2026.07.23
畿央大学現代教育研究所主催 学校の先生になりたい高校生のための特別企画 「ええやん!学校の先生」
教員という職業の厳しさが注目される昨今、次世代が目を向けにくい状況となっていることを踏まえ、教職に興味がある高校生にその魅力と現実を伝えることを目的として7月19日に畿央大学現代教育研究所が開催した特別企画「ええやん!学校の先生」をレポートします。

第1部 特別講演会「ええやん!学校の先生」
【講師】東良 雅人氏 京都市総合教育センター指導室長/京都市立芸術大学客員教授/前文部科学省初等中等教育局視学官
はじめに、これからの学校の先生が向き合わないといけない問題として生成AIを取り上げられ、ご自分が子どもの頃の写真を動かして見せられました。東良先生が教師をめざしたのは一にも二にも“自分が好きな美術をしたかった”ことが理由で、“憧れの先生がおられた”や“育てたい子どもの姿をもっていた”ということではなく、なにがなんでも教師になろうという訳でもなかったとのことでした。
一方、教員として働いているうちに起きた教え子さんとのエピソードを紹介されながら、教師はたくさんの人との出会いやつながりができ、教えた子どもさんがやがて教師として同じ職場で働くようになるなど、人の生き方や喜びに出会う仕事だと考えるようになったとのことでした。

京都市で、そして文部科学省で多くの先生と子どもを見てきて、「日本の先生方は子どもの成長を願って頑張っている」と実感されたことに加え、全国のどこにいても同じ水準の教育を受けることができる点を挙げ、日本の先生方は優秀であると訴えられました。学校は社会の問題と切り離すことはできず、先生方が向き合う問題も増える傾向にありますが、学校はチームとして子どもを育てていること、学校で働く先生方が共通の学びのイメージをもち、先生方が対話をしながら課題の解決に取り組んでおられることを紹介されました。先生の仕事に不安をもっている参加者の皆さんには安心できる情報になったのではないでしょうか。
今、学校で進められている働き方の改革は、仕事の量の問題だけではなく「働きがい」や「達成感」をどう生み出すかということですが、「働きがい」は見つかるのに時間がかかるものであり、一度取り組み始めたことにはやり切るよう頑張ってほしいともおっしゃいました。子どもは口では「でけへんし」「無理やし」「もうええわ」と言うものの、そう簡単にあきらめないこと、実際にあきらめるのは周りの大人であり、先生は、子どもをあきらめさせないことが仕事であるともおっしゃいました。
最後に、近い将来の学校教育で大事にされることとして「好きを育み、得意を伸ばす」を紹介されました。東良先生が今あるのは「美術が好き」だったから。自分の「好き」を大切にし、子どもの「好き」を大切にすること、学校の先生になることだけではなく、自分の夢と希望をもち、子どもの夢と希望を大事にできる先生をめざして欲しいと参加の皆さんに伝えられ、参加の保護者の皆様へも「お子様の夢と希望を大切にしてあげてください」とのメッセージ送られてお話を終えられました。
第2部 ディスカッション「学校の先生をしている畿央大学卒業生の話を聞こう」
【講師】森 奈都美先生 奈良県内こども園勤務、橘内 爽太先生 奈良県内小学校勤務
はじめに、こども園で保育教諭として13年勤務されている森 奈都美先生のお話です。大学スタッフが保護者として登園を渋る子どもとのやりとりを演じ、そこに保育教諭としてかかわる寸劇を行い、朝の登園の様子から子どもや保護者の状況を見て取ることの大切さを紹介されました。

保育教諭をめざした理由は、子どもが好きだったこと、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学と常に憧れの先生がいたこと、図工や音楽など正解・不正解がない学習が好きなことだったそうです。
教室でアリを発見して痛めないよう大事にする子どもや、家族みんなが幸せになるようにと家族みんなの分の四葉のクローバーを探す子どものエピソードで、先生は子どもに心を動かされる仕事であり、人として子どもに接することを大事にしていると話されました。

悩んだり壁にぶつかったりした時は一人で抱え込まないで周りの人に助けを求めることを心掛けており、子どもや保護者に助けられることも多く、家族、友人とのつながりを大切にし、いろいろな経験をすることが充実した仕事や生活をつくると話されました。
次に、小学校教員として11年勤務されている橘内 爽太先生のお話です。橘内先生の思う先生の「ええやん」として、何気ないことで思い切り笑顔で過ごせること、子どもと一緒にものごとをつくりあげることができること、子どもと感動を共にできることなどを紹介されました。卒業式でお礼の思いをしたためた手紙を保護者に手渡す感動の場面に立ち会えたことや、関係がうまくいっていないと思っていた子どもが、実は橘内先生のことを気にかけてくれていたことが後になって分かり心を動かされたことは聞いていて心があたたかくなるお話でした。

仕事に関係するご自分の時間の使い方も紹介され、工夫次第で時間のゆとりができ、働く時間の量で子どもが成長するわけではないというお考えも披露されました。教師をめざす参加者の皆さんには、「今、あたためている思いは、これからの心のお守りになる。友人と話したり遊んだりするなど、今しかできないことをし、子どもに話ができる人になって欲しい」とのメッセージを送られました。
トークコーナー
最後のプログラムはフロアからの質問に東良 雅人先生、森 奈都美先生、橘内 爽太先生が答えるトークコーナーです。
初めに司会の西端先生から、「いつ頃先生になろうと思い付きましたか」との質問では橘内先生は「高校生の時のアルバイト先の先輩の影響で」森先生は「幼稚園の時の先生へのあこがれで」と、それぞれ違うことが分かりました。フロアからの「問題を抱えている子どもを助けるにはどうしたらよいか」には、東良先生は「学校みんなで子どもを支えること。子どもが先生みんなに大事にされていると思えるようにすること。見ようとすることで子どもの困り感に気づける」と自らの経験からのお答えでした。橘内先生から「様々な困りごとに関わる仕事なので、先生は味方だと思えるようにすることが大切」との共通点のある答えがありました。
「どうして畿央大学を選んだのですか」との質問では森先生は「第一希望ではなかったが、結果的にご縁があってよかった」と。橘内先生からは「現場を経験した先生が多いと聞いていたから」を話されました。最後の質問の「理想をもって仕事を始めて、考えが変わったことがありますか」では、橘内先生は「子どもができて、仕事の大切さを改めて感じることができるようになった」とのこと。森先生から「先生はいろいろなことができないといけないと思っていたが、自分が不得意なことが多いことを生かし、子どもの得意も不得意も理解できるようになった」と。東良先生からは「担任時代のエピソードから、子どもを支えるのは子どもであり、先生を変えるのも子どもだと気づいた」ことなどが紹介されました。
最後に主催者から「どんな時代になっても教育はなくなりません。そして先生がいなくてはいけません。畿央大学に入学するかどうかに関わらず、皆さんのように、将来の自分を先生に夢見ている人たちを私達は待っています。」と伝え、全てのプログラムを終えました。
現代教育研究所
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