2026.09.11
第24回日本神経理学療法学会学術大会に参加しました ― 本学関係者が最優秀賞・優秀賞を受賞
2026年9月5日(土)~6日(日)に、大阪府大阪市のグランキューブ大阪(大阪国際会議場)にて「第24回日本神経理学療法学会学術大会」(以下、第24回学術大会)が開催されました。
本大会には約3,000名が参加し、全741演題が発表された大規模な学術大会となりました。畿央大学大学院およびニューロリハビリテーション研究センターからも多くの大学院生・修了生・教員が参加し、研究発表や講演、そして受賞という形で大きな成果を収めました。
今回は、第24回学術大会における畿央大学大学院、ニューロリハビリテーション研究センター関係者の活躍とともに、近年の学術大会における神経理学療法の議論の広がりについてご紹介します。
近年の学術大会からみる神経理学療法の広がり
近年の日本神経理学療法学会学術大会では、神経理学療法が扱う対象や問いにも広がりがみられます。
第22回学術大会では「創始―次代への超克―」をテーマに、Society 5.0や人と機械、データサイエンスなどを踏まえた神経理学療法の未来とともに、身体を介した交流や間主観性、自己の再構築といった、人の経験や関係性を捉える視点が提示されました。
続く第23回学術大会では「根拠と反証―エビデンスのブラッシュアップ―」をテーマに、科学哲学や運動学習、感覚機能などを通して、神経理学療法における根拠や検証のあり方について議論が深められました。
そして今回の第24回学術大会では、虫明 元先生、下畑 享良先生、大平 英樹先生、田口 茂先生らによる講演を通して、神経理学療法や神経生理学の歴史、予測的処理、身体と環境との相互作用、現象学などへ議論が広がりました。さらに、森岡 周先生による基調講演「神経理学療法はどこへ向かうのか―機能回復から自己再構成へ―」や、ナラティブを扱う企画も含め、機能回復だけでなく患者の経験やその人らしさをどのように捉えるかが、より明確に議論される大会となりました。
この3年間を通して、神経理学療法は、機能や障害を捉えるだけでなく、その根拠を問い直しながら、患者の経験や他者・環境との関係性、自己の再構成までを含めて考える方向へと議論が広がってきたことがうかがえます。
本研究センター関係者の学会での主な講演・発表
初日には、モーニングセミナーにて、山崎 雄一郎氏(博士後期課程)が「脳卒中後運動失調の臨床推論:評価に基づく介入設計」、古賀 優之氏(客員研究員)が「脳卒中後疼痛:病態に基づく評価の組み立て方と介入展開」をテーマに講演を行いました。
また、受賞記念講演では、「第1回日本理学療法学会連合学術総会」にて臨床研究学術賞を受賞した研究センター長の森岡 周教授が「コンパレータモデルに魅せられて30年―臨床の問いが描いた三層の見取り図―」をテーマに講演を行い、長年にわたる臨床と研究を通して発展させてきた考えについて紹介しました。
スキルアップセミナーでは、西 祐樹氏(客員研究員)が「運動障害の評価:運動制御で組み立てる介入設計」をテーマに講師を務め、運動制御の観点から臨床評価と介入を組み立てる考え方について講演しました。
さらに、公募型シンポジウム「関係性から再考するこどもの発達:Family-Centered Careに基づく新たな臨床の探究」では、長森 由依氏(博士後期課程)がシンポジストとして登壇し、こどもの発達を本人や家族との関係性から捉える臨床について議論しました。
2日目には、森岡 周教授が基調講演「神経理学療法はどこへ向かうのか―機能回復から自己再構成へ―」の講師を務めました。身体機能の回復にとどまらず、患者の経験や自己の再構成を含めた神経理学療法の今後の方向性について講演しました。
また、基幹シンポジウムでは、尾川 達也氏(客員研究員)が「語られる身体と生きられる世界:「その人らしさ」を描く臨床記述の価値」をテーマに発表し、患者の経験や語りを臨床の中でどのように捉え、記述していくのかについて議論を展開しました。
このほかにも、2日間にわたり多くの一般演題が発表され、本学関係者が多方面で活躍を見せました。
大学院生の輝かしい受賞
全741演題の中から、本学大学院健康科学研究科の在学生が最優秀賞および優秀賞を受賞しました。また、第22回学術大会の宮脇 裕氏(客員研究員)、第23回学術大会の田上 友希氏(博士後期課程)に続き、今回は山崎 雄一郎氏(博士後期課程)が最優秀賞を受賞し、本学関係者が3年連続で最優秀賞を受賞することとなりました。
▶第22回学術大会blogはコチラ
▶第23回学術大会blogはコチラ
最優秀賞
山崎 雄一郎氏
演題名: 脳卒中後運動失調の回復軌道:ベイズモデルによるパラメータ分離とクラスター特性
※第23回学術大会 奨励賞受賞
優秀賞
田上 友希氏
演題名: 脳卒中後歩行能力に至る体幹・下肢機能の階層的カスケード―動的座位を媒介ハブとする統合モデル―
※第23回学術大会 最優秀賞受賞
優秀賞
大西 空氏(博士後期課程)
演題名: 脳卒中患者の歩行における機能的筋協調パターンの再構造化―部分情報分解による情報構造解析―
終わりに
今回の成果は、指導教員をはじめとする多くの関係者の支えと、研究に真摯に取り組む大学院生・修了生・教員一人ひとりの努力によって実現したものです。講演やシンポジウム、一般演題を通して多くの研究成果を発信するとともに、最優秀賞・優秀賞という形でも本学の研究が評価される学術大会となりました。
全ての関係者の皆様に心からの感謝を申し上げます。
本学は今後も、理学療法学および神経リハビリテーションの発展に貢献できるよう努めてまいります。
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター長
森岡 周
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
特任研究員 大西 空
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