2024.05.27 

『実習に活かす高齢者看護技術』高齢者の個別性に合わせた援助を考える~看護医療学科「老年看護学援助論Ⅱ」Vol.2

看護医療学科3年次配当「老年看護学援助論Ⅱ」は、高齢者看護に必要とされる生活機能の視点からのアセスメントや看護技術、紙面上の事例による看護過程の展開を行い、高齢者の日常生活の維持に必要な援助技術を演習し学修します。前回のブログでは、外部講師を迎え、摂食嚥下障害のある患者さんを支えるケアについて学んだ様子をお届けしました。今回、令和6年5月17日の授業では、実習に活かす高齢者看護技術について演習を行い、日常生活援助の活動・移動介助と身体ケア技術の安楽・リラクゼーションについて学びました。

老年看護学援助論Ⅱの授業では、ペーパーペイシェント(文章で書かれた事例の患者)を用いて看護過程を学んでいます。今回の講義は、実際の臨床現場をイメージし、看護師役・患者役・観察者などを経験し、ディスカッションを通して看護援助を考えました。

 

移動介助では、グループに分かれて左麻痺のある患者を想定しベッドから車いすへの移乗の演習を行いました。基礎看護学の演習ではすでに車いす移乗について学修済みですが、麻痺のある患者に介助するとなると難易度は上がります。事前学習をしてきた内容を踏まえ、「車いすの位置はここでいいの?」「右手は動かせるからどこを握ってもらったらいいかな?」「ベッドを起こした方が移動しやすくない?」など、学生たちは様々な意見を出し合いながら、ベストなケア方法を検討していきました。

 

その後、人形を使って自分達で考えた方法をデモンストレーションし、他のグループとの意見交換をしました。「このグループは麻痺側の腕の保護まで意識しているところがいいと思った」「患者さんへの声かけが上手で、(患者さんが)安心できると思った」など、他のグループからの学びもたくさん得られたようです。

 

 

リラクゼーションでは、まず五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)の大切さやタッチケアの効果を伝えました。実践では、オルゴール音楽が流れる中、アロマの香りや互いの手の温かさを感じながら、優しく丁寧にハンドマッサージを行いました。最初は、「触れる」ことに照れている学生もいましたが、マッサージを行っていくうちに、お互いにリラックスしていく様子がみられました。このケアは、実習先の高齢者の方だけでなく、友達や家族など身近な人にも行えるケアだと思います。是非、活用してみてください。

 

 

講義後の学生感想より ※原文を一部抜粋

 

「車いす移乗の時にどのようにすればよいのかグループで話し合い、積極的に意見を出し合って実施することができた。看護者として、患者にとってどのようにすることが一番いいのか考えることが難しかった」

 

「車いす移乗では、教科書に書いてある通りに行ってもなかなか上手くいかず、その患者さんにあった方法を探すといいのかなと思いました」

 

「みんなで試行錯誤試し、患者役の意見も聞きながら実施したことで、最後には対象者にとってより良い移乗方法をみんなで考えることができた」

 

「リラクゼーションが初めての体験で楽しかったです。リラックスできて疲労回復になるのを身体で実感できて驚きました

 

「ハンドケアはやってもらうのも相手にするのも初めてでこんなにリラックス効果があることを知って驚いた

 

「ハンドケアではどうすれば対象者に心地よく安楽に感じてもらえるかを考えてコミュニケーションを取りながら雰囲気よく実施できた

 

 

これらの経験が、個別性のある看護を考える力につながりますようにと願いながら、また次の講義からも一緒に看護について考えていきましょう。

 

看護医療学科 助教 伊藤 千春・島岡 昌代

 

【参考記事】

外部講師による講義『食べたい!』を支えるケア ~看護医療学科「老年看護学援助論Ⅱ」

外部講師による講義「看取りを体験した遺族に対する看護の課題」~看護医療学科「終末期ケア論」

看護学生と企画した「性教育セミナー」を高校で実施!~看護医療学科「母性看護実習」

堺市総合防災センターで体験学習をしました~看護医療学科「災害看護II」

ハンセン病療養所を訪問、当事者家族の声を聴き「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」

外部講師による講義「筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の看護について」~看護医療学科「慢性期看護学援助論Ⅰ

 

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