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看護医療学科
2017.07.25
第32回奈良県母性衛生学会学術講演会 参加レポート!~看護医療学科 廣金・藤澤ゼミ
平成29年7月22日(土)13:30より、奈良県橿原市の奈良県医師会館で、奈良県下の医師、助産師、看護師、看護師・助産師養成所の教員及び学生が集合して、第32回奈良県母性衛生学会学術講演会が開催されました。 看護医療学科廣金・藤澤ゼミでは、毎年、教員・現在のゼミ生と昨年のゼミ生が一緒にこの講演会に参加するようになり今年で3年目になります。昨年それぞれのゼミに所属し、現在は本学助産専攻科に所属している看護医療学科6期生学生4名が、卒業研究で行った母性に関する研究を今年は4題も発表しました。また、現ゼミ生である看護医療学科7期生の8名は、10月の卒業研究発表会に向けて、その発表を聴講しました。 「正常分娩・正期産児における早期母子接触の実際とその効果の検討」 甲村弥生 看護医療学科3月卒業(6期生)・(現)助産学専攻科学生 ー終了後の感想 「発表して質問や講評をいただいたことで、自分の研究の中で不足している点や、検討すべき課題が明確になりました。また、他の発表も聞かせていただき、今後は助産師として働く上で、活かしていきたい学びがたくさんありました」 「無痛分娩を選択した妊婦の特性と医療者としてできること」 佐藤 美沙都 看護医療学科3月卒業(6期生)・(現)助産学専攻科学生 ー終了後の感想 「発表は緊張しましたが、他者の視点から質問をいただき、新たな発見や課題を見つけることができました。また、他の発表も聞くことで、さらなる学びを深めることができて良かったです」 「月経前緊張症を有する女性に対する看護師の介入方法に関する文献検討」 青山加奈 看護医療学科3月卒業(6期生)・(現)助産学専攻科学生 ー終了後の感想 「今回発表をさせていただき、貴重な質問・意見を受けることで、私自身の研究の不足点や今後深める課題に気づきました。他の発表・講評を聴くことで新たな興味・関心も湧き、非常によい経験ができました」 「出生前診断における遺伝カウンセリングへの看護職の支援に関する文献検討」 高瀬 和 看護医療学科3月卒業(6期生)・(現)助産学専攻科学生 ー終了後の感想 「たくさんの方の前で発表するということで、不安や緊張もありましたが、自分の取り組んだ研究を大きな場で発表でき、様々な質問や講評をいただき、学びが深まり成長につながる経験が出来たと思います。このような機会をいただきありがとうございました」 ▲真剣な表情でメモを取っている発表者の4名のゼミ生たち 【後列】現廣金・藤澤ゼミ生たち 【前列(左から)】青山加奈・高瀬和(廣金ゼミ発表者)・奈良県助産師会会長 宮田英子様・佐藤美沙都・甲村弥生(藤澤ゼミ発表者)・藤澤 弘枝講師・廣金 和枝准教授 <聴講したゼミ生の感想> 「発表を聞いて、今まで知らなかった現状や実態を知ることが出来た。また、そこから母親のニーズや今後、医療従事者に求められていることを知り、自分で考えるきっかけとなった。研究を通して、今後のより良い看護や医療につなげてことの大切さが分かった」-古城咲季 「今回、複数の発表を聞かせていただき、研究の目的が明らかにされており、研究の意義がわかりやすかった。また、研究でわかったことから発展させて、今後どのような行動に移していくのか、深めて研究をするのかまで考えていることから、深みのある研究になっていると感じた。今回の学びを卒業研究にも活かしていきたいと考える」ー菅野里穂 「発表を聞き、自分が実習で学んだことが研究されていたりして、興味深い内容のものが多かった。有意義かつわかりやすい発表が多く、学ぶべきところも多くあり、自分の研究や発表にも活かそうと考えた」ー吉井彩絵 「母子の領域での現在の問題や情報を知ることが出来た。またスライドや発表方法など、これからスライドを作る中で参考になった」-田中来実 「発表を通して、卒業研究をどのようにパワーポイントにまとめれば分かりやすく伝えることができるのか、参考になる部分が多くあった。また、問題やその問題の対しての対応などの情報について知識を得ることができた」ー吉岡李恵 「文献研究の結果からカテゴリーに分類して考察されていて理解しやすい発表だった。また、今後も研究を続けていって看護実践に活かしていくところまで視野に入れており、とても参考になった」-内芝綾香 「今日の発表を聞いて、スライドの構成や発表の方法について具体的に理解することが出来た。今回の研究から、今後臨床の場で研究結果を活かしたケアを行いつつ、研究を継続して考えていくことも学べた」ー田中祐衣 「発表を聞き、自分の卒業研究でのまとめ方や発表スライドの作り方などを考える際の参考になった。自分の研究内容にも関わる部分もあったため、問題について考えていきたいと思った。今後母子に関わっていくため、研究を参考に学びを深めてケアに活かしていきたいと思った」ー石井優子 学術集会の最後には特別講演として、出産ジャーナリスト、東京医科歯科大学非常勤講師である河合 蘭 先生が「不妊・高齢出産を取材した私が、いま出産施設に望むこと」をテーマにお話しくださいました。その中で日本は、女性の出産年齢が遅い国としてワースト2位である。スェーデンなど、高齢出産が多い国は他にもあるが、出生率が日本ほど少ない国は他にないということでした。それには、不妊症に対する治療が各施設によって対応がまちまちであり、妊娠成功率は世界でも非常に低いことがその要因であることがわかりました。さらに、日本の出生率が世界でも非常に低い理由の1つとして、日本の20歳代の女性は結婚したいと思っている人は多いが、20代の男性は非正規雇用などによって収入が低く、結婚できないことがあげられていました。具体的なデータや貴重な資料を提示してわかりやすく日本の現状を教えてくださり大変勉強になりました。 【写真左】 出産ジャーナリスト、東京医科歯科大学非常勤講師 河合 蘭先生 【写真右】 奈良県立医科大学教授 小林 浩先生 聴講したゼミ生の皆さん!10月の看護医療学科の卒業研究発表会に向けて、今日の学びを活かして頑張りましょう! 看護医療学科 講師 藤澤 弘枝 関連記事 日本母性看護学会学術集会 参加レポート!~助産学専攻科 第5回助産学研究科卒業研究発表会を開催!~学生レポート 奈良県母性衛生学会学術講演会に参加!~看護医療学科 廣金・藤澤ゼミ
2017.07.25
「災害に強い大和の町づくりネットワーク」平成29年度第1回研修会を開催!~看護医療学科教員
平成29年7月22日(土)の午後、本学L202講義室に災害に強い町づくりネットワークの今年度第1回研修会を開催しました。テーマは「どうやって積み重ねる?発災時に求められる看護師の知識と技術の学び」です。 災害に強い大和の町づくりネットワーク【奈良県下の防災・減災・災害対策強化に関する経験や学び(知識や技術)の共有を目的としております】は、立ち上げから5年が経過し、今年度は、これまでの活動の中で得られた経験や知見を体系的に整理し、臨床に役立てるものとして返していきたいと考えています。 奈良県下の臨床や教育機関、行政におられる看護職28名が集い、発災後概ね24時間の病院勤務看護師に求められるコンピテンシー(役割を遂行するための能力)を養うためにはどのような学びが必要か、欲しいと思う教材は?について意見交換をしました。 今後30年以内に震度6以上の地震が起こる可能性が14%(昨年の熊本地震に関係した断層が16%でした)と報告されている断層が奈良県にはあります(その端は広陵町にも近いところです)。そうした危機的な状況にあることを受け、県内医療機関の多くで、耐震・免振工事や対応の見直しを急いでいますが、その中でも重要なのは人材育成です。 阪神淡路大震災発生以降、災害看護学は確実に歩み進めてきましたが、非日常的な災害時の看護は学びの積み重ねが難しく、その一方、あちこちで次から次に多くの大規模災害が発生し、検証が追い付いていない帰来もあります。ワークショップ前半の第1部では、「所属機関が大きな被害を受けている状況を想定した対応はこれまでもシミュレーションしたことがあるのでイメージしやすいが、所属機関に被害は無く、すぐ近くで多くの傷病者が発生している。つまり、すぐにも大勢の傷病者が一気に運ばれてくる対応はイメージが難しい」などの言葉が聞かれました。また第2部では、「コンピテンシーを養うべく学びのコンテンツは抽出できても、どのような教材が適しているか具体的にすることは難しい」という意見がありました。それでも、他施設での取り組みについて情報を得て発展させることで教材案が出された項目もあり、有意義な時間でした。 うだるような外の暑さにも負けない参加者の熱いディスカッションが、これからの奈良県下医療機関の看護師に対する災害看護教育に活かせるように、ネットワークのコアメンバーで形にしていきたいと考えています。 ご参加いただきました各施設の皆様、サポーターとしてご参加くださった防災士会・広陵町の東様、看護4回生富本くん、ありがとうございました。 なお本研修会は、学術研究助成基金助成金「災害初動における臨床看護師のコンピテンシー開発およびオンライン学修支援環境の構築」(課題番号17K12198)を受けて開催しました。今後は、先行研究や災害看護の事例などからコンピテンシーの妥当性を検証して、eラーニングを活用した効率的で効果的な学び方についても検討して参ります。 看護医療学科教授 堀内美由紀 教育学習基盤センター助教授 宮崎誠 【関連記事】 地域の防災イベントに教員・学生がボランティア参加!~看護医療学科 NHKが看護医療学科堀内先生を取材!~阪神淡路大震災から21年。災害看護~ 災害に強い地域づくりへの大学の貢献を考える-DMAT訓練を通して- 災害に強い大和の町づくりネットワーク 平成25年度第1回研修会を開催! 災害に強い大和の町づくりネットワーク活動 研修会を開催!
2017.07.25
ベテラン助産師による分娩介助の特別講演!~助産学専攻科
熟練助産師江口先生から分娩介助の応用 「側方介助法及び肩甲難産時の介助など」を学んで 2017年7月20日(木)特別講演で、谷口病院の病棟師長であり、分娩介助件数3,000件近くの経験をされている江口美智子先生から「側方介助と肩甲難産時の分娩介助」を教わりました。助産学専攻科3期生の先輩の山本果歩さんと谷口病院で勤務されている助産師の木内さんが、聴講と学生指導のために参加してくださいました。 江口先生の分娩介助は、左手で児頭の娩出を1~2ミリずつ骨盤誘導線に沿ってコントロールして、会陰裂傷しない母児にとって安全な分娩介助の技でした。左手と右手の力を巧みに交互に使い分け、ベビー人形が、まるで本当の胎児のお産のように見えました。 ▼講師でお招きした江口美智子先生 今までの分娩のとき、左手は児頭に添えているだけでしたが、今回の講義を通して左手での児頭の支えと分娩介助の姿勢の大切さを学びました。左手は児頭が飛び出すのを防ぎ、産婦の娩出力との調和をとりながら、陰唇が裂傷しないよう少しずつ娩出させることが重要であると学びました。そして、児頭が恥骨より上にならないように左手でしっかり支えることは想像よりも困難で、腰への負担がかかることを実感しました。 また、助産師は自分の体を守るためにも、腰を下げる体勢が重要であり、陣痛時には会陰から常に目を離さないことが大切であることも同時に学びました。 パニックに陥った産婦での分娩では、産婦の呼吸が乱れ娩出力が強くなり児が飛び出してくることがあるため、どのような時でも助産師が呼吸法を積極的に促し、調節していくことが重要であり、分娩介助の練習をする際には、実際の産婦をイメージし実施していくことが大切であると気づくことができました。 全体を通して、江口先生の手技に驚かされるばかりでしたが、実際にやってみることで、児と産婦の安全のために一つ一つに根拠があり、今後その技術をしっかりと身につけ、どのような状況にも対応できる精神力を養っていきたいと思いました。 ▼最後は全員で集合写真 この度は、有意義な講義が実現できたことに、江口先生はじめ学生指導を行っていただいた方々に感謝いたします。皆様、本当にありがとうございました。 助産学専攻科学生 青山加奈、川北明日香、川渕ひかり、塩原紗也夏、高脇優衣 【関連記事】 助産学専攻科【専攻科】 ベビーマッサージとマタニティヨガの特別講演!~助産学専攻科 日本母性看護学会学術集会 参加レポート!~助産学専攻科 児童養護施設を見学!~助産学専攻科「乳幼児の成長・発達」
2017.07.20
日本における感染症対策ーハンセン病の歴史ーを学ぶ~看護医療学科
2017年7月17日(月)、第14回目の授業となる2年次配当「地域看護学概論」と4年次配当「健康学持論(保健師選択科目)」で岡山県瀬戸内市にある国立療養所長島愛生園歴史館から学芸員の田村朋久様を講師にお招きし、合同講義をしていただきました。 日本における感染症対策―ハンセン病の歴史― 地域看護学概論は、看護活動の場の一つである「地域」を生活の基盤として捉え、地域で生活する人々の健康特性・健康課題を認識し、健康レベルに対応した看護活動について学ぶ科目です。個人に対する看護だけでなく、個人の集合体であるコミュニティー(地域・学校・産業・国際保健)における看護の理論や健康政策・法律など健康支援システムにについて学習します。また医療従事者として、人間の尊厳や生命への畏敬について理解し、人の痛みや健康への願いを汲み取ることができる感性を養うことをめざしています。また、ハンセン病の学習については、2015年から4年生の保健師選択科目「健康学特論」で取り入れましたが、看護者を目指す学生に正しい知識と現状を理解してもらいたいと、2016年からは全員が履修する地域看護学概論の授業に組み込んでいます。 田村様には、3年前から本学での講演や講義をお願いしています。授業の前に事前学習として、学生のハンセン病に対する学習経験や、ハンセン病に対するイメージを書いてもらい、また疾患について調べてもらいました。 小中高および大学での人権教育や他の授業で、アニメーション映画の「もののけ姫」で全身に包帯を巻いた人々が、ハンセン病の人々であると聞いた学生が1割ほどで、発病することで療養所に隔離収容されてきたことは理解できていました。 講義では、パンフレットを2種類提供していただき、ハンセン病の歴史から、療養所および島内での人々の生活をわかりやすく説明していただきました。そして島内で60年生活された方が、住み慣れた我が家を追われるようにして療養所に来たこと、療養所では別名を名乗り、ご両親の死去さえ連絡されない状況での思いをとつとつと語られる姿を映像にした貴重な動画をみせていただきました。語られた方がすでに亡くなられた方であるとの話を聞いて、学生も真剣に観ていました。 授業後の感想では、想像していたよりも過酷な状況に置かれていたこと、そして、病気そのものは治っていても、後遺症を抱えながら生活されていることが理解できたことや、無知や無関心による差別を無くしていくことの大切さを考えることができたという記述が多くありました。 4年生の保健師資格取得をめざす19名と看護医療学科の希望学生5名の計24名は、19日に長島愛生園を訪問し、実際に国立療養所の職員の方や、島内で生活されている方のお話と聴き、さらに学習を深めていきます。 看護医療学科教授 松本泉美 【関連記事】 ハンセン病療養所長島愛生園を見学~看護医療学科
2017.07.12
看護医療学科教員×奈良県川上村~「七夕コンサート」を開催しました!
前回ブログにて告知いたしましたが、7月8日(土)に奈良県川上村で村おこしイベント「七夕コンサート」(無料)を開催しました。川上村は看護医療学科4年次配当「離島・へき地医療大権実習」の実習地であり、卒業生が保健師として活躍しています。当日は遠くは埼玉県、近畿では京都府や大阪府、奈良県内から約200名の方が来場してくださり、会場はほぼ満席となりました。 ハクエイ・キム氏の迫力のあるまた繊細なピアノの音色に包まれ、参加された方々には至福の時を過ごしていただけたようです。ハクエイ氏もあたたかい雰囲気の中で、会場全体が一体化したような心地よさを感じたとおっしゃってくださいました。看護医療学科松本ゼミ生5名もスタッフとして参加し、受付や七夕飾りの作成の声かけなど、4回生らしく積極的な対応をしてくれました。 コンサート会場には、離島・へき地医療体験実習での学びをポスターにして掲示し、川上村の住民や来場者の方から「村のことが良くわかった。よかった。」とのご意見をいただきました。参加者アンケートでも、川上村のことを知らなかった方、知っていても初めて来たという方がほとんどでしたが、「来た甲斐がある素晴らしいコンサートだった。また開催してほしい」とのご意見や感想を沢山頂戴しました。 スタッフとして参加した学生は、 「一つのイベントに多くの関係者が関わり、協力して作られていること、一つのイベントで様々な場所から人を集める手段になりうる事を学ぶことが出来た。素敵な演奏を聴かせていただいたハクエイ氏や、今日お会いした皆さんに感謝したい。」 「実習では、違う地域だったので、こういう機会がないと自然豊かな川上村に来ることはなかったし、ピアニストの精神的な強さを感じ、感動した。とても貴重な経験ができた。」 との感想を述べてくれました。 ケアに関わる者として内容は異なりますが、一つの目標に対して他者と協力連携すること、人々が感動を共有できることの大切さを感じてくれたのではないかと思っています。 昨年9月の企画開始から開催当日まで、村役場および教育委員会の皆様のご理解とご協力をいただき、無事成功裏に終えることができました。皆様、ありがとうございました。 看護医療学科 教授 松本泉美 【関連記事】 看護医療学科×奈良県川上村~村おこしで無料の「七夕コンサート」を開催! 看護医療学科教員が、川上村の地域包括ケアシステム構築に向けての研修会企画・講師を担当! 平成27年度 離島・へき地医療体験実習発表会~看護医療学科
2017.07.10
地域の防災イベントに教員・学生がボランティア参加!~看護医療学科
7月8日(土)、晴天でとても暑い日でしたが、看護医療学科4回生2名・3回生3名と一緒に、防災関係のイベント2件をお手伝いしてきました。会場は、広陵町と奈良市にあり、車移動で1時間かかる2会場をハシゴすることになりましたが、つなぎの役割で看護医療学科の卒業生1名、大学院生1名も駆けつけてくれました。 まず、朝8時45分に大学の正門前集合に集合して、広陵北体育館に向いました。『広陵北小学校区 合同防災訓練&防災フェスタ』イベント会場です。私たちの役割は、一般市民の方にムラージュ(外傷メイク)を施こすこと。ムラージュを施された住民の方を女性消防団の救護手当にお連れします。 集まる!集まる!子どもから年配の方々、消防団の方々まで、大盛況でした。「大学で習うの?」「畿央大学なのね,この間も○○に来てくれていたわ!」住民の方々からもお声掛けいただきました。子どもさんの中には「こわい・・」と一度立ち去り戻って来たり、ムラージュは楽しく受けていたのに「いや」と救護所行きを拒んだり・・・、かわいい模擬患者さんがおられました。 他のブースを見に行く時間もなく炊き出しカレー(訓練試食)をいただいて、卒業生と大学院生に続きをお願いして、11時35分に北体育館を後にしました。 13時少し前に、次のお手伝い会場、平常小学校へ到着。『地域メディカルラリー2017 in平城』イベント会場です。このイベントは、全国初、一般住民の方々が競技者として参加するメディカルラリーです。 気温は軽く30℃を超えていたと思います。気温以上に会場は熱気でムンムン!私たちは競技運営スタッフ控室の音楽室へ。待っていました!とさっそく紹介され、ブースの演技者のムラージュに取り掛かりました。トリアージ黒タグの患者さん(亡くなっている方)や骨折で足がハデに腫れている方、今後が心配なクラッシュシンドロームの方など、重症ケースのシナリオもありました。 午前中で慣れてきていたこともあり、ムラージュの出来栄えは上々でお褒めのお言葉をいただき、ご専門の方ですか?の問いには「いえいえ、看護の教員と学生たちです!(笑)」と答えました。 重傷から擦り傷など軽傷まで20名程度の方にムラージュをして、ほっとしたのも束の間、私たちには競技としての模擬患者役やジャッジの仕事がありました。 ▼ムラージュを終え、ビブスを着用。役割確認中。 ▼競技スタート!競技者の皆さんの真剣な表情をご覧ください。この日に向けて毎日勉強会をされていたそうです。 ▼3回生徳尾野さんは、避難所からどうしても家に帰りたいと支援者に詰め寄る避難者役。谷田さんは、東京から夫婦で旅行に来て被災した役。4回生吉井さんは妊婦さん。徳尾野さんへの声かけを評価する3回生高田さん。4回生竹田さんと私(堀内)もこのブースのジャッジを担当しました。 4回生後期科目に「災害看護論」がありますが、シナリオなど運営スタッフ用の資料やムラージュを施す過程で地震災害における被災者の特徴などを学べたと思います。また、競技者(災害時支援者)と模擬被災者とのやり取りを聞きながら、このようなケースにはどのような対応が必要なのだろうか、と考える機会になったようでした。 南海トラフが懸念される中、災害に強い地域づくりにおける看護師の役割は、自身の勤務する医療機関の備えはもちろんですが、地域住民の防災力強化にも関心を持つことが重要です。災害時には医療においても需要と供給のバランスが崩れます。地域住民が冷静に行動し自助共助がうまくいくことで、医療現場の混乱が軽減され、真に医療が必要な負傷者に必要な医療が迅速に提供されることにつながります。 このような良い機会を与えてくださった広陵町および奈良市の関係の皆様に深く感謝申し上げます。 看護医療学科 教授 堀内美由紀 【4回生 竹田実緒さんの感想】 幸いにも、私自身、被災したことはありませんが、一般市民の方を交えて日頃から訓練しておくことで、現場をイメージすることができ、振り返りを活かして実際の災害時の迅速な対応に繋がると感じました。 【関連記事】 学生広報スタッフblog vol.196~災害看護論校外学習レポート第2弾! 学生広報スタッフblog vol.195~「災害看護論」校外学習レポート! 災害に強い地域づくりへの大学の貢献を考える-DMAT訓練を通して- SCU(広域搬送拠点臨時医療施設)の設営を体験!~看護医療学科「災害看護論」 災害に強い大和の町づくりネットワーク活動 研修会を開催!
2017.07.05
指定難病の一つ「多発性硬化症」を学ぶ~看護医療学科「成人看護学対象論」
6月27日(火)3限目、看護医療学科2年次配当「成人看護学対象論」で、多発性硬化症友の会・兵庫県支部より講師をお招きして、講義をしていただきました。 多発性硬化症は指定難病のひとつで、中枢神経系の脱髄疾患です。若年成人の女性に発症する割合が高いと言われています。症状は視力低下・視野欠損、知覚障害、運動障害など障害される神経によってさまざまです。学生たちは多発性硬化症の病態や症状・治療について事前学習をして講義に臨みました。 講師の先生は、多発性硬化症でありながらも看護師として活躍しています。事前にその情報は学生たちに提示していなかったので、学生たちは、さっそうと登壇した方が(まさか)患者様ご本人?とは思えなかったようです。このことから、外見だけで人を判断することの危うさや、病気を抱えて社会生活を営んでいる人々への認識を新たにしていました。 講義では多発性硬化症という病気について資料を配布して説明され、多発性硬化症の診断に至るまでの経験を話していただきました。多発性硬化症と診断された時の衝撃については「一生脱げない鎧をまとったような」と表現され、そのときの医療者の配慮に欠けた対応についても話をしていただきました。また、多発性硬化症と診断された時にインターネットで目にした「寝たきり」「失明」「脳萎縮」の3つの言葉が頭を離れなかったこと、しかし入院中に医師から病気について丁寧に説明された経験を踏まえ「敵を知らないと戦えない」と病気と向き合うためには知識を持つことが大事だと話してくださいました。 先生は現在も体の正中がずれた感覚があること、常に横隔膜の周囲を柔道の帯で締めつけられている感覚があることとそのため呼吸がしづらくなること、しびれ、指先の巧緻性が低下しているなどのさまざまな症状を抱えながらも看護師として仕事もされています。今、多発性硬化症であることも看護師であることも誇りであるということも話して下さり、最後は看護師をめざす学生たちにエールを送って下さいました。 学生たちは先生がたどった経験から、病気を診断された患者様の気持ちを配慮して、自分がその立場だったら、そして看護師としてどのように接していけばよいか真剣に考えていました。そして、看護の対象者を理解し、その人にとって本当に必要な看護を導き実践することの重要性を実感していました。 先生のおっしゃった「生きる力を支える看護」は学生にとって印象深い言葉になったようです。今回の学びを忘れずに、患者に寄り添える看護師になってほしいと思います。 看護医療学科 教授 山本裕子
2017.06.28
マダム信子氏の講演会&意見交換会を開催!~第1回認知症の人と課題解決のステーションづくり in 畿央大学
マダム信子氏による講演会 「第1回認知症の人と課題解決のステーションづくり in 畿央大学」を開催! 6月23日(金)12:10~12:50、L303講義室にて「第1回認知症の人と課題解決のステーションづくり in 畿央大学」と題して、マダム信子氏の講演会が行われました。今回の企画は、認知症の当事者や家族の方が地域で安心して生活できる一助となるよう、一般社団法人SPSラボ若年認知症サポートセンターきずなやと看護医療学科の山崎教授がコラボして開催したものです。 マダム信子氏の講演には、学生・教職員合わせて40名の参加がありました。昼休みということもあって、お弁当を食べながら講演を聞く人も多く見られました。 まず、一般社団法人SPSラボ若年認知症サポートセンターきずなやの菅さんが、きずなやの紹介をしました。若年認知症や認知症の当事者と家族に対し、居場所や働く場所を提供するなどの支援を行っており、その活動は新聞やテレビでも紹介されています。代表者は認知症の人を10年以上支援されている若野達也氏です。 その後、マダム信子氏の講演が行われました。信子氏は株式会社カウフードシステム代表取締役で、洋菓子店「マダムシンコ」を展開しています。企業家の立場から認知症の人に関する支援活動をしており、今回の講演も「学生や地域の人に認知症についてもっと興味や理解をしてほしい」という思いから行われたものです。 今回の講演の中で、自分が認知症の活動を支援するきっかけとなった、お母様の話をされました。「母親が大好きで愛していた」「両親においしいものを食べてほしかった」こと。お母様が認知症になった時、自分が優しく接したら、母親も優しく返してくれたこと、穏やかで最後まで認知症とは思わなかったこと。けれど、「もっと認知症のことを理解していたら母親にもっと優しくできたのに」との思いを持っておられること。両親とお兄様を亡くされていることから認知症の支援活動をはじめて3年目だそうです。信子氏が「母が大好き」という気持ちで精一杯接していたことが、お母様もBPSDなどの症状も見られず、信子氏の前では優しい母親のままで過ごせたのではないでしょうか? 講演終了後、一度退室してからまた教室に入ってこられて質問を受けてくださり、学校への思いなどを述べられていました。 <この講演会の様子は、マダムシンコHPでも紹介されています。> その後13:00~14:30までK204ゼミ室で意見交換会が行われ、介護予防リーダー養成講座の修了生によるボランティアグループKEEP(Kouryo・Kashiba Elderly Encouragement Project)メンバーをはじめとする地域の方や学生、当事者や支援者、教職員16名の参加がありました。その中で地域の方が「どう取り組んだらいいのかよくわからないが、相手の目線に立って話をすることが大切」とコミュニケーションの重要性を話されました。また、「認知症を理解して地域でのトラブルをなくしていけるような支援や場所作りが必要」という意見も聞かれました。これらの意見から地域と大学の連携の必要性を確認することができました。 認知症について理解することは難しいことと構えないで、「挨拶する」「気にかける」「受け入れる」ことから始めればいいのではないでしょうか。 看護医療学科 准教授 南部登志江 【関連記事】 認知症高齢者の緩和ケアをテーマに「第1回 認知症高齢者の終末期ケア研修会」を開催しました。 「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」修了式を開催しました。 第2回畿央大学シニアキャンパスを開催しました。
2017.06.26
BLS(一次救命処置)ブロバイダーコースを開催!~看護医療学科
はじめまして、看護医療学科の3回生高田咲貴です。私と、同じ看護医療学科の谷田有加・上田恵実香の3名の学生が集まって、学部でNCPR(新生児蘇生法)を開催している藤澤弘枝先生、ヒトの遺伝学を教えてくださっている小児外科の医師である小角卓也先生の5名でタッグを組んで、「大切な人を守る実践活動」をモットーに、その実践活動の一環として、BLSプロバイダーコースを開催したのでご紹介します! BLSプロバイダーコースは、アメリカをはじめ世界各国で開催されている医療専門家・救命のプロフェッショナルのための世界最高水準の一次救命処置(BLS:Basic Life Support)教育訓練プログラムです。 大人の傷病者に対する人工呼吸と胸骨圧迫(心臓マッサージ)、AEDの使い方に加えて、乳児と小児のCPR、気道異物除去など、国際コンセンサスに基づいた一次救命処置(BLS)のほぼすべてを網羅しています。 これだけを聞くと、医療専門職者以外関係ないのでは?と感じますよね。しかし、BLSプロバイダーが受講対象としているHealthcare Provider という言葉は、医療専門職者に限らず人々の健康維持・管理に責任ある立場の職種・立場の人すべてが含まれます。そのため、どなたでも、医師・看護師・救急救命士などと同じ高いレベルの一次救命処置(BLS)技術を習得できます!心疾患は世界の死因第三位です。あなたは、目の前で倒れた大切な人を救えますか?? ※本コースの全課程を修了し、筆記試験・実技試験に合格すると、2年間有効のAHA公式BLSプロバイダー BLS Provider 認定カードが発行されます。世界で通用する医療従事者レベルの心肺蘇生技術認定です。 説明が長くなりましたが、そんなBLSプロバイダーコースを2017年6月25日(日)9時にメンバーが集合し、いざ準備して…講習して、片づけて、また、会議して…記念すべき第1回目を、10時から17時を過ぎても行いました!定員は4人でしたが、あまり広報する時間もなかった中、看護医療学科2回生が定員制限ギリギリの4人も参加してくれました! これからも活動していきたいと思いますので、学部学科問わず、興味のある方は講習会に参加、もしくは、一緒にやって下さるメンバーも募集していますので、ご連絡くださ~い! 看護医療学科3回生 高田咲貴 お昼の食事も水分もみんな自前で用意し、食べるのもそこそこに、一生懸命教えて学んでいた学生さん。 BLSブロバイダーのインストラクターの3回生は、初の大役なのに「楽しかった!」と満面の笑顔でした(赤いユニフォームがお似合いです。)今回の講習会を受講した2回生は、「大変だった」「思った以上に難しかった」と言っていましたが、最後の試験は4名全員が合格しました!!!念願のAHA公認BLSブロバイダーに認定です! 英文の認定カードが届くまで1か月くらいかかりますが待っててくださいね。 看護医療学科 講師 藤澤弘枝 【関連記事】 新生児蘇生法(NCPR)講習会を開催!~看護医療学科 新生児蘇生法(NCPR)の結果発表!~看護医療学科 「NCPR(新生児蘇生法)Aコース」講習会を開催!~助産学専攻科
2017.06.23
日本老年学会にてKAGUYAプロジェクト研究成果を発表!
第30回日本老年学会にて、KAGUYAプロジェクト高齢者ベースライン調査に基づく研究成果を発表しました! 6月14日~16日、名古屋国際会議場にて、第30回日本老年学会が開催されました。この学会は、2年に1度開催され、老年系の7学会(日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年歯科学会、日本老年精神医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年看護学会)で構成された合同学会という形式で行われています。 KAGUYAプロジェクトではプロジェクト高齢者ベースライン調査のデータを用いて、この合同学会において第59回日本老年医学会学術集会に2報、第59回日本老年社会科学会大会に1報、第22回日本老年看護学会学術集会に1報、それぞれ発表を行いました(通算6,7,10,11報目)。 KAGUYAプロジェクトに参画する研究者は多職種にわたるため、このような合同学会でなければなかなか一堂に会した発表は難しく、貴重な機会となりました。また、本学会においては、「『治し支える医療』へ向けて、医学と社会の大転換を」を共通テーマにしており、特に多職種連携に関することが多くディスカッションされていました。 本プロジェクトにて発表した演題について、筆頭演者からご紹介いたします。 演題名:地域在住高齢者のソーシャル・キャピタルと抑うつとの関連(口演)(第59回日本老年医学会) 演者:文鐘聲(看護医療学科)、高取克彦(理学療法学科)、山崎尚美(看護医療学科)、松本大輔(理学療法学科)、宮崎誠(教育基盤センター) KAGUYAプロジェクトでは、「ソーシャル・キャピタル」(地域のつながり)を主眼に見ていますが、本発表はその中でも「互酬性の規範」と呼ばれるもの(本研究では具体的に「情けは人の為ならず」に同意するか、実践しているか)が精神的な健康(抑うつ)にどう影響を及ぼすかを解析しました。その結果、抑うつ群は非抑うつ群に比べて年齢が高く、生活習慣病に多くかかっており、社会経済的状況も良くないことが明らかになりました。また、「情けは人の為ならず」に同意することだけでは抑うつに影響せず、実践するほど抑うつを低下させることも明らかになりました。今後も、両者の違いに注目して解析を進めていきたいと思います。 演題名:新興住宅地域と旧村地域におけるソーシャル・キャピタルと健康の地域間格差―KAGUYAプロジェクト高齢者ベースライン調査 (ポスター)(第59回日本老年社会科学会) 演者:文鐘聲(看護医療学科)、山崎尚美(看護医療学科),高取克彦(理学療法学科),松本大輔(理学療法学科),宮崎誠(教育基盤センター),吉田浩子(広陵町地域包括支援センター) 本発表では、旧村地域と新興住宅地域の2つに分け、健康状態等を比較しました。旧村地域の平均年齢が新興住宅地域に比べて2歳ほど高く、高次生活機能が低く、生活習慣病の罹患などが高いことがわかりました。また、ソーシャル・キャピタルの側面においては、近所付き合いの度合いは旧村地域が高く、趣味・サークル活動は新興住宅地域が高いという特徴も明らかになりました。今後、その特徴を踏まえた計画を練る必要があります。KAGUYAプロジェクトでは、いくつかの事業を町内で展開していきますが、その際の資料となることでしょう。 演題名:地域高齢者における自己認識年齢と健康関連指標および日常生活活動能力との関係 (ポスター)(第59回日本老年医学会) 演者:高取克彦、松本大輔(理学療法学科)、宮崎誠(教育基盤センター),山崎尚美,文鐘聲(看護医療学科) 昨年度に学会員となり,今回初めて研究成果発表での学会参加をいたしました。私は「地域高齢者における自己認識年齢と健康関連指標および日常生活活動能力との関係」という演題でのポスター発表でした。一般演題およびセミナーなどにおいては「フレイル」をキーワードとしたものが非常に多く,「特定高齢者」などの表現が使われていた時代からの急速な考え方の変化を実感しました。常連的に参加する理学療法士やリハビリテーション専門職中心の学会と異なり,老年内科医や看護師,保健師,栄養士など多職種が参加される学会は非常に刺激的でした。 KAGUYAのライバルともなる学官連携プロジェクトも多く存在しましたが,住民リーダー育成,認知症カフェの展開などの介入を含む点がKAGUYAの独自性と強みであると実感しました。来年度も引き続き他のプロジェクトに負けない研究成果を発表していきたいと思います。 演題名:高齢住民のエンパワーメント力と認知症の認識との関連性―KAGUYAプロジェクト高齢者ベースライン調査―(ポスター)(第22回日本老年看護学会) 演者:山崎尚美、文鐘聲(看護医療学科)、高取克彦、松本大輔(理学療法学科)、宮崎誠(教育基盤センター)、南部登志江、島岡昌代、寺田美和子、福森貢、松本泉美(看護医療学科)、吉田浩子(広陵町地域包括支援センター) 第22回日本老年看護学会学術集会において、示説発表をいたしました。今回は「高齢住民のエンパワーメント力と認知症の認識との関連性」について発表しました。一般演題としては、「End-of-Life Care」「最後までその人らしく輝いた人生」、認知症関連では「若年性認知症」「当事者とともにつくる」「認知症カフェ」に関する発表や講演が多く、看護職は認知症の人の代弁者になることが強く求められていると思いました。 評価尺度についての意見交換やエンパワーメント力の育成のための基礎データとなることの示唆をいただき、大変有意義な学会となりました。 このように、KAGUYAプロジェクトは多方面からの解析、考察を行っています。地域住民のみなさまが健康で幸せに暮らしていけるよう、これからも研究を続けていきたいと考えています。 看護医療学科 准教授 文 鐘聲 教授 山崎尚美 理学療法学科 准教授 高取克彦 助教 松本大輔
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