2023.12.26
大住倫弘准教授と冬木正紀准教授の発明が特許を取得しました~健康科学研究科
本学大学院健康科学研究科の大住 倫弘准教授と冬木 正紀准教授が発明した脳卒中リハビリテーションの結果予測AIにより、冬木学園が特許権を取得しました。この発明は本学が推進している次世代研究開発プロジェクトにおける萌芽的研究の成果であり、リハビリテーションの実施有無の判断やスムーズな実施に役立つ発明です。
▼特許第7384341号
「脳卒中患者の身体の痛みの改善を目的とするリハビリテーションの効果を予測するための方法、及び、システム」
大住准教授と冬木准教授からのコメント
脳卒中によって出現する“痛み”が運動療法を中心とした理学療法で緩和するか/しないかをAIで予測するシステムを発明しました。
脳卒中後には、しびれたような痛み、電気が走るような痛み、灼けるような痛みなど、さまざまな痛みが出現します。これらの痛みは理学療法によって緩和することもありますが、なかなか緩和しないこともあり、痛みの予後は患者さんによって大きく異なります。そのため、患者さんは「良くなるのか分からない痛み」に悩みながらリハビリテーションをしなければいけない状況にあり、それが原因でリハビリテーションがうまく進みません。
今回の発明の前段階での研究では,患者さんごとに異なる痛みの“性質”に着目して、その性質によって痛みの予後を予測できるかを検証しました。そして、「ねじられるような痛み」「押されると生じる痛み」を有する患者さんは理学療法で痛みが緩和しやすく、それとは逆に「冷たいものに触れると生じる痛み」「しびれたような痛み」を有する患者さんの痛みは理学療法では緩和しにくいことを明らかにしました。この研究成果を踏まえて、リハビリ前の痛みの性質のデータからリハビリの結果を予測するAIシステムを発明しました。
このAIシステムでは、患者さんが悩む痛みの性質をシステムに入力するだけで、数ヶ月間のリハビリの後に痛みが緩和するかしないかを判定してくれます。そのため、患者さんおよび医療従事者は、数ヶ月先の状況を見越してリハビリテーションプログラムを計画することができます。このようなAIシステムは、先の見える医療を具現化し、患者さんの不安を低減してリハビリテーションに集中できることに貢献すると考えています。
今後は、このAIシステムの導入によってもたらされるリハビリテーション効果、医療経済効果などを調査していく予定です。
健康科学研究科 准教授 大住 倫弘
准教授 冬木 正紀
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