回近畿理学療法学術大会」において、修士課程の小松 健矢・藤田 匠が発表してまいりました。 本学会はWeb開催となりましたが、約1,900名が参加し、シンポジウムや一般演題などで多くの議論がされていました。 本学会のテーマは「新しい知見・技術と理学療法の新展開」であり、脳血管障害、心疾患、運動器障害と幅広い領域における理学療法の新展開についての講演やシンポジウムが組まれていました。そこでは最新知見と今後の課題が明示されるとともに、理学療法の発展のために必要な行動指針が再認識されました。 今回、小松・藤田ともにセレクション演題に選出され、結果として小松は優秀賞、藤田は奨励賞に選ばれました。 ▲写真左:小松さん、右:藤田さん 小松の発表内容は「ステップ動作時の痛み関連恐怖が予測的姿勢調節に及ぼす影響」と題し、健常者における痛み刺激と下肢運動との同期が痛み関連恐怖を習得することで、下肢の予測的姿勢調節や運動行動を変調させた結果を報告しました。 また、藤田は「運動感覚不一致に基づく運動制御の乱れの特性」という演題を発表しました。健常者を対象に、手関節の運動と視覚情報に時間的な不一致状態を作り出し、不一致状態によって感じられる異常知覚(運動主体感、違和感、重量感、喪失感)に変調が起こったこと。運動学的分析において、時間的要因を含む変数に変化が起こったことを報告しました。 質疑応答の中では細かな実験方法について説明し、今後臨床にどのように繋げていくか議論がなされました。 多くの演題の中から優秀賞、奨励賞を受賞できたことは、研究活動を行う活力、自信となり大変嬉しく思います。今後もリハビリテーションや理学療法の発展、ならびに社会に貢献できる研究を続けていけるよう、日々精進したいと思います。 本研究の実施・発表にあたり、指導教員である 森岡 周 教授をはじめとする多くの方々にご指導およびご支援いただきました。この場を借りて深く感謝申し上げます。 発表演題 『ステップ動作時の痛み関連恐怖が予測的姿勢調節に及ぼす影響』 小松 健矢、森岡 周 『運動感覚不一致に基づく運動制御の乱れの特性』 藤田 匠、森岡 周 健康科学研究科 修士課程 小松 健矢・藤田 匠 【健康科学研究科 学会発表記事】 第8回日本予防理学療法学会学術大会で大学院生と客員研究員が発表!~健康科学研究科 教員・大学院生が第6回日本予防理学療法学会学術大会で発表!~健康科学研究科 大学院生が第28回日本物理療法学会で奨励賞を受賞!~健康科学研究科 第63回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員が発表!~理学療法学科・健康科学研究科 大学院生がスペインのテネリフェで開催された21st ESCOPで発表!~健康科学研究科 第17回日本神経理学療法学会学術大会で大学院生が発表しました~健康科学研究科 第24回日本ペインリハビリテーション学会学術大会で院生6名が発表!~健康科学研究科
2021.10.05
健康科学研究科の庄本康治教授と冬木正紀准教授の発明が特許を取得しました。
本学大学院健康科学研究科の庄本康治教授と冬木正紀准教授が発明したリハビリテーション用肩装具により、冬木学園が特許権を取得しました。この発明は本学が推進している次世代研究開発プロジェクトにおける萌芽的研究の成果であり、脳卒中片麻痺による肩関節下方亜脱臼に対するリハビリテーションの効果を高める発明です。 特許第6940549号「肩装具、肩装具を用いたリハビリテーション方法」 庄本教授と冬木准教授からのコメント 本発明では、脳卒中片麻痺により亜脱臼した肩関節を整復させる力が飛躍的に向上したリハビリ用肩装具を発明しました。 人間の腕は数kg、重い人では10kg程度の重さが有るため、脳卒中により半身が麻痺すると肩関節の亜脱臼が起きます。多くの場合、脳卒中後一定期間が過ぎると麻痺の程度が軽くなり、自分の筋肉の力で腕を動かすことが出来るようになります。しかし、数十%以上の人が肩関節の痛みを抱えたまま脳卒中片麻痺後の人生を送っています。 この肩の痛みは、脳卒中後に上腕の骨が正常に肩関節にはまっていないまま肩や腕の筋肉が固まってしまうため起こります。この痛みを防ぐためには、脳卒中後のリハビリ期間に麻痺した腕を持ち上げて上腕の骨が肩関節にはまるようにしておく(整復しておく)ことが重要です。しかしながら、従来のリハビリ装具では十分な力で腕を持ち上げることが出来ないため、正常に肩がはまっていない状態で関節が固まってしまい、痛みが残る方も多くいます。 従来のリハビリ装具では腕を持ち上げる力が弱い理由は、ベルトを用いて持ち上げているためです。そこで、人間の筋肉と同じくらい収縮し、はるかに収縮力の強い人工筋肉を導入したのが本発明です。 ▲脳卒中片麻痺を原因とする肩関節下方亜脱臼用のリハビリテーション装具 従来の引っ張りベルトの代わりに複数本の人工筋肉を用いることにより、麻痺している腕を持ち上げるための十分な力を得ることが出来ます。 ▲西大和リハビリテーション病院の患者様による、本発明の試作品の装着風景 現在は、西大和リハビリテーション病院にて本発明の試作品を試験して頂いています。同院の生野公貴リハビリテーション部技師長(本学健康科学研究科 客員研究員)、辻本直秀先生(本学理学療法学科卒業生)、中田佳佑先生(本学健康科学研究科修士課程修了)をはじめとするスタッフの方々の御協力のもと、脳卒中後のリハビリテーションにいらっしゃる患者の方々に試作品を装着して頂き、従来品との比較を行っています。患者の方々による使用感の向上、肩関節の安定による上肢運動スキルの向上、そして歩行の向上等が確認されています。今後は試験数を増やし、改善を重ねながら開発を続ける予定です。 また、本装具を装着した状態において肩周囲の筋肉に機能的電気刺激(FES)を加えることにより、リハビリテーションの質のさらなる向上も期待されます。この相乗効果も今後研究する予定です。 【関連記事】 冬木特任准教授の発明が新たに特許を取得しました~教育学習基盤センター 冬木特任准教授の発明が特許を取得しました。~教育学習基盤センター 教育学習基盤センター
2021.09.13
第15回パーキンソン病・運動障害疾患コングレスで優秀演題賞を受賞!~理学療法学科教員
2021年7月1日(木)~3日(土)に開催された第15回パーキンソン病運動障害疾患コングレスで、理学療法学科の岡田洋平准教授が優秀演題賞 臨床部門(シニア)を受賞しました!岡田先生からレポートが届きました。 この学会は、パーキンソン病や運動障害疾患に関する国内の中心的な学会です。第15回は「根治への道標:見えてきた克服への道」という非常に力強いテーマで、対面とオンラインのハイブリッドで開催されました。様々な講演やプログラムは、疾患の原因、進行抑制に迫る非常に最新のトピックスから諸疾患やその診療に関する教育的な内容、数多くの演題発表と、非常に充実したものでした。 私は、「パーキンソン病の運動症状およびレボドパ換算量に対する長期理学療法の効果~メタアナリシス~」という演題で発表し、優秀演題賞 臨床部門(シニア)を受賞いたしました。今回の研究は、私がパーキンソン病の診療に関わり始めたころから長年取り組みたいと考えていたものです。内容は、パーキンソン病患者さんに6か月以上の理学療法を長期間実施することにより、運動症状を改善し、抗パーキンソン病薬の内服量を減少する効果があることに関するエビデンスを示したものです。今回の研究は、日本全国の研究者の先生方と共同で、研究の計画段階から実施まで先生方と話し合いを重ねながら実施しました。先生方と一緒にすることでやり遂げられた研究ですので、共同研究者の先生方には本当に感謝しております。今回の発表の内容は、先日Journal of Parkinson’s Diseaseから出版された論文のメタアナリシスまでの内容です。 パーキンソン病の発症を予防することとともに、発症した方のお身体の状態をいかに良い状態に保っていただくかも非常に重要なことだと考えております。私は理学療法士ですので、リハビリテーションの立場からできることを、他職種の方々と連携、共同しながら模索し、進めることができればと思います。今回の学会は、神経内科の先生方だけでなく、リハビリテーション専門職種、看護師、研究者(臨床、基礎)も参加されています。パーキンソン病・運動障害に関する最新の情報を得て、様々な人とつながることを通して新たなことが創発されうる場だと思います。学会長が、ご挨拶の中で「大事なことは会議室の外で決まる」と述べられた一言がとても印象的でした。COVID-19の影響は続いておりますが、気兼ねなく対面で話し合える日を楽しみにしつつ、今できることに精進したいと思います。 理学療法学科 准教授 岡田洋平 【関連記事】 パーキンソン病患者における長期間の理学療法の有効性-システマティックレビュー&メタアナリシス すくみ足があるパーキンソン病患者における歩行中の前方不安定性
2021.08.06
東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#4~福本先生編
2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として奈良県から参加する4名はすべて本学理学療法学科の教員・卒業生・修了生で、選手村や競技場の救護室に配置されてアスリート支援を行っています。東京に出発する前に福本准教授に東京五輪への想いや意気込みを語っていただきました! 福本 貴彦先生 畿央大学理学療法学科/健康科学研究科 准教授 理学療法士(運動器専門理学療法士) オリンピック・パラリンピック:選手村総合診療所(伊豆分村、河口湖分村) ▼福本准教授(右から2番目) <福本准教授の社会活動> 奈良県理学療法士協会 スポーツメディカルサポート委員会 委員長 奈良県理学療法士協会 学校保健・特別支援担当委員会 委員長 奈良県教育委員会学校保健課題解決ワーキング会議構成員 講師 ー学校における運動器検診について実施要領などを選定 奈良県教育委員会運動部活動指導の工夫・改善支援事業 コンディショニング担当 ー依頼のあった学校の運動部でコンディショニング指導 ー自治体教育委員会からの依頼でスポーツテスト 斑鳩町教育委員会(中学生) 田原本町教育委員会(小学生・幼稚園児) 宇陀市教育委員会(幼稚園児) 三宅町教育委員会(幼稚園児) NPO奈良スポーツ育成選手を守る会 理事 ー奈良県下のスポーツ検診を実施 <メディカルサポート> 全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園大会) センバツ高等学校野球大会(春の甲子園大会) 奈良県高等学校野球連盟主催大会(春季・秋季近畿大会予選、夏大会予選) 奈良マラソン 鳥人間コンテスト(京都大学ShootingStars)パイロット指導 セレッソ大阪、ギラヴァンツ北九州、奈良クラブ、ポルベニル飛鳥、バンビシャス奈良などのサポートなど ▶(五輪前に)今思うことは? 本番を前にして、とにかく「感謝」の気持ちであふれています。 【感謝1】教育学部のムース先生へ 救命措置を含む応急処置、コンディショニング、テーピングなどの治療技術も多くの研修を受けてきましたが、やはり重要となるのは英会話でした。 組織委員会が準備してくれた英語教材を教育学部のムース先生に確認いただいたところ、ネイティブの表現と違うところを指摘していただきました。英語教材を作成したのが理学療法士なので、どうしても専門用語が入ってしまっているようです。私たちが臨床する際に、カルテ情報と患者様へ伝える言葉は変えて、患者様へはなるべく医学用語を使わず、伝わりやすいように話をするよう心がけています。これが英語となると大変です。 そこで、 〇組織委員会が用意してくれた教材 〇私どもが事前研修で得た情報をもとに作成した仮想台本(臨床編)(事務手続き編) トータルA4で20枚ほどの資料について、英訳→音声ファイル化をムース先生にしていただきました。 また、台本を元に実技を交えた英会話レッスンを90分×4コマ+α実施していただきました。 ムース先生にお力添えいただいたことを十分に発揮できるようしっかりと復習をして大会に臨んで行こうと思います。 感謝2:大学教職員の皆さんへ つい先日、人権教育のパンフレットを学生に配布するとともに、少しだけ学生に話をさせていただきました。コロナ差別に対し、法務省が動き始めるなど新型コロナウイルス感染症やワクチンに関する誤解や偏見に基づく不当な差別が社会問題となっています。 TOKYO2020組織委員会もボランティア向けコピーで『東京をブルーに染めましょう!』というのがありました。スタッフユニフォームがブルーなので、家を出るときからユニフォームを来て会場入りしてください!と義務付けられていました。しかし、大会スタッフがユニフォームを着ていることであらぬ差別を受けているということが起こり、結局は会場まで私服で移動し、会場内でユニフォームに着替えることになりました。 このような状況のなか、大学内で多くの教職員の方から温かいお声掛けをいただきます。『頑張って』『大変だけど負けるな』『まず自分自身の体調に気を付けて』などなどなど…本当にありがとうございます。学内では誤解や偏見に基づく不当な差別はみじんも感じません。素晴らしい畿央スピリッツだと思います! ▼理学療法学科教員陣 【感謝3】勤務調整について 今大会は1年延期からの緊急事態宣言下での実施など、組織委員会もバタバタした中での準備でした。実際、私たちのシフト決定や入管証明の発行などは選手村開村後も行われているようです。そのような状況下で、学科長をはじめ学科内教職員、総務部の方など、シフト決定が遅れていることに関し、ご配慮いただいています。急に『来週から3週間東京に行ってきます!』なんて、普通に考えるとおかしいですよね…『いつから行くの?』『まだ組織委員会から確定シフト届いてないんです』という会話を多くの方としてきました。 現在はオリンピック期間のシフトは確定しました。パラリンピック期間はざっくり確定し、追加シフトの確定を待っている状況です。 (このブログを書いている)選手村開村から6日、開会式を4日後に控えた7月19日現在、まだシフト確定していないという状況であることをお認めいただき、温かく送り出していただける環境に感謝申し上げます! 東京での経験は、10月13日(水)に開催される理学療法特別講演会「2020東京五輪の活動報告」(在学生・卒業生対象)でお伝えします。 アスリート支援に興味がある畿央大学の皆さん、気軽にご参加ください! 【関連記事】 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#1~加納さん編 東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。
2021.07.21
東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編
2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として奈良県から参加する4名はすべて本学理学療法学科の教員・卒業生・修了生で、選手村や競技場の救護室に配置されてアスリート支援を行う予定です。そのうちの一人、唄さんに東京五輪への想いや意気込みを語っていただきました! 唄大輔さん 理学療法学科2008年卒業/健康科学研究科2015年修了 理学療法士(運動器専門理学療法士) 社会医療法人平成記念会 平成記念病院 リハビリテーション課 主任 畿央大学大学院健康科学研究科 客員研究員 オリンピック・パラリンピック:選手村総合診療所(東京:晴海) パラリンピック:選手村総合診療所(静岡:河口湖) ▶なぜ東京五輪に? 理学療法士として自分の人生のレガシーのため! ▶準備してきたこと まず英語力の向上です。理学療法士協会が主催の研修会でも英語研修はありましたが、その復習はもちろん、中学、高校での単語帳や教科書を用いて勉強していました。さらにリスニングをきたえるためにYoutubeのスポーツ理学療法に関する動画を何度も繰り返し視聴しました。 ▶東京五輪では具体的に何を? 東京の選手村(本村)のポリクリニックにてケアが必要なアスリートの治療を実施予定です。もちろん、英語で(笑) ▼畿桜会(同窓会)会長として卒業式に出席した唄さん ▼同窓会役員会での一枚(2020年2月撮影) ▶意気込みや目標は? オリンピック・パラリンピックというアスリートにとっての人生をかけた大舞台に、メディカル部門として関われることは人生で何度もあることではないと思います。今までの臨床経験を活かして適切な理学療法サービスができるか正直不安ですが、精一杯楽しんできたいと思います。失敗を恐れず、トップレベルのアスリートとしっかり「会話」をしてきます! ▶伝えたいことは? アスリートはもちろん、組織委員会をはじめとしたすべてのスタッフは、この東京2020大会に向けて人生をかけるほど大変な準備をしてきました。私たちも簡単にメディカルスタッフになったわけではありません。書類審査や英語面接などのテストも受けました。私たちのようなメディアで公表されない、東京2020大会に関わるすべての人の思いも知ってほしいし、伝えていきたいと考えています。 最後になりましたが、東京2020大会で活動するにあたって、多くの方に感謝を申し上げます。まずは、約1か月の休みをいただくにも関わらず、快く送り出してくれる職場に感謝申し上げます。また、奈良県理学療法士協会においては奈良県の代表と認めてくださり感謝申し上げます。そして、畿央大学の福本先生は学生時代からはもちろんですが、今大会にあたっても多大なるご配慮をいただき感謝申し上げます。畿央大学のムース先生もお忙しい中、お休みのところ、我々の英語力向上のためにご指導いただき、感謝申し上げます。そしてそして、自分の家族にも感謝しています。自分だけではなく、家族や周りの皆様の支えがあって参加、活動できることを再認識し、最後まで精一杯がんばってきます! 【関連記事】 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#3~楠元さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#1~加納さん編 東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。
2021.07.20
東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#1~加納さん編
2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として奈良県から参加する4名はすべて本学理学療法学科の教員・卒業生・修了生で、選手村や競技場の救護室に配置されてアスリート支援を行う予定です。そのうちの一人、加納さんに東京五輪への想いや意気込みを語っていただきました! 加納希和子さん 理学療法学科2012年卒業/大学院健康科学研究科2019年修了 理学療法士(スポーツ認定理学療法士、中級障がい者スポーツ指導員) 医療法人 勝井整形外科 畿央大学大学院健康科学研究科 客員研究員 ▶なぜ東京五輪に? 2013年に東京五輪の招致が決まった瞬間(有名な「TOKYO」のカードが掲げられたシーン)、「世界最大のスポーツの祭典であるオリンピック・パラリンピックで理学療法士として貢献したい!」と決意しました。そして畿央大学大学院の恩師である福本先生にできることがないか相談したところから、私の東京五輪への道がはじまりました。 ▶決心してから まもなく、奈良県理学療法士協会から東京五輪に派遣されるスタッフ募集の連絡がありました。最低条件である臨床経験5年以上はクリアしているものの、留学経験もなく英語を喋ることができなかった私は、すぐに英会話学校に通うことに。選考には日本語と英語の面接が課せられたのですが、早くから準備を進めてきたことが選考通過につながったと考えています。 また整形外科で理学療法士として勤務しながら卒業した高校バスケ部のメディカルサポートに入ったり、福本先生と一緒に高校野球や奈良マラソンのサポートをするなどスポーツリハにできるだけ関わってきました。 ▶東京五輪では具体的に何を? 私が配属になったのは「パラサイクリング」の競技会場です。選手村と違って競技会場は急性期(まさにケガや事故が起こった時)の対応が求められ、時には理学療法士として持つ知識・スキル以上のことが求められます。自転車競技での転倒事故は、後続や周囲の選手を巻き込む大きな事故が発展してしまう可能性もあり、一瞬も気を抜くことができません。万一の事故にもしっかり対応できるように準備をしていきたいと思います! ▼TOKYO2020MEDスタッフの公式ユニフォーム全身フル装備した1枚 ▶本番に向けて コロナ禍に突入して対面形式での研修がオンラインになったり、その研修も延期になったり、東京五輪自体も延期になったり…とスケジュール調整も大変でしたが、開会式直前にしてようやく東京五輪に行けると実感がわいてきたところです。 英語については教育学部のムース先生に無理をお願いしていろいろと教えてもらったり、福本先生にもわからないことを指導していただいたり…と学部をこえた畿央大学のサポートに感謝しています。奈良県から参加する4名の派遣先はバラバラですが、何かあれば相談できる仲間がいることも心強く感じています。 もともと中高とバスケットボール部でマネージャーをしていたことがきっかけで理学療法士に興味を持った私にとって、トップアスリートのサポートができることは原点回帰であり、一つの集大成かもしれません。ドキドキワクワクしながら、理学療法士として貢献したいと思います! ▼恩師の福本先生とともに 【関連リンク】 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#2~唄さん編 東京五輪に参加する理学療法士4人に聞きました!#3~楠元さん編 東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。
2021.07.09
トルコからの留学生Burcu Dilekさんの研究成果が国際雑誌「Clinical EEG and Neuroscience」に掲載!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
2019年5月~8月に畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター(以下、ニューロリハ研究センター)へ短期留学していたBurcu Dilekさんとの共同研究が国際雑誌Clinical EEG and Neuroscienceに掲載されました。 この研究は、ヒトが痛みを怖がっている時の脳波活動を記録・解析したもので、痛みを怖がると運動プログラムが破綻することが明らかになりました。この研究は、留学中に計画・実施したものであり、その成果がこのように公表されることを嬉しく思います。 ちなみにBurcu Dilekさんは畿央大学へ留学する前にトルコで「運動をイメージするリハビリテーション」の研究をしており、痛みを有する患者さんに運動をイメージさせると痛みが低減することを明らかにしていました。 【参考】Dilek B, Ayhan C, Yagci G, Yakut Y. Effectiveness of the graded motor imagery to improve hand function in patients with distal radius fracture: A randomized controlled trial. J Hand Ther. 2018 Jan-Mar;31(1):2-9.e1.) 2019年の留学では、そんな彼女自身の研究経緯と、畿央大学のアイディア・研究設備が見事に相互作用して、良い研究成果が生まれたのだと思います。とはいえ、Burcu Dilekさん自身は脳活動の計測は初めてのことだったようで、非常に苦労しました。実際には、畿央大学で計測したデータをトルコで解析して、解析して、そして解析して....の繰り返しでしたが、持ち前の好奇心、行動力でそれらを乗り越えてくれました。留学から2年間が経ちますが、ここまで継続した努力に敬意を表したいです。彼女の今後の活躍を楽しみにしています。 【留学時の様子】 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!後編~ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター トルコ人研究者に日本や理学療法のあれこれを聞いてみた!~Burcu Dilekさんロングインタビュー ちなみに、現在は、トルコのトラキア大学(Trakya University)のHealth Science Faculty Occupational Therapy Departmentに助教として勤務しているようです。そんな彼女のコメントと現在の写真が届いていますので、紹介させていただきます。 【Burcu Dilekさん コメント】 When I first visited the laboratory, which was established under Prof. Morioka's leadership, I was very excited and also motivated that I should work with the team. His team's research areas were very unique to me. All of them were talented and well-equipped scientists in their fields. Dr. Osumi helped to design the study in line with his experiences. Dr. Nobusako supported me in other technical and hardware aspects. Other employees of Kio University always had a smiling face and always found a solution when I had any problems. I quite adopted the study subject proposed to me and in the following periods, I want to continue working in this research area with Prof. Morioka's team. I am very happy that all our efforts have paid off. I want to thank all the staff of Kio University, especially Prof Morioka, Dr. Osumi and Dr. Nobusako. 森岡教授のリーダーシップのもと設立されたニューロリハ研究センターを初めて訪問した時、とても興奮して「このチームと一緒に働くべきだ」と意欲を掻き立てられました。研究分野は私にとって非常にユニークで、全員が各分野で才能にあふれ、かつ専門的な知識をそなえた研究者した。大住准教授はご自身の経験に沿って研究のデザインを手伝ってくださいました。信迫准教授はその他の技術的・ハード的な面で私をサポートしてくださいました。畿央大学の他の教職員もいつも笑顔で、問題に直面した時には必ず解決策を見つけてくれました。提案された研究テーマをかなり採用しましたし、今後も森岡教授のチームと研究を続けていきたいと思っています。私たちの努力が報われてとても嬉しく思っています。畿央大学のすべてのスタッフ、特に森岡教授、大住准教授、信迫准教授に感謝いたします。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 健康科学研究科 准教授 大住 倫弘 【論文情報】 Dilek B, Osumi M, Nobusako S, Erdoğan SB, Morioka S. Effect of Painful Electrical Stimuli on Readiness Potential in the Human Brain. Clin EEG Neurosci. 2021 Jul 2:15500594211030137.
2021.06.28
第63回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員が発表!~理学療法学科・健康科学研究科
2021年6月11日(金)~27日(日)にかけて第63回日本老年医学会学術集会がweb開催されました。昨年に引き続き、コロナウイルス感染症の影響により、シンポジウム、特別講演などは現地からのライブ配信、一般演題は事前に録画した発表資料を登録するという形で行われました。 畿央大学からは一般演題で、高取研究室の武田広道さん(博士後期課程3年)と私(松本)が発表を行いました。 <健康科学研究科 武田広道> 「要支援・要介護高齢者の身体活動量と身体機能・精神心理機能の関係」 本研究は、通所介護事業所を利用している要支援・要介護高齢者を対象に、身体活動量と身体機能、精神心理機能の関連について検討したものです。その結果、歩行速度とアパシー(意欲や、やる気の著しい低下)が身体活動量と関連していることが明らかになりました。良好な身体活動量を得るためには、身体機能、精神心理機能の両面に着目して関わる必要があると考えられます。 <理学療法学科 松本大輔> 「地域在住高齢者におけるWalkabilityと身体活動・社会参加との関連性:KAGUYAプロジェクト」 広陵町と共同で行われたKAGUYAプロジェクトの一環で行われた地域在住高齢者を対象とした調査結果から、社会参加・身体活動とWalkability(歩きやすさ)の関連を分析しました。その結果、Walkabilityの違いによる健康格差が存在し、特に、Walkabilityが低い地域(徒歩圏内に出かけるところが少ない)に住んでいる女性は社会参加や身体活動が少ないということが明らかになりました。Walkabilityが低い地域に特化した社会参加・身体活動への支援を含むまちづくりが必要であると考えられます。 本学会は「高齢化最先進国の医療の在り方―老年医学からの超高齢社会への提言―」というテーマで開催されました。例年の対面型では興味のある講演や演題が同じ時間帯で視聴できず、残念な思いをしていましたが、今回はオンデマンド配信があり、今までよりも多く視聴することができました。内容は昨年同様、フレイル、サルコペニアに関連するものが中心でしたが、今年はやはりコロナ禍での高齢者対策などの企画セッションも複数見られました。 このコロナ禍で、高齢者の方への体力測定を伴う対面式の調査がほとんどできておりませんが、他のグループでは電話やオンラインなどでフォローされているのが印象的でした。 老年医学会は理学療法の関連学会よりも歴史があり、多職種の方々が参加されています。学会に引き続き参加し、偏った知識、考えにならないように情報をアップデートしていきたいと思います。 理学療法学科 准教授 松本大輔 【関連記事】 第62回日本老年医学会学術集会で大学院生と教員2名が発表!~健康科学研究科 第30回日本老年学会・第59回日本老年医学会の合同総会でプロジェクト研究の成果を発表!~健康科学研究所
2021.06.16
患者教育プログラムは変形性膝関節症患者さんの自己効力感の向上に有効か?~理学療法学科教員
研究成果が、筋骨格系の疾患や障害に関する国際学術誌に掲載されました! ~変形性膝関節症におけるセルフマネージメント教育プログラムの自己効力感に対する効果~ 変形性膝関節症(膝OA)の患者さんに対する患者教育プログラムは患者さんの自己効力感を高めることが出来るのか?という疑問についてシステマティックレビューという手法を用いて調査した研究成果が、筋骨格系の疾患や障害に関する国際学術誌「BMC Musculoskeletal Disorders」に掲載されました。 論文のタイトルは「Effects of self-management education programmes on self-efficacy for osteoarthritis of the knee: a systematic review of randomised controlled trials」(変形性膝関節症におけるセルフマネージメント教育プログラムの自己効力感に対する効果:無作為化比較試験のシステマティックレビュー)です。 膝OAの患者さんに対する理学療法の効果はこれまでに多くの研究で報告されています。例えば運動は膝OA患者さんにとって最も重要で有効な介入手段の一つであることが明らかにされています。しかし同時に運動を継続して行うことが難しいことも多く報告されています。運動が続かない原因については様々な要因が考えられますが、我々はその一つとである“自己効力感”に注目しました。自己効力感とは、“自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるという、自分の可能性についての認知や自信”のことを言います。 我々の先行研究では自己効力感が高い膝OA患者さんほど日々の身体活動量が多い傾向があることを報告しています。 今回の研究は既に公表されている無作為化比較試験(RCT)など複数の臨床研究を、一定の基準と一定の方法に基づいて集めて、系統的にまとめる、システマティックレビューという方法を用いて行いました。今回は対面で行われる医療専門家による教室形式の患者教育プログラムを対象に研究を行いました。その結果、患者教育プログラムは膝OAの痛みやその他の症状に対する自己効力感を高める可能性が示唆されました。 一方で集められた研究の数が少なく、また研究のデザインがまちまちであったため、研究の疑問に対してはっきりと結論付けることができる結果は得られませんでした。 日本では膝OA患者さん向けの系統立った共通の患者教育プログラムはみられませんが、今後は日本人向けの患者教育プログラムの構築も必要であると考えています。 Uritani D, Koda H, Sugita S. Effects of self-management education programmes on self-efficacy for osteoarthritis of the knee: a systematic review of randomised controlled trials. BMC Musculoskeletal Disorders. 22. 515. 2021. (無料で閲覧、ダウンロードが可能です) 健康科学研究科准教授 健康科学部理学療法学科准教授 瓜谷 大輔 【関連記事】 「変形性膝関節症」に関する共同研究が論文として公表されました!~理学療法学科教員 変形性膝関節症に関する研究の途中経過が学会誌に掲載されました~理学療法学科教員 理学療法学科卒業生の卒業研究が国際学術雑誌に掲載!~理学療法学科 「足趾握力」に関する論文が国際誌に掲載!~理学療法学科教員
2021.05.19
第25回日本ペインリハビリテーション学会学術大会でダブル受賞!!~健康科学研究科
2021年5月15日(土)、16日(日)にWebにて開催されました第25回日本ペインリハビリテーション学会学術大会において、西祐樹さん(博士後期課程)が最優秀賞、林田一輝さん(客員研究員)が優秀賞を受賞しました。今回は、その二人からレポートをいただきました。 第25回日本ペインリハビリテーション学会学術大会において、発表してまいりました。 本学会では、「難治性疼痛の挑戦」というテーマで、痛みの難治化に対する予防と対策についての適応と限界を議論し、解決すべき課題を明らかにしていくという明確なビジョンのもと、特別講演や教育講演、シンポジウムが催されました。登壇された先生方の痛みに対する病態評価に基づいた薬物療法やニューロリハビリテーション、認知行動療法等への介入の視点に感銘を受けるとともに、ポジティブな面ばかりに囚われず、評価・介入の限界点などのネガティブな面を明確化することも、次の臨床につながるのだと再考致しました。 また、一般演題は110演題が登録され、積極的なディスカッションがweb上で繰り広げられました。 私は、「慢性腰痛者における歩行時の体幹運動制御の変調は環境に依存する―非線形解析を用いて―」という演題で発表を行い、最優秀賞を受賞いたしました。カオス解析を用いて日常生活環境における歩行を質的に分析した結果を報告いたしました。数多くの演題の中から最優秀賞に選んでいただけたことは、大変光栄に思います。今後もペインリハビリテーションの発展に貢献できるよう、日々精進致します。また、当研究室の林田一輝さん(客員研究員)も「他者に強制された行為に伴う痛みは行為主体感を減弱させる」という演題で優秀賞を受賞されており、大変うれしく思います。 加えて、初の座長を務めさせていただき、様々なことに気を配りながら、的確な発言が求められ、その大変さを身に染みて感じました。座長ならではの視点で発表を聴講することができ、貴重な経験をさせていただきました。 最後になりましたが、今回の発表にあたりご指導いただきました森岡周教授と、研究室の皆さま、研究データ収集を手伝ってくださった皆様に深く感謝申し上げます。 健康科学研究科博士後期課程 西佑樹 第25回日本ペインリハビリテーション学会学術大会において研究成果を発表してまいりました。私は本学術大会には初めての発表であり、新たに触れる情報が多く新鮮な気持ちで参加することができました。 本大会は平川大会長の下、「難治性疼痛への挑戦」というテーマで開催されました。どの特別公演やシンポジウムも現場へのメッセージ性が強く、臨床にいる私にとってまだまだ勉強不足であることを痛感させられました。 一般演題においては、科学的妥当性が欠けていると質疑応答ですぐさま指摘が入り、web開催でしたが緊張感が保たれている印象を受けました。 私は「他者に強制された行為に伴う痛みは行為主体感を減弱させる」という題で発表し、優秀賞を受賞させていただくことができました。内容を簡単に述べると、運動課題を自分で選択した時と比較して他者に強制された時は、運動に伴う痛みを他者のせいにしてしまうということを実験的に明らかにしました。オンラインのため、どれだけの質問者がいるか把握できず、一つの質問にどれだけの時間をかけて答えるべきかわからない、といったオンラインならではの難しさを感じました。賞をいただくことは初めての事であり非常に嬉しく思います。 発表の準備に際してたくさんの指摘を頂いた森岡周教授ならびに研究室のメンバーには本当に感謝しています。みんなで作り上げた感じがあり、何倍も嬉しく思っております。 また、同研究室の西祐樹(博士後期課程)さんは、「慢性腰痛者における歩行時の体幹運動制御の変調は環境に依存する―非線形解析を用いて 一」という演題で最優秀賞を受賞しました。西さんは私の演題の共同演者でもあり、二冠達成は素晴らしいことだと思います。 本学術大会に参加し、発表準備を含めて非常に貴重な経験をさせていただきました。本研究領域の発展のためにも益々努力していこうと思います。 ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 林田一輝
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